仮面ライダージオウ 〜もう1人の魔王〜   作:ももももると

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自分を庇い、生命維持装置に繋がれたリュウトの姿を見てアナザーワールドのもう1人の自分 ゲイツリバイブを倒す事決めたゲイツ。
もし時崎リュウトがオーマジオウになったらどうするという問いに「その時は自分が倒す」という答えを出し、命をかけて自らを守ったリュウトを仲間として認め、ゲイツリバイブへと対抗。
ウォズが加勢により、2人の必殺技であるタイムバーストとタイムエクスプロージョンの合わせ技でゲイツリバイブを撃ち破り、ゲイツリバイブウォッチを得た。
残すライドウォッチは後9つ·····

『宇宙キター! スイッチの力で戦うライダーは·····』


「時・王・復・活2020」

ゲイツリバイブ撃破から1週間が経った。

一次は生命維持装置に繋がれ、生死をさ迷っていたリュウトだったが、担当医が驚く程の驚異的な回復力により何とか歩ける程度までは回復した。

とはいえ完全に傷は癒えておらず、後1週間は入院生活を余儀なくされた。

幸いにも夏季休暇中であり、学業の支障は無さそうだがリュウト自身としては貴重な高校生最後の夏休みを奪われ、少し苛立っていた。

時計の針が動く音が聞こえる程静寂に包まれた病室。

特にすることも無いのでスマホでネットニュースを見ているとリュウトの母、由紀がやってきた。

 

「どう?体調は? ちゃんとご飯食べてる?」

「うん、まぁ味は薄い気がしなくもないけど····· 食べてるよ」

 

病院で出る食事は決して不味いものでは無いのだが、あまり好みのおかずが出ないので少しばかり不満が募っていた。

 

「元気になって退院したら、リュウトが食べたい物作ってあげるから! とにかく今は怪我を治しなさいね」

 

怪我·····。

一応ツクヨミとウォズが両親へと交通事故に遭ったという体で話をしているらしいが·····

それよりもうちの両親はあの二人の格好を見て何も思わなかったのだろうか····· 明らかに現代の人間の服装ではないけれど·····。

 

「それにしても····· またリュウトがこの病院でお世話になるなんてねー。」

「え? 俺入院したことあったっけ?」

「何言ってるのー。 5歳の時、交通事故にあってここに運ばれたじゃない。 あの時も生きるか死ぬかの瀬戸際でお父さんとお母さんは夜通し 無事に帰ってきますように····· ってずっと祈ってたんだから。」

「そうだったかな····· 記憶にないんだけど·····」

「えー? まぁ、酷い怪我だったしぶつけたショックで忘れちゃったのかな? それにマモル君に初めて会ったのもここの病院でしょ。」

 

約3年ぶりに聞いた名前だ。

マモルは中学時代までの幼馴染で、家も隣同士 だった。

中学2年の冬にマモルが幼い頃から患っていた10000人に1人がかかるという重い病の治療の為、引っ越した。

それ以来連絡を取っては居なかったが、初めての出会いはここだっただろうか?

何だろう、今まで全く気にしてこなかったが 幼い頃の記憶 の殆どが曖昧だ。

と言っても覚えてる記憶もある。

でもどうやっても自分がこの病院に入院していた事、そしてこれまで仲が良かったマモルとここで初めて出会った事の2つがどうも思い出せない。

 

「(ド忘れみたいなもんかな·····。)」

 

あまり気にしない事にして、再びスマホに目線を移しニュースを見る。

暫く外に出れていない為、情報源がスマホとテレビのみ。今日も様々なニュースが並んでいる。

世界中に広まる感染症のニュースや議員の汚職、国際指名手配中のテロリストが秘密裏に日本に入国した可能性があるニュース等、暗いニュースばかりだ。

様々なニュースを流し見する中で、あるニュースがリュウトの目を引いた。

見出しには "辛島教授失踪から13年" と書いてある

早速記事を開いて全文を読むと、そこには辛島教授の妻 叶井梨絵という女性の胸中を語った内容の分が書かれていた。 失踪から13年、自分が5歳の時に失踪したことになる。

13年という長い年月が経ちながらも未だ夫の身を案じる妻の言葉の一句一句が胸に刺さる。

これ以上は不味い、泣くかもしれない。

リュウトは立ち上がり、点滴片手に病室を出ようとする

 

「リュウトどこいくの?」

「ちょっと気分転換に、ずっと寝てるのも体訛るしさ」

「そう····· あまり遠く行っちゃだめだからね」

「分かってるって」

 

もう18歳だと言うのに相変わらず過保護な親だ。

でもまあ、2度も交通事故(片方はあくまでも交通事故という体だが)で生死をさ迷えば過保護になるのも無理はないか·····

そうなると責任は自らにある。

ライダーとして幾多の敵と戦う内に忘れていた事だが、自分は1人のただの人間なんだ。

決して無敵のスーパーヒーローでは無い。死ぬ時は必ず死ぬ。

それを心のどこかではわかっていながらもあの時は身体が動いた。

というより未来視で見た幾数の未来であれが最適解だったんだ。

結果的にゲイツリバイブを倒せたし、こうして生きている。

でも、いつの日か自らが死ぬことが最適解だった時に今回と同じ様に動けるのだろうか。

死の中にある僅かな可能性の生と、確実に迎えるしかない死とでは決断の重みが違う。

その時に俺は、自らの命を投げ打ってまで最適解を·····

 

「もしかして·····リュウト?」

 

いつになく重い課題が頭の中を支配する中、突如として背後から聞こえた久しい声にそれまでの思考は消し飛んだ。

間違いない、この声·····。

 

「マモル!」

「やっぱり!リュウトだ!」

 

·····················································································

 

「へぇー·····。 交通事故で入院か·····。」

「ああ、でも思ったより治り早くて来週には退院出来そうなんだ。」

「待てよ····· 俺がリュウトと初めて出会った時も、リュウト交通事故でここに入院してなかったっけ?」

「え?ああ·····それな。 今日母さんに同じ事言われたよ。だけど、覚えないんだよな。ここの事。」

「えぇ!?じゃあここで俺と出会ったことも!?」

「ああ·····。 なんかすっげーもどかしくてさ、思い出したいのに思い出せないって。」

「確かに、俺もたまにあるよそういう事! あれ?何探してたんだっけ? とかさ!それですっげー考えるんだけど思い出せなくて····· でもそういうのってふと思い出したりするからそこまで深く考えなくてもいいんじゃないか?」

「そうかな·····」

「うーんそこまで気になってるなら····· そうだ!あそこに行こう!」

 

何かを思いついた素振り見せたマモルはリュウトの連れてある場所へ向かった。

 

「ほらここだよ」

「うわ····· 空が綺麗·····」

 

マモルが連れて来た場所、それは病院の屋上だった。

時刻は18時、沈みゆく夕日とその上に広がる星空

あまりにも綺麗な空を見て、少しばかり感動で涙が浮かぶ。

 

「俺、ずっとこの星空が好きでさ。昔から病気でここに入院してた時に気分転換によく来てて毎日のようにこの空を見てた。ある日そこにリュウト お前が来て·····」

「なんか少し思い出してきたよ。 宇宙飛行士になりたいって言ってたなお前」

「ああ、何時かこの目で宇宙から地球を見てみたいんだよ。」

「なぁ、マモルはずっと入院してんのか?」

 

リュウトは再会してからずっと疑問に思っていた事をマモルに問い掛ける。

するとマモルは一瞬暗い顔をして口を開いた

 

 

「俺さ、もう長く生きられないらしいんだよ。」

 

 

思ってもみたかった台詞が返ってきて思わず目を見開いてマモルの方を向く

 

「それって·····」

「余命だってさ。 中2の頃、引っ越してからずっと俺の病気を治してくれる先生を探してた。だけど、俺の病気ってめちゃくちゃ珍しくってさ。治療方法が全く見つからない内に病気の進行が進みまくって、余命宣告されたよ。」

「余命ってお前·····!」

「大体あと持って2年。 通院しながら高校に通ってたけど、1年生の冬に休学して治療に専念してた。まぁもうその頃には手遅れだったみたいだけど。」

「そんな事って·····」

「お前が羨ましいよ、リュウト。 1週間後には退院できるんだしさ。俺も····· もっと長く生きて色んな世界や宇宙からの景色見たかった。けど、もう遅いんだ。」

「·····ッ。」

 

遥か遠くを見つめながらそう語るマモル。

突然突きつけられた現実にリュウトは言葉を失い、何も言えなくなってしまった。

 

·····················································································

 

消灯し真っ暗になった病室で、ベッドに横になりながら今日の事を振り返る。

まさか自分の身近な人間がそんなことになるとは全く想像もしていなかった。それ故にショックが重く、とても寝る気が起きない。

それに·····今でも脳裏に余命の事を語るマモルの横顔が焼き付いている。

 

「余命、か·····。」

 

右腕で両目を覆い、消え入るような声で呟いた後、リュウトの頬を1粒の涙が伝った。

 

 

 

同刻。

別の病室では1人の少年がベッドで胸を抑えながら悶えていた。

マモルだ。

未だ治療法が確立されていない心臓病を患っていたマモルは定期的に来る発作に苦しめられていた

ナースコールへと手を伸ばそうとするも、あと少しが届かない。

汗だくになりながらも何とか手を伸ばし、ナースコールを押した瞬間、時計の針の動きが止まった。

 

「ハァ····· ハァ····· なんで来ないんだ·····?」

 

ナースコールのボタンを連打してもいつもは飛んでくるはずの看護婦達がやってこない。

辺りも静寂に包まれ、まるでマモル1人が世界に取り残された様だ。

 

 

「無駄よ。」

 

「誰·····だ·····?」

 

いつの間にか病室へと見覚えのない少女が壁にもたれ掛かり立っていた。

暗くてよく見えないが同じ位の歳の女の子だろうか?

 

「貴方を助けに来てあげたの。 あなたにちょっぴり悪い知らせと、めちゃくちゃいい知らせがあるの」

「何だ?·····」

「貴方はこのままナースコールが届くこと無く発作で死んでしまう、けど·····私と契約すれば貴方を助けられる」

「ここで死ぬか····· お前に協力するか······って事か·····?」

「私と契約すれば、これからも生きられる命をあげる」「命だと·····」

「それに····· 貴方は時崎リュウトに余命2年って言ってたけど本当はいつ死んでもおかしくは無い····· 虚勢張ってるみたいだけどタイムリミットはもうそこまで来てるんじゃない?」

「何故それを·····?」

「で、どうするの? 契約するのしないの?」

 

胸の痛みに苦しむマモルは今すぐにでもこの痛みが収まるなら·····とある決断を下す

 

「する····· お前と契約を·····!」

「いい子ね。」

 

マモルの返答に少女はニコリと妖しく笑うとライドウォッチを起動した。

 

『フォーゼ·····』

 

「うがぁ····· ああああああああああああ!!!!!!」

 

『フォーゼ·····』

 

「おめでとう、歴史が変わって今日から貴方が仮面ライダーフォーゼよ。」

「·····」

 

·····················································································

 

1週間後、ついにリュウトは退院の日を迎え、病室で荷物を纏めていた。

あらかたのものは全て箱にしまい終わり、後は家に戻るだけ·····

帰宅する前にリュウトはあの日から会っていないマモルの元へと向かった。

マモルの病室に付いたリュウトは深い深呼吸をして恐る恐る病室のドアを開けるが、そこは既に誰かが居たような痕跡はなく、綺麗なベッドのみが置いてあった。

リュウトは偶然近くを通りかかった看護婦へとこの病室の事を尋ねる

 

「すみません····· ここにマモルって子居ませんでした?」

「マモル君·····? 彼なら1週間の夜から行方が分からないの」

「行方が·····分からないって····· 居なくなったんですか!?」

「うん····· 朝 病室を尋ねたら窓が空いたままマモル君の姿がもう無くて····· 警察には届け出てるけどまだ見つかってないみたい」

「窓が空いてるってったって·····」

 

リュウトは病室の中に入り、空いてたという窓を開け、下を見た。

マモルの暮らしていた病室は7階、仮にここから飛び降りたとしても命の保証はない。

それに仮に自殺だとしても遺体が見つかっていないのはあまりに不自然すぎる。

自殺の線は薄いが仮に正面玄関から出たとしても、この病院には夜間でも出入りできる出入り口の横に窓口がありどの時刻も人がいる。誰かしらは絶対にマモルの姿を見るはずだ

謎が深まる中、親が迎えに来る約束の時間が迫っており渋々自分の病室へと戻る事に決めた。

 

「ん?」

 

病室を出ようとしたリュウトはドアの近くになにか落ちている物を見つけた

拾い上げるとそれは天ノ川学園生徒証と書かれている。

恐らくマモルが通っている高校の生徒証だろう、表面にマモルの名が書いてあった。

 

·····················································································

 

「リュウト退院おめでとう!」

「ありがとうツクヨミ。」

 

ツクヨミとゲイツの2人と1週間振りの再会。

リュウトが病床に倒れている間、2人はライドウォッチの手がかりを追っていたらしいが詳しい手がかりは掴めないでいたようだ。

早速再会して早々だが、リュウトは2人へとマモルの事を話した。

 

中学時代まで幼馴染が消えた事。

窓は空いていたが病室は7階にある為、窓から逃げたとは考えにくいこと。

かと言って正面玄関から逃げたとして誰も見ていない事はおかしいという事を2人へと話し、ツクヨミは何かを思い出しかのようにリュウトへとあるニュースを見せた。

 

「立て続けに学生が襲われる事件?」

「うん、ココ最近多発してるらしいの。襲われた生徒は今も意識がないまま····· それにね·····」

 

ツクヨミは別のページを開き、再びリュウトへと見せる

 

「襲われた学生には共通点があって、全て同じ学校の生徒らしいの」

「天ノ川学園·····」

 

学校の名を呟いたその瞬間、何かが引っかかった。

そうだ·····!

 

「マモルが通ってた高校だ·····」

「何?」

「それ、本当?」

「ああ·····あいつの病室にあったんだよ、天ノ川学園の生徒証。」

「リュウトの友達が失踪したのと同時期に天ノ川学園の生徒が立て続けに襲われる事件が起きてしかもそのマモルって子は天ノ川学園の生徒」

「確実に怪しいな、あるとすれば·····」

「アナザーライダー·····!」

 

全てが繋がった様な気がした。

だがもし本当にマモルがアナザーライダー何故·····

 

「行こう、天ノ川学園に! 次も絶対この学校から被害者が出る!止めないと、マモルを!」

 

 

 

 

 




突如失踪したマモル、同時に現れた謎の連続襲撃犯と次々と襲われる天ノ川学園の生徒。
全ての謎を解くため、天ノ川学園へと向かうリュウト達
そんな彼らを新たなライドウォッチとレジェンドライダーが待つ。

次回、「青春スイッチオン! 2011」
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