クラスの副代表を掛けた決闘からはや数日が経ち、一夏の隣には何時もと変わらず本音や相川達が居り、共にお菓子を食べたり談笑したりと楽しんでいた。
一方でオルコットはと言うと、あの決闘での勝敗に納得できず再度決闘を申し込んだが、千冬から
「何度挑んでも結果は変わらんと思うぞ。それより貴様、此処最近成績が落ちているだろが。決闘なんか申し込んでいる暇があるなら、補習時間に当てた方がお前の為になる」
と睨まれたながら告げられ、絶望的な表情を浮かべるセシリアであった。。
さて、そんな一夏はと言うとメサと共にとある場所へと向かっていた。
「えっと、お姉ちゃんに教えてもらった場所は…」
【あ、坊ちゃま。此処みたいですよ('ω')ノ】
そうメサがプラカードを見せると、一夏は顔を上げ表札を見る。其処には
[家庭科室]
と書かれていた。
「あ、此処だったんだ」
【その様ですね。では鍵を早速】
そう言いメサは何処からともなくタグ付きの鍵を扉に挿してロックを解除する。そして二人は中へと入って行く。
中には調理実習の机などが並んでおり、フライパンなど調理道具が色々と置かれていた。
一夏は一つの机に着くと背負っていたカバンからエプロンと三角巾を取り出し身に付けて行く。
メサは自身のお腹についている冷蔵庫から色々な材料を取り出しては机の上に置いて行く。
【坊ちゃま、全ての材料を出し終えました】
「あ、ありがとうございます。それじゃあ始めましょうか」
そう言い一夏はメサが出した材料を手に取っていく。
それから暫くして
「で、出来た」
そう呟く一夏の前には色とりどりのクッキーが詰まった袋があり、中には普通のクッキーからジャム、レーズン入り、チョコと多種多様だった。
「ほ、本音さん達喜んでくれるかな?」
【無論喜んで下さりますよ! なんたって坊ちゃまが手作りされたクッキーでございます。わたくしでしたらヒャッハー!!(≧▽≦)しながら喜びます】
メサのプラカードに一夏は苦笑いを浮かべながら小分けにした袋をカバンの中に仕舞って行く。
(何かと本音さんや相川さん達に色々お世話にもなってるし、迷惑かけたかもしれないから、お礼にと思ってクッキーを焼いたけど、喜んでくれるかな?)
一夏はそんな心配を抱えながら道具などを元あった場所に戻し、家庭科室から出て行く。
家庭科室から出て暫く歩いていると生徒達がざわざわと慌てた様子で走り回っていた。
「ど、どうしたんでしょうか?」
【さぁ? 何かあったのでしょうか?(。´・ω・)?】
一夏とメサは首を傾げつつも寮へと向かって足を向けていると、同じクラスの夜竹と谷本が困惑した表情で話し合っていた。
すると2人は一夏に気付きおぉ~いと声を上げながら手招きをする。
「ど、どうしたんですか?」
「うん、実はさっきアリーナで喧嘩があったらしいの」
「で、聞いた話じゃウチのクラスに転入してきたボーデヴィッヒさんが当事者だって聞いてね。もしかしたら織斑君が巻き込まれたんじゃッて話し合ってたの」
「そ、そう、でしたか。あの、僕は大丈夫です。さっきまで家庭科室に居たので」
「家庭科室? どうしてまた?」
「あの、その……」
夜竹の問いに一夏は照れた表情を浮かべ、あうぅぅ。と黙り込んでしまう。
【日頃から坊ちゃまに付き添って下さる布仏様達にお菓子を作ってあげていたのです。(・∀・)】
「あ、そうだったの」
「良かったぁ」
2人はホッと一安心していると、メサが2つの小さな小袋を差し出す。
「これは?」
【坊ちゃまが御作りになられたお菓子の材料の余りで作ったお菓子でございます。クラスメイトとして坊ちゃまの事を心配してくださったお二人に対する私からのささやかなお礼の品でございます】
そうプラカードを見せられ二人は、それはどうも。とお礼しつつ小袋を受け取る2人。
「そ、それじゃあ僕、部屋に戻ります」
「あ、うん。また明日ね」
「ばいばい、織斑君」
そう言い4人は其処で別れ、一夏達は寮へと帰って行き残った夜竹と谷本はメサから手渡された袋の口を開けさっそくお菓子を口にした瞬間、そのうまさに心の中にあった何かが折れたような感覚を受けながら両ひざが自然と崩れ落ちた。
さて、夜竹と谷本が話していた喧嘩。これは一夏とメサが家庭科室で料理を作り始めるころまで時間が遡る。
~第1アリーナ~
この日、第一アリーナには珍しく鳳とセシリアが対峙していた。双方が何故対峙しているか、その訳は
「なんで、アンタの成績上げの勉強にアタシまで巻き込まれなきゃいけないのよ! 一夏に会いに行く時間が減ったじゃないの!」
「そんな事知りませんわ! わたくしも鬱憤が溜まっておりますわ!」
そう、実はセシリアのみならず鈴も千冬の補習授業を受けさせられていたのだ。
鈴も此処最近成績が落ち始めており、2組の担任がどうしたものかと悩んでいた時に千冬に相談した結果、セシリアとの合同補習授業に強制参加させられたのだ。
結果、2人は一夏に
「思いっ切り本気でやってやる!」
「それは此方もですわ!」
2人はそう叫び戦おうとした瞬間、2人の間にキャノンが撃ち込まれた。2人は撃たれた方に顔を向けるとキャノンを二人に向けるボーデヴィッヒが居た。
「なによ、いきなり!」
「そうですわ! 突然何なんですの!」
「お前達が戦おうとしていたから私も交ざろうとしただけだ」
「だからっていきなり攻撃するのは可笑しいでしょうが!」
「ふん、戦場では何時何処から攻撃されるか分からない。だからお前達に教えてやったんだ」
嘲笑しながら二人に告げるボーデヴィッヒに鈴とオルコットは怒りの表情を浮かべ武器を構えようとした瞬間
「何をしている、貴様らぁ」
とドスの利いた声が響き、3人はガタガタと震えながら声のした方に顔を向けると殺気全開の千冬が其処に立っていた。
「とりあえず貴様等、ISから降りろ」
千冬の命令に3人はすぐさまISを解除する。そして3人の前に千冬は威圧感を放ちながら立つ。
「もう一度聞くぞ、何をしていた?」
「あ、あの、その…」
「か、彼女と、も、模擬戦をしようとしたら、彼女が急に絡んできて…」
「わ、私は模擬戦に交ざろうとしただけで…」
千冬からの問いにオルコットは上手く話せず、代わりに鈴が説明しボーデヴィッヒも答える。
「なるほど。で、貴様らは模擬戦の許可はとっているのか?」
「わ、私は管制室にちゃんと言いました」
「そうか。で、貴様は?」
鈴は許可を取ったと言うと、千冬は鈴からボーデヴィッヒの方に目線を向ける。その視線にボーデヴィッヒは体を振るわせながら口を開く。
「と、取っておりません」
「ほぉう。許可なく交ざろうとしたか」
威圧する千冬に3人は恐怖から身を強張らせながらジッと固まる。
「さて、本来模擬戦は許可ある者だけが行える。途中参加する場合、模擬戦が終わるまで待機し終了後管制室に居る教師に許可を貰わねばならない。規則にはそう書いてあったはずだよなぁ、貴様ら?」
「「「は、はい」」」
「それで、貴様等は2人しか申請していないにも関わらず3人で模擬戦をしようとした。違うか?」
「そ、それは…」
「まぁいい。規則違反で貴様等全員をぶちのめせばいいんだからな」
「「「え゛っ!?」」」
千冬から告げられた宣告に3人は顔面真っ青になる。
「が、今回鳳とオルコットは巻き込まれたとして軽い罰則で済ませてやる」
そう言い千冬は何処からともなく出席簿を取り出し鈴とオルコットの頭をしばく。
「あだっ!?」
「ギャン!??」
千冬からの仕置きに2人はしばかれた頭を抑えながら蹲る。そして千冬はボーデヴィッヒの方に顔を向ける。
「ボーデヴィッヒ、貴様は反省房行きだ」
「な、何故自分だけ反省房行きなのですか!?」
「当たり前だ。貴様、こいつらが模擬戦をしようとした所に攻撃したらしいじゃないか」
「そ、それは…」
「言い訳は不要だ。大人しく拘束されろ」
「で、ですが!「反抗するか。宜しい、ならば強硬手段だ」えっ、どうガハッ!!??」
言い訳を続けようとするボーデヴィッヒに、千冬はボーデヴィッヒの鳩尾に思いっきり拳を叩き込む。ボーデヴィッヒは突然の激痛に前のめりで倒れて行き、ピクピクと痙攣をおこす。
2人はガクガクと震えそっと千冬の顔を見るが、その顔は真顔でボーデヴィッヒを見下ろしていた。そして2人の視線に気付いたのか、目だけをギロッと向ける。
「「ヒッ!?」」
悲鳴を上げる2人に千冬は何もすることなく倒れているボーデヴィッヒの首根っこを掴むと引き摺りながらピットに繋がる扉へと向かっていく。千冬が去った後、オルコットと鈴は暫しその場から動けずにいたのだった。
因みに千冬に連れて行かれたボーデヴィッヒは反省房に叩き込まれ(物理)、暫くその姿を見たものは居なかった。
次回予告
何時もと変わらず本音達と談笑する一夏。そんな中にデュノアが混ざってくる。
デュノアに対し不信感を持つ一夏に本音はそっと相談に乗る。
次回
本音のお悩み相談~イッチーのお悩みを解決だぁ!~