女性恐怖症の一夏君 IFルート   作:のんびり日和

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新年一本目です!


19話

突如ボーデヴィッヒの機体がスライム状の物体に覆われた後、暮桜に変わった事に一夏や本音のみならず、観戦席に居た生徒達や管制室の千冬達は驚きで満ちていた。

 

「どういう事だっ? 一体何が起きたッ!?」

 

「分かりません! と、突然ボーデヴィッヒの機体からスライムが出たと思ったら、形が変わってあれに…」

 

管制室に居た千冬は教師の一人に状況説明を求めるも、教師達も何が起きたのか分からずパニック状態であった。

千冬は兎に角生徒の安全を優先しなければと行動する。

 

「ハッキングなどは?」

 

「受けていません! 生徒達の避難誘導を開始します!」

 

「分かった。手の空いている教師は避難誘導に向かえ! 教師部隊はIS保管庫に急ぎ向かい、アリーナに居る生徒達の保護に向かえ!」

 

「了解!」

 

千冬の指示に真耶や他の教師達は急ぎ無線で指示を飛ばしていく。千冬はモニターに映る暮桜に睨む。

 

「何処の誰かは知らんが、私の弟に手を出した事絶対に許さんからなぁ」

 

小さく、されど怒気を込めた言葉を吐き出す。

 

 

 

アリーナにいた一夏と本音は目の前で起きた事に動揺が隠せず、動けずにいると空間ディスプレイの束が大声で叫ぶ。

 

『二人共、固まっていちゃ駄目! 急いで逃げて!』

 

束の声に2人は我に返り、ピットに避難しようとした瞬間偽暮桜が二人に向かって襲い掛かって来た。

襲い掛かって来た偽暮桜に2人は反撃をせざる負えなくなり、一夏はデンガッシャーのガンモードと銃器を構え、本音は距離をとろうとジャコーダービュートを構える。

モニターで見ていた束は戦闘になった事に最悪な展開になった。と心の中で舌打ちを放ちつつも、今できることをしようと多数の空間ディスプレイを出しボーデヴィッヒの機体の情報から一夏の機体情報などを出す。

 

(いっくんの機体は遂次確認できるけど、あののほほんちゃんのは無理か。眼帯の奴のはハッキングして強制停止しようにもこっちの操作を受けつけないし。クソッ!)

 

あらゆる情報を展開し、目にも止まらぬ速さでキーボードを叩く束。すると通話を知らせる空間ディスプレイが現れ束は応答ボタンを押す。

 

「もしもし?」

 

『束、一体何が起きている? 何処のどいつが「分かんないよ! 今調べようと必死になってやってる!」そうか、すまん。一つだけ教えてくれ。まさか、あれはVTシステムなのか?』

 

「そのまさか。束さんが裏に出回っていた物も全部潰したつもりだったけど、まだ何処かに隠し持ってたやつが居たみたい」

 

『何とかならないのか?』

 

「ハッキングして強制停止させようとしているけど、ことごとく阻止されてる。直接ISを破壊したほうが早いかもしれない」

 

『チッ。それしか方法が無いか』

 

「無人機のゴー君を送ってもいいけど、ゴー君もハッキングを受けたら元も子もないからハッキングしたりするしかできない」

 

『それをやってくれるだけでもこっちは有難い。頼んだぞ、束』

 

そう言い千冬は通話を切り、束は引き続き偽暮桜にハッキングを行う。

 

 

 

アリーナでは襲ってきた偽暮桜に対処するべく一夏と本音は構えていた武器で攻撃する。だがまるで2人の攻撃が見えているのか、攻撃を避けながら接近してくる。

 

[チッ。一夏、SEがヤバいからデンガッシャーのガンをこれ以上撃てないわよ]

 

[分かった。それじゃあナギナタモードに変えよう。ちょっとは距離をとれるから]

 

そう言いデンガッシャーをガンモードからナギナタモードに変える一夏。

一夏のバレットホークの張る弾幕を抜けながら接近してくる偽暮桜。この状況に、本音はある決断をし、通信を繋げる。その相手は

 

『こちらは管制室の織斑。布仏、どうした?』

 

管制室に居た千冬であった。指示出しなど行っていたのか、焦った表情を浮かべていた。

 

「先生、必殺技を使う許可をください。このままだとイッチー共々やられちゃいます!」

 

本音の決断したこと。それはイージスベルトの必殺技を使う事だった。

だが、イージスベルトに搭載されているスーツの必殺技はどれもISを簡単に撃破できてしまうほど高威力を有している。

通常の試合で必殺技を使えば確実に相手を倒す事は出来るが、少しでも扱い方を間違えれば搭乗者は負傷、最悪の場合死人さえ出してしまうほどの物なのだ。

本音はあの襲撃事件と同様、一夏とそして自分の命を守るには必殺技を使うしかないと思い千冬に許可を求めたのだ。

 

「……分かった、許可する」

 

「はい!」

 

千冬から許可を貰い一夏の方に声を掛ける。

 

「イッチー、必殺技を使うから一瞬でもいいからあれの動きを止めて!」

 

「わ、分かりました、やってみます!」

 

本音が必殺技を使う為、一夏は偽暮桜の動きを止めるべく武器を構える。

 

[ねぇ、アイラ。残った武器ってどのくらいある?]

 

[銃器は今持っている分だけ。アヴァロンはあるけど、引き金を引いてから発射するまでに接近される恐れもあるし、使えない。その為後は近接用武器しかないわ]

 

[勝てる見込みって…]

 

[ほぼゼロよ。でも、アンタにはこの私が付いているの。しっかり操縦しなさい。いいわね?]

 

[っ! うん!]

 

アイラの激励に一夏はギュッと手に力を籠める。

そして一夏は接近してくる偽暮桜に対し攻撃を始める。

さっきまで弾幕を張っていた一夏であるが、今度は何発か撃った後回避する方向をアイラが偽暮桜の動きなどを瞬時に分析、予測して攻撃すると言った方法を取った。

この方法は、以前Mr.Kとの模擬戦をした際にアイラと共に考えた策なのだ。多数の相手であるなら弾幕を張るのが良いが、1対1の場合なら無駄弾を抑えるべくこの手段が良いのではと思いついたのだ。

この作戦のお陰か、先程まで当たらなかった攻撃が、数発だけとはいえ当てることが出来るようになった。

だが、それでも弾は無限にある訳でもなく次々に弾切れを起こすライフル。そして偽暮桜が刀を振り上げ、攻撃をしてこようとしてきたところで持っていた弾切れのライフルを投げつける。

投げられたライフルに偽暮桜はそれを持っていた刀で斬り捨てた所で、一夏はサブアームが握っていたデンガッシャー(ナギナタモード)で斬りかかる。

斬りかかって来た事に偽暮桜はすぐさま刀で防ぐが、一夏はその隙をついた。

 

「てやぁあぁあ!!」

 

一夏はすぐに拡張領域に仕舞っていたバタリングラムで薙ぎ払う。デンガッシャーの攻撃を防いでいた偽暮桜はバタリングラムをまともに受け、後ろへと大きく吹き飛ぶ。

 

 

「本音さん、今です!」

 

一夏が合図を出すと、本音は腰からウエイクアップフエッスルを取り出し、それを腰のベルトに付いているサガークに挿す。

 

()()()()()()()

 

サガークからそう声が鳴ると本音はベルトのバックル横にジャコーダーの柄、コブラハンマーを挿して離すとエネルギー状の紐がバチバチと音を鳴らしながら繋がっていた。そしてジャコーダーロッドの刀身にエネルギーが纏い、そのまま上に掲げる。すると突如上空にコウモリの様な紋章が現れる。

本音はすぐさまジャコーダーロッドを前に掲げる様に構え、そして鞭のように振るう。刀身はジャコーダービュートの様に伸び、そのまま一夏に吹き飛ばされ立ち直ろうとしていた偽暮桜に巻き付く。

そしてそのまま本音は空高く飛びあがり紋章の中へと消えた後、また地面へと戻って来た。本音の手に持っていたジャコーダービュートは偽暮桜を吊り上げた状態になっていた。

そして本音はジャコーダービュートの鞭に手で触れ、そのままジャコーダーまで手を下ろす。すると、バチバチと光が走って行きそのまま偽暮桜に送り込まれる。すると、偽暮桜は突如苦しみだしそのまま爆散した。

周囲にシュヴァルツェア・レーゲンのパーツと思われるなどが飛び散り、そしてボーデヴィッヒもその破片の中から落下してきて地面へと落ちる。

本音の纏っているサガの必殺技『スネーキングデスブレイク』は吊り上げた相手に膨大なエネルギーを送り込み、内側から破裂させて倒すと言った物なのだ。膨大なエネルギーを偽暮桜に送り込んだことで、保有できるSEの上限を超えた為内側から爆発したのである。

 

偽暮桜を倒せたことに本音は何とかなったと思い、その場でへたり込む。一夏は急いで本音の元に駆け寄る。

 

「ほ、本音さん大丈夫、ですか?」

 

「う、うん。流石に疲れっちゃったぁ」

 

疲れた様子を見せながらも笑顔を見せる本音。一夏は不安な表情を浮かべながらどうしたらと思っているとラファールや打鉄を纏った教師部隊が入って来た。

 

「あなた達、大丈夫?」

 

「は、はい。僕は大丈夫です。けど、本音さんが」

 

「あ、私は大丈夫ですぅ。ちょっと気が抜けて、へたり込んじゃっただけなので」

 

「そう、でも心配だから椎名先生2人をお願い」

 

「分かった。さ、おぶって行くわ」

 

そう言い教師部隊の一人が本音を背中に背負いピットに向かう。一夏もその後に続いて行く。2人が退避するまでの間、教師部隊はまた動く恐れがある為ボーデヴィッヒから距離をとったところでライフルを構えた状態で警戒していた。

2人が退避したのを確認後、ボーデヴィッヒにゆっくりと近づき安全を確認後、拘束着を着せアリーナから運び出すのだった。




次回予告
暴走事件後、一夏と本音が事件解決に一役買ったと聞き悔しさを滲み出す箒は自身だけの力を求め動く。

次回
黒い欲望
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