「ロックシードの力で戦うフルーツ武者のライダーは·····」
『次のニュースです。 先週から立て続きに発生している行方不明者ですが新たな証言が出ました。都内在住山口佳代子さん50歳が行方不明になった事件で、山口佳代子さんが突然現れたジッパーのような物から現れた手に掴まれ連れていかれたのを見たという証言が·····』
「最近また物騒ね·····」
時崎一家はテレビで流れている不穏なニュースを見ながら朝食を摂っている
話題は突然人が消えるニュース。それも1人や2人では無い、今日までで30人もの人間が唐突に消えている。
そしてその手口、何も無い空間から唐突にジッパーのような物が現れてそこから出た手に掴まれて、その場から忽然と姿を消すというものだ。はっきり言って証言者の見間違い、または幻覚だろ という声が大多数だが、証言者は1人だけではなく何人もいる。そして俺にはそのような事が可能な力を知っている
「(アナザーライダー絡みか·····)」
アナザーカブトによる世界消滅の危機から1週間。
アナザーライダーが出るまでの平穏な日々を過していたが、早々にそれは壊された様だ。
食事を終え、用意を終わらせて俺は学校へと向かう。
·····················································································
「なぁリュウト、消しゴム貸してくれねえか」
「ほいよ」
「さんきゅ」
俺へと声をかけるこいつは同じクラスの生徒のミライ。
こいつとは小学生からの知り合い、仲が特別いい訳ではないが·····まあ腐れ縁と言うやつだろう
「そういや聞いたか?隣のクラスの奥田ユウキ死んだって話」
「奥田·····? 誰だっけ」
「ほら、中学の時の同級だよ! ずっと不登校だった!」
「奥田·····奥田····· うーん·····」
「·····なんだよ、本当に覚えてないのか? しかもビルの屋上から落下して死んだってよ イジメられてたらしいし自殺かもな」
屋上····· 落下·····
まさか·····
「なあ!?その死んだ場所って東京タワー近くか?」
「え?あー·····確かそこら辺だったかな····· どうかしたか?」
「いや····· なんでもない·····」
奥田ユウキ····· まさか知らなかったとはいえ同じ高校の生徒だとは·····
そうだ! そういえばあの時に奥田ユウキを撃った奴は一体·····!?
俺の脳裏にあの時の光景が浮かび上がる
本来ジオウしか持って居ないはずのジカンギレードを持っていたあの男·····
キーンコーンカンコーン
と、ここで授業開始の予鈴で意識を現実に戻された
あの男の正体も気になるがそれ以上に今はアナザーライダーを止めないといけない·····
·····················································································
「アナザーカブトの正体がこの学園の生徒!?」
「うん、どうやら俺とは中学校の時の同級生だったみたいださ。まぁ、俺は覚えてなかったんだけど·····」
「·····」
「アイツは俺の目の前で誰かに撃たれた、俺や加賀美さん天道さんとは別の誰かが撃ったのを見たんだ。それに、そいつはジカンギレードを持っていた」
「それって·····」
「うん、もしかしたら撃った犯人もジオウの力が使えるのかも·····」
「お前が鏡の世界でであった奴という可能性は無いのか?」
「俺もそれは考えたけど····· そいつがベルトを巻いてなかったから確証がないんだよ」
ミラーワールドで出会った俺のジクウドライバーはジオウウォッチを自分とは真逆に刺す。
つまりベルトさえ巻いてあれば犯人が鏡の世界の自分自身と真っ先に気づけるのだが、残念なことにあの男はベルトは巻いていなかった。
それに·····鏡の世界の俺がこの世界に来れるのかどうかすら怪しい。
「それもだけど今はまずこのアナザーライダーを追わないと!」
ツクヨミがみせたタブレットに映し出されているのはここ最近立て続けに発生している行方不明事件の新聞の切り抜き
手口からしてアナザーライダーの可能性が高い。そうツクヨミ達も同じく考えているようだ。
「襲われた人に関連性は?」
「それが·····調べてみたけど全くないの。無差別に襲ってる·····」
「これは俺の予想でしかないが····· タイムジャッカーは俺たちをおびき出そうとしているかもしれない」
「俺たちを·····?」
と、ここで昼休み終了のチャイムが校舎に鳴り響き、話を遮断された
俺は放課後、手分けをして調査する事を告げ授業に戻る
··························································································
放課後、自転車を押して帰る俺は辺りを気にしながら歩く
ゲイツの言う通り、アナザーライダーが俺たちを狙っているかもしれない·····それに、空間から突然ジッパーのような物が現れて引き釣りこまれるという報告が多数上がっているということはいつ襲われてもおかしくは無い
そんな事を考えながら歩いていると、近くで男の叫び声が聞こえてきた
俺は急いで自転車へと乗り込みそこには叫び声がする方へと向かうと、ポツンとカバン1つだけが地面に落ちているだけで人の様子がない
俺は慌ててカバンの元へと駆け寄ると、その背後でジッパーのような物が開く音が鳴り、肩を何かに掴まれる
「しまった!」
迂闊だった。俺は為す術もないままジッパーのような物へと吸い込まれると意識を失った
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······································································
····························································
「ん·····?」
目が覚めると、俺は先程いた住宅街ではなくいつの間にか森へと寝転んでいた
鈍い痛みの頭痛に頭を抱えながら何とか立ち上がった俺の元へと何かが近づいてくる足音が聞こえ、俺は咄嗟にジオウライドウォッチをにぎりしめる
「なんだこいつ·····!?」
草木を分け、俺の目の前へと姿を現したのは幼虫の様な見た目をした怪物 インベス
俺の姿を確認したインベス三体は我先にと襲いかかり、俺はジオウへと姿を変えて迎え撃つ。
1体1体のパワーはそうでも無い、そう確信した俺はフィニッシュタイムで三体纏めて撃破した
俺に倒され地面に転がる三体のインベスは消滅する寸前、あろう事か人の姿へと変わるとそのまま溶けて消え去る
「今·····こいつらは人の形を·····!」
『うわあああああ!!!』
困惑するリュウトの耳へと男性の叫び声が聴こえた
間違いない·····この声はさっき公園でした声だ。俺は急いで声のする方へと向かうとそこには後ずさりする男性と、それをジワジワと追い詰める鎧武者の様な者の姿があった
「ま、待ってくれ····· 私は·····私は·····!」
男性の命乞いは虚しくも鎧武者には届いていない、振り下ろされた刀の様な物で胸部を切り裂かれた男性は断末魔を上げながら地面を転がる。すると鎧武者はすぐ近くに生えていた木の実をもぎ取り、死の淵に立つ男性の口へと無理やり入れると、暴れていた男性の動きは一瞬にして止まり、その身をツタの様なものが包み飲むと先程俺が倒した怪物へとその身を変えてしまった
まさか·····俺がさっき倒した怪物は!?
突如背後に人影を感じ後ろを振り返ると、そこには黒い外套の男がただ1人佇んでいる
「お前·····! 」
「久しぶりだな····· 時崎リュウト·····」
「ようこそ、ヘルヘイムの森へ。」
「お前が俺をここに連れてきたのか?」
「そうだ、お前と1体1で話がしたくてな·····」
フードで顔がよく見えないが、微かに見えた男の口は笑っている
「俺をここに連れてきた理由はなんだ? それとあいつは·····?」
「まあそう焦るな、あの鎧武者は仮面ライダー武神鎧武。仮面ライダー鎧武を破り天下を統一した世界から連れてきた。 お前たちの狙い通り、連続行方不明事件はお前をおびき寄せる罠そのものだ····· 人間では確実に不可能な事を起こし、アナザーライダーによって起こした事件だと確信させる。そのためにスウォルツには証言が出るように敢えて人が複数いる場所で攫わせた。」
「·····成程な。1人だけの証言じゃ妄想や幻覚と思われる。だが複数も同じ証言が出ればテレビ等も取り上げる訳か····· お前らはやっぱりクソ外道だ····· となれば武神鎧武は何故呼んだ! 攫うだけならお前が引き連れているアナザーライダーだけでも十分だろ!」
「アナザーライダーに人を攫わせたのはお前を誘き寄せる為····· となれば攫った人間はここに来た時点でもう用済みなのだよ。 つまり後処理の為だ」
「後処理だと·····!? お前はどこまで屑なんだ!無理やり連れてきた人間を怪物に変えるだと、ふざけんじゃねえ!」
「だが····· そのインベス達を殺したのも君だろ?」
「·····ッ!」
「さて、君を呼んだ理由はただ1つだ。あれを見ろ」
黒い外套の男が指を指した先に、ヘルヘイムの森の外の映像が突然現れたモニターに映し出されている
そしてそこにはゲイツとツクヨミの姿が映っていた
「明光院ゲイツ、そしてツクヨミ。彼ら2人は私の目的の邪魔だ。君はここで彼らが殺されるのを見守るんだよ。もう1人の君の手によってね」
「もう1人の俺·····? まさかあいつは!?」
························································································
「うーん·····何回もリュウトに電話かけてるけど通じない·····」
「あいつのことだ、サボって今頃家に帰って昼寝でもしてるんだろ」
河川敷を歩く2人、ツクヨミは何度もリュウトの携帯へと電話をかけるがいくらかけても『おかけになった電話番号は現在電波の届かない所にいる』の一点張り。
諦めてツクヨミがファイズフォンXを仕舞ったその瞬間、背後から銃声の音が鳴り響くと共に、銃弾がゲイツの肩を撃ち抜いた
突然の事に混乱するツクヨミと、激痛でその場に倒れ込むゲイツ。
ツクヨミが振り返った先にはジュウモードのジカンギレードを構えにこやかに微笑んでいるリュウトの姿があった
「リュ·····ウト·····? どうして·····?」
リュウト?は今度はツクヨミの方へと銃口を向けて引き金を引き、銃声と共にツクヨミの脚を撃ち抜く
「あーあ、外れちゃったよ·····」
残念そうに落胆するリュウトはジカンギレードを変形させて剣に変えてジワジワと2人へと近づく
足を撃ち抜かれ身動きが取れないツクヨミは地面を這いながらその場から逃げるがリュウトが近づくスピードの方が速い
逃げるツクヨミと、その背後を追うもう1人の俺?の様子を俺はただ見ることしか出来ない
「やめろ····· 2人を殺すな!」
「どうだ? 自分が手出し出来ないまま2人が死んでいく様を見るというのは·····しかもその2人を襲うのはお前自身。 傑作だ·····!」
「やめてくれ····· やめてくれよ!」
「彼が生まれたのはお前のせいだ。時崎リュウト。」
一方、リュウト?がツクヨミへと襲いかかるその瞬間、右腹目掛けゲイツがタックルでぶつかり、リュウト?と共に川へと落ちていく
びしょ濡れになった2人は立ち上がり睨み合うとゲイツが叫ぶ
「遂に本性を現したか····· ジオウ!!!」
激痛が走る肩を抑え、目の前のリュウトへとゲイツは叫ぶ
そんなゲイツの様子を見て、やれやれという顔をすると共にリュウト?が口を開く
「勘違いしてるようだが、俺はお前が知ってる時崎リュウトじゃない····· 」
「何·····?」
··················································
「俺のせいってどういうことだ·····」
「お前は望んだ、最高最善の王になると·····。お前がそう望んだばかりに最低最悪の魔王になる世界が生まれたのだ」
··················································
「俺はこの世界の俺が最高最善の王となると望んだ故に生まれた、『最低最悪の魔王になる世界』アナザーワールドから来た時崎リュウトだ!」
「最低最悪の魔王·····」
アナザーワールドは可能性の世界。
1%の可能性でも生まれる世界。
時崎リュウトはアナザーオーズと戦った際に『最高最善の王になる』と誓った、それにより最低最悪の魔王になるという可能性が生まれ、もう1人の時崎リュウトがアナザーディケイドの力を介して武神鎧武と共にアナザーワールドからやってきた。
王になると誓ったが故に·····
「明光院ゲイツ、お前は時崎リュウトがオーマジオウになると確信してこの時代に来たな? だがな、オーマジオウになる未来を確定させたのはお前のせいだよ」
「何·····!?」
「時崎リュウトがジオウになるという不確定な事象を、お前達がこの時間の時崎リュウトに接触した事で結果確定させた。お前達の行動のせいで·····この世界の俺は確実にオーマジオウになる未来になった。」
「俺たちが····· ジオウを·····」
オーマジオウによる支配が続く最低最悪の未来を変える為にこの世界へとやってきたゲイツとツクヨミ。
結果的にその行動により、不確定だった未来が確定してしまった。
未来を変える為の行動がかえってアダとなっていた事実にゲイツは言葉を失い項垂れる
そしてそんなゲイツの様子を見てニヤリと笑うアナザーワールドの時崎リュウトは再びジュウモードのジカンギレードの銃口をゲイツへと向ける
「じゃあな、救世主とやら。」
リュウトが引き金を引こうとしたその瞬間、マフラーの様な物がジカンギレードを包み込み、そのまま川へと投げられる
突然のことに驚くリュウトだったがすぐに状況を理解し、邪魔者へと視線を移し睨みつけた
「お前がウォズか····· この世界のオーマジオウも厄介な奴を呼んだもんだ·····」
「いつかアナザーワールドから我が魔王を呼ぶとは勘づいて居たが····· こうも速いとはね·····君の協力者とやらは随分と焦っているのかな?」
互いに睨みつける両者。2人は静かにベルトを取り出すと腰に巻き、ウォッチを差し込む
「「 変身 」」
それぞれウォズ、ジオウへと姿を変えるとぶつかり合う両者
そしてそれをヘルヘイムの森から見守るリュウトは背後を振り返り、黒い外套の男 アーマを睨みつける
「君をこの森から出す訳にはいかない。 来い、武神鎧武 アナザー鎧武。」
アーマの導かれるようにヘルヘイムの森の奥から武神鎧武、そしてリュウトをここへと連れてきた張本人であるアナザー鎧武が姿を現し、リュウトの前へと立ち塞がる
「この森にいる限り、君はアナザー鎧武を破る為の鎧武ライドウォッチは手に入らない。」
「黙れ、俺はここから出る。 そして必ず鎧武ウォッチを手に入れる グランドジオウウォッチはお前に渡さない·····!」
「フッ····· 絶対にこいつをここから出すな。」
アーマはそう言い残すとアナザー鎧武と武神鎧武にリュウトを託してその場から姿を消した
「来るなら来い····· 俺はここから絶対に出てやる!」
ヘルヘイムの森から脱出しようとするリュウトを阻む武神鎧武とアナザー鎧武。窮地に陥ったジオウの前に突如仮面ライダー鎧武が現れて!?
果たしてリュウトはヘルヘイムの森から脱出してもう1人の自分を倒せるか·····
次回、「もう1人の自分2020」