魔法科高校の劣等生 Missing_number   作:イオハ

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投稿予定日から五日も遅れてしまい申し訳ありません。

入院って症状にもよりますけど、とても辛いですね……。
入院してから二日は身体動かすのも億劫でした。

それはそれとして、急ピッチで執筆したので誤字があるかもしれません。


ご了承ください。

あと、勢いで書いたため普段よりちょっとだけ文字数多いです。
中身は薄々かもしれませんが……。


Missing No.1-5 模擬戦と拉致

 兼と摩利が騒いでいることを除けば模擬戦の準備は(つつが)なく進んだ。

 服部先輩はリストバンド状のCADを、達也は拳銃型のCADを装備し定位置に移動する。

 審判役をするからここから離れろと摩利に言われたため、渋々問い詰めるのを中断した兼が真由美たちの方へ向かう。

 

「……結局はぐらかされてしまった。」

「見てて面白かったわよ?」

「そりゃ当人たちでなければあの光景はさぞ滑稽でしたでしょうね……。」

 

 七草先輩にからかわれるものの、反応する気力もない兼は疲れたと言わんばかりに溜息をつく。

 

「私も貴方とはお話したいと思っていたのよ。」

「え、俺と七草先輩はこれと言って繋がりはないですよね……?」

「まあまあ、詳しいことはこの模擬戦の後にね?」

 

 渡辺先輩に続いて七草先輩先輩にもはぐらかされてしまった。

 とはいえ目の前の模擬戦に集中するべきなのもまた事実。聞きたいことが山ほどあったが一旦保留して、達也と服部先輩に視線を向ける。

 二人とも準備を終え、すでに定位置にいる。後は試合開始の合図を待つばかり。

 

「ねぇ、四々舞君。どっちが勝つと思う?」

 

 とても気さくに七草先輩が話しかけてくる。ここで深雪じゃなく兼にどちらが勝つかを聞いたのはこの中で一番中立的、というより二人の実力を知らないだろうから聞いたのだろう。

 深雪だと兄が勝つと断言するだろうし、七草先輩達も服部先輩の実力を知っているが故にどうしても服部先輩のほうに意見が偏るのだろう。

 威厳(?)をもって話しかけてくるのではなく、気さくにそして砕けた感じに話題を振ってきたことに疑問を少々抱いたが、その疑問は一旦頭の隅に置き、七草先輩の質問に答える。

 

「そうですね……。達也が勝つんじゃないですか?」

「どうしてそう思うの?」

「この試合を提案したのって達也なのでしょう? なら、勝算があるから吹っ掛けたんだと思いますよ。」

「その勝算というのがどのようなものかわかる?」

「さすがにそこまでは……。そういえば彼は実技が得意ではないって言ってましたので魔法以外の部分で初見殺しの技を持っているのかもしれませんね。」

「なるほどね……。」

 

 二科生の、しかも問題児として悪名を轟かせている兼の意見を真面目に受け止める七草先輩。

 憶測で物を言っているが一応筋は通っているように聞こえるからだろうか。

 ちなみに、達也が模擬戦を使用と提案したことは渡辺先輩から二人で騒いでいる時に聞きました。

 

「でも魔法の発動のほうが速いとはいえ、近接格闘による攻撃ははんぞー君も警戒していると思うけど、その所どうお考えで?」

「さすがに達也も馬鹿正直に近づいて殴る蹴るはしないんじゃないでしょうか? 先輩の言う通り基本的に魔法を発動させる方が体を動かすより早いですし。」

 

 なお、例外として至近距離だった場合は人にもよるが格闘戦のほうが速かったりする。前日の諍いの時のエリカがいい例だ。

 

「じゃあ達也君は何を隠し持ってると思う?」

「うーん……。俺がこの状況で欲しい技術と言えば瞬歩等の意表を突くタイプの身体操作技術ですかねぇ。達也がそれを持っているかどうかは知らないですけど。」

 

 ぶっちゃけほぼ答えを言っているようなものです。本当にありがとうございます。

 誘導尋問をされている気がしないでもないが、この際気にしないでおこう。下手に反応すると七草先輩にまで玩具にされてしまう。

 達也たちを見ると今は渡辺先輩によるルールの確認をしている途中だ。つまり、もうすぐ始まる。

 

「――このルールに従わない場合は、その時点で負けとする。あたしが力ずくで止めさせるから覚悟しておけ。以上だ。」

 

 両者ともに頷き、五メートル離れた開始線で向かい合う。後は合図を待つばかり。

 待つこと十数秒。演習室が静寂に包まれ、服の擦れる音がやたら大きく聞こえる。

 

「始めっ!」

 

 服の擦れる音すらしなくなった完全なる無音の状態になった瞬間、摩利の開始の合図が演習室内に木霊(こだま)する。

 服部は淀みなくCADに指を走らせ起動式を展開し、達也を標的に魔法を発動させようとする。

 対する達也は人が出していいのか疑問なレベルの速度で服部に肉薄する。

 そのあと彼の背後に接近するのと同等の速度で移動し、魔法を発動する。

 決着は十秒もせずについた。

 

「……勝者、司波達也。」

 

 摩利による勝ち名乗りは、驚き故か控えめだった。

 現代魔法師の模擬戦は魔法の特性上、早く魔法を発動させた方が勝ちやすい傾向なため、短期決戦が多い。

 しかし、初めて模擬戦を見るとはいえ今回の模擬戦はあまりにも早すぎるのではないか思う。

 それに加えてあの人間離れした動きだ。ギャラリーは驚くしかないだろう。

 達也は軽く礼をし、自分のCADを格納していたケースに向かって歩いていた。

 

「待て。」

 

 呆気に取られていた摩利が冷静さを取り戻し、達也を呼び止める。

 

「今のは、あらかじめ自己加速術式を展開していたのか?」

 

 そんなことがないとわかっていても聞かずにはいられなかった。

 ギャラリーとは違い、摩利は二人の相子(サイオン)の流れをじっくりと注視していたからだ。それも手に持っているCAD以外にも隠し持っている可能性を考慮した上でだ。

 

「そうでないことは、先輩が一番理解していると思いますが。」

「わたしも証言します。あれは、兄の体術です。兄は、忍術使い・九重八雲先生の指導を受けているのです。」

 

 九重八雲という名は対人格闘に長じる摩利には有名すぎる名前だった。その手の情報に詳しくない真由美たちでも知っていることからビッグネームである事がうかがえる。

 

「君は本当になんというか……規格外だな。」

 

 摩利のその一言がここにいる人間――達也本人と深雪を除く――の心境を表していた。

 服部の背後に回った技術に関しての種明かしは終わったが、服部を昏倒させた魔法に関しての種明かしが終わっていない。

 しかし種は勿体ぶることなく明かされる。

 サイオンの波動、波の合成、ループキャスト、シルバーホーン、多変数化等々。

 自分の魔法力の低さをCADで補っていることや魔法力の評価としてはずれている部分で技能が突出していることが明かされた。

 

「……テストが本当の能力を示していないとはこういうことか」

 

 気を失い、壁を背にして座らせていた(兼が摩利に先輩権限でやらされた)服部が、呻き声をあげながら半身を起こしていた。

 その後に服部が真由美と鈴音に弄られるという一幕があったものの、服部が自分の非を認め深雪に謝罪し和解した。

 

 

 

 

   ◇     ◇     ◇

 

 

 

 

「さて、色々と想定外のイベントがあったが、当初の予定通り委員会本部へ行こうか。」

 

 事務室にCADを預け直し、達也が再び訪れると、摩利に腕を捕られていた兼の姿があった。

 

「あのー…。どうして俺は渡辺先輩に捕まってるのでしょうか」

「そりゃ君に逃げられないようにするためさ」

 

 摩利の言い分だと、放課後に生徒会室に来なかったことに不満があるようだった。

 確かに来いと言われてたから、行かなきゃなーとは思ってましたよ?

 ただ模擬戦があったから、タイミング次第ではすれ違いそうな気がしたんだよね。

 

「いやぁ……。行こうとは思っていましたよ? ただ、その前に誰かが模擬戦やってないかなーって軽く除きに行ったんですよ。」

「で? 演習室前で待機してたら眠くなったので目を閉じたらそのまま寝ちゃったということか?」

「せ、先輩? すごくいい笑顔ですけど目が笑ってないですよ?」

 

 先輩が怒るのもわかる。約束を反故にされたのだからそれも当然だろう。

 

「で、でもタイミング次第じゃ俺が生徒会室に行っても誰もいなかったかもしれないじゃないですか。」

「それは結果論だ。約束を破っていい理由とはならないぞ!」

 

 摩利が兼の腕をつかむ力を強める。地味に痛い。

 何とか振り払おうとするもびくともしない。

 

「先輩! 痛い! 痛いですって!」

「痛くしているのだ。当然だろう。この程度で済んでいるのだからありがたく思え!」

 

 摩利が腕に入れている力を緩める。が、腕は放してくれない。

 兼は諦めて摩利に腕を掴まれたまま風紀委員会本部まで連行された。

 そしてその後ろでは、達也が溜息をつきながら二人の後を追うのだった。

 

 

 

    ◇    ◇    ◇

 

 

 

「ここが風紀委員会本部だ。少し散らかっているが、まあ適当に掛けてくれ。」

 

 この言葉は達也に対して発した言葉である。兼は未だに摩利に腕を掴まれたままだ。

 しかし、適当に掛けてくれと言われたが、この部屋は座る場所自体はあるものの長机の上は書類や本やCADなどで埋め尽くされている。

 綺麗に整頓されていた生徒会室を見た後にここを見ると少しという表現に少し抵抗があった。

 

「……委員長。ここを片付けてもいいですか?」

 

 どうやら魔工技師志望の達也にとって整理整頓されずに乱雑に放置されているCADなどが我慢できないようだ。

 

「俺も片づけを手伝うのでそろそろ放してもらえませんかね……もう逃げませんから。」

「……いいだろう。この量を捌くには一人では大変だろうからな。」

 

 頭数に摩利がカウントされていないのはつまりはそういうことなのだろう。

 渋々といった感じではあるが、摩利は兼を掴んでいる手を放す。

 これを機に俺と達也は整頓を開始する。

 達也は書類の仕分けを中心に、兼はCAD周りを点検しつつ書類を整頓していく。

 

「こういうのは苦手でな……整理整頓がしっかりできる者が委員会入りしてもらえるのは大歓迎だ。」

 

 摩利は開き直ってしまった。

 

「そういえば、君をスカウトした理由だが……そういえば、さっきほとんど説明してしまったな。未遂犯に対する罰則の適正化と、二科生に対するイメージ対策だ。」

「覚えていますが、イメージ対策の方はむしろ逆効果ではないかと。」

 

 書類の整頓と本の整理を終え、兼の端末とCADの整理に合流する。

 兼の整頓能力は人並みで整頓は進んでいるものの、達也に比べれば遅いものだ。

 そこに達也が合流することであっという間に端末とCADの整理が進んでいく。

 

「確かに、ある程度の反感はあるだろうな。しかし、その対策は考えている。」

「対策というのは?」

「君の隣にいる人物だよ。」

 

 そう言って摩利は兼を指差す。

 

「……はい? え、渡辺先輩それは一体どういうことですか?」

「そのままの意味だ。四々舞にも風紀委員入りしてもらう。」

「初耳なんですけど!」

 

 なぜこんなことになったのか意味が解らない。

 そもそも風紀委員の枠の残りは生徒会選任枠と教職員推薦枠の二つしかなかったはずだ。

 

「生徒会選任枠は達也なのでしょう? 教職員推薦枠も二科生の俺が選ばれることは考えにくい。どの枠で俺を風紀委員に任命するつもりだったのですか?」

「確かに、教職員推薦枠には君たちと揉めてた森崎が入ることになっているな。」

 

 その言葉にCADを棚に片付けていた達也が驚きの表情をする。

 摩利はその顔を見て少し意地の悪い顔になったが、すぐに元の表情に戻る。

 

「昨日、騒ぎを起こしたことも考えると推薦取り下げもできたが、もう片側の当事者の君を風紀委員入りさせるんだ、向こうだけ取り下げるのも不公平というものだろう?」

 

 これはわかる。だが、兼の枠は一体どうなっているのかを聞きたい。

 

「それで兼はどの枠で風紀委員入りするかだが、風紀委員長選任枠だ。今年から一年生限定で素質のあるやつを風紀委員長である私の一存で任命するという枠だ。」

「……その枠で達也を入れるという選択肢はなかったのですか?」

「それも考えたが、四々舞も十分素質はあると睨んでいたからな。おまけに四々舞家の武術を修めている。荒事向きだとは思わないかい?」

 

 摩利はそう笑顔で語る。言ってることは分からないでもない。ただ、風紀委員長選任枠なんてものがあるなんて……想定外だ。

 

「……拒否権はありませんか?」

「ないわけではないが、君にもいい話だと思うのだがね。君の噂は私の耳にも入ってきている。だから、風紀委員として真面目に活動していたら噂の方も払拭できるのじゃないか?」

 

 悪い話ではない。兼の任務は達也と深雪の護衛だ。達也と深雪の近くで活動できる口実があると言うのは悪くない。

 行動が制限されるかもしれないが背に腹は代えられないか……。

 

「……わかりました。同級生らに噂をどう捉えられようが構いませんが、教員には良い印象を持ってもらうことに越したことはありませんからね。」

「君なら承諾してくれると信じていたよ。因みに、風紀委員をやったからといって学校外での高評価には繋がらないからな?」

「わかってますよ、風紀委員が名誉職だということは。承諾に関しては俺も達也同様に選択にが無かったように感じましたけどね……。」

 

 肩を落としつつ端末の整理をする兼。

 達也はそれを見て苦笑する。

 

「互いに頑張ろう、兼。」

「……ああ。改めてよろしくな、達也。」

 

 兼の中で、摩利の被害者の会がここに結成したように感じていた。




読んでいただきありがとうございます。

突然のアクシデント対策に早めに書き上げるように心掛けたほうがいいかもしれないのですかねぇ……。

それはそれとして

お気に入りやUA感謝です。


次回投稿予定日は来月18日、前回の投稿予定日から一か月後を予定しています。
気長にお待ちしていただけるとありがたいです。
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