仮面ライダージオウ 〜もう1人の魔王〜   作:ももももると

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世界掌握の為、ジオウ達ライダーを消すべく動き出したスウォルツは最初の狙いを門矢士 仮面ライダーディケイドへと定め、アナザーワールドから呼び出した最強のライダー 『仮面ライダーディケイドを葬った世界』からやってきた小野寺ユウスケ 仮面ライダークウガを嗾ける。

そして、当のスウォルツ自身はジオウとゲイツの元へ。グランドジオウ ゲイツリバイブの二人の最強の力と、最後のアナザーライダー アナザーディケイドが決着を付けるためにぶつかり合う。




『破壊者オンザーロード 20██』

───────辺りに響く爆発音。

 

 

巻き起こる爆煙の中から飛び出したディケイドは、次々と放たれるクウガライジングアルティメットの一撃を何とか躱し、次第に距離を詰めていきながら渾身のパンチをクウガへと叩きつける。

 

「思い出せ!ユウスケ!」

 

思い返せば、前にも似たような事があった。

月影の手によって操られた小野寺ユウスケを救うべく、単身で立ち向かったのはもう数年も前の記憶だが、未だに鮮明に焼き付いている。

 

あれから何度も旅を続け、前よりも強くなったはずなのに……

究極の力を超えたクウガに対して、ディケイドは手も足も出ない。

 

放ったパンチはクウガに容易く受け止められ、カウンターとばかりに腹部へと強烈なパンチを叩き込まれて、ディエンドの居る後方へと吹き飛ばされる。

なんてことの無いただの一撃だと言うのに、肋骨が何本か持っていかれたらしい。

仮面の裏で、門矢士の呼吸は荒くなり始めた。

 

 

「士、君がやろうとしていることは諦めた方がいい」

 

先程までは敵対していたというのに、海東大樹 仮面ライダーディエンドはどこか心配そうな口振りで駆け寄ってくる。

 

「彼を何とか正気に戻そうとしているんだろうけど、そんなのは無理だよ 彼は…石の力で暴れているんじゃない 自分の意思で僕達と敵対しているんだ」

「そんな事…… お前に言われなくたって分かってる…」

 

息を吸うだけ腹の辺りがズキズキと痛む。

痛みを何とか堪え、立ち上がってからディケイドはカードホルダーからカメンライドカードを取り出した。

 

…クウガのカード。 まさに今敵対しているライダーのカメンライドカードを握り締め、ディケイドはクウガの方を見てこう告げた

 

「ユウスケ、お前は俺にこう言ったよな! 『悪魔を倒す為なら悪魔にだってなってやる』ってな」

 

「だから今度は俺の番だ 究極の力には究極を超えた力でやってやる」

「士!まさか!」

 

 

それは…ディケイドの真の姿。彼の意思 又は 願いに応える様、全てのカメンライドカードの力がディケイドと1つになり、彼を変えたのだった。

 

仮面ライダーネオディケイド 激情態

かつて門矢士が自らの運命を受け入れた果てに得た力が、今度は彼の意思と願いで再びその身へと宿った。

 

 

 

「俺は既に究極を超えた… 来い、ユウスケ!」

 

 

 

お互いが片手に渾身の力を込め、顔面目掛けて拳が飛び合う。

究極を超えた力を宿す両者の死闘に、ディエンドはただ傍観者になることしか出来なかった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

同刻、別の場所でもゲイツリバイブとグランドジオウの2人とアナザーディケイドの戦闘が続いていた。

アナザーディケイドの呼び出したアナザーワールドのライダー、仮面ライダーダークゴーストと仮面ライダーポセイドンとジオウは対峙。

 

「力を貸してくれ!平成ライダー!」

 

『ゴースト!』『オーズ!』

 

 

身体の各部に存在する、ゴーストとオーズのライダーレリーフへと触れると、ジオウの呼びかけに答えるようにゲートから『仮面ライダーゴースト 平成魂』と『仮面ライダーオーズ タマシーコンボ』が現れ、二人の放つ強力な力で、アナザーディケイドが呼び出した2体のライダーを撃破。

 

一方のゲイツリバイブも『仮面ライダー牙王』と『仮面ライダーネガ電王』と対峙するが、ゲイツリバイブの疾風と剛烈を巧みに組み合わせた攻撃により容易く撃破。

 

もはやアナザーディケイドが呼んだライダーなど、グランドジオウとゲイツリバイブにとっては取るに足らない存在でしか無かった。

そしてその事実が、スウォルツを更に焦らせる要因となる。

 

「グランドジオウ…! やはり貴様の力は私の計画の邪魔となる!」

 

もはやアナザーワールドのダークライダーの力に頼るのは辞め、単身グランドジオウへ向かう。

脚部に波動に近い力を込め、オリジナルの力であるディケイドのディメンションキックを彷彿とさせる構えで、グランドジオウへとキックを放つ。

 

が、全ての平成ライダーの力を併せ持つグランドジオウは、これをカブトが有する力『クロックアップ』で回避。

アナザーディケイドの放ったキックは虚空を切り不発と終わるが、そんな彼の背後へとブレイドとフォーゼのライダーレリーフに触れた事によって現れたキングラウザーとバリズンソードの二刀流によって放たれる一撃が、容赦なくアナザーディケイドへと降りかかった。

 

「まだだぁ!!」

 

何とか両腕でグランドジオウの一撃を耐えるアナザーディケイド。しかし、それも長くは続かず耐えきれなくなった両腕が限界を迎え、キングラウザーとバリズンソードの連撃を許してしまう。

そしてその背後からはゲイツリバイブによるジカンジャックローにやる連撃が。

2人による、隙のないコンビネーションアタックによって、アナザーディケイドは翻弄され、絶え間のない攻撃によって足元はふらつきはじめる。

その隙を2人は見逃さず、グランドジオウ ゲイツリバイブによるダブルキックがアナザーディケイドへと命中した。

 

─────勝てる。

 

ジオウとゲイツの2人が間違いなくそう確信したその瞬間だった。

辺りの時が止まり、追撃を仕掛けようとしたジオウとゲイツの動きも同じように止まる。

 

「クククク……フハハハハハハハハ!!!!」

 

タイムジャッカーが持つ固有能力、時止め。

あと少しでスウォルツを倒せるという盤面で、ジオウとゲイツの2人は彼の能力によって動きを止められてしまった。

 

「あと少しで私が倒せる そう思ったか?」

 

「ク……ソ!」

「動け……!」

 

「無駄だ 大人しく死ぬといい」

 

何とかしてこの状況を脱しようとする2人の想いを嘲笑うように、アナザーディケイドは2人へと手を翳す。

アナザーディケイドの両手から放たれるはエネルギー波。身動きの取れない2人は当然これを避ける事など出来ず、エネルギー波による一撃をまともに喰らい、スウォルツによって再び動き出した時と共に、エネルギー波を喰らったダメージが遅れて2人を蝕んだ。

その威力は凄まじく、グランドジオウとゲイツリバイブという最強の力を持ってしても容易く吹き飛ばされ、地面を削りながらコンクリートの壁へと叩きつけられた。

 

「ぐ……」

「生きてるか……ゲイツ」

「まあな」

 

追撃が来る。それまでにここから脱出を……!

そんな彼らの元へと、アナザーディケイドが居た場所からミサイルが放たれるのが見えた。

アナザーディケイドの隣には、ギガントを構えた仮面ライダーG4が。

 

「くそ!頼む!」

 

『ファイズ!』

 

グランドジオウは右足のファイズが刻まれたライダーレリーフへと触れ、『仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム』を呼び出すと、G4のギガントから放たれたミサイル弾を、こちらへと命中する前にファイズブラスターで撃墜。爆発した衝撃で巻き上がる爆炎の中、グランドジオウとゲイツリバイブの元へとオーロラで瞬間移動をしたアナザーディケイドが背後から襲いかかる──

 

 

が、アナザーディケイドの動きが突如として鈍り、まるで重りを乗せられたかのように地面へと叩きつけられた。

 

「我が魔王!」

 

この呼び方をするのは一人しかいない。アナザーディケイドが何故突然動けなくなったのかは、ウォズギンガによる重力操作だと言うのをジオウはすぐ理解した。

 

 

「行こう!ゲイツ!」

「ああ!」

 

いつまでウォズがアナザーディケイドの動きを止められるのかは分からない。

ジオウとゲイツはジクウドライバーを回転させ、2人は高く飛び上がった。

 

 

『オールトゥエンティタイムブレーイク!』

 

 

グランドジオウの周りへと19の平成ライダーの幻影が現れると、グランドジオウと1つになり、全ての平成ライダーの力を込めた全力を足へと集中させる。

 

「これで終わりだ、タイムジャッカーあぁぁぁぁあ!」

 

ゲイツリバイブそしてグランドジオウの2人による全てを込めたライダーキックはウォズギンガによって身動きの取れなくなったアナザーディケイドへと見事に命中。

これをまともに喰らったアナザーディケイドの身体は耐えきれず大爆発を起こし、爆煙の中から転がったアナザーディケイドウォッチは大きな音を立てて破裂したのだった。

 

アナザーライダーの中でも一二を争う最強の力、アナザーディケイド。

世界を掌握すべくグランドジオウとゲイツリバイブへと戦いを挑んだ一人の男の野望は、世界を取り戻すべく戦う二人の青年の正義の前に打ち砕かれたのだった。

 

残すはアナザージオウllウォッチのみ……。

 

リュウトとゲイツとウォズの3人は一度変身を解き、その3人の元へと傍から戦う様子を見ていたツクヨミも駆け寄る。

 

スウォルツは気絶しているのかピクリとも動く様子はない。かと言って近寄れば何をしでかすか分からない。触らぬ神に祟りなしだ。

 

「ウォズ、さっきは本当に助かったよ」

 

先程の戦い、ウォズの加勢が無ければ下手すればやられていたかもしれない。

1度目のアナザーディケイドの攻撃を2人ともまともに食らっていた為、2度目を喰らえば本当に危なかった。

 

「スウォルツ氏は倒した、あとは……」

「ああ、アーマだな」

 

ゲイツから出た"倒すべき相手"の名に、ウォズ リュウト ツクヨミの三人が静かに頷く。

 

この世界を作りかえた元凶。倒すべき相手。アーマを倒して、アナザーウォッチを破壊すれば全てが終わる。

 

「ねえウォズ、もしアナザーウォッチを破壊したら、ウォズ達はどうなるの?」

 

最後の決戦の前に、リュウトはずっと気になっていた事をウォズへと尋ねた。

 

「我が魔王が暮らしていた元々の世界に、私やゲイツ君にツクヨミ君は存在しない。 ウォッチを破壊すれば、それでお別れだろうね」

「そっか…… 折角ここまで一緒にやってきたのに……ちょっと悲しいな」

「私も……」

「……」

 

ウォッチを破壊すれば世界は元に戻る。それは即ちウォズやゲイツ ツクヨミの仲間達との別れを意味している。つまりこれは色んな意味での最後の戦いとなるのだ。

 

「ジオウ、お前は生きるべき世界はここじゃない さっさとウォッチを破壊して、お前が本当に生きるべき世界に戻れ」

「ゲイツ……」

「さて、覚悟が決まったなら早速……」

 

 

 

 

「これはこれは……全員揃っている様だな」

 

この場に不相応な拍手と共に、一人の男が四人の元へと近づいてくる。

どこか聞きなれた声に、見覚えのある黒い外套。

直ぐに目の前の敵が何者かが理解出来た。正しく探し求めていた人物、"アーマ"。

 

「それはこっちのセリフだ、わざわざお前の方から出向いてくれるなんてな!」

 

ゲイツが一人、ライドウォッチを片手に単身アーマの元へと立ち向かう。

 

「ゲイツ君!」

 

ウォズの静止に耳を貸すこともなく向かっていくゲイツ。アーマはフードの下で微かに笑うと、向かってくるゲイツの方へと手を翳し、静かに呟いた。

 

『バインド』

 

どこからともなく現れた2つの魔法陣から、鎖がゲイツへ向けて飛び出すと、両手を拘束。続いて両足も鎖で縛られ、見事に身動きが取れなくなった。

 

「くっ! 離せ!」

 

どれだけゲイツが暴れようとも、鎖はビクともしない。

 

そして、その光景を見ていたリュウトはゲイツを縛っている鎖にどこか見覚えがあった。

 

「ウォズ、あれ……」

「ああ、君が一緒に戦ったウィザードと同じ力だ…… 彼の正体が今分かったよ……」

 

「私の正体に気づいたようだな、預言者。 もう"アーマ"などという仮の名を名乗る必要もなかろう。」

 

"アーマ"はそう言いながら外套を脱ぎ捨てると、その身を"人"から"人ならざる物"へと変えて見せた。

 

「"アーマ"は仮の名、我が真名は "アマダム" かつて魔法石の世界に封じられし魔法使い……」

 

自らを"アマダム"と名乗った怪物はそう言うと共に、身動きが取れないゲイツの首を軽く絞める様に掴むと、ある提案をリュウトへと投げかけた。

 

「魔王擬き、私と取引をしよう。」

「……なんだ」

「コイツを殺さない代わりに、貴様が持っているベルトとジオウウォッチとグランドジオウウォッチ渡せ。そうすればコイツは返してやる」

 

「ジオウ……!絶対渡すな……!」

「貴様は黙っていろ!」

 

アマダムはゲイツの腹部へとパンチを叩き込み、それを食らったゲイツは気を失ったかのように項垂れる。

 

もし、ここでグランドジオウウォッチを渡さなければゲイツは殺される。しかし、このグランドジオウウォッチは対アーマの最終兵器。これを渡してしまうと、アーマに対する切り札を失うも当然。

ゲイツの命か、それともグランドジオウウォッチか。まさにリュウトは今、究極の選択を強いられている。

 

「考える時間を3分やろう それまでに答えが出なければコイツを殺す。」

 

 

「ウォズ、俺はどうすれば……」

「我が魔王、耳をこちらに」

 

ウォズはリュウトに対して耳うちをして、ある作戦を告げた。それを聞いたリュウトは『それは無茶だ!』という反応を見せたが、ウォズは淡々と作戦の全容を告げた。

 

 

 

「さて、3分が経った。答えを聞こうか」

 

アマダムによるカウントダウンが終わり、答えを出す時が来た。

リュウト達が出した答え、それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今から、ベルトとウォッチをお前に渡す」

 

 

選んだのは、ゲイツの命。

リュウト達にとっての大切な仲間であるゲイツを見捨てる事など当然出来るわけがなく、この答えを出す以外無かった。

一方のアマダムはリュウト達の答えを聞き、ゲイツを縛っていた"バインド"を解除。

ゲイツを無理やり歩かせ、1歩ずつ前へと進んでくるリュウトへとゲイツを渡し、リュウトもアマダムへとベルトとウォッチを渡した。

 

「ジオウ、お前……」

「見捨てられる訳ないだろ、大切な仲間を」

「馬鹿……」

 

 

 

 

「遂に…… 遂に手に入れたぞ! グランドジオウウォッチを! 今まで何人にもジオウの力を与えたが、完成させたのはお前が初めてだ!時崎リュウト! 感謝するぞ、お前のお陰だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして、死ね。」

 

アマダムはゲイツとリュウトの2人へと手を翳すと、静かに『サンダー』と呟く。

 

2人の前へと現れるは緑色の魔法陣。2人を消すべく現れたそれは、凄まじき力を帯びた雷を放つ。

 

「ゲイツ!リュウト!」

 

2人へと呼びかけるツクヨミの呼び掛けも、もはや手遅れ。

放たれた雷は2人を抹殺すべく、命中。

 

凄まじい爆発と共に巻き上がる爆煙の中、姿を表したのは、2人を庇った "仮面ライダー"ウォズ フューチャリングシノビ の姿だった。

 

 

「ウォズ!!」

 

「我が……魔王……」

 

アマダムの放ったサンダーの威力は、例えライダーとしての防御力を持ってしても耐えられる物ではなく、膝から崩れ落ちたウォズは変身を解きながらその場へと倒れ込む。

 

ゲイツとリュウトを殺るはずが見当違いの相手を葬り、その様子を不服そうに見守るアマダムは興ざめしたのか"テレポート"でその場から逃走。とはいえ、結果としてジオウの力を奪われる形となってしまった。

 

しかし今のリュウトにとってそんなことはどうでも良かった。自分達を守るべく盾となったウォズが、目の前で死の淵をさ迷っている。もしあれを生身の自分たちが喰らえば…… 考えたくもない。

 

「おい……!ウォズ!」

「ゲイツ…君 我が魔王を… 頼む……よ」

「ウォズ!」

 

リュウトとゲイツとツクヨミの必死の呼び掛けに応える事もなく、ウォズは力なく倒れたのだった。

 

 

 

 

続く。

 

 

 

 




ウォズを失い、グランドジオウウォッチを奪われたリュウト達。
一方、グランドジオウの力を手に入れたアーマは全世界へと宣戦布告し、この世界を手中に収めることを宣言。
仲間と力を失ったリュウトが出す答えとは…

次回、『新たなる歴史の1ページ 20██』


※すみません今度こそあと2話で終わります。
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