街で次々と起こる不審死事件を起こすアナザーウィザード。そんな彼の正体を命の恩人 辛島進だと疑うリュウト。仮面ライダーウィザード 操真晴人の協力を得たリュウトとゲイツはアナザーウィザードと交戦、最後は3人のキックを喰らい、アナザーウィザードは敗れた。
戦いの後、本来虚構だったライダーが実在するようになった原因がリュウトである事が判明、しかしリュウトは5歳の記憶がない理由が別にある事を知っていた...
戦いはついにクライマックスへ! 最後の力 仮面ライダーブレイドのライドウォッチを継承した先に待つのは希望か絶望か?
物語の最終章が幕を上げる!
『カードに封印したアンデッドの力で戦うライダーは...』
「俺さ、父さんと母さんの本当の子供じゃないよね」
しばらく険しい表情を浮かべていたリュウトが口にしたのは驚くべき物だった。
突然の発言に母の由紀も食事をやめ、箸を置く。
3人が囲む食卓は再び静寂に包まれると、長い沈黙が続いた。
静まり返る一同、そんな静寂をぶった斬るように口を開いたのは父である修平だった。
「母さん、そろそろリュウトにも話した方がいいんじゃないか」
「で、でも...」
「いずれこの時が来るのは、母さんも分かってただろ」
修平の発言に何か言いたそうな表情を浮かべる由紀。
しかしぐっと堪え、静かに頷いた。
「話は食事が終わってからにしよう、美味しいご飯が冷めちゃうぞ」
「そうだね... いただきます...」
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食事を終え、食後の片付けを終えた後、再び3人でリビングへと集まった。
神妙な顔をする2人。リュウトは今この場から逃げ出したい気持ちを抑え、口を開く
「調べたんだ、事故の事。 新聞に書いてあった。」
リュウトは数日前に見つけた当時の記事を思い出しながら、淡々と語る
『暴走車突進 親子を襲う』
デカデカと書かれた見出しにはリュウトを襲った事故について詳細に書いてあった。
そこにはリュウトの名と、事故で即死した本当のリュウトの両親の名が。
リュウトが事故に遭い緊急搬送されたのが2007年、記事の事故も2007年のもの。年齢もリュウトという名前も一致。
しかし違う点がただ1つ。記事内のリュウトの苗字だ。 時崎リュウト、それが今の自分の名前... しかし記事には 『高橋リュウト』そう書いてある。
「俺の本当の両親が事故で死んだなら...」
「いつか、こうして話す日が来ると思ってた。」
先程と変わらず、神妙な顔で修平は語る。
「その記事の通りだ、リュウトの本当の両親は事故で亡くなった。」
「...ッ!」
心のどこかで、願っていた。
この記事の内容の少年が、偶然同じ年に起きた事故で偶然同じ名前と年齢の少年である事を。だが修平の一言でその僅かな希望さえも音を立てて砕け散った。
遂に修平の口から語られた事実に、自然と目から涙が溢れ出る
「私は貴方のお母さんの姉妹だった。連絡を貰って駆けつけた時にはもう... だけど貴方はまだ生きてた」
記事にも書いてあった。
俺の両親は突っ込んできた車に轢かれ即死だった事。
「リュウトが病院に運ばれた時、親族でどうするか話し合った。 施設に入れる事も候補にあった。けど、俺たちがリュウトを引き取ると何度も無茶言って...」
「そう...だったんだ...」
「ごめんなリュウト、いつか絶対に話そうとは思ってた。 だけど言い出せなかったんだ...」
「...」
下を向きながらそう語る修平の話を遮るようにリュウトは突然立ち上がると、玄関へと向けて歩き出す
「リュウト...? どこに行くんだ」
「...ちゃんと帰ってくるから」
リュウトはそう言い残して家を出ると、夜闇の中に消えてった。
「ああああああ!!!!!」
俺は薄暗い住宅街の中を雄叫びを上げながら走り出す
この時間に傍迷惑な事をしているのは充分理解している。だけど、今にでもおかしくなりそうな頭と心を落ち着かせるにはこうするしかない
「ふざけんな…! なんでだよ… なんで俺ばっかり!!!」
心のキャパシティはとうの昔に許容量を超えている
俺は地面を転がりながら声にならない叫びを上げてのたうち回る。
「なんで… なんでこういう日に限って、星が綺麗なんだよ…」
仰向けで道路に寝そべる俺の視界には満天の星空が広がっていた。
「父さん、母さん、マモル… 俺、どうしたらいいんだよ。」
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同刻。別の場所ではスウォルツとオーラの2人が睨み合っていた。
「どうしたオーラ... この俺を睨み付けて」
「理由は分かるでしょ。」
「はて、なんの事だか...」
「とぼけないで!!!」
タイムジャッカーの根城、町外れの廃工場にオーラの怒号が鳴り響く。
思わず耳を塞ぐスウォルツ、オーラは相変わらずスウォルツへと憎しみの表情を浮かべながら睨みつけている。
「ウールの事、アイツから聞いた!」
「アーマか...」
スウォルツは直ぐに理解した、あの黒い外套の男の入れ知恵と。
今にも泣きそうな瞳で睨みつけてくるオーラに対して、スウォルツに申し訳ないという感情はない。むしろその逆... 今にも緩みそうな口を抑えながらオーラへと返す
「仮に、奴が言った通り...俺がウールを殺したと言うなら...お前はどうする?」
「決まってるでしょ こうするのよ!」
オーラが取り出した物に、スウォルツは目を見開いた
『ブレイド...!』
「アンタが王になんてなる世界、私が壊してあげる...!」
オーラは起動したアナザーウォッチを自らに埋め込む。
スウォルツにアナザーディケイドの力がある限り彼には勝てない、オーラはそんなこととっくの昔に理解している。恐らく今の彼には今のジオウですらも敵わない。
ならば...! 世界すらも破壊する力を秘めているこのアナザーブレイドの力なら!
「正気か...?」
「ぐ......! きゃあああああ!!!!」
『ブレイド...!』
オーラの叫びと共に、アナザーウォッチの力がオーラを包み込むと、その身をアナザーブレイドへと変えた
変身するや否や、その手に持つ巨大な大剣でスウォルツへと襲いかかるも、それを見きったスウォルツによって躱される
しかしアナザーブレイドの追撃はそれで終わりではない。突如として大量のコックローチが姿を現すと、その膨大な量でスウォルツをあっという間に囲んだ。
勿論、アナザーディケイドという強大な力を持つスウォルツにとって、コックローチ程度は大したものでは無いないが数が数だ。焦りからか額に冷たい汗が伝う。
「オーラァ...!」
憎しみの表情をオーラに向けるスウォルツだったが、オーラは何も喋る様子はない
アナザーブレイドの力は強大。それ故にスウォルツ自身もアナザージオウの次に警戒していた力だった。
それが今や明らかに敵対しているオーラの手に渡っており、こうしてコックローチの群れへと囲まれている。
世界すらも滅ぼしかねない力を持つその力を、自らの恨みのため躊躇もなく使ったオーラに対して、スウォルツは恐怖心を抱いた。
じわじわと自分に迫るコックローチ達、スウォルツはアナザーディケイドウォッチを起動させるとその身をアナザーディケイドへと変え、近づくコックローチを次々に倒していく。
大量のコックローチを相手取るアナザーディケイドを背に、アナザーブレイドと化したオーラは世界崩壊へのカウントダウンを進めるために姿を消した。
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アナザーウィザード撃破から1週間が経った。
あれ以来アナザーライダーによる事件も起きてない
肝心の辛島進だがジオウ達に敗れた後、病院で治療を受けている。この世界の辛島進としての記憶を取り戻した彼を待っていたのは13年という長い月日の記憶の欠落だった。13年前に失踪した男の発見は大ニュースとなり、数日経っても特集が組まれている。
街で起きていた連続不審死は同時に終息。 まさか不審死の原因が辛島進によるものとは誰も思わないだろう。厳密に言えば別世界の辛島進の意識による物だが。
「はぁ...」
リュウトは公園のベンチで1人ため息共に項垂れる。
ずっと家族と思っていた両親とは血が繋がっておらず、更には本当の両親は死んでいる
突然突きつけられた事実にリュウトはあの日以来、父である修平と母である由紀とどう接していいか自問自答する日々を過ごしていた。
「リュウト、どうしたの?そんな顔して」
聞き覚えのある声に顔を上げると、そこには仲間のツクヨミが立っていた
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「そんな事が...」
ツクヨミはリュウトの口から語られた衝撃の事実に心を痛める
「俺さ、どうして記憶がないのか分からなかった。 単に忘れてるだけどずっと思ってたけど、今思えば記憶から消すことで精神を保とうとしてたんだと思う」
何度も思い出そうとしても思い出せない本当の両親の顔。
事故の当日、幼かった俺が何を見たのかは分からないが記憶を失う程に心に深い傷を負ったのだろう。今思えば、俺を襲った記憶喪失は心に負った深い傷から自分を守るための防衛本能だったのかもしれない
「終わりが近づいてる、この戦いの終わりが」
「うん... あと1つ。それが揃えば...」
「…ツクヨミは、俺がオーマジオウになると思う?」
リュウトの問いかけにツクヨミは押し黙るが、数秒 間を置いて口を開いた
「私たちがこの時代に来たのは世界をオーマジオウから取り返す為。だけどこの時代に来て初めてリュウトと出会った時、もしかしたらここで倒さなくてもリュウトの意思で最悪の未来は変えられると思った。それは今でも一緒。」
「最悪の未来か...」
オーマジオウが支配する2068年の未来。俺は1度だけこの目で見た事がある。恐怖に怯える人々を、荒廃した大地を。 仮にオーマジオウの正体が未来の俺だとして、何故俺はあのようになったのか。
だとしたら方法は1つしかないだろ。
俺は腰掛けていたベンチから立ち上がると、ツクヨミが不思議そうな顔でこう聞いてきた
「リュウト?」
「2068年に行く」
1人タイムマジーンへと乗り込んだ俺は2068年に行く先をセットして時間を超える。
ツクヨミにはもしもの時に備えてゲイツと共に2020年の時代に残るように告げ、俺は単身オーマジオウの元へと向かう。
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久しぶりだな...
2068年の未来に到着したリュウトはまず目に入った、巨大な19人の仮面ライダーの石像に目を奪われる
途方もなく長く思えたライドウォッチ継承の戦いはあと1つで幕を下ろす。
仮面ライダーブレイド、残された最後の1つ。
俺はブレイドの石像を見つめていると、背後に気配を感じ振り返ると、そこには探していた人物 オーマジオウが静かに佇んでいた。
「若き日の私よ」
「久しぶりだな、"会うのは"俺がゲイツリバイブに殺されかけた時に見た夢以来か」
「...」
「紅正夫と、仮面ライダーウィザードをこの世界に連れてきたのはお前だろ。」
立て続けに現れた2体のアナザーライダーに対して現れたオリジナルの力を持つ者達。
リュウトはウィザードが別世界から来たという発言で確信した、わざわざ紅正夫と仮面ライダーウィザードと言った別世界の人間を呼べるのはこいつしかないと。
現にウォズはこの世界のオーマジオウによってこの世界へと呼ばれた存在だった。
「それを私に聞く為にわざわざ時を越えたか」
「そんな訳ないだろ」
大きく深呼吸をして、自分が1番聞きたかった事を口に出す
「教えろ、お前がこの世界を力で支配するようになった理由。 お前が本当に俺ならこんな事はしないはずだと思ってる。」
黙り込むオーマジオウ。しばらく静寂が続き、全てを話す覚悟を決めたのか語り始めた
「私は世界を救う為、私が愛したこの世界を守る為に…自らこの世界を敵に回した。」
「世界を救うだと… そのための犠牲は遠慮なしか!?」
俺は知っている、オーマジオウによって家族を、仲間を失った1人の戦士を。
「お前は 1人の犠牲もなく全ての人々を救えると思うか…!? 知ったような口を聞くな!」
どうやら俺は、奴の地雷を踏んだらしい
オーマジオウが語る言葉1つ1つに感情が籠ったのを感じた。
「私は1つの可能性に賭けた。 最低最悪の魔王としてこの私が君臨する事で、立ち上がる者が現れる事を。 未来を変えるべく立ち上がる者を! それこそが私の狙い…全てはあの男を倒す為。」
つまり、オーマジオウにとってゲイツが過去の俺に干渉するのは狙い通りだったということか?
かつてアナザーワールドからやってきたもう1人の俺が言っていた。 ゲイツが過去の俺に干渉した事でジオウになる未来が確定したと。
「私の狙い通り、明光院ゲイツは過去の私であるお前に干渉した。」
「お前が仕向けたのか? ゲイツを俺に…」
「大いなる目的の為だ。」
「…?」
「お前はアーマによって世界が書き換えられた事を知っているな? お前と私の中の記憶に存在した仮面ライダーという概念を辛島進の作ったムネモシュネを介して知った奴は別世界のジオウからジオウの力と、あるライドウォッチを奪った」
「それが、世界を書き換えられる力。」
「『アナザージオウllウォッチ』。奴はその力で虚構だったはずのライダーを実体化させた」
「それで奴はついでに俺にジオウの力を与えて、アナザービルドを嗾けてから、俺はまんまとジオウになったって訳か」
いつジオウとしての力を与えられたのかは分からないが、あの時持っていたブランクウォッチがジオウライドウォッチへと変わった事に納得した。
まだあの時は不完全だったジオウの力は、未来からやってきたゲイツの干渉によって、時崎リュウトが仮面ライダージオウになる 未来が確定したということだろう
「それよりもだ、お前がこうしている間にも 世界の崩壊が近づいている。 アナザーブレイドが2020年に誕生した…」
「それは本当か!?」
「私には全ての世界を見通す眼がある。過去も未来もな。 アナザーブレイドが為そうとしているのはジオウに変わる新たなる王の誕生ではない、世界崩壊そのものだ。 行け、最後のライドウォッチを継承する為に。」
「最後に1つだけ聞かせてくれ。 今の俺は、お前と同じような道を…歩むと思うか?」
オーマジオウは黙り込む。 返答に困っているのだろうか?
しばらく沈黙が続いたが、ようやくオーマジオウは口を開く
「それはどうだろうな… だが、1つ言えることがある。 お前は、私が持っていない物を持っている。 それに気づけば、お前が私になることは無い。」
「…絶対に見つけてやるよ、その答え。」
俺はそう言い残すと、タイムマジーンへと乗り込んで、アナザーブレイドが誕生した2020年へと戻る
これが最後の戦い───────。
無意識に操縦桿を握る手に力が篭った。
19のライドウォッチを集めた果てに待つ偉大なる力。
それがもたらす物は…希望か、 それとも…
2020年に戻ったリュウトの前に現れたのは、大量のコックローチ。 世界崩壊への駒を進めるアナザーブレイドは、仮面ライダーカリス 相川始と仮面ライダーブレイド 剣崎一真を引き寄せ、バトルファイトの再開を試みる。
トリニティすら通用しない程の強大な力を持つアナザーブレイド、そんな状況を打開すべく剣崎一真はリュウトへと残された力を託すと、これまでに集めたライドウォッチが1つとなり…?
次回、「王×キング2020」