仮面ライダージオウ 〜もう1人の魔王〜   作:ももももると

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アナザーディケイドによって2019年へとアナザーワールドからやってきたダークドライブ。
苦戦を強いられるジオウ ゲイツ ドライブの3人だったが2035年から未来のドライブの力と共にやってきた泊エイジと共に戦況は一転。
現在と未来のドライブの力をひとつに放つキックによりダークドライブは倒れ、無事ドライブウォッチを継承した。


『鏡の世界にいるもう1人のジオウは·····』

『俺だ·····!』


「鏡の中の龍 2019」

静寂に包まれる手術室前の通路

1人の青年は俯きながら小声何かをブツブツと呟いている

赤く光っていた手術中というランプが消えると共に、手術室から仕事を終えた医師が出てくる

青年は医師へと駆け寄ると、医師へとこう問う

 

「裕子は····· 裕子は大丈夫なんですか!?」

「最善は尽くしました····· ですがまだ意識は戻っておらず危険な状態です····· 最悪の事態も想定しておいて下さい·····」

「嘘だろ····· 嘘って言ってくれよ·····! なぁ!」

 

青年は医師へと掴みかかるも、付近にいた看護婦によって制止を食らう

そんな青年を残し、医師はその場から立ち去っていく

「裕子·····! 」

青年が名を叫ぶと共に、制止をしてきた看護婦の動きと立ち去っていく医者の動きが止まった

まるでその場の時が止まったかの様に、再びその場一帯が静寂に包まれる。

 

「あなたに、悪い知らせととってもいい知らせがあるの。」

 

暗闇に包まれる通路の奥から1人の少女がこちらに向かい歩いてくる

「誰だ·····お前!」

「私の名前はオーラ、 このまま時間が進めば····· 貴方の恋人は死んでしまう」

「何だと·····」

「でも私と契約すれば····· 彼女の命は再び取り戻される」

「本当か·····? 」

「ええ、契約する?」

冷静ならばまず知らない人間の話など鵜呑みになんてしない

とはいえ今はそうでも言っていられない

藁にもすがる思いで青年は

 

「分かった·····」

「いい子ね」

 

少女との契約を望んだ。

にこりと少女は笑うと持っていたアナザーウォッチを青年へと埋め込む

 

龍騎·····!

 

「う····· が····· うわあああああ!!!」

アナザーウォッチの力は青年を包むと、その姿をアナザー龍騎へと変える

 

「おめでとう、歴史が変わって今日から貴方が仮面ライダー龍騎よ。」

「オれハ····· どウすれバいイ·····?」

「恋人を救いたいなら····· 仮面ライダージオウとゲイツの命を奪って彼女に捧げたらいいわ····· あなたの世界で·····」

オーラはアナザー龍騎へとそう告げると不敵な笑みを浮かべた

 

·····················································································

 

「おはよう·····」

眠い目を擦りながらリビングへとやってきたリュウト

時刻は7時、学校までまだ時間はある。

リュウトは食事を取りながらテレビを見ていた

 

『逃亡していた佐藤修也容疑者は昨晩身柄を拘束され現在護送車にて移動中です。』

 

アナザードライブ、そして佐藤修也がアナザーワールドへと送られた事で現れたダークドライブを打ち破り歴史はある程度元に戻った。

これでライドウォッチは7つ。

全てのウォッチコンプリートまで後12個だ。

 

「行ってきます!」

制服へと着替えたリュウトは自転車へと跨り、高校を目指す。

自転車で街を駆け抜けるリュウトはふと、鏡に映った自分を見て自転車を止めた

「寝癖ついてる·····」

少し急いで出たからだろうか、寝癖に気づかずに家を出ていた

「はぁ····· 最悪だ·····」

深いため息をつくと共に自転車を漕ぎだそうとしたその瞬間、頭が割れる様な音が周囲へと響き渡り、リュウトはその場に倒れ込んだ

「何だ·····この音·····!」

ジオウllライドウォッチに触れ、ダークドライブの姿を見た時とは別の痛みだ·····!

音の原因を探るリュウトは辺りを見回すも何もいない

「一体なんなんだ·····!これ!」

 

「見つけたぞ、仮面ライダージオウ·····」

 

男の声がすると共に、見覚えのない青年がジオウの名を呼びながら店のガラスから姿を現した。

「今·····ガラスの中から!? 俺になんの用だ!」

「裕子の為だ····· ミラーワールドに来てもらうぞ·····」

 

龍騎·····!

 

「アナザーウォッチ!? それに今龍騎って·····」

「ぐおおおおおお!!!!」

アナザーウォッチの力に包まれた青年の姿はアナザー龍騎へと変貌すると、リュウトへと襲いかかる

「やばい·····!」

身の危険を感じたリュウトは自転車を持ちあげてアナザー龍騎の方へと倒すも、一瞬にしてアナザー龍騎の左手の龍の形をした腕で弾き返される

「アナザーライダーなら····· 倒す!」

 

『ライダータイム·····! 仮面ライダー! ジオウ!』

 

「ふン·····!」

 

朝の静寂に包まれる街の中、斬り合いになるジオウとアナザー龍騎

しかし戦況はアナザー龍騎へと傾いていく

「まずいかもな·····!」

 

『ディディディディケイド!』

 

これまで戦ったアナザーライダーと比べ物にならない強さのアナザー龍騎に対して、リュウトはディケイドアーマーで対抗する

 

『アーマータイム! カメンライド ワーオ! ディケイドディケイドディーケーイードー!』

 

「こいつで·····!」

ディケイドアーマーとなったジオウは先程の遅れを取り返す様にアナザー龍騎へと対抗。

とはいえ戦況がジオウ側へと傾く事はなく、平行線のまま2人の戦いは続く。

「やっぱり·····! このアナザーライダー、今までのアナザーライダーとは比べ物にならない程しぶとい·····!」

ディケイドアーマーの力をもってしても怯む様子を見せないアナザー龍騎にジオウは危機感を感じていた。

すると突如どこからか放たれたエネルキー弾がアナザー龍騎へと命中した。

「キさま·····」

「ツクヨミ!ゲイツ!」

「リュウト大丈夫!?」

リュウトとアナザー龍騎の前に現れたのはフォイズフォンXを構えるツクヨミとゲイツの2人だ。

「アナザーライダー····· 俺が相手だ·····!」

 

『ゲイツ!』

 

腕に装着されたウォッチホルダーからゲイツライドウォッチを取りながらアナザー龍騎へと向かうゲイツ。

歩きながらライドウォッチをジクウドライバーへと装填する

 

『ライダータイム····· 仮面ライダー ゲイツ! アーマータイム! complete… ファイズ!』

 

「ゲイツ!」

ツクヨミは持っていたファイズフォンXをゲイツへと投げると、それを掴み取ると同時にアナザー龍騎へと撃ち込む

「何を突っ立っている! お前も戦え!」

「わ、分かってるって!」

ゲイツからの指摘にあたふたしたながらジオウはライドヘイセイバーを取り出すと、針を動かして龍騎のクレストへと切り替える

 

『ヘーイ! 龍騎!』

 

ライドヘイセイバーの刀身に炎を纏わせると、そのままアナザー龍騎へと突っ込んで行き、アナザー龍騎を斬り裂いていく。

オリジナルの力とほぼ同等の力で攻撃されるアナザー龍騎もついに怯みを見せ始めた

これなら行ける·····!

そう確信したジオウとゲイツの元へと黒き龍 ドラグブラッカーが襲いかかり2人はその場に倒れ込む

「何だあの龍·····!?」

アナザー龍騎の周りを飛び回るドラグブラッカー

そしてドラグブラッカーを追うように赤き龍 ドラグレッダーも姿を現し、場は混乱状態に。

「今ダ·····!」

ドラグブラッカー ドラグレッダーに気を取られたジオウゲイツの2人へとアナザー龍騎は龍を模した手甲から凄まじい炎を放つと2人を店のガラスへと追い込む

「よウこそ····· ミラーワールドへ·····!」

ジオウ ゲイツの2人の首を掴み取ったアナザー龍騎はそのまま店のガラスへと押し込んでいく。

なんという事だろうか、本来なら割れる筈のガラスが割れること無く2人は "ガラスの中に閉じ込められた"

「リュウト! ゲイツ!」

ツクヨミの呼びかけに答える前に2人はガラスの中から姿を消した。

その場に残ったのはツクヨミとドラグブラッカー ドラグレッダーのみ。

標的を見つけたと言わんばかりのドラグブラッカーはツクヨミへと突き進む

その事に気付いたツクヨミ、しかしファイズフォンXをゲイツに渡した今、反撃の手段は残っていない。

目を閉じ、ドラグブラッカーによる襲撃を受け入れるツクヨミを救うようにドラグブラッカーへと光弾が叩き込まれる。

 

「この世界にもミラーワールドがあるなんてね」

 

金髪の青年がツクヨミの元へと近寄り、

 

「君はここから逃げたまえ。 早く!」

「あなたは?」

「通りすがりの怪盗さ。」

青年はそう言いながらツクヨミへと指で銃を撃つ真似をすると、ドラグブラッカーへと青色の銃の様なものを構える。

 

「この世界のお宝·····今度こそ頂くよ·····」

 

『カメンライド····· ディッエンド!』

 

青年は上空へと光弾を放つと上空で光弾が物体へと変わり、青年へと降り注ぐ

そしてその身を仮面ライダーディエンドへと変えた

突如現れたディエンドへと威嚇するドラグブラッカー

ディエンドへと気を取られている内にドラグレッダーがドラグブラッカーへと体当たりし、2対1の構図に気づく

「君には····· これが良いかな!」

 

『カメンライド····· サイガ!』

 

ディエンドはネオディエンドライバーへと仮面ライダーサイガのカードを差し込みドラグブラッカーへと放つと、仮面ライダーサイガがその場に姿を現す

サイガは自らが背負っているバックパック フライングアタッカーで上空へと飛び立つとドラグブラッカー目掛け、銃撃で応戦する

まさに3対1となったドラグブラッカーも流石に不利と感じたのか再びミラーワールドへと逃げ込んでいく。

ドラグレッダーもドラグブラッカーを追いミラーワールドへと戻るのを確認するとサイガはその場から消え、ディエンドも変身を解いた。

 

 

·····················································································

 

「ん·····? ここは·····?」

道路の真ん中で倒れ込んでいたリュウトは目を覚ますと辺りを見回す。

あれから何時間経ったのだろうか、時刻は昼に近い筈なのに街は音1つなくとても静かだ。

リュウトは立ち上がり辺りを散策する事を決め歩き出す。

どうしてあの場に倒れていたのか·····

記憶が曖昧だがアナザー龍騎と戦っていた事までは覚えがある·····

それからアナザー龍騎へと連れてこられて·····?

ダメだ·····上手く思い出せない·····

リュウトは歩きながら見覚えのある看板を見つけ近寄ると、いつもとは違う異常を確信した。

 

「看板の文字が反転している·····?」

 

 

 

「ようこそ····· 鏡の世界 ミラーワールドへ·····」

 

 

 

リュウトは声をかけられ振り返ると、そこに立っていたのは自分に似た青年だった。

「俺·····!?」

「早速だが····· 消えろ·····!現実世界の俺·····!」

目の前のリュウトはジクウドライバーを巻くと、ジオウライドウォッチを構える

「お前もジオウかよ!?」

 

「変身·····!」

 

『ジオウ·····!』

 

リュウト?はあろうことかジクウドライバーの右側にジオウライドウォッチを差し込み変身する

 

『ライダータイム····· 仮面ライダー·····ジオウ·····!』

 

リュウト?が変身するジオウには違和感があった

それもそのはず、本来「ライダー」であるはずの顔には「ーダイラ」と刻まれている

ライドウォッチの差し込む所も顔も·····何もかもが反転した仮面ライダー····· それがミラーワールドのジオウだ。

「簡単にやられてたまるかよ!」

 

『ジオウ!』

 

リュウトも負けじとジクウドライバーを巻きジオウライドウォッチを起動させるとその姿を仮面ライダージオウへと変えミラーワールドのジオウへと挑む

まさにジオウ VS ジオウの戦い·····

端から見れば見分けが付きにくい中、2人は接戦を繰り広げる

「お前は鏡の中の俺って言ったな····· ならこれはどうだ?」

 

『ビルド!』

 

『アーマータイム! ベストマッチ! ビールドー!』

 

「当然だろ?」

 

『ビルド·····!』

 

『アーマータイム·····! ベストマッチ····· ビールド·····!』

 

「まじかよ·····」

リュウトの思いとは裏腹にミラーワールドのジオウもビルドアーマーへと姿を変え襲いかかる

そしてやはり顔は反転して「ドルビ」になっており気持ち悪さと違和感を感じる

ドリルクラッシャークラッシャーをぶつけ合いしのぎを削る2人

「こいつ·····! 強い·····!」

鏡の中の存在であるはずのジオウは心無しか自分よりも強く感じていた

相手が自分自身だから無意識に力を抜いているのかは分からない····· だが容易い相手では無い。

「当然だ·····! ここはミラーワールド、何もかもが反転する世界····· 心の弱さは力の強さへと変わり、ここでは悪ですら正義になる·····! 俺はお前····· お前の心の弱さが俺の強さへと変わっているんだよ!」

「心の弱さ·····」

「終わりだ·····! 現実世界の俺!」

ミラーワールドのジオウはフィニッシュタイムに入りリュウトはボルテックタイムブレイクによってレールの様な物に挟まれ身動きが取れなくなる

「しまった·····!」

 

「死ねぇぇえええ!!!」

 

リュウトの視界は黒に染まる

 




ミラーワールドのジオウと交戦状態になったリュウト
一方のゲイツは複数のライダーと戦闘状態になっていた
窮地に陥るゲイツの前に現れた仮面ライダー龍騎
そしてミラーワールド最強ライダーが龍騎 ジオウ ゲイツの前に姿を現す。
果たしてジオウ達はアナザー龍騎を打ち破りミラーワールドから脱出出来るか

次回、 『鏡の奥の黒き龍 2002』

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