仮面ライダージオウ 〜もう1人の魔王〜   作:ももももると

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響鬼ライドウォッチを探すリュウト達は遂にヒビキと接触、しかしヒビキ本人はライドウォッチを所持しておらず途方に暮れる3人。しかし戦国時代にアナザー響鬼が現れティードの介入を知ったリュウト達はアナザー響鬼と戦闘になるもそこでアナザー響鬼の正体が死んだはずの猛士だと言うことを知る
更にはティードの策略により明日夢がアナザー電王になってしまう·····




鬼と電車と時の王 2020

「アナザー電王·····!」

 

リュウトとゲイツの前に立ち塞がるアナザーライダー アナザー電王。

1度は電王の協力得て撃破したものの、アナザーライドウォッチの破壊までには至らずにそのままティードへと回収されてしまっていた。

まさかこの様にして再び対立することになるとは·····

さすがにこの事態はリュウトにも想定外の出来事だ。

とはいえ今のリュウトには電王ウォッチがある。オリジナルの力をぶつければ明日夢を·····!

そんなことを考えていたジオウとゲイツの足元が爆発し、2人は吹き飛ばされてしまう

 

「な、なんだ·····?」

「ゼ、ゼロノス·····!」

 

リュウトの目に映ったのはこちらへ向けてボウガンモードのゼロガッシャーを構える仮面ライダーゼロノスの姿だった

 

「どういう事だ·····! なんでてめぇがリュウトを攻撃してやがる!?」

 

これには流石のモモタロスも困惑し、ゼロノスへと怒号をあげる

いや待て····· 居るのはゼロノスだけじゃない·····!?

 

「轟鬼·····! どうしてお前まで!」

 

ゼロノスのとなりには仮面ライダー轟鬼の姿もあり、響鬼も困惑の声をあげた

 

「愚かな奴らだ····· この俺に戦いを挑んでくるなんてな」

「貴様····· G電王と同じように洗脳したのか·····!」

「その通り·····」

 

ゼロノスと轟鬼、この2人はティードと戦うも敗れてしまい洗脳されリュウト達の前に立ち塞がっている

5対4····· ただでさえ劣勢のリュウト達はさらに追い込まれる状況になってしまった

 

「ジオウ、ゲイツ 響鬼。お前らの時間は今日で止まる ·····!」

「っ·····!」

 

 

「そいつはどうかな!」

 

ティードとジオウの会話を遮るように姿を現したのは·····

 

「歌舞鬼·····!」

 

仮面ライダー歌舞鬼。響鬼と同じ鬼だ。

 

「分が悪ぃ、一旦引くぞ!」

 

歌舞鬼の提案に乗るようにジオウ達は1度引くことを決めその場から逃げ出す

しかしティード達は追うことをせず、去っていく5人をただ見届けた。

 

···········································································

 

「改めて、俺は歌舞鬼。 そこの響鬼と同じ 鬼だ。」

変身を解き、青年の姿に戻ったカブキはリュウトとゲイツとモモタロスへと自己紹介をした。

カブキという名の通り、鬼の姿はまさに歌舞伎役者の様な姿をしている。

 

「カブキ、質問がある·····」

 

ヒビキは沈黙を破り声を出した。

 

「お前は····· 」

 

「仮面ライダー歌舞鬼····· 響鬼と同じ様にこの時代で戦っていた七人の戦鬼の1人····· だね?」

「ウォズ!お前どこいってたんだよ!」

 

ヒビキの言葉を遮るように現れたウォズが歌舞鬼について話し始めた。

 

「まあまあ我が魔王、私の話を聞いていてくれたまえ····· しかし七人の戦鬼の中に1人だけ魔化魍と通じていた裏切り者が居た それが仮面ライダー歌舞鬼 君だ。」

「·····」

「裏切り者だと·····?」

「そして鬼を裏切った君は響鬼と対峙するも猛士くんの作った剣の力と明日夢君の後押しを受けた響鬼に敗れ、更には仲間の血狂魔党によって 命尽きた。」

「つまり·····死んだ?」

「この本によれば····· だが。 しかし君は生きている、何故か! 歌舞鬼 君はアナザーワールドから来たライダーだね?」

 

ウォズの看破に無言のカブキ

数分の沈黙の後にカブキは口を開いた。

 

「お前の言う通りだ、俺はこの世界の人間じゃない。 この手で、響鬼を倒した世界からやってきた お前らを倒すように言われてな·····」

「貴様·····!」

「まぁ待てってゲイツ! それならなんで俺たちを助けた?」

「俺は····· 誰かに指示されるのが大っ嫌いだ、特に大人に指示されるのはな! だから奴らの言う通りなんてまっぴらごめんだ! 後、ティードとかいう奴も気に入らねえからな!」

「そんな理由で·····」

「理由ならもうひとつある、俺は·····明日夢を救いたかったんだ」

 

カブキの脳裏には本来いた世界での光景が浮かぶ·····

 

·····················································································

 

燃え上がる町に佇む歌舞鬼、歌舞鬼と魔化魍により町の人間は殆ど死に、自らを倒すべく向かってきた元仲間の鬼達の殆ども死んだ·····響鬼も含め。

人間の姿に戻ったカブキは心も身体もボロボロになりながらある場所へと向かう

満身創痍の状態で辿り着いた倉庫をこじ開けるとそこには明日夢や町の小さな子供達が身を寄せ隠れていた。

 

「お前ら····· 大丈夫か?·····」

「カブキ····· ヒビキさんは·····?」

「ヒビキは····· 」

自らの手で響鬼を殺めたとは明日夢には言えず·····

「今も魔化魍達と戦っている、ここもいずれ危険になる

お前らも逃げろ!」

 

倉庫に隠れていた明日夢や町の子供達はカブキがせめてでも救おうと血狂魔党には内緒で匿っていた子供達だ。

カブキと別れ、逃げ出した明日夢達の前に大量の魔化魍が立ち塞がる。

カブキが明日夢達が魔化魍と対峙したことを知ったのは、明日夢の亡骸を見た時だった。

自らが守りたかった子供を守れず、更にはこの手で昔の仲間だった鬼達を殺めた歌舞鬼。

 

「どうした?歌舞鬼?」

リュウトの声で現実へとカブキの意識は戻される

「なんでもねえ、それより俺はもう休むぞ 」

カブキは横になり寝始めた

時計を持っていないから分からないが日は沈んだ。まずは決戦に向け体を休める事が大切だ。

リュウト達は交代で周囲の見張りをしながら休息についた。

 

················································································

 

「寝れねえ·····」

リュウトは満天の星空を見つめつぶやく。

俺は野宿なんてしたこともないし、枕が変わっただけで寝付きが相当悪くなる男だ

当然寝れるはずもなくただただ時間だけが刻刻と過ぎていく。

この時間は多分ヒビキが見張りをしているんだろう

リュウトは立ち上がると、焚き火をしているヒビキの元へと向かう。

 

「おっ、起きてたのか」

「寝れなくてね·····」

 

リュウトの言葉にヒビキは笑いながら燃え盛る焚き火に木を焚べる。

少しの沈黙の後にヒビキは口を開いた。

 

「もし、あの俺に似た魔化魍を倒せば····· 猛士はどうなる?」

 

ヒビキに似た魔化魍····· 恐らくアナザー響鬼の事だろう

 

「本当の歴史では猛士さんは生きてはいない。恐らくアナザー響鬼を倒せば時間が元通りになって猛士さんも消えるかも·····」

「そうか·····」

「·····」

 

再び長い沈黙が続く。

 

「俺、思うんだ。別れは必ず平等に訪れるって。だけどその別れを乗り越えてまた強くなれる。」

 

リュウトの脳裏にはアナザーゴーストの時の兄弟が浮かぶ

 

「悲しくない別れなんてない、だけどだからって1度死んだ人を無理やり生き返らせるのはその人のエゴだ。ましてやそれを利用するなんて絶対にあっちゃいけない! 明日夢君の気持ちも分かる、死んだお兄さんにあえて嬉しい気持ちも。だけど、1度安らかに眠った命を呼び起こすのは本当にその人の為なのかな·····」

 

「俺は·····悩んでいた。 俺のせいで死んだと思ってた猛士が生きていて本当に嬉しかった。だがそれが利用されていると知っても尚、どうにかして生かしてやりたい·····!そう思っていた。」

「ヒビキ·····」

「お前の言う通りかもな、1度死んだ奴を無理矢理生かすってのは結局身勝手だ·····」

「·····猛士さんはきっとアンタと戦う事なんて望んじゃいない。今度こそ猛士さんを安らかに眠らせてあげるのが俺たちに出来ることだと、 俺は思ってる!」

「そうだな·····」

「ふぁーあ····· なんか眠くなってきた····· じゃあ俺寝てくるよ·····」

 

リュウトは大きなあくびをしたがら寝床へと向かう

 

 

 

·····················································································

 

「おい!起きろよ!おい!」

何かがリュウトの顔をバンバン叩き目覚めさようとする

「痛い痛い痛い·····んーー!朝か·····」

 

目を開けると目の前にはモモタロスがいた

「うおおお!!!びっくりした!」

「びっくりした! じゃねえよ!いつまで寝てるんだよボケ!!」

まだ半分夢の中のリュウトの顔を容赦なく眩しい光が照らし続ける

それもそのはず、屋根も無いような所で1夜過ごしたのだ、遮るものなどない。

 

「いつまで寝てるつもりだジオウ」

「あっ·····ゲイツ おはよう」

「寝坊助も起きたところだ、改めて作戦を練るぞ」

 

「倒さないといけない敵は5人。 アナザー響鬼 アナザー電王 そしてゼロノスと轟鬼とティード」

「前回の感じを見るにおそらく戦闘員が何体も来るはずだ。」

「問題は誰が誰と戦うかだ。ゼロノスと轟鬼は恐らくティードに操られてる。この2人を何とかして正気に戻せば·····」

「戦力が増えるって訳か!」

「それなら····· アナザー響鬼は俺にやらせてくれ」

 

ヒビキがアナザー響鬼の相手を名乗り出る。

 

「なら、リュウトと俺が俺様の偽物と行くか!」

「は?なんで俺も!?」

「いいから手伝えってんだよ!」

モモタロスはリュウトの首を掴んで前後ろに振る

「なら俺はゼロノスを、ツクヨミはタイムマジーンでサポートを頼む」

「分かった!」

「なら俺が轟鬼か」

「決まったな。 恐らくだがティードは余程のことがない限りは傍観を決め込むと思う。最悪俺がジオウllで迎え撃つよ。」

「よし、行くぞ!」

 

·····················································································

 

「こりゃ驚いた····· まさか総出で来るとはな。」

リュウト達の姿を確認したティードは笑いながら語る

「ティード!今度こそ決着をつけよう!」

「ここがお前の終局点だ、タイムジャッカー!」

 

「来い·····俺の下僕·····」

 

ティードの指示と共に姿を現す4人

「変身·····」

「変身·····」

「·····」

「·····」

 

4人は一斉に姿を変え、それぞれゼロノス 轟鬼 アナザー響鬼 アナザー電王へとその身を変えた。

 

「行こう、皆!」

『ジオウ!』

『ゲイツ!』

 

「「「「変身!!」」」」

 

全員が一斉に動き出し、戦いが始まる

それぞれの役割分担通りの動きだ。

 

「明日夢君、今助けるから!」

睨み合うアナザー電王とジオウ

そんなジオウへとモモタロスがリュウトの身体へと入り込み乗っ取った。

 

「おい!モモタロス!何してんだよ!」

「うるせえ!また身体かりるだけだ!」

「はぁ!?」

「えーっと·····これだこれ!」

 

『電王!』

 

モモタロスが取りだしたのはリュウトへと託した電王ライドウォッチだ

「そうか!俺電王ライドウォッチ貰ったんだった!」

「おい!これどうやって使うんだよ!」

「あー!もう!身体1回返せ!こうやって使うんだよ!」

 

『アーマータイム! ソードフォーム! 電王!』

 

リュウトは仮面ライダージオウ 電王アーマーへと姿を変えた。

「待たせたな!坊主! 俺、参上!」

再びモモタロスがリュウトの身体を乗っ取る

「言っとくが俺は····· 最初からクライマックスだぜええ!!!」

ジカンギレード片手にアナザー電王へと突撃するジオウ

アナザー電王が繰り出す双剣をジカンギレードで弾き返し、隙を突き斬りつける。

アナザー電王の変身者自体が明日夢だからだろうか

2019年の個体と比べ強い相手ではない

「おい!必殺技どうやって出すんだこれ?」

「ああもう!ボタン2つ押せ!」

「これか?」

 

『フィニッシュタイム! 俺の タイムブレーイク!』

 

高く飛び上がったジオウはアナザー電王めがけてキックを叩き込む

 

「ぐわあああああ!!!!」

 

断末魔の叫びと共にアナザー電王は明日夢の姿へと戻り、アナザー電王ウォッチもついに粉々に砕け散った。

 

「「よっしゃあ!」」

 

一方の轟鬼と歌舞鬼も戦いが続いている

「思い出せ轟鬼! お前はあんな奴に操られる奴じゃねえ!」

音叉剣で轟鬼を圧倒しながら意識を取り戻すように呼びかける歌舞鬼。

しかし歌舞鬼の呼び掛けに答える様子もない。

「しゃーねぇ····· なら!清めてやるよ!」

「音撃打 業火絢爛!」

歌舞鬼は音撃鼓のような形をしたエネルギーを轟鬼へと叩き込む

まともにこれを喰らい吹き飛ばされる轟鬼。

再び立ち上がると·····

「カブキさん·····? どうしてアンタが?」

「戻ったか!」

轟鬼はティードの洗脳が解け意識を取り戻した。

 

一方、ゼロノスとゲイツの2人の戦いも決着がつこうとしていた。

「お前が何者か知らないが····· タイムジャッカー如きに操られるとは!」

ゲイツはジカンザックスをゼロノスへと叩き込むが、ゼロノスはそれを受け止め、ゲイツへと語りかけた

「仮面ライダーゲイツだな····· 俺が合図したら必殺技をティードに叩き込め」

「·····! お前まさか洗脳が·····?」

「馬鹿言え、元からかかったフリだ!」

ゼロノスはゲイツを突き放すと、ゲイツはジカンザックスを弓モード変え、クローズライドウォッチを装填する

 

『ギワギワシュート!』

『フルチャージ!』

 

お互いに必殺技を溜め、今か今かと待つと·····

 

「今だ!」

 

ゼロノスの合図の元、2人は向きをティードの方へと変え、スプレッドエンドとドラゴニックギワギワシュートを叩き込む

 

「やったか!?」

 

舞い上がる粉塵の中から仮面ライダーフィフティーンが飛び出すと、ゼロノスとゲイツの2人をその片手に握られた太刀で切り伏せる

 

「どさくさに紛れて俺を倒そうとしたらしいが····· 無駄だ。」

「どうして·····」

「何故か·····って? これのおかげだ!」

フィフティーンが手をかざすと共に時が止まり、ゼロノスとゲイツの動きが止まる

「時を止めるとは·····卑怯な奴だ!」

「なんとでも言え····· 」

フィフティーンは黄泉丸で動けない2人を斬りつけると、時の流れを戻した。

「ぐあああ!!!」

「くそぉ·····! 」

地面を転がりながら変身が解けた2人。

ゲイツの首へと黄泉丸の剣先が突き刺さる

「消えろ。」

すると突然黄泉丸が吹き飛ばされ、宙を待った後に地面へと刺さる

一瞬の出来事に驚く2人とフィフティーン。

そんな彼らの前に現れたのは見覚えのある男の姿だった。

 

「時間警察·····ッ!」

「タイムジャッカー ティード。好き勝手に時間を書き換えた罪、並びに余罪100犯以上の罪で逮捕する お前に対しては最初から実力行使と行かせてもらう。 イブ!」

『行くぞレイジ』

「変身!」

 

「お前は·····黒崎·····レイジ!」

ゲイツ達の前に現れた仮面ライダーG電王 黒崎レイジ。

ティードによって操られゲイツと1度対峙したライダーであり時間警察。

ジオウとゲイツに敗れ洗脳が解けると一度体勢を立て直すという言葉を残し去ったが再びティード確保の為に現れた様だ。

 

「何故ライダーは·····いつもいつも俺の邪魔ばかり!!!」

「お前の野望とやらをみすみす見逃す訳には行かないからな!」

 

G電王はガンモードのデンガッシャーで牽制すると同時に距離を詰めていきフィフティーンへと迫っていく

黄泉丸がフィフティーンの手元にない今、攻めの姿勢をとるには絶好の好機だ

 

「俺たちもいくぞ」

「ああ·····!」

 

「「変身!」」

 

『アルタイルフォーム』

『仮面ライダー ゲイツ·····!』

 

再び変身した2人はG電王に加勢。戦況は3対1となり次第にフィフティーンは押されていく

 

·····················································································

 

一方の響鬼とアナザー響鬼もまもなく決着がつこうとしていた。

 

「猛士····· 今、救ってやる!」

 

「ヒビ·····キ·····さ·····ん·····」

 

「·····!猛士!?」

 

アナザー響鬼の力に呑まれたはずの猛士は何とか力を振り絞って我を取り戻し響鬼へと語り掛ける

 

「俺は····· ヒビキさんを恨んでなんかない·····! むしろ感謝しかありません····· 俺を·····弟子にしてくれてありがとうございました·····!」

「猛士·····」

 

「兄さん!」

 

何とか動けるようになった明日夢はヒビキと猛士の元へと駆け寄り、猛士の名を呼ぶ

 

「明日夢····· ゴメンな·····俺が操られてお前を騙すような事をして·····」

「そんなことないよ兄さん····· 俺、兄さんにまた会えてよかった!」

「そっか····· ヒビキさん、もう時間がありません 俺を····· 倒してくだ·····さ·····」

『ぐあああああ!!!』

 

猛士としての側面をかき消す様にアナザー響鬼が雄叫びを上げる。

同時に大量の魔化魍が現れ、響鬼と明日夢の2人を囲む

 

「やばいな·····」

「兄さん·····!」

 

じわじわと2人へと近づく大量の魔化魍

すると、2人の鬼と1人のライダーがそれを蹴散らす様に技を放つ。

 

「響鬼さん!」

「おい!響鬼、まさか1人で戦うつもりじゃねえよな!」

「轟鬼·····! 歌舞鬼·····!」

「明日夢君は俺たちに!」

「リュウト·····!」

「ツクヨミ!」

「分かった!」

 

ジオウの呼び掛けに応えるようにロボモードのタイムマジーンで明日夢を掴むと、タイムマジーン内部に匿った

 

「魔化魍は俺達に任せてください! 響鬼さんは猛士君を!」

「助かる·····!」

 

しかし、アナザー響鬼の前には大量の魔化魍が。

 

「おっと、お前らの相手は俺だ! 音撃打 業火絢爛!」

 

歌舞鬼が放つ音撃打 業火絢爛により魔化魍を消し飛ばし、アナザー響鬼までの突破口を開く

 

「行け! 救ってやれ·····お前の手で!」

「ああ·····!」

 

(そうだ····· 今度こそ、救ってやれ)

 

アナザー響鬼へと向かう響鬼の背を見つめ歌舞鬼を心の中で呟いた

 

 

「猛士!」

「ヒ·····ビキィ!」

 

もはや完全にアナザーウォッチの力に呑まれ、猛士は完全に正気を失った

そんな猛士へと響鬼は何かを取り出して見せつける

 

「お前がくれた剣だ。猛士」

 

響鬼と彫られた剣。猛士が生前、響鬼に向け送ろうとしたものだ。

響鬼が再び戦うことを決意した大事な物。

それを作った本人である猛士へと見せつけた。

 

「聞こえちゃいないかしれないが礼を言わせてくれ。 猛士、ありがとう。 お前がくれたこの剣は、俺をもう一度奮い立たせてくれた宝物だ。 俺がお前に出来ることはもうないかもしれない·····! だが、せめて! お前をもう一度安らかに眠らせてやる·····!」

 

「ヒ·····ビキ·····さ·····」

 

「はああああああああああ···············」

 

響鬼の強い祈りと共に短剣は姿を変え、アームドセイバーへと変わる

すると同時に響鬼を炎の力が包み込む。

炎といえど灼熱の炎では無い。人の想いの暖かみを感じる炎·····

猛士を救いたいという強い想いが剣に、そして響鬼自体を変え、その身を装甲響鬼へと変える

 

「音撃刃 鬼神覚醒·····!」

 

『はああああああああああ··············· ハァ!!!!』

 

声の力を増幅させ音撃に変え、その力をアナザー響鬼へとぶつける

最大に高まった音撃はアナザー響鬼めがけ放たれるがアナザー響鬼はそれを避けることをせず、終を受け入れた。

音撃の力とアナザー響鬼がぶつかり合い、凄まじい衝撃が周囲を巻き込み、タイムマジーンも危ないと判断したのか地中に降り立つと、響鬼と猛士の元へと明日夢が駆け寄る

 

「兄さん·····」

 

明日夢の目に入ったのは響鬼に敗れ倒れた様子の猛士と粉々になったアナザー響鬼ウォッチだった。

 

「明日·····夢·····」

 

明日夢の腕の中で抱えられ、明日夢へと微笑む猛士

 

「大きくなったな·····明日夢。」

「猛士!」

 

ヒビキも猛士の元へと駆け寄り声をかける

 

「ヒビキさん····· ありがとうございました····· これで俺ももう一度安らかに逝けそうです」

「猛士····· 」

「兄さん!」

 

次第に猛士の声に力がなくなり始め、その身から光が溢れ出る

アナザー響鬼は敗れ歴史は元に戻る。

元通りになった世界では生きていない猛士もまた役目を終え再び永遠の眠りにつく

 

「ヒビキさん····· 最後まで迷惑かけてすみませんでした····· 明日夢····· 俺がいなくなっても元気でな」

「嫌だ····· 兄さんが消えるなんて嫌だ! もっと一緒に居たかった! 僕は!」

「猛士····· お前から貰ったこれは俺の宝物だ。」

 

ヒビキは猛士へと剣を見せる

いつの間にか剣は響鬼と刻印された短剣へと戻っていた。

 

「さようなら····· ヒビキさん 明日夢·····」

「兄さん····· 兄さああああああん!!!」

 

猛士は光となり消え、その場には明日夢の泣き叫ぶ声が木霊した。

 

「·····ッ! あぶねえ!」

 

何かをを察知した歌舞鬼は響鬼と明日夢を庇うよう飛び出すと彼方から飛んできた何かから2人を庇う

 

「歌舞鬼·····!?」

 

歌舞鬼の腹部からは大量の血が流れ、あっという間に息が途切れ途切れになった。

 

 

「アナザー響鬼までもやられたか····· つくづく俺の邪魔をしてくれるな 仮面ライダーァ!」

 

響鬼やリュウト達の前に現れたライダー。フィフティーン。

歌舞鬼を襲ったものの正体は直ぐにわかった。G電王が持っていたガンモードのデンガッシャーだ。

つまり····· この場にいないゼロノスとゲイツはフィフティーンにやられたということになる·····

 

「ティード·····ッ!」

「明光院ゲイツも仮面ライダーゼロノスも時間警察も俺を止められはしない·····! ジオウ、それに仮面ライダー響鬼とモモタロス。 あとはお前らだけだ!」

 

「お前は····· お前だけは·····!」

激昴するリュウトはティードの前に立ち塞がる

 

「できるだけ使いたくなかったけど····· お前相手になら容赦なく使ってやる!」

 

リュウトはジオウllライドウォッチを取り出すと分割しベルトへと差し込む。

 

『ジオウ·····ll!』

 

「お前は·····お前自身が王になると言った! だけど、お前が王になる世界なんて誰も望んじゃいない! お前の野望は今度こそ俺が砕く! 手にした力で····· 例え魔王の道を進むことになっても! 変身!」

 

『ライダー!タイム! 仮面ライダー·····ライダー! ジオウ····· ジオウ! ジオウ!!! ll!!!』

「ジオウllだと·····!? お前·····いつの間にそんな力を」

 

「今から倒す奴に語る事は無い·····! 」

「舐めるなぁ!」

 

フィフティーンは黄泉丸を携え、大地を蹴り駆け出すとともにジオウへと切りかかる

 

「お前の動き····· 全て読んだ!」

 

ジオウllの能力、未来視でフィフティーンの動きを完全に理解したジオウは繰り出される攻撃を全て読みきり、逆にフィフティーンへとサイキョーギレードとジカンギレードの2本での容赦ない一撃を幾度となく叩き込んでいく。

 

「これが·····魔王の力·····!」

「お前は·····人の命を弄び、それを利用した·····。 お前だけは許さない·····!」

 

ジオウはサイキョーギレードとジカンギレードの2つを合体させ、サイキョージカンギレードへと変えると

 

『サイキョーフィニッシュタイム!』

 

「喰らえええええ!!!」

 

ジオウサイキョウと書かれた巨大な光の刃をフィフティーンめがけ振り下ろし、戦いに決着をつける

 

「ティードを倒した!」

 

ついにタイムジャッカーの1人であるティードを撃ち破り喜ぶツクヨミとリュウト。

しかしそんな2人を嘲笑う様にその場に残されたのは粉々になった戦極ドライバーのみだった。

 

「まさか·····逃げやがったか·····!」

 

·····················································································

 

「おい!歌舞鬼!しっかりしろ!」

止めどなく流れる血で意識が朦朧とするカブキ

このまま何も手当しなければ息絶えるのももはや時間の問題だ。

何とかして血を止めようとする明日夢の腕を、力を振り絞り、カブキは止める

 

「これで····· いい·····」

「何言ってんだ!力を貸してくれたお前を死なせてたまるか!」

「俺は····· この世界の俺は·····お前等を騙した男なんだろ?····· 」

「だからどうした·····! お前は力を貸してくれた! 明日夢や猛士を救おうとしてくれた! それに·····お前がたとえ別の世界で俺を殺した奴だとしても関係ない! お前は仲間だ」

 

仲間 という言葉にカブキは苦しそうにしながらも笑う

 

「仲間····· か····· 俺の世界の明日夢言ってた。 いつか鬼と人間が手を取り合って生きていける世界ってな 俺は無理だと思ってたが····· 今のお前らを見てたらそんな世界も·····悪く·····ねぇかもな·····」

 

笑いながら語るカブキは今度は口から大量の血を吐き出す

タイムリミットはもう目の前だろう

 

「この世界の俺も····· もっと早く·····仲間を信じてたら····· 結果は変わってたかな····· 」

「おい! カブキ! しっかりしろ! おい!」

 

薄れていく意識の中、カブキは自分の世界の明日夢を思い浮かべる

 

(明日夢····· 俺は····· 大事な仲間を今度こそ救ったぜ·····)

 

大事な者を守れなかった1人の鬼は、今度こそ守りたかった者を守ると、永遠の眠りに着いた。

 

 

················································································

 

 

「お前らが言ってたのはこれだろ?」

 

ヒビキは持っていた響鬼ライドウォッチをリュウトへと渡す

 

「お前から貰ったあの黒い機械がいつの間にか変わってた。 俺には必要ないしそれにお前達には必要なんだろ?」

「うん! ありがとう、ヒビキ。」

 

リュウトとツクヨミからの礼に笑顔で頷くヒビキ

 

「お前らには世話になったな、改めて礼を言うよ ありがとう。」

「じゃあ俺達は元の時間に戻るよ 明日夢くんも元気で!」

「はい·····!」

 

リュウトとツクヨミ、そしてゲイツとモモタロスは響鬼轟鬼、明日夢と別れた。

 

「さて、俺様もついて行くのはここまでだ」

 

モモタロスの言葉と共にデンライナーとゼロライナーが3人の前に止まる

 

「モモタロスも、一緒に戦ってくれてありがとう! またいつか!」

「俺はもう会いたかねえよ····· じゃあな、リュウト」

モモタロスは別れの言葉と共にデンライナーに乗り込むと、ゼロライナーと共に出発し走り出す。

 

「じゃあねー!モモタロス!ウラタロス!キンタロス リュウタロス! あとデネブー!」

 

デンライナーの窓から飛び出し手を振るイマジン達に手を振り返すリュウト。

 

「ゲイツ、本当に身体大丈夫なの?」

「ああ····· あの程度でやられる訳にはいかないからな」

 

ゲイツは左腕を抑えながらツクヨミに語る

もっと強くならなければいけない····· ジオウllへと進化したリュウトを見つめ、ゲイツは強く心の中で決意する

 

 

 

 

 

「こうして、我が魔王は電王と響鬼の力を継承し、魔王としての道を進むのでした。 これで手に入れたライドウォッチは10個。次なるライドウォッチを探す我が魔王達の前に現れる次なるライダーとは····· 」

 




次なるライドウォッチ継承に向け、ライダーを探すリュウト達。
突如、ゲイツが見た事もない姿でジオウへと襲いかかる
ゲイツの目的、そしてゲイツが手に入れた最強の力とは

次回、「リ バ イ ブ 降 臨 2068」

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