女性恐怖症の一夏君 IFルート   作:のんびり日和

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12話

アリーナでの喧嘩未遂事件から数日が経ったる日。

 

「では諸君、本日のSHRを始める。まず初めに、今度行われる学年別トーナメント戦なんだが、内容が変更された為知らせる」

 

千冬からの報告に生徒達は首を傾げながら隣に座っているクラスメイト達の顔を見合わせる。

 

「織斑先生、それで変更というのはどんなものなんですか?」

 

「うむ。今年から試合の方式を変え、タッグマッチでのトーナメント戦となる事が決まった。変更する理由は今年は第3世代型のISを持った代表候補生が多い為、データ収集と次のモンドグロッソで実際にタッグマッチの試合形式は使えるかどうかの見極めの為だ」

 

「そ、そうなんですか」

 

千冬からの説明に生徒達は驚きと若干興奮した様子を見せる。

次回のモンドグロッソに組み込まれるかもしれない試合形式に自分達が先行して参加できるのだ。

だからこそ生徒達は興奮が抑えきれず隣の生徒達と私語を始めてしまう。

その様子に千冬はパンパンと手を強くたたく。

 

「静かにしろ! タッグマッチのルールについては後日詳細の書かれた書類を配る為、それまでに誰と組むかよく考えて話し合っておくように。それと、当日までにタッグが決まらなかった場合は抽選で決まる為注意するように。ではSHRは以上とする。織斑挨拶を」

 

「は、はい。起立、礼、着席」

 

一夏の号令に生徒達は挨拶すると、千冬達も同様に一礼した後教室から出て行く。2人が出て行った後生徒達は千冬が言っていたタッグマッチの事を話題に談笑を始め、一夏も本音と相川達と同様の話題で談笑をしていた。

 

「いやぁ、楽しみだねぇタッグマッチ戦」

 

「そうだね。織斑君は本音と出るの?」

 

「ま、まだどうするかは…」

 

「私もちょっとお悩み中~」

 

「そっかぁ。まぁ、まだ希望票は配られてないし、その時までに考えたらいいもんね」

 

そう談笑する4人。すると

 

「ちょっといいかな?」

 

と笑顔を浮かべながら近付いてくるデュノア。相川と鷹月はいいよいいよ。と笑顔で答えるが、一夏は以前と同様に若干警戒した様子を見せ本音はその姿に首を傾げつつもその様子を見守る。

 

「それでどうかしたの、デュノア君?」

 

「うん、織斑君に用があってね」

 

「な、何でしょうか?」

 

「朝先生が言ってたタッグマッチの事なんだけど、よかったら僕と組まないかな?」

 

突然のタッグの申し込みに相川や鷹月達は少し驚いた表情を浮かべていた。

 

「あ、あの、すいません。まだ、悩んでいるので…」

 

「でも早めに決めておいた方がいいと僕は思うんだ。タッグとなったら一緒に連携の練習やらいろいろあるし」

 

そう言い食い下がるデュノア。デュノアの様子を見つめていた本音は、デュノアの必死な様子に疑問を浮かべながらも、これ以上は一夏の迷惑になると思い口を開く。

 

「ディッチー、そろそろ授業が始まるし席戻った方がいいと思うよぉ」

 

「えっ? で、でもッ!? わ、わかったよ。戻るね」

 

そう言いデュノアは足早に自分の席へと戻って行った。その時デュノアの顔は真っ青に染まっていた。

相川と鷹月は気付いていなかったが、本音と一夏はどうして青くなったんだろうと思い首を傾げいた。

 

 

 

デュノアが顔を青くさせた理由、それは

 

【さっさと自分の席に戻れ。コロコロされたいのか?(#・∀・)】

 

と扉の窓からプラカードを見せるメサが居たからである。

その後も何度かデュノアは一夏の所に行こうとしたが、扉の窓から覗くメサから睨まれすごすごと引き返すのであった。

そしてお昼休み。

一夏は何時もと変わらずお弁当をカバンから取り出し席から立ち上がると、

 

「あ、イッチーちょっと待ってぇ」

 

隣の本音は一夏にそう言うと相川達の元に駆け寄って行く。

 

「きよきよぉ。私とイッチーで場所取ってくるから、お弁当お願いしても良いぃ?」

 

「別に良いわよ。何時もの日替わり花丸弁当で良いのよね?」

 

「うん。じゃあ宜しくぅ」

 

そう言い本音は一夏の元に戻り、一緒に教室から出て行く。

 

2人と一体は人が余り集まっていないベンチを探し、木洩れ日が差し込んでいるベンチを見つけ其処に座る2人。

座って暫くするとそっと本音が口を開く。

 

「ねぇねぇイッチー」

 

「は、はい、何でしょうか?」

 

「今からお悩み相談しようと思いまぁす!」

 

「はい?」

 

突然のお悩み相談しますと言う本音に一夏はコテンと首をかしげる。

 

「うん。ほら、朝デュッチーが話しかけてきた時なんか難しい顔浮かべてたじゃん。どうしたのかなぁと思っちゃってさぁ」

 

「そ、そうでしたか」

 

本音からの申し出に一夏はどうすべきだろうと暫し思案するのであった。そして暫くして一夏はデュノアに対して抱いていた疑問を零す。

 

「じ、実は、デュノアさんって本当に男の人なんだろうかって、思ってて」

 

「デュッチーがぁ? どうしてそう思ったのぉ?」

 

「その、あ、あの人の目が何か変というか、その、僕を見る目が何か怖いんです」

 

そう言う一夏は少し怯えた表情を浮かべ、本音はそっかぁ。と零しながらギュッと一夏の手を握りしめる。

 

「大丈夫だよぉ、イッチー。話してくれてありがとうね」

 

そう優しく声を掛けると、一夏はコクリと頷く。

それから暫くして相川達がやってきてお昼を食べるのであった。

その日の夕方。本音は寮の自分の部屋である考え事をしていた。

 

(お昼頃にイッチーから聞いた事。調べた方がいいかなぁ)

 

そう思いながらトッポをポリポリと食べる本音。暫くトッポを口にしていた本音はふとある事を思い出す。

 

(そう言えばディッチーが初めて教室に来た時も織斑先生、なんか鋭い目でディッチーの事見てたようなぁ。うぅ~ん、明日織斑先生に相談してみよぉっと)

 

そう思い本音は残ったトッポを食べ切り鞄に明日使うノートや教科書を入れるのであった。




次回予告
翌日も一夏にタッグを申し込んでくるデュノア。本音は其処まで頑なにタッグを組もうとするデュノアに一夏の相談の事を含め疑問を抱き千冬に相談に向かう。

次回
疑念

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