仮面ライダージオウ 〜もう1人の魔王〜   作:ももももると

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次なるライドウォッチを求め、奔走するリュウト達。
リュウトは行方不明になっていた門矢士と再会、そこでウォズの狙いと正体を話そうとするがそこに現れたウォズにより遮断され、ディケイド対ウォズに。
仮面ライダークイズの力をぶつけ合い引き分けに終わった後、必ずこの世界を破壊する事をリュウトへと告げた
一方のウォズはディケイドとの戦いの後にある研究所へと潜入、そこである被験者名簿を探すもののタイムジャッカー スウォルツに奪われており、更にはアナザーライドウォッチを埋め込まれその身をアナザージオウへと変えられてしまう·····


「偽りの王2020」

門矢士と別れて数日が経ち、リュウトは束の間の日常を過ごしていた

未だに門矢士が言っていた鳥籠というワードと真実というワードが頭に残っている

鳥籠····· 俺達が鳥籠の中の鳥?

鳥籠を世界だと解釈するなら·····つまり俺はこの世界に囚われているってことなのか?

 

「·····」

 

よく分からない。

まぁ、ここ数日はアナザーライダーによる事件も発生していない

最後の夏季休暇を楽しめる内に楽しもう。

俺はは自転車に跨り走り出すと、すぐ近くの公園から何やら騒がしい声が聞こえて来た

頭を傾げながらも公園の方向へとハンドルを切り、公園へ向かう。

 

 

「う、うわああああああ!!!! ば、化け物·····!」

 

公園へと辿り着いた俺が目にしたのは倒したはずのアナザーゴーストが一般男性から魂を奪おうとしている様子だった

まずい·····!アナザーゴーストは魂を奪う!

何故倒したはずのアナザーゴーストがここにいるのかという疑問より先に、男性からアナザーゴーストを引き離す為自転車に乗ったまま猛スピードでアナザーゴーストの横腹に自転車事衝突した

突然のことに回避出来なかったのか自転車はそのままアナザーゴーストの横っ腹へと命中し、ぶつかりあったアナザーゴーストと俺はそのまま地面を転がる

 

「いってぇ····· っと大丈夫ですか!?」

 

ぶつかった衝撃でヒリヒリする手足を抑えながら、アナザーゴーストに襲われていた男性へと声かけるが意識がない·····

どうやら気絶しているようだが魂までは奪われてはい無さそうだ

なら·····!後はやることは一つだけ·····!

 

「どうして復活したのかは知らないが····· 倒すまでだ!」

 

『ジオウ! ライダータイム····· 仮面ライダージオウ!』

 

変身して早々ジュウモードのジカンギレード片手に飛び出し、アナザーゴーストの胴部へと1発····· 2発と銃弾を叩き込む

そして何よりも今の俺にはゴーストライドウォッチがある。

アナザーライダーを倒すにはオリジナルの力をぶつけるのみ·····

 

『アーマータイム! 開眼!ゴースト!』

 

ゴーストアーマーへと姿を変えたジオウは、そのまま空中を浮遊しながらジカンギレードですれ違い様に切りつけ、確実にアナザーゴーストを怯ませていく

アナザーゴーストの動きが鈍ったのを見計らい、ベルトを回転させフィニッシュタイムを放つ

 

『オメガ タイムブレーイク!』

 

足にエネルギーを収束させ、ゴーストの力を込めたキックをアナザーゴーストへと叩き込み何とか撃破した

 

変身を解き、気絶した男性へと何度も声をかける内に男性も目を開き意識を取り戻す

目を開いた瞬間に心の底からホッとした

これで目の前で死なれたらと思うと気が気でない。

 

「さっきの怪物は·····!?」

「消えました、今すぐここから逃げてください!」

「ああ·····ありがとう!」

 

礼を言い、男性は逃げる様に公園から逃げていく

それにしても何故倒したはずのアナザーゴーストが·····

束の間の日常は突如復活したアナザーゴーストによって再び壊されてしまった

とりあえずツクヨミ達にも報告しよう、俺は携帯を取り出して電話かける

 

「もしもし····· 俺だけど」

「リュウト!? 今どこ!?」

 

携帯から聴こえたツクヨミの声は何やら切迫している

どうやら·····蘇ったのはアナザーゴーストだけでは無さそうだ·····

だとしたら····· 随分と厄介なことになる

 

「その様子だと、そっちでも何かあったみたいだな。 俺はいつもの公園にいるよ」

「分かった、今すぐそっちに向かうわ!」

 

携帯を切り、深いため息を着くとベンチに座る

また自転車が壊れた事をなんて親に伝えよう·····

ツクヨミ達が到着するまでの間、俺は前輪の曲がった自転車を見つめ頭を抱えた

 

「リュウト!」

 

ベンチに座る俺の背後からツクヨミの声がする

声に反応し、俺は振り返るがそこに居たのはツクヨミだけでいつもいるはずのゲイツの姿がない

 

「ゲイツは?」

「街にまだ大量のアナザーライダーがいるわ! 今ゲイツが1人で戦ってる!」

「なら急がなきゃ! 行こう!」

 

壊れた自転車の事は頭から消え、2人はゲイツ救援の為街へと向かう

 

·····················································································

 

「アナザージオウを生み出すなんて····· スウォルツは一体何を考えてるの」

「最近のスウォルツはおかしいよ····· あの変な黒い奴に従ってさ····· こんな事なら、ティードに従う方が1億倍マシだ」

 

建物の屋上で、アナザーライダーに怯える街の人々を見下ろしながらタイムジャッカーのオーラとウールは語る

いつしかタイムジャッカー内ではアーマに従うスウォルツへの2人による信頼は失われ、内部分裂に近い形になっていた

今回は嫌々スウォルツに従い、アナザージオウを支援しているが·····

 

「さっさとアナザージオウでジオウを殺して、僕達の王を作るんだ」

「そうね·····」

 

2人は冷酷な目でアナザージオウを見つめ呟いた

 

 

一方、街へと到着した2人が目にしたのは街の人々を襲う大量のアナザーライダー達だ。

アナザーファイズ·····アナザーフォーゼ·····アナザー龍騎·····

それだけじゃない、空には巨大な体を持つアナザークウガまでいる

どれも·····俺たちがライドウォッチを継承する上で1度倒したはずのアナザーライダー達·····

誰がこんな事を·····

 

「きゃあああああ!!!!」

 

すぐ近くで女の悲鳴が聞こえる

俺は声が聞こえると同時に声の方へと駆け出すと、そこにはアナザービルドとアナザー響鬼に追われる親子の姿があった

親子を救う為走り出す俺の脳裏に頭痛が走り、痛みでその場に膝をつく

この頭痛は初めてジオウllになった時の痛みとは違う·····ずっと前から感じていた痛み·····

 

「俺は·····こんな所でとまれるかよ·····」

 

目の前には逃げる親子と徐々に親子へと迫るアナザーライダー達

待てよ····· この光景どこかで·····

 

 

 

「そうだ····· 俺はこの光景を知っている····· いつも、見てた夢だ·····」

 

 

 

ずっと覚えていた既視感の正体がわかった。

幼い頃からずっと見ていた悪夢、怪物に人が追われ殺される夢。

今目の前で起こっている事はあまりにも悪夢と状況が一致しすぎている

ならばこの先に待っている事、それはあまりにも想像したくない。

だが、未来を知っている以上するべきことがある

 

「ジオウは未来を切り開く力····· なら、俺が見ていた悪夢とは違う未来を切り開いてやる·····」

 

ずっと鈍い痛みを起こす頭痛をかき消す様に声を上げ、俺はジクウドライバーへとジオウllライドウォッチを装填する

 

『ジオウ ll!』

 

「·····変身!」

 

『ライダータイム! 仮面ライダー·····ライダー····· ジオウ! ジオウ! ジオウ! ll!』

 

「行くぞ·····」

 

ジオウllへと変身した俺は、目の前の親子へと迫るアナザーライダー達へとジュウモードのジカンギレードの弾丸を叩き込む

2体のアナザーライダーが怯んだのを確認すると、怯える親子の元へ

 

「ここから逃げて! ここは俺が!」

「ありがとうございます·····!」

 

親子は一礼すると共にその場から逃げるように去っていく

これで本気で戦える。

両手のジカンギレード サイキョーギレードの2本を使い、アナザービルドとアナザー響鬼を次々と切り捨てていく

やはりこれまで戦ったアナザーライダーとは違い、前ほどの強さはない

あっという間に2体のアナザーライダーを葬った。

 

「ジオウ!」

 

後ろから聞こえてくるのはゲイツの声だ

大量のアナザーライダーを相手にしたと聞いたが無事に生きているようだ。

 

「なぁゲイツ、何が起きてる?」

「俺が聞きたい。と、話している暇はないようだな」

「ああ·····!」

 

俺とゲイツの目の前にはアナザー龍騎とアナザークウガ、それに····· ウォズ·····!?

目の前にいるのは確かにウォズだ、何故アナザーライダーを率いている·····!?

 

「ウォズ、親愛なる魔王を裏切って俺たちと戦うつもりか?」

「····· 全ては偉大なる計画の為に·····!」

 

ウォズの目が赤く光ると共にアナザーウォッチを起動させる

偉大なる計画·····? それに赤く光る目といい俺にはウォズが自分の意思で俺達と対しているとは思えない

ならば導き出される答えは1つ·····!

 

『ジオウ·····!』

 

アナザーウォッチの力がウォズの体を包み込むと、その身をアナザージオウへと変え、アナザー龍騎とアナザークウガを差し向ける

 

「ジオウのアナザーだと·····!?」

「来るぞゲイツ!」

 

アナザークウガの放つ火球がジオウとゲイツの足元で爆発し、爆発に巻き込まれその場に倒れる

 

「いってぇ····· 容赦なしかよ!」

 

『クウガ!』

 

「当然だ、やらなければこっちがやられる·····」

 

『龍騎!』

 

「「変身!」」

 

『アーマータイム! クウガー!』

『アーマータイム! アドベント 龍騎ー!』

 

2人はそれぞれ各アナザーライダーに対応するアーマーへと変え、アナザーライダーを迎え撃つ

既にアナザーライダーに対し有効なライドウォッチが手の内にあるというのもあり特に苦しめられる事もなく2体のアナザーライダーを倒す

 

「後はお前だ!」

 

ジオウ対アナザージオウ

似て非なるもの者の両者の睨みあいは続き、同時に動き出す

アナザージオウは時計の長針と短針を模した2本の武器でジオウの装甲を立て続けに切り裂き、ジオウの身体から火花があがる

凄まじい連撃に翻弄される中、再びジオウllライドウォッチを起動させジオウllになるとジカンギレードとサイキョーギレードの2本で同じようにアナザージオウとぶつかり合う

相手がウォズだからなのか·····それとも姿形こそ違えど同じジオウだからなのか·····どうにも俺の手が相手に読まれている気がしてならない

ジオウllの力を持ってしても太刀打ち出来ない相手はこれが初、仮面の中のリュウトの表情にも焦りが見え始める

 

「なあゲイツ·····アナザージオウを打ち破る手はあるか?」

「あると言えばあるが·····」

 

言葉を濁すゲイツの手に握られていたのは紛れもなく、自らを1度死の淵まで追いやったゲイツリバイブのウォッチ。

別世界とはいえオーマジオウを葬ったこの力ならば·····

 

「この力を手に入れた時、もう1人の俺は言った。救世主の力は容易いものじゃない····· 下手をすれば死ぬと」

 

強大な力の代償、それは生半可な覚悟では死をもたらす事。

これこそあのゲイツリバイブの強大な力の理由

彼の強大な力はオーマジオウを倒すという強い覚悟から生まれたものだった

 

「ジオウ、もし俺が····· この力に呑まれ暴走した時、その時は止めてくれるか?」

「お前まさか·····!リバイブの力を使う気か!?」

「俺の質問に答えろ!」

「·····ああ。 なら俺からも聞こう、もし俺が道を踏み外してオーマジオウになったら·····」

「その時は俺が倒す·····。」

「これで·····お互いに命を預けた訳だ。 使うなら使え、何が起ころうが止めてやる」

「フッ····· まさかお前に背中を預ける日が来るとはな」

 

『ゲイツリバイブ疾風!』

 

「変身!」

 

『スピードタイム! リバイリバイリバイ リバイリバイリバイ リバイリバイリバイ! リバイブ疾風ー! 疾風!』

 

ゲイツはアナザージオウを倒すという覚悟と共にその身をゲイツリバイブへと変え、救世主としてジオウllと共にアナザージオウの前に立ち塞がる

過去と未来の統べる時の王、そしてこの世界に生まれた救世主。本来相反するはずの2人は共に戦ってきたこれまでの絆を経て同じ理想の為に戦う戦士となった

目的は1つ、偽りの王を倒す為·····

 

まず動きだしたのはゲイツリバイブだ、リバイブ疾風の力からなる目にも止まらぬ動きはアナザージオウの未来予測ですら捉える事が出来ず、ジカンジャックローの連撃に翻弄される

そしてゲイツリバイブの連撃によって生まれたアナザージオウの怯みをジオウllが突き、ジカンギレードとサイキョーギレードの2本からなる一撃一撃が確実にアナザージオウの体力を削っていく

戦況は確実にジオウとゲイツ側へと傾き始めた·····

 

「行くぞゲイツ!」

「ああ!」

 

『百烈!タイムバースト!』

『トゥワイズ!タイムブレーイク!』

 

2人の連撃に怯むアナザージオウへとゲイツリバイブ、ジオウllの2人のライダーキックが叩き込まれ、遂に倒された

 

戦いに敗れ地面へと倒れ込むウォズの近くでアナザージオウウォッチが砕け散り、アナザージオウによる大量のアナザーライダー復活は終わりを迎えた。

 

「うぐっ·····!」

 

変身を解いたゲイツは唐突に苦しそうな声を出すとともにその場へと膝を着き、口から大量の血を流す

ゲイツリバイブに変身した事の代償。それはまだゲイツにとっては反動が大きかったことを示すように口、そして鼻から大量の血を流す。

 

「ゲイツ!おい!しっかりしろ!」

「ゲイツ!」

「俺は·····こんなことで死ぬ男じゃない·····!」

 

ツクヨミとリュウトの心配を他所に流れ出る血を手で拭い、ゲイツは再び立ち上がる

 

「それより·····ウォズを·····!」

「ああ····· ツクヨミ、ゲイツを頼む!」

「任せて·····!」

 

今にも倒れそうなゲイツをツクヨミに任し、俺はウォズの元へと駆け寄る

これからウォズには聞きたいことが多々あるが·····

 

「ウォズ! おい!」

「·····我が魔王····· すまない·····どうやらまんまとタイムジャッカーに利用されたらしい·····」

 

やはりアナザージオウへと変身したのはウォズの意思ではなくタイムジャッカーによって操られていた

(タイムジャッカーのヤツらめ·····!)

ウォズまでも利用し、自らの目的の為の手駒として扱うタイムジャッカーへと怒りを募らせる

そんなリュウトの姿を見つめ、ウォズが口を開く

 

「我が魔王、君に話す時が来たようだ·····全てを·····」

 

 

 

 

 

 

 




遂に自らの目的について口を開くウォズ。
ウォズがこの世界に来た理由、そして鳥籠とは一体·····
全ての鍵は13年前に

次回、「全ての始まり2007」

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