そんな彼が街で人間を次々とアナザーアギト化させる中、アナザーアギトを狩るアナザーアギト 木野薫が立ち塞がる
混沌と化す戦況下でリュウト達はアナザーアギトを倒しアギトライドウォッチを継承できるか…
偉大なる力の完成まで残すライドウォッチは後4つ
「がああああああ!!!!」
痛々しい声と共に地面を転がるアナザーアギト
先の戦いの影響のせいか、ウールが変身するアナザーアギトは足元が覚束ず、木野薫が変身するアナザーアギトの攻撃に手も足も出ないままただひたすらに圧倒されていく。
アナザーライダーにはオリジナルの力でしか倒せないという強みがある。
だがその強みとやらはこの状況下では意味があるのかも分からない、下手すればこのままやられ、死ぬ可能性もある。
ウールはこれまでに感じたことのなかった死に対する恐怖を今その身を持って感じていた。
どれだけ自分が立ち向かっても恐らくは軽くいなされて逆にカウンターとばかりに一撃を喰らうだろう、そう考える内に手と足は震え、戦意すらもがれていく。
しかしこれは仕方がない、タイムジャッカーと言えどウールはまだ幼い。リュウトとは1、2歳しか変わらないのだ。
だがその場合ジオウ ゲイツはどうなる…?
自分と大して年の差もない人間が誰かの為、未来の為に次々と現れる敵に対して臆することも無く立ち向かっている。 改めてウールはジオウ達へと恐怖を抱いた
何故奴らは恐れない…? 何故奴らは逃げない…?
今自分はこれほどに恐れているのに… 今自分はこれほどに逃げ出したいというのに…
そもそもタイムジャッカーには時止めという十八番がある故、目の前の木野薫からは逃げられるはず…
だが戦いの中で芽生えた死に対する恐怖は、ウールからその選択肢が消えるほどのものだった
完全に腰を抜かしその場に尻もちを着いたウールを掴み、強烈なパンチが顔面目掛け直撃するその瞬間、時が止まりウールは力が抜けたように大の字になってその場に倒れ込み、変身が解けた
「ス…ウォルツ…」
いつもの服装とは違い、黒いスーツを纏ったスウォルツかボロボロのウールの姿を見てニヤニヤと笑いながら階段を降りながら現れた
時を止めたのはウールではなく彼だった。
「お前のせいだ! お前が僕にアナザーアギトウォッチを埋め込んだせいで! こうやって狙われてる! お前は僕を殺す気なのか!?答えろよ!」
「よく聞け、ウール。 お前にタイムジャッカーとしての力を与えてやったのは誰だ? 私だろ?なら、お前はその恩返しに私の目的に力を貸すべきじゃないか?」
「お前、何を企んでる?… アーマとかいう変人とつるみだした頃からずっと思ってた、お前… まさか自分自身が王にでもなるつもりか?…」
スウォルツはウールの言葉にニヤリと笑うとそのまま彼に背を向けどこかへと向けて歩き出す
「おい!答えろ! もう僕はお前を信用できない!」
「信用するもしないも… お前の勝手だ。 だが、それならお前とはここで終わりだ。」
「質問に答えろよ!」
「…なら聞かせてやろう。 私は新たに王を生み出す等辞めた、私が得たこの力でジオウとアーマを消し、私こそがこの世界の王となる! もうその目的の駒としてお前はもう不十分だ。さらばウール。元気でな」
スウォルツの言葉と共に時が再び動き出し、アナザーアギトのパンチはその場から動いたウールの代わりに地面に直撃。
時が再び動き出した事に気づいたウールは咄嗟に近くの物陰へと隠れやり過ごす
ウールを見失ったアナザーアギトも1度変身を解き、再び彼を見つけるべくその場から去っていった
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数日後…
個々に別れ、アナザーアギトとアギトライドウォッチを探すリュウト達。
「はぁ… 腹減ったなぁ…」
朝から1人で街をブラブラ歩いた事による疲れと空腹に苛まれる中、リュウトは思いついたかのようにある場所へと向かった。
再び歩き出して数分… ようやく辿り着いたのは、前に一度連れてきてもらったあのレストランだった。
「お邪魔しまーす…」
「いらっしゃいませ〜 あ、君はこの前の!」
「また来ちゃいました!」
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「いただきまーす! 相変わらず美味い…」
「そんなにお腹空いてたの? そんなに慌てて食べなくてもいいのに…」
出された料理へとがっつく俺を見て笑う店員の女性。
でもしょうがない、それほどに腹が空いていた。
一心不乱に俺が料理を口に運んでいる中、店のドアが開きそれまで俺が食事をしているのを見ていた店員の女性も入ってきた客へと挨拶をする
「いらっしゃいませ… 津上くん!」
知り合いなのだろうか? 女性は入ってきた男性の元へと駆け寄っていく
「ただいま、真魚ちゃん。」
「どうして日本に? 連絡くらいしてくれてもいいのに!」
「ちょっと…野暮用でね 終わったらまた戻るよ」
一方の俺も食事を終え会計に移ろうとした時、外から悲鳴らしき声が聞こえた。
「まさか! すいません!会計は後で絶対するので!」
「ちょっとー!」
「真魚ちゃんは店で待ってて、俺も行ってくる!」
店を飛び出したリュウトとその後を追うように店を出る男性。 店内には真魚1人のみが取り残された。
悲鳴が聞こえた方へと急ぐ中、その行く手を阻むように既にアナザーアギト化した男性2人が俺の前に立ち塞がる。
「やっぱり近くにアナザーアギトが! 変身!」
『ライダータイム! 仮面ライダー…ジオウ!』
ライダーへと変身するや否や、持っていたジカンギレードで向かってくるアナザーアギト達を切り伏せていき大元のアナザーアギトを探す。
しかし数は減る所か次々に増えていき最初は2体だったアナザーアギトも気がつけば6体になり、周囲を完全に囲まれていた。
「服装を見る限り… 全員増殖した個体だな…」
ここには本体はいないことを悟りながら、次々に向かってくるアナザーアギトを叩き切り、一体ずつ減らしていく事にした。
アナザーアギトとはいえ結局は無理やり姿を変えられただけに過ぎず、結局は仮面ライダーの力に比べれば敵ではない。だがそれは一体のみの場合に限る。たとえ一体一体の力は大したものでなくても、こうも束になって向かって来られるとさすがに状況はいつ一転してもおかしくない。
「数が多すぎてキリがねえ!」
最初は一方的にアナザーアギトの集団を圧倒していたジオウだったが次第に押され始め、戦況は不味いほうに傾き始めた。
アナザーアギト集団によるパンチ キックの連撃を喰らい、壁へと叩きつけられるジオウ…
衝撃でベルトが外れ、ここに来て変身が解けてしまうというまさかの事態に陥った。
(まずい…! このままじゃ!)
じわじわと俺の方へと向かってくるアナザーアギト達。
しかしその時…!
「待て!」
アナザーアギト達とリュウトが声のする方へと向くと、そこには先程レストランを訪れていた男性の姿があった。
「ぐぅぅぅぅ…!」
男性の姿を見て唸り声をあげるアナザーアギト達。雄叫びをあげると共に、リュウトの事を忘れたかのように一目散に男性へと襲いかかる
「変身…!」
男性の腰にベルトが現れるとその姿を仮面ライダーと思わしき物へと変え、向かってくるアナザーアギト達をパンチとキックの応酬で迎え撃つ
「まさか… 仮面ライダーアギト…?」
軽い身のこなしで次々とアナザーアギトを倒していく仮面ライダー。間違いない… あれは仮面ライダーアギトだ!
「ハァ!」
掛け声と共にアギトの身体が金色から青へと変わると、ベルトから薙刀のような物が飛び出し、それをまるで自分の手の様に扱い2体のアナザーアギトを同時に葬る
今度は身体が青から赤へと変わると、先程と同様にベルトから刀が現れ同じく巧みにそれを使いこなし向かってくるアナザーアギトを次々と切り伏せていった
あれだけいたアナザーアギトをあっという間に倒したアギト。これが…歴戦のライダー!
「おーい!君、大丈夫?」
「あ、はい!」
壁に叩きつけられた時に生じた背中の痛みに耐えながら俺はアギトの元へと向かう
「助けてくれてありがとうございます! 俺時崎リュウトって言います!」
「僕は津上翔一。 君も仮面ライダー?」
「はい!それでお願いが…」
………………………………………………………
「ライドウォッチ?」
戦いを終え、再びレストランへと戻った2人
リュウトは津上翔一へとライドウォッチについて話し始めた。
「はい、ライダーの力が詰まった結晶…みたいなものです。 それが今の僕必要なんです!無理なお願いだとは思ってますけど…お願いします!」
「そのライドウォッチってモノにさっきの集団は関わっているのかな?」
「恐らくですけど、はい。 タイムジャッカー…って奴らが俺達がライドウォッチを継承するのを防ぐためにさっきの奴らみたいなのを生み出してるんです。 まぁさっきの奴らは増殖した奴なので本体を倒さない限りどうにもならないんですけど…」
「それなら俺もその本体を倒すのに協力するよ!」
「本当ですか!?助かります!」
ピピピ…
着信だ。
「ちょっとすいません… もしもし?」
『ジオウ、街にアナザーアギトの本体だ! しかも2人いる!』
「アナザーアギトが2人!? ウォズが言ってた奴か!今から向かう!」
津上翔一はリュウトが発した2人のアナザーアギトという言葉に反応する
「(やっぱり木野さんが…?)」
「街にアナザーアギトが出たみたいです!行きましょう!」
「ああ!」
2人はレストランを再び飛び出し、街に現れたアナザーアギトの元へと向かう
…………………………………………………………
街では既にゲイツとウォズの2人が増殖したアナザーアギトと交戦していた
「こんなに増えやがって…!」
街を埋め尽くす様に蔓延る大量のアナザーアギト達。
その数50体以上
ゲイツリバイブとウォズによる必死の徹底抗戦で数をじわじわと減らしてはいるが全く間に合わない
ツクヨミの誘導で街の人々は安全な場所へと避難してはいるがこのままではいつ危害が加わってもおかしくは無い危険な状態が続いている。
「それにしても、何故アナザーアギトが2人いる? あいつは増殖した奴じゃないんだろ」
「彼は木野薫、本来のアギトの歴史では彼こそがアナザーアギトだ。 本来の歴史では亡くなっているが… 仮面ライダーでは無いアナザーアギトが生まれた事による歴史改変によって時空に歪みが生じてこの時代まで生きていることになってるかもしれない」
ゲイツとウォズがアナザーアギト(増殖)と戦う中、別の場所では2人のアナザーアギトが睨みあっている。
「…今度こそお前を倒す。 アナザーアギトは、俺一人でいい」
「…」
再びぶつかりあう拳と拳。
同じ姿をした者同士の戦いが幕を開ける
一方の津上翔一とリュウトも現場に到着し、目の前に広がる光景に思わず声を失う
先程とは比べ物にならない量のアナザーアギトの群れにリュウトはジクウドライバーとジオウllライドウォッチを手に突っ込んでいく
「変身!」
『ライダータイム! 仮面ライダー… ライダー!ジオウ! ジオウ! ジオウ〜ll!!』
ジオウllはジカンギレード サイキョーギレードの二刀流ですぐ近くのアナザーアギトを斬り捨てて行きながらゲイツ達へと合流した
「おまたせ、仮面ライダーアギトを連れてきたよ!」
「さすが我が魔王! やはり君はライダーを呼び寄せるなにかがある」
「呑気に話している場合か!」
「分かっているとも… まずはこの大量のアナザーアギトを3人仲良く倒そうじゃないか」
『ギンガ! 投影! ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー!ファイナリー! 』
「お前と仲良くするつもりは無い」
『疾風! スピードタイム! リバイブリバイブリバイブ〜 リバイブリバイブ〜 リバイブ疾風〜! 疾風!』
ゲイツ ウォズの2人もそれぞれ状況に適した姿へと変え、次々とアナザーアギト(増殖)を倒していく
一方、仲間と合流したリュウトと同じく津上翔一も木野薫の元へと向かう
「木野さん! 変身…!」
仮面ライダーアギト グランドフォームへとその身を変え、翔一は迷う事無く2体のアナザーアギトの内の1人へと蹴りを叩き込む
「何故… 何故ボクがアナザーライダーだと…」
「戦士の勘って奴かな。 悪いけど、これ以上好き勝手させないよ行きましょう、木野さん」
「…!」
ウールが変身するアナザーアギトへと繰り出される2人のアギトによるパンチとキック。
オリジナルの力による一撃一撃はいとも容易くウールを消耗させ始めた
アナザーアギトとアギトの戦いの裏で、ジオウ達にも動きがあった。
3人で大量のアナザーアギト増殖個体と戦う中、遂に3人の元へと通報聞き、駆けつけたG3の部隊が到着。
ジオウが振り返るとそこには司令官として事態の収束を図る尾室さんの姿があった。
「リュウト君! 我々にも手伝わせてくれ!」
「はい!ありがとうございます! …よっしゃあ!一気に行くぜ!」
最後の力を振り絞り、増殖個体へと立ち向かっていくジオウ ゲイツ ウォズとG3部隊。
そんな彼らを別の場所からスウォルツが不敵な笑みを浮かべ見守っていた。
「ウール、お前の最期の足掻き 見せてくれ」
2人のアギトの攻撃を喰らい地に伏せるウール(アナザーアギト)
どうしてこんな目に… 全てはスウォルツが僕にアナザーウォッチを…!
既にボロボロになった身体を必死に動かし、ウールは戦う
「もう…終わりにしよう」
そう語るアギトの角が展開すると構えに入り、足元へと紋章が現れる
アナザーアギト(木野)もクラッシャーが展開し口元が開くと同じ様に足元へと緑色の紋章が現れた
「ハァアアアアア………!」
「スゥゥゥゥ………!」
両者共、呼吸を整え高く飛び上がると目の前のアナザーアギトへとそれぞれの必殺技であるキックを叩き込む
「ボクが…負け…」
ドオオオオオン
2人のアギトによるキックをまともに受けたアナザーアギトは遂に敗北。 その場で大爆発を起こす
爆煙の中からはウールがその場に倒れ込み、彼の手元から転がったアナザーアギトウォッチは音を立て粉々になって砕け散った
「終わった…」
…………………………………………………………
大元のウールが変身したアナザーアギトが敗れ、増殖個体であったアナザーアギトも消滅。 意志を奪われていた街の人々もアナザーアギト化からようやく解放された。
長かったアナザーアギトによる事件が幕を下ろし、それぞれが戦いを終える中、その場去ろうとする木野薫へと津上翔一は問いかける
「木野さん、何処へ行くんですか」
「…さあな。」
その一言だけを言い残すと、木野薫はどこかへと消えていった
「津上さーん!」
手を振り津上翔一の元へと駆け寄るリュウト
リュウトは津上翔一へと増殖したアナザーアギトが全て消滅した事と街の人々は無事に戻った事を伝えた
「津上さんはまた修行に戻るんですか?」
「え?ああ、俺はまだまだ学ぶことが多いからね。またレストランに来てよ、成長した俺の料理振る舞うからさ」
「はい!楽しみに待っています!」
「あ、そうだ」
津上翔一はポケットからあるものを取り出して、リュウトの手に握らせる
「これ…」
「さっき気がついたらポケットに入っててさ、君にはこれが必要なんだろ? だから君にこれを託すよ」
津上翔一から託された物、それはアギトウォッチだった
これで残すライドウォッチは3つ!
「何から何までありがとうございました!」
リュウトは深々と頭を下げ、これまでの礼を言った
…………………………………………………………
薄暗い地下道を足を引きずりながら歩く少年が1人。
ウールだ。
2人のアギトに敗れ、命かながらその場から逃げ切ったウールは宛もなくただ歩き続ける
「スウォルツ… スウォルツ…お前さえいなければ…」
恨み言のようにブツブツと呟く中、痛みでその場に倒れるウール
薄れゆく意識の中、目に入ったのは紛れもなくスウォルツの姿
「スウォルツ…ッ!」
「アナザーアギトの力をくれてやったというのにジオウ所かアギトに敗れるとは… お前には失望したよウール。」
「お前だけは許さないぞ… ボクを裏切りやがって…!」
「裏切る…? 私は最初からお前やオーラを仲間とは思っていない 手駒だ。 お前達に力を与えてやったあの日から1秒たりともお前達を仲間と思ったことは無い… そしてお前は俺の手駒として俺が満足いく結果を残さなかった、つまりお前にもう用はない。 じゃあなウール、お前も分かってるだろう、"もう長くは持たない"と。」
ウールにとってスウォルツの言葉は図星だった。
先程から感じていた痛みを感じ取れなくなり、肉体が限界を超え少しずつ死に近づいているのを感じ取っていた
目の前に迫った死を前に何も出来ない、スウォルツに復讐すらも出来ない
再び薄れゆく意識の中で、ウールはこれまでの自分の行いを振り返る
「あんな奴について行くんじゃなかったな…」
間違えた道を突き進んだ自分を嘲笑うようにそう呟くと、力なく項垂れた
静寂に包まれる地下道にはスウォルツの足音のみが響き渡るのだった。
アギトライドウォッチを継承し、残された3つのウォッチを探すリュウト達だったが突如としてツクヨミが失踪。ツクヨミを探すリュウトとゲイツの前に再び時間警察を名乗る男たちが現れ、2人を捕らえようとする。
次回、「時間警察再び2020」