仮面ライダージオウ 〜もう1人の魔王〜   作:ももももると

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事故で死んだ弟を蘇らせる為にアナザーゴーストとなったタツヤ、そしてそのタツヤを止めたいリュウト 仮面ライダージオウとの戦いは仮面ライダーゴーストの力を継承したジオウによる勝利で幕を閉じた。
そんな弟を助けられなかったという後悔に苛まれるタツヤを救ったのは消滅寸前に見せた弟、裕也の笑顔だった。
ビルド、ゴーストの力を継承したジオウとゲイツ達の前に新たなるレジェンドが姿を現す。

『変身コードは 5 5 5 携帯電話で変身するライダーは…』



「恨みの始まり 2003」

燃え盛る街 逃げ惑う人々 襲いくる怪物

 

最近見ていなかったから忘れていたが、またこの悪夢だ。

 

いつ見ても気分が悪い·····

 

それにしても今この夢を見て気づいたが·····

 

夢に出てくる怪物の中に、アナザーゴーストとアナザービルドが·····

 

「仮面ライダービルドとゴーストの力を受け継いだか、魔王?」

 

俺の前に姿を現れた黒い服の男の姿を見て、身体の動きが止まる。

 

この感覚····· どこかで·····!

 

「最低最悪の未来を変えようとしているが····· そうはさせない····· お前はオーマジオウになるのだ·····! その資格があるのだから」

 

「断る·····! 俺が·····そんな未来はぶっ壊す!」

 

リュウトの覚悟を聞いた男は盛大な高笑いをした

 

「そうか····· まあいい、これも王へと続く試練だ。お前が最低最悪の魔王ではなく、最高最善の王として生きようとするなら·····その邪魔をするだけだ。お前が歩む未来、楽しませてもらうぞ」

 

男の言葉と共に夢が途切れる·····

 

····················

 

······························

 

········································

 

··················································

 

····························································

 

「リュウトー 起きなさーい!」

 

下から聞こえる母の声によって、リュウトは夢の世界から現実へと意識を戻す。

 

「またあの悪夢か·····」

 

リュウトは項垂れながら枕元に置いてあったスマホを見た。

今日は土曜日。学校も無くどこかへ出る用事も特にない。

まだ眠い目を擦りながら部屋のカーテンを開けると眩い光が部屋へと入ってきた。

軽く背伸びをしながら大きな欠伸を一つすると、下の階へと向かう。

 

冷水を顔に浴び、だんだんと目を覚ましてきたリュウトはリビングへと向かい食事を取る。

次々と画面に流れるニュースを小耳に挟みながら食事を取っていると気になるニュースが聞こえてきた。

 

「続いては連続襲撃犯の続報です。 一昨日から連続している企業の社長襲撃事件ですが、遂に監視カメラがその姿を捉える事に成功しました。」

 

「社長襲撃事件·····?」

 

監視カメラが撮影したと思われる画像には、赤い光を放ちながら人を襲う様子と、凄まじいスピードでその場から去る様子の2つが映し出されていた。

なんと言ってもカメラに写っているその姿はどう考えても人間とは思えない

 

「アナザーライダー·····」

 

普通の人間ができることでは無い····· そう確信したリュウトはアナザーライダーによる犯行ではないかと睨んだ。

 

「こうしちゃ居られない·····!」

 

急いで食事を済ませ、服を着替えると共に家を飛び出す

 

「待て。」

 

家の前にはゲイツとツクヨミが待っていた

 

「なんでお前らここに!?」

「言っただろ····· 俺はお前が魔王にならないかいつでも監視していると」

「だからって家まで監視に来る必要ないだろ!?」

「そんなことより····· このニュース見た?」

 

ツクヨミは持っていたタブレットをリュウトへと見せる

そこには先程ニュースで見たのと同じ画像が映し出されていた。

 

「俺はアナザーライダーだと思ってる····· 普通の人間がそんなこと出来るはずない」

「私達も同じ····· それに、アナザーライダーが居るなら·····」

「3つ目のライドウォッチを継承するチャンスだ。」

「そういう事。」

「そうとなれば現場に行ってみよう!」

 

3人は直近の事件現場へと向かった

 

················································································

 

「ここでアナザーライダーが·····」

 

実際に襲撃された場所へと到着した3人は辺りの調査を行う。

 

「うーん·····何か残された訳でもないし、これじゃあ何のアナザーライダーかが分からない·····」

「ニュースだと赤い光を放ちながら って言ってた、つまり赤い光を放てる仮面ライダーって事?」

 

「恐らくアナザーライダーの正体は仮面ライダーファイズだ。」

 

物陰から逢魔降臨歴と書かれた本を片手にウォズが姿を現した。

 

「ウォズ!」

「貴方がどうしてここに·····!?」

「ツクヨミ君も久しぶりだね」

「ゲイツ達とウォズもやっぱり知り合いなの?」

「知り合いも何も·····こいつは俺達レジスタンスを裏切った奴だ!」

 

ゲイツはそう言いながらウォズを睨み付ける。

一方のウォズはまるで気にしていない様子。

 

「貴方はこのアナザーライダーのことを知ってるの?」

「知ってるとも。 アナザーファイズ、2003年の時代で戦っていた仮面ライダーファイズのアナザーライダーさ。見た所、連続して企業の社長を襲撃してるのを見るに会社に対して何らかの恨みがあるらしい····· と、この本にはこう書かれている。」

「つまり·····2003年に飛べば何か分かるってこと?」

「さぁね、ただ一つ分かるのはどの道 奴を倒すにはファイズライドウォッチの力が必要となる。」

「とりあえず2003年へ行ってみよう!」

 

「そうはさせない·····」

 

「我が魔王!」

 

何処からか飛んできた銃撃から、ウォズのマントがリュウト達を包み守った。

 

「チッ·····邪魔をするなよ·····!」

 

「誰だお前は!?」

 

「変身·····」

 

リュウト達を襲った男は、ガラケーの様な物へと9 1 3の番号を入力しベルトへと装填すると、黄色の眩い光を放ちながら謎のライダーへと姿を変えた。

 

「お前がアナザーファイズ·····?」

「アナザーファイズ·····? 乾の偽物か····· 違うな」

 

目の前のライダーは腰に装備していた武器を掴むと、近くにいたウォズやゲイツ達を跳ね除けリュウトへと襲いかかる。

 

「悪く思うな魔王、お前の邪魔をするように言われてるんだ·····!」

 

そう言いながら謎のライダーはリュウトの首を掴んだ

 

「く·····! 変身·····!」

 

隙を突き、何とかベルトへとライドウォッチを装填させて目の前のライダーを弾き飛ばすと、リュウトは仮面ライダージオウへと姿を変える。

 

「来い·····!」

「はああああ!!!」

 

ジカンギレードを取りだし、目の前のライダーが放つ一撃を剣身で受け止める。そのまま弾き返し、互いに睨み合いが数秒続いた後、今度はパンチとキックが飛び交う。

目の前のライダーが放つ一撃を捌きながら、ジオウをある事に気付く。どうしてだろうか時間が経つにつれて目の前ライダーの動きが鈍くなった気がするのだ。

 

「ジオウ!」

 

目の前ライダーの背後へと、変身したゲイツがジカンサックスと共に襲いかかり、謎のライダーは弾き飛ばされる。

 

「2対1····· 分が悪いな····· それに·····」

 

あの時のゴーストやビルド達と同じく変身が解けそうになっていた

 

「あの男の言う通り、アナザーファイズが存在するせいで力が安定しない·····! ここは引くとしよう」

 

そう言い残すと共に、男は消えていった。

 

「なんだったんだよアイツ!」

「彼は仮面ライダーカイザ、2003年で仮面ライダーファイズと共に戦っていたライダーだ。」

「アナザーライダーが存在するのに歴史が消えてないって事?」

「いや、彼の変身が解けそうだったのを見るに恐らく誰かが彼に仮面ライダーカイザのライドウォッチの力を渡したのだろう。アナザーファイズが存在するせいで長くは戦えないがね。」

「誰かが邪魔を····· まさか!」

 

リュウトの脳裏を今朝見た悪夢に出てきた黒い服の男の言葉が過ぎった。

 

「アイツが·····! おれの邪魔を·····」

「リュウト·····?」

「いや、なんでもない!それより2003年に行こう!何かわかるかもしれない!」

 

 

 

 

〜2003〜

 

「なんなんだよ!どこの会社も俺を落としやがって·····! あああもう!クソ!」

 

スーツ姿の男はベンチに座りながら頭を抱えていた。

 

「これで落ちた会社は30社····· 面接どころか書類送っただけで落としやがって! はぁ·····早く次の職場見つけないと今月生活できるかも怪しい·····」

 

男はカバンから通帳を取り出して残高を確認すると深いため息をついた。

 

「あーあ·····俺になんでもできる力があれば·····俺を落とした会社の社長や、今まで散々俺を見下して来た奴らに痛い目見せてやるのに·····!」

 

男があくびをしながらベンチから立とうとしたその瞬間、気づけば目の前でブランコで遊んでいた子供達の動きが止まっていた。

本来止まるはずのない……いや、止まれるはずのない角度で確かに動きが止まっている。

 

「おいおい····· 面接の疲れでとうとう幻覚が·····」

 

「幻覚じゃないよ。」

 

「誰だ!?」

 

後ろを振り返ると、少年が滑り台を滑り着地すると、男の目の前へと瞬間移動した。

 

「今、君と僕以外の時は止まってるんだ」

「だ、誰なんだあんた!」

「君は恨みのある人間を痛い目に合わせたいと思ってる····· 違うかい?」

「·····そうだ! 俺を首にした前の職場の上司や俺を虐めてた奴らに痛い目を見せてやりてえよ!」

「僕と契約すれば、その望みは叶う····· どうだい?契約するか?」

「その力があれば····· 本当に復讐できるんだな?やるよ·····やってやる!」

 

男は少年の持つ力へと手を伸ばす。自暴自棄になった男にとって、少年から与えられる力はチャンスなのだ、なんの躊躇いもなく少年との契約を望んだ。

 

「契約成立。」

 

少年は懐から取り出したアナザーライドウォッチを起動させると、男へと埋め込んだ

 

「な、な、な、なんだ·····この力·····! 体が·····うわああああああああ!!!!」

 

 

『ファイズ·····!』

 

 

「おめでとう、歴史が変わって今日から君が仮面ライダーファイズだ!」

「俺が····· ファイズ·····!」

 

アナザーファイズとなった男はベンチを掴むと引っこ抜き、近くの車へと投げ捨てる

ベンチが直撃した車は大破し、油が漏れ始め引火すると公園付近で大爆発を起こした

突然のことに驚き逃げ惑う親子達、泣きながら許しを乞う親子もいた

 

「この力があれば·····! 今まで積み重ねた恨みを·····!」

 

アナザーファイズは燃え盛る公園を尻目に目にも止まらぬスピードでその場から去った。

 

「遅かったか·····!」

「アナザーファイズは既にどっかへ行ったみたい····· それにしても酷い有様·····」

 

2003年へと到着したリュウト達。

しかし時すでに遅し、アナザーファイズは誕生していた

公園は既に消火されていたが車が爆発した跡等が現場には残っていた。

 

 

〜2019〜

 

「結局、ファイズライドウォッチについては分からないままかぁ·····」

「そんなことよりまずはアナザーファイズの被害を増やさない事が大切でしょ!」

「そうだけどさあ〜 ファイズライドウォッチがないんじゃ出来て撃退する事位だし·····」

 

「アナザーライダーと本来の力を持つものは惹かれ合う、待っていれば必ずファイズライドウォッチを持つものが現れるさ」

 

「うぉ!びっくりした! いっつもどこから出てきてんの·····」

「それより我が魔王、君はあの仮面ライダーカイザが現れたことに何か心当たりがあるのでは?撃退した後に何か引っかかっていたが。」

「いや·····別に大した事じゃないよ」

「何だか怪しいな····· 言え。」

「だから大した事じゃないって·····」

 

「きゃああああ!!!!」

 

リュウト達の元へと突如、女性の叫び声が聞こえてきた

 

「アナザーファイズかも、行くよ!」

「ああ」

 

「あ、あなたは·····!」

「久しぶりだな、16年前 アンタが面接で落とした男だよ!」

「お、覚えてないわよ!16年も前の事なんて!」

「あんたは覚えてなくても····· 俺は覚えてんだよ!」

 

『ファイズ·····』

 

アナザーファイズライドウォッチの力が男を包み、男はアナザーファイズへと姿を変える

 

「あれがアナザーファイズ! 行くよ!ゲイツ!」

「お前に言われなくても分かっている!」

「「変身!」」

 

『ライダータイム 』

仮面ライダー ジオウ!

仮面ライダー ゲイツ!

 

「その人から手を離せ!」

 

ジオウのジカンギレードによる斬撃がアナザーファイズへと命中し、アナザーファイズは仰け反る

 

「ジオウ!退け!」

 

『クローズ! ギワギワシュート!』

 

ジカンザックスの弓モードから放たれた龍の力がアナザーファイズへと命中し吹き飛ばされると、アナザーファイズから男の姿へと解除された

 

「クソ····· なんだよ·····こいつら·····!」

「ライドウォッチをこっちに渡せ!」

「ライドウォッチ·····? これか·····?」

 

男は近くに落ちていたアナザーライドウォッチを掴む

 

「本当に邪魔しかしないね、オーマジオウ。」

 

カチッという音と共にジオウとゲイツの動きが止まった

目の前には止まった時間を悠々と歩く少年の姿があった

 

「タイムジャッカーか!」

「なにこれ!?体が動かない!」

「アナザーファイズを簡単に失う訳にはいかないんだよね」

 

少年はアナザーライドウォッチを起動させると、男へと再び埋め込んだ。

 

『ファイズ·····』

 

アナザーライドウォッチの力に包まれ再び姿を現すアナザーファイズ。

ジオウとゲイツの体が自由に動く頃には既に少年とアナザーファイズの姿はなかった。

 

「逃げられた·····!」

 

 

 

〜数日後〜

 

時計の針は18時を指し、空は茜色に染まっていた

街は帰宅をしようとスーツ姿の大人や学生達が歩いている。

なんとも平和な光景だ

数日前まで連続して起きていた企業社長連続襲撃事件はいつの間にか被害が無くなり、少しずつ警戒も薄れていた。

いつものように会社を跡にし帰路につく男性が1人。

家に帰ったら何をしようか····· そんなことを考えながら高架下のくらい道を歩く。

ここの辺りは治安はまだいい方だが、特にこの高架下は人通りが少なくとても薄暗い。

ここを通る際はいつも無意識に早足になる·····

それにしても·····

 

先程から後ろをつけてくる男が気になって仕方ない·····

 

「沢木 順一郎·····」

 

突然名前を呼ばれ、脚が止まる。

「君は·····誰だね·····? なぜ私の名前を·····!?」

「お久しぶりです。 忘れましたか? 岩田ですよ。岩田隆太····· 」

「岩田·····? 」

 

どこかで聞いた名前だが何故か心当たりがある

なんだっただろうか····· 思い出した·····!

 

「あ、思い出しました? そうです····· アンタに会社をクビにされた岩田だあああああああ!!!!」

 

『ファイズ····· 』

 

激昴する男の姿はいつの間にか怪物のような者へと変わっていた

 

「う、うわああああああああ!!!!」

カバンをその場に落とし逃げようとする沢木

「逃がすか·····!」

 

アナザーファイズは目にも止まらぬスピードで、逃げようとする

沢木の前へと移動した。

「俺はこの16年間·····アンタにいつか復讐しようと思ってた·····! アンタに会社をクビにされ····· 職を失った! この力で·····アンタを殺す·····!」

「わ、わ、わ、悪かった! 岩田君·····! 辞めてくれ!」

沢木のクビを掴むアナザーファイズ。

少しずつ掴む力が増し始め、沢木の顔色は段々と青ざめていく。

「終わりだ。あんたは·····」

掴む力を更に強めようとしたその瞬間·····

 

「その手を離せ、化け物。」

 

突然声をかけられ沢木を掴んでいた手が緩み、沢木は力なくその場へと倒れ込んだ。

 

「誰だ·····お前は·····?」

 

アナザーファイズは声をかけてきた男へと問いかける

 

「俺か? ただのクリーニング屋だ。」

 

 

 

 




アナザーファイズを倒す為に必要なファイズライドウォッチを探すジオウ達。
そんな中、リュウトはアナザーファイズと交戦中の男と出会い、その男がファイズである事を知る。
果たしてリュウト達はアナザーファイズを撃破できるか

次回 「疾走する本能 2019」
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