仮面ライダージオウ 〜もう1人の魔王〜   作:ももももると

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アナザーワールド。それは、"起こり得た可能性の世界"。

仮面ライダーWはエターナルに敗れた……

龍騎 ナイトは戦いに敗れ、ミラーワールドは閉じられる事無く終わりのない戦いは続いた……

仮面ライダーファイズは仮面ライダーオーガに敗れ、人間は滅亡した……

光ある所に影はある。
時崎リュウトがアナザーオーマジオウを破り、世界を取り戻し
たその裏で、可能性は産まれてしまった……

これは、起こり得たもう一つの可能性の物語。

新たなるもう一人の王の前に

──────最後の救世主は現れる。



ANOTHER TIME 1: 虚構への侵略

 

『彼の名前は時崎リュウト、彼から魔王にして時の王者 オーマジオウとなる未来は消滅した…… 筈だった。』

 

『時の流れがおかしい…… 嫌な予感がします。 新たなる戦いの予感が……。』

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「あー……最近、つまらないなぁ……」

 

高校の屋上で一人、大の字になって寝そべりながら青年は呟く。

青年の名は 時崎リュウト。

アナザージオウllウォッチによって、虚構であるはずの仮面ライダーが実体化した世界で19のライドウォッチを巡る戦いへとその身を投じていた青年その人。

世界が歪んだ原因を作ったアマダムとアナザージオウllウォッチを破壊し、再び仮面ライダーが虚構に戻った世界……平和な日常を過ごす中でリュウトは退屈さを感じていた。

当然、当のリュウト本人にはジオウとして戦っていた記憶はない。それ故に、今の平穏が別世界の自分が苦労して得た平和など勿論知る由もない。

そんなリュウトだったが最近、自らがジオウへと変身してアナザーライダーを倒す夢をよく見ていた。

 

生まれてこの方、喧嘩一つまともにした事のない人間だと言うのに、夢の中の自分は的確に相手の攻撃を読み、巧く戦っている。まるで戦闘経験でもあるみたいだ。

 

「仮面ライダーになって戦うの……やっぱり憧れるよなぁ……」

 

たとえ夢の中だとしても、物心ついてからずっと憧れの存在だった仮面ライダーになって戦うのは悪い気がしない。

ココ最近は毎日同じ夢を見るが、寝るのが楽しみになっているのも事実。

まもなく卒業も控え、これからの人生の事ばかり考えさせられる現状、夢の中は現実を忘れられる唯一の時間なのだ。

 

「さて、そろそろ昼休み終わるか」

 

腕時計をチラリと見る。

午後の授業開始まで残り五分と言った所。

傍に置いていたパックの牛乳を飲み干してから立ち上がると同時に、突然凄まじい痛みの頭痛がリュウトを襲った。

 

「なんだ……これ……!?」

 

余りの痛みに膝から崩れ、コンクリートで出来た地面へと両手をつく。

頭が割れる そう感じる程の鋭い痛みに頭を抑えると同時に、何処からか降り注いだ眩い光がリュウトの目の前へと降り立った。

同時に痛みは次第に和らぎ、リュウトは目の前に現れた光へと這いながら進み、"ソレ"を手に取った。

 

「これ……!」

 

リュウトが手にした物、それは……

 

 

『キャー!!!』

 

 

「なんだ今の!?」

 

屋上にまで届く悲鳴の声。

リュウトはいつの間にか引いていた頭の痛みを忘れ、咄嗟に立ち上がると悲鳴の聞こえてきた下の階へと急いだ。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

なにやら校内が騒がしい。階段を降りにつれ、喧騒さは増していく。間違いなく何か不味い事が起こったようだ。

下の階へと向かったリュウトが見た物、それは学校内で暴れている全身黒タイツの不審な者達。

そしてそれらの正体は、リュウトが一番よく知るものだった。

 

「なんで…… なんでショッカー戦闘員がここに!?」

 

学校内で暴れている者達、それは『仮面ライダー』に度々登場する悪の組織 ショッカーの戦闘員達。それだけでは無い、V3のデストロンや、仮面ライダーWのマスカレイドドーパントも居る。

戦闘員達は次々と学校内で暴れ回り、そんな彼らから生徒たちは列を成して悲鳴と共に逃げ回っていた。

ドッキリなのか? そう思ったリュウトだが、戦闘員達は演技とは思えない程に、目の前の物を壊していく。

 

窓ガラスが…… 壁が…… 机が……。三年間過ごした学校が、目の前で何の躊躇いもなく破壊されていく。

 

「……やめろおおおお!!」

 

ドッキリにしてはタチが悪い。

これ以上、思い出を破壊されてたまるか!

拳を握り締め、怒りに燃えるリュウトは目の前にいたショッカー戦闘員へと立ち向かい、渾身の一撃を叩き込む。

 

『イーッ!?』

 

突然の反撃に怯むショッカー戦闘員。仲間の悲鳴を聴き、破壊活動を行っていた戦闘員達が続々とリュウトの元へと駆け寄った。

 

「相手は……結構いるな……」

 

見えるだけでも30は下らない。生身で行くには、少々……いやだいぶ分が悪い。

しかし、ここまで来た以上 一度振り上げた拳は振り下ろさない。

 

「お前ら…… 絶対に許さねえ……!」

 

リュウトは目の前の戦闘員達を睨みつける。

 

 

 

「流石は我が魔王!侵略者に怒り、立ち向かうその姿!お変わりないようだ」

 

突然の事だった。

『逢魔降臨歴』と書かれた本を持った男がそう言いながら現れ、リュウトの前へと跪いた。

 

「お久しぶりです、我が魔王」

「アンタ…… もしかしてウォズ!?」

 

『仮面ライダージオウ』に出てくる預言者 ウォズ。

常磐ソウゴに仕え、自らも仮面ライダーウォズとして戦ったあのウォズが目の前に現れ、この状況下とはいえリュウトのテンションも上がる。

同時に、『これはやはりドッキリなのでは?』という気持ちに駆られ、辺りのカメラを探した。 ……が、そんな物は無さそうだ。

 

「我が魔王、よくない時の流れがどうやらこの状況を招いた様子。 であればもう一度、王としての力を奮って頂けないだろうか?」

「我が魔王って俺の事? 常磐ソウゴじゃなくて?」

「勿論、貴方が私の王だと言うことは…… その"ジオウライドウォッチ"が証明しています。」

 

ウォズがそう言って指さしたのは、先程リュウトの前へと屋上に眩い光と共に現れたジオウライドウォッチだった。

 

「やっぱりこれ……本物?」

「ええ…… それとこれを」

 

ウォズは懐から"ある物"を取り出すと、リュウトへと捧げた。

 

「……使い方はご存知の筈」

 

「ジクウドライバーまで……」

 

こうしている間にも、戦闘員達はリュウトとウォズ達の前へとじわじわと迫ってきている。

どういう訳か分からないが、迷っている時間は無いらしい。

 

「……分かった、やるよ俺 平和な日常にも飽きてきた所だ!憧れの仮面ライダーになれるなら やってやる!」

 

『ジオウ!』

 

「……変身!」

 

リュウトはジオウライドウォッチをジクウドライバーへと装填すると、掛け声と共に回転させた。

 

 

『ライダータイム…… 仮面ライダー…… ジオウ!』

 

 

 

「祝え!」

 

 

 

「全ライダーの力を受け継ぎ!時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者!」

 

 

「その名も、仮面ライダージオウ! 今この世界に、再誕した瞬間である!」

 

 

「……そうだ! 俺、ジオウだったんだ!」

 

ジオウライドウォッチを起動すると共に、ライダーとして戦っていた世界線の記憶が流れ込み、リュウトはここに至るまでの記憶思い出す。

 

ジオウになり。

次々と現れるアナザーライダーを、色んなライダー達と破り。

そして、世界を取り戻した。

だとすれば、何故、俺は再びジオウに……?

 

 

「我が魔王、それでは久しぶりにお力を……」

 

「なんでこうなったか分かんないけど、行くぜ!」

 

ジカンギレード片手に飛び出すジオウは、次々と襲い掛かる戦闘員達を容易く切り裂いて行く。

数の差など関係ない。これまでの経験が糧だ。

最初こそ威勢の良かったショッカー戦闘員達も、次々とやられていく仲間の姿に怖気付き、そそくさと逃げ出す者も居た。

 

「逃がすかっての!」

 

『ディケイド! ファイナルフォームタイム! ディケイドディケイド!ディケイドー!』

 

「オマケにもういっちょ!」

 

『ファイナルフォームタイム! ダダダダブルー!』

 

仮面ライダージオウ ディケイドアーマーダブルフォーム。

ファングジョーカーと同じ力を持つこの力を使い、続々と逃げ出していくマスカレイドドーパントやショッカー戦闘員を、ショルダーファングで切り裂いていく。

 

「今度はこれだ!」

 

『ファイナルフォームタイム! エエエエグゼイドー!』

 

今度はダブルアクションゲーマーと同じ力を持つエグゼイドフォームへと変身し、二人になったジオウのコンビネーションアタックでデストロン戦闘員を倒していく。

あっという間に戦闘員達は破れさり、残すはあと数体。

負けを悟ったのか我先にと走り出す戦闘員達を追い、ジオウも廊下を駆けた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

戦闘員達を追い掛け、辿り着いたのは先程まで自分が居た屋上。

もうここまで来れば逃げ場は無い。

今度はジオウがじわじわと戦闘員を追い詰めていくと、突然空間に穴が空き、中から何かが姿を現した。

 

「……お前は」

 

 

「久しぶりだな……仮面ライダー ジオウ。」

 

 

ワームホールらしき者から姿を現したのは……

 

 

 

 

 

「スウォルツ……!」

 

「フッ……」

 

そこには、かつてリュウトがゲイツ ウォズと共に破ったはずのスウォルツの姿。

アナザーディケイドウォッチを破壊した後は行方知らずとなっていたが……

 

「お前、生きてたのかよ!」

「……死んださ "この世界"の私はな」

 

リュウトはスウォルツの言葉に引っ掛かりを感じた。

"この世界の私"?

つまり、目の前にいるスウォルツは……

 

「私は、"仮面ライダージオウを破った世界"から来た。」

 

「アナザーワールドか……!」

 

「ああ、この世界の俺が息絶える前 僅かに残っていたアナザーディケイドの力を使い、"自らを贄として"呼び出したのが俺だ」

 

スウォルツは不敵に笑いながらそう語る。

 

「それにしても驚いた、この世界にはとっくの昔にライダーは消えたと思ったが まさかこうして力を取り戻していたとはな まぁいい、ならばもう一度消すのみだ」

 

スウォルツはそう言って、懐からある物を取り出すと、リュウトへと見せつける。

 

「それは……アナザーウォッチ!?」

 

「私は……全ての世界の王となる者 この世界はそんな私の第一歩となる 刮目しろ、偉大なる"王"の力に」

 

 

 

 

 

 

『シャドームーン……』

 

 

 

 

アナザーウォッチを起動させたスウォルツの身体を、アナザーライダーの力が包み込む。

それは、深き闇。この世界を包み込む暗黒。

まるでアナザーウォッチの力に呼応する様に、先程まで出ていた太陽の光を、黒き雲が描き消す。

 

『我が名は "アナザーシャドームーン" 全ての世界、時間の王となる者』

 

──────赤き偽りの創世王は、高らかに宣言する。

 

 

 







次回、 ANOTHER TIME 2 : 『創世王』
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