本音が千冬に相談した次の日の放課後
「そ、それじゃあ本音さん、また、明日」
「うん、また明日ぁ。あ、社長さんによろしくいっと言ってぇ」
「う、うん」
そう言い一夏はカバンを背負い教室から出て行く。無論その後にメサも続いて。
一夏は昨日突如Mr.Kから電話がかかってきて、その内容が
『明日織斑君の実力を少し身をもって拝見したいので、お伺いしてもよろしいですか?』
と聞かれた為、大丈夫です。と一夏は答えMr.Kに逢いに行ったのだ。
一夏が出て行った後本音もカバンに教科書などを仕舞い終え出ようとすると
「あの、布仏さん。ちょっといいかな?」
「なに、デュッチー?」
と申し訳なさそうな顔で声を掛けてきたのはデュノアであった。
「織斑君は何処に行ったのかな?」
「イッチーだったら今日は企業の人が来るから逢いに行ったよぉ」
「え、そ、そうな? そっか。ありがとうね」
そう言いデュノアは肩を落としながら教室から出て行った。デュノアが出て行った後、本音も教室から出て行った。
人気のない廊下、デュノアは重いため息を吐きながら歩いていた。
「はぁ~、今日も駄目だったかぁ。織斑君の所のロボットもそうだけど最近皆からも、ちょっとやりすぎじゃない?って言われ始めたしどうしよぉ」
そう零しながらまた重いため息を吐く。
すると視線の端に女性用トイレが映り暫し立ち止まる。そして周囲を見渡し人が誰もいない事を確認しその中へとそっと入って行く。
そっと中に入り人が居ない事を確認したデュノアは空いているトイレに入る。
「はぁ~、この格好でいるとなかなかトイレに行けないのが難点なんだよなぁ。下手に休憩時間にトイレに行けないから辛いよぉ」
そう零すデュノア。
「織斑君からISデータを盗めっていきなり命令されても、そんなの無茶に決まってるのに。あの織斑先生が傍に居る上に護衛のロボが居るから盗むなんて無理に決まってるじゃん。……はぁ~」
デュノアはまた溜息を吐いた後、トイレから出てトボトボと寮へと帰って行った。
「やっぱり、デュッチーはスパイだったんだぁ。織斑先生に早速報告しに行こっと」
同じくトイレから出てきた本音に気付かずに。
その頃アリーナには一夏がバレットホークを身に纏った状態で立っており、向かいには隷汽・ファントムフォームを纏ったMr.Kが居た。
「それじゃ一夏君、全力が掛かって来てください」
「わ、分かりました。行きます!」
そう言い一夏は手にしていたライフルで隷汽に向かって引き金を引く。弾丸は真っ直ぐに隷汽の方に向かうも
「はっ!」
と隷汽はまるで弾丸が見えているかのようにその場から避けながらガシャンコバグヴァイザーをビームガンモードに変形させ一夏に向け撃つ。
迫ってくるビーム弾に一夏はスラスターで回避運動を取りつつ躱す。
〈ISとは違うパワードスーツだけど、落ち着いて行きなさいよ〉
「うん、取り合えず弾をばら撒きながらって、うぇえ!?」
アイラと話していた一夏の目に映ったのは
複数の隷汽が何時の間にか出現し、弾丸を避けながら迫って来ていたのだ。
「「「「驚いている暇はないよ、一夏君!」」」」
「〈なんで、複数いるんですかぁ!?」のよぉ!?〉
何時の間に増えた隷汽に一夏はサブアームに装備させたライフルで個々に撃つが、ひょいひょいと避けられる。
「あわわわ、ど、どれが本物ぉ!?」
〈チッ! 一夏、複数相手には接近戦は酷よ! 後ろに引きながら撃つのよ!〉
「わ、分かった」
アイラの指示に一夏は後ろにホバー移動で後ろに下がりつつ迫ってくる隷汽に攻撃を繰り返す。
「なるほど。確かに確かに複数の敵に対し、後ろに下がりながらの攻撃は良い手段だ。けど一夏君、遠近別れた相手に対してはどう出る!」
そうMr.Kが言うと2体ほどの隷汽が突如動きを止めビーム弾を放つ。一夏はそれを避けながら攻撃をするも、避けたりすることでスピードが落ち始め、一気に接近する2体の隷汽。
接近してきた隷汽はガシャンコバグヴァイザーをビームガンモードからチェーンソーモードに変更し斬りかかる。迫って来た隷汽一夏は直ぐに手に持っていたライフルを仕舞い、バタリングラムを取り出しその攻撃を防ぐ。
チェーンソーとバタリングがぶつかり合い激しい火花が飛び散る。
「良く防いだね。けど、私だけ集中して良いのかな?」
「えっ? ッ!?」
真正面から来た隷汽に意識を注いでいた一夏。Mr.Kの指摘に、何時の間にか背後に周っていたもう一体の隷汽に気付くも既にチェーンソーを振り下ろしてきていた。
アイラはサブアームが持っていたライフルを迫って来た隷汽に向け投げる。投げられてきたライフルを隷汽は驚くことなくチェーンソーで斬り捨てる。
この一瞬の隙を一夏は見逃さず、すぐさま空いたサブアームに武器を出すと迫っていた隷汽に向け武器を振る。
「おっと! その武器も結構使い慣れ始めているようだね」
Mr.Kはそう言い一夏が取り出した武器、デンガッシャーのソードモードの使い方を褒める。
「い、一生懸命練習しましたから」
「そうですか。では次の一撃で勝負を決めましょう」
そう言いMr.Kは自身で作った幻を消し去り、チェーンソーモードになっているガシャンコバグヴァイザーのBボタンを押す。するとチェーンソーに青黒いエネルギーが纏い始め、一夏とアイラは一気に警戒心を上げる。
〈一夏、流石にあれを受けるのは不味いわよ〉
「う、うん。どうしたらいい?」
〈放たれる前に攻撃するに決まってるでしょ!〉
そう言われ一夏は片手にバタリングラムを持ちながらもう片方の手でライフルを構え、更にサブアームのライフルも隷汽に向け引き金を引く。放たれた弾丸は真っ直ぐに隷汽に向かうが、隷汽は焦った様子を見せずチェーンソーに纏った青黒い丸鋸状のエネルギー刃を一夏に向け放った。
放たれたエネルギー刃は一夏が放った弾丸を全て溶かし、一夏に迫る。
「ッ!? モードチェンジ、ガンモード!」
一夏は咄嗟にサブアームが持っていたデンガッシャーをソードモードからガンモードに変更し迫るエネルギー刃に向け撃つが、エネルギー刃は止まることなく一夏の目の前まで迫ってきた為一夏はバタリングラムで防ぐも大きく後方にはじき飛ばされた。
「あうぅう!?」
「おっと、抑えたつもりでしたがまだ強かったですか。大丈夫ですか、一夏君?」
「あ、はい。大丈夫、です」
そう言いながら一夏は駆け寄って来たMr.Kの差し出された手を掴みとり立ち上がる。
「さて、それじゃあピットに戻りましょうか」
「は、はい」
はふぅ~と息を吐きながら一夏と、疲れた様子を見せる一夏にちょっとやり過ぎましたかね?と苦笑いを浮かべるMr.Kはピットへと向かって歩き始めた。
次回予告
翌日、一夏にどうやってタッグを組んでもらおうと考えるデュノア。
だが、そんな企みはガラガラと崩れ去るのであった。
次回
崩れさる願い