女性恐怖症の一夏君 IFルート   作:のんびり日和

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今回は以前投稿していた作品『世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士』に居たキャラが登場します。



20話

タッグマッチトーナメント戦は突如として起きたVTシステムによる暴走事件よって中止となった。

前回の襲撃事件の経験を活かし、いち早い教師達の行動によって今回は生徒達に負傷者等は発生せず、無事に避難させることが出来た。

 

そしてアリーナで偽暮桜と相対し、見事撃破した一夏と本音は疲労のみであった。

学園長や教師達は2人に対し、到着が遅れた事を謝罪するのと同時に、撃破したことを褒め称えた。

今回のVTシステムの暴走事件は世間に広まれば混乱を招く恐れがある事から公になる事は無かった。

だが学園は何者かがボーデヴィッヒの機体にVTシステムをインストールしたか、元から彼女の機体に組み込まれていたのではないのかと推測し、破損したISを回収して調査を行った。

機体を調べたところ、ISにVTシステムが組み込まれていた様子は無く、逆に外部からハッキングを受けインストールされていた事が分かった。

その為今回のVTシステムの暴走事件の責任に彼女が負う事は無くなった。

だが一部の生徒達はVTシステムに取り込まれ無意識で暴れたのではなく、日頃から一夏を排除しようとしてたことから、意識がある状態で一夏を殺そうとしたのではないかと囁く者が居た。

 

そんな中、生徒達の間では一夏と本音の話題で持ちきりであった。

2人が偽暮桜と戦っているのは多くの生徒達が目撃していたが、撃破したところは殆んど目撃されていたなかった。

その為生徒達は撃破したのは教師部隊で、2人は教師部隊が到着するまで時間稼ぎをし、解決に一役買った。とそう噂が流れたのだ。

勿論2人が偽暮桜を撃破したのを目撃した生徒もいるが、学園側から口止めされている為、真実を話す事は無かった。その為噂は瞬く間に学園中に広まったのだ。

 

 

 

 

『あの織斑先生の弟君とパートナーの生徒が事件解決に一役買ったんだって』

 

『あの暮桜相手に、教師部隊が来るまで持ち堪えたんでしょ? すごいねぇ、あの2人!』

 

『日頃から一緒に訓練してたり、お昼もとってるから息が合うんだろうねぇ』

 

『事件が無かったら、あの二人が優勝だったかもね』

 

『あの2人以上のタッグは無いでしょ』

 

色んな2人の話が飛び交う中、そんな話を聞いた一人の生徒は一人奥歯を噛み締め悔しそうな顔を浮かべていた。

それは篠ノ之箒であった。学生寮の自身の部屋で拳を震わせながらあちこちで飛び交う話題に苦渋に満ちた顔を浮かべる。

タッグマッチ戦時、本音にほぼノーダメージで撃破されピットに追いやられた箒。その後起きた事件に自身は何も出来ずただ2人が偽暮桜を撃破するところをピットのモニターで見ている事しか出来なかった。

箒はそれが悔しくてたまらなかった。

何故一夏の隣に自分ではなく、あんなのほほんとしているやつが居る。何故自分は近付く事が許されず、アイツは近づける上に、傍に居られるんだ。と。

 

「私にも、アイツの様な力が、絶対の力があれば!」

 

そう零す箒は、ポケットに入れているスマホを取り出し電話帳からある宛名を開ける。

それは束の番号であった。

箒は束に通話ボタンを押し耳へとあてる。だが

 

『お掛けになった電話番号は現在使われておりません。番号を今一度お確かめください』

 

「っ!? な、何故!?」

 

電子音声の案内が流れ、箒は驚きスマホの画面を見るも、番号と宛名は確かに束の名前が書かれており、再度かけ直すも、また

 

『お掛けになった電話番号は―――』

 

電子音声が流れ、震える手で電話を切る箒。

 

「姉さん、何故…ギリ」

 

束とは繋がらない以上、自分だけの力が手に入らない。そう思っていたがある事を思いつく箒。

 

「そうだ、奴が持っているベルトの会社なら!」

 

そう、箒が思いついたのは本音にベルトを渡した会社、PEC社に電話しベルトを貰う事だった。

箒はスマホでPEC社の電話番号を検索し、そして電話を掛ける。暫しコール音が鳴った後

 

『お電話ありがとうございます。こちらはPurgatory.Eden.Companyコールセンターでございます』

 

「社長と話がしたい。繋いでくれ」

 

『申し訳ありませんが、どちら様でしょうか?』

 

「篠ノ之束の妹の篠ノ之箒だ。早く社長に繋げ!」

 

『わ、分かりました。少々お待ちください』

 

担当した物が箒の怒声に若干ビビってしまい、保留音が鳴り響く。暫くして保留音が鳴り止む。

 

『お電話替わりました、社長秘書のシャルロット・ウィルソンです。ご用件は何でしょう?』

 

そう声が聞こえ、箒は同じクラスのデュノアと声が似ている事に疑問に持つも、すぐにどうでもいいと思い用件を伝える。

 

「私は社長と繋げと行ったんだがっ?」

 

『社長は現在会議に出ておられるので、電話に出る事が出来ません。ご用件は私がお伺いします』

 

「……じゃあお前等があの布仏に渡しているベルトを私にも寄越せ」

 

『申し訳ありませんが、それにはお答えすることが出来ません』

 

「っ!? 何故だ!」

 

箒に要求にシャルロットの口から出たのは拒否の言葉だった。箒はその言葉に怒声を上げる。

 

『我が社が布仏さんにお渡ししたベルトは彼女専用に作成された物です』

 

「だからそれを『布仏さんは我が社のテストパイロットとして所属されております。テストパイロットではない貴女にはお渡しする事は出来ません』私の篠ノ之束の妹だぞ!」

 

『それが何か?』

 

「なっ!?」

 

『篠ノ之博士のお名前を出されましても、我が社は貴女にベルトもしくはパワードスーツをお渡しするつもりはございません。これは社長の御意志でも御座いますので。では失礼します』

 

そう言い電話は切られた。

箒はわなわなと震え、そして

 

「クソッ!」

 

そう叫び、持っていたスマホを床へと叩きつける。スマホはガンッ!と鈍い音が鳴り響き、画面にヒビが入りカバーなどがパーツが飛び散った。

 

 

PECの社長室前の秘書部屋では箒の相手をしたシャルロット・ウィルソンがはぁ。と疲れた様なため息を吐く。

すると

 

「どうぞ、シャル」

 

そう声を掛けれ、顔を上げると其処にはコーヒーの入ったカップを差し出す一輝が居た。もう片方の手にはお盆を持っており、上にはコーヒーが入っているであろうカップが2つあった。

 

「あ、すいません一輝さん。私の仕事なのに」

 

「いいよ、いいよ。ちょうど暇だったからね」

 

シャルロットは申し訳ないです。と頭を下げつつ差し出されたコーヒーのカップを受け取り口に着ける。

 

「それでさっきの電話は?」

 

「……()()()()()()()()()さんからでした。ベルトを寄越せって言って来たんで拒否して切りました」

 

「やれやれ、恐らく姉が拒否したからウチに電話してきたんだろ」

 

「ですよね」

 

一輝の呆れた様な口調にシャルロットも同意するように頷く。さて、何故彼女がこの世界の篠ノ之箒とよんだのか。

それは、彼女もまた一輝達同様に異世界の人物だからだ。

彼女の旧姓はシャルロット・デュノア。この世界のシャルロット・デュノア同様にデュノア社社長の愛人の子供であった。

元居た世界でも男性操縦者からISデータを盗もうとしたが、逆に返り討ちに合い捕まり卒業後は刑務所に収監されそうになるも、Mr.Kこと陽太郎達に保護された。

卒業後は裏では彼等と共に転生者捜索や現地情報収集など裏方仕事を手伝ったり、表では陽太郎達が各世界に設立したPEC社の社長秘書としてスケジュール管理などを行っている。

 

「所で義兄さんは?」

 

「社長でしたら、部屋で会議をされてます」

 

「例のあの2人新武器の事かな?」

 

「はい。それと例のアリーナ襲撃事件の事も…」

 

「なるほどね。何か判れば良いんだが」

 

そう言い一輝はコーヒーを口にする。すると社長室の扉が開き、両腕を上に伸ばしながら固まった筋肉をほぐすMr.Kこと陽太郎が出てきた。

 

「ん~~。いやぁ、なかなか尻尾が捕まらないねぇ。あ、一輝。コーヒーありがとう」

 

そう言いながら陽太郎は一輝が持ってきたお盆からコーヒーの入ったカップを持ち呑む。

 

「義兄さん、何か判った?」

 

「いや、煉獄庭園に居る2人にも連絡をとって調べてもらったけど、有益な情報は無かったよ」

 

「そうですか。では一体何処からあれだけのISが?」

 

「分からない。あ、そうだ。シャル、確かこの時期は…」

 

「あ、はい、タッグマッチ戦でした」

 

「それじゃあ資料を「もう準備済みです」ハッハハ、相変わらず仕事が早くて助かるよ」

 

陽太郎が資料作成を依頼しようとしたが、既に作成済みですと報告するシャルロットに陽太郎達は驚いた表情を浮かべた後、笑みをを浮かべ資料を受け取る。

手渡された資料はタッグマッチ戦での事などが書かれており、内容には一夏と本音が偽暮桜を撃退したことも書かれていた。

 

「やはり、VTシステムの暴走は起きたか」

 

「そのようだね。でも、組み込まれていたのではなく、外部からのインストールって、本当かいシャル?」

 

「はい。爆散したISの中から無事だったCPUなどからは組み込まれた様子は無く、外部からハッキングされた痕跡が僅かながら残っていた事から導き出されたそうです」

 

「……外部からのハッキング。やはり転生者が?」

 

「可能性はあるが、いまいち不明瞭だね」

 

「そうですね。あ、そうだ社長。あの2人の新武器は?」

 

「ん? あぁ、一夏君用のが2つ、そして本音さん用のを1つ準備しているよ。臨海学校には間に合わせるよ」

 

「そうですね。私のいた世界同様にあのISが暴走するかもしれませんからね」

 

シャルロットの言葉に陽太郎達はそうだね。と返し臨海学校で起こるであろう出来事に警戒するのであった。




次回予告
タッグマッチ戦の翌日、クラスの雰囲気は変わらず明るい様子であった。だが、ボーデヴィッヒの一言で一気に最悪に。

それから数日後、一夏と本音は近々行われる臨海学校の為の物を買いに出かけることに。

次回
一夏と本音、仲良くお買い物

「おっかいもの(∩´∀`)∩」

「おっかいもの(*‘∀‘)」

【おっかいもの(・∀・)】

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