女性恐怖症の一夏君 IFルート   作:のんびり日和

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23話

臨海学校2日目、この日生徒達は旅館が出してくれた朝食を手早く済ませると、それぞれ部屋に戻りISスーツを身に纏い旅館近くにある岩場へとやって来た。

そう、今日はISを使った訓練日なのである。

IS学園の様なアリーナではなく自然と言う予測不可能な場所での操縦は己の技量を引き上げるのに持ってこいの場所なのである。

一般生徒達は砂浜でISの歩行練習と飛行練習、専用機持ちは政府から送られた追加装備をインストールし、訓練を行う予定になっている。

 

予定した集合時刻になったのを確認した千冬は生徒達の前に立つ。生徒達はそれぞれ一列に綺麗に並んで千冬へとかを向ける。

 

「ではこれより訓練を開始する。一般生徒は砂浜にて打鉄を身に纏い歩行練習及び飛行練習を行う。専用機持ちは政府から送られた追加装備をインストールした後、飛行練習及び模擬戦闘訓練を行う」

 

そう言っていると、一台の車が言わば近くの道で止まり一人男性が居り、後部座席を開ける。すると降りて来た男性に千冬達は驚いた表情を浮かべる。

男性はそのままスタスタと一夏達の元へとやって来た。

 

「おはようございます、織斑先生」

 

「お、おはようございますMr.K。ど、どうしてこちらに?」

 

突如来訪したのはPEC社社長のMr.Kと護衛の鬼崎一輝であった。千冬の質問にMr.Kは笑みを浮かべながら答える。

 

「いや、本日はウチのテストパイロットである織斑君と布仏さんに御用がありましてね」

 

「そ、そうでしたか。しかし、来られるのでしたら事前に連絡を入れて頂きたかった」

 

「申し訳ない。何分2人に用意した武装が昨日の夜遅くに届いた物ですから、ご連絡するにはご迷惑だと思い」

 

「そうでしたか、そういう事でしたら分かりました。では「ちーちゃ~~ん!」げっ。アイツなんで今来るんだ…」

 

突如響く声に全員驚いた表情を浮かべていると、ドドドドっ!と砂煙を立ち昇らせながら走ってくる束が目が留まる。

 

「ほいっとぉ!!」

 

そう叫びながらジャンプして千冬の近くに着地する束。

 

「やっほぉ~~ちーちゃん&いっくん!」

 

「はぁ~、何の様だ束」

 

「お、おはよう束お姉ちゃん」

 

「おはよう、いっくん。えっと束さんの用はいっくんのISの検査だよぉ」

 

突如現れた束にげんなりした表情で見る千冬と、オドオドしながらも束に挨拶する一夏。千冬の問いに束は検査と言う用件を伝える。

 

「そうか、なら手早く済ませろ」

 

「ほいほい。いっくん、IS見せてぇ」

 

「は、はい」

 

そう言い一夏は自身のISの待機形態の腕輪を見せる。束は何処からともなくコネクターを取り出しそれを挿して検査する。夥しい程の文字や数字の羅列が現れるも、束はそれを読めているのか分からない程のスピードでスクロールしていく。

そして終わったのか、空間ディスプレイを閉じコネクターを抜く。

 

「うん、特に問題無し」

 

「そ、そうですか。良かったぁ」

 

「ふふん。と、そう言えば其処にいる奴って、いっくんに新しい武器を上げた奴だっけ」

 

「おい、束! 申し訳ない、Mr.K」

 

「いえいえ、気にしておりませんから」

 

束の言い方を注意し謝罪をする千冬にMr.Kは朗らかな笑みを浮かべながら気にしていないと告げる。

 

「それで、何か御用ですか篠ノ之博士」

 

「……一つだけ。いっくんを助けてくれた事、ありがとね」

 

ぶっきらぼうなような口調でお礼を告げる束に一夏や千冬は驚いた表情を浮かべ、メサも

 

【は、博士がお礼を言ったぁ!? (゚Д゚;)】

 

と驚愕していた。

束のお礼には、原作の彼女の性格を知っているMr.Kや一輝も一瞬呆けた表情を浮かべるも笑みを浮かべる。

 

「いえ、人として当たり前の事をしたまでですので」

 

 

6人が会話をしている中、生徒達の中から一人の生徒が出てくる。

 

「姉さん! なんで電話に出てくれなかったんですか!」

 

それは箒であった。怒鳴ってくる箒に束はどこ吹く風と言った表情を浮かべていた。

 

「電話ぁ? あぁ、束さん最近携帯電話を機種変更したんだけど、誤って電話帳に登録してある電話番号を全部消しちゃってさぁ。箒ちゃんの電話番号だけ復元できなかったから放置してたの忘れてたや。アッハハハハ!」

 

笑いながら告げる束にキッと睨みつける箒。

 

「まぁ、大方束さんにISを頼もうとしたんでしょ?」

 

「そ、そうです! 私だけの「あげる訳ないじゃん。何で誕生日プレゼントにそんな危ない物を上げるのさ」なっ!?」

 

箒を逆撫でする様にそう告げ、馬鹿にする様な表情を浮かべる束に箒は驚いた表情を浮かべる。

 

「束さんの事を都合のいい姉の様にしか見ていない箒ちゃんにあげる物なんて何一つないよ」

 

そう告げられ奥歯を噛み締める箒。そして今度は隣にいたMr.Kに顔を向ける。

 

「だったらお前の会社が持っているベルトを寄越せ!」

 

「篠ノ之っ!」

 

箒の行動に千冬が怒鳴って止めようとすると、Mr.Kは手を千冬の前に出しそれを制止させる。

 

「篠ノ之さん。貴女が我が社に電話をして同じようにベルトを要求したことは知っています」

 

 

『えぇ!!??』

 

Mr.Kの言葉に生徒達は驚いた声を上げ、千冬も驚愕の表情を浮かべた後箒を睨みつける。

 

「ですがその時私の秘書から言われたはずです。我が社はテストパイロット以外ベルトは渡さないと」

 

「ぐっ」

 

Mr.Kの正論に何も言えず、拳を震わせる箒。

 

「…いいから」

「いいから寄越せと「其処までだ」ヒッ!?」

 

拳を握りしめMr.Kに詰め寄ろうとした箒を傍に居た一輝が素早く箒の前に行き、箒の首元にサソードヤイバーを構える。

突如首元に向けられた刃に箒は悲鳴を上げ動きを止める。

 

「いい加減にしろ箒!」

 

動きを止めた箒に向け思いっ切り出席簿でしばく千冬。

そしてMr.Kの方に体を向け深々と頭を下げる。

 

「申し訳ありません、Mr.K。この馬鹿にはしっかりと処罰を受けさせますので」

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

Mr.Kの言葉に千冬は再度謝罪をし、箒を訓練させず旅館に待機させる為近くに居た教師に頼み連行させる。

連行される箒とすれ違う様に真耶が慌てた表情で千冬の傍へと寄る。

 

「織斑先生、緊急事態が…」

 

「どうした?」

 

「アメリカの軍事ISが「待て、それは機密事項にあたる物だ」そ、そうでした」

 

そう言い千冬は手話で会話を始める。千冬と真耶が手話で会話している様子に生徒達は首を傾げ、手話の意味が理解できるMr.Kと束は鋭い顔つきを浮かべる。

真耶との会話を終えた千冬は真剣な表情を浮かべ生徒達の方に体を向ける。

 

「緊急案件が舞い込んだため、訓練は中止とする! 一般生徒は教師達の指示に従って部屋にて待機するように! なお部屋から許可なく勝手に抜け出したりした者は罰則が与えられる!」

 

そう言われ生徒達はどよめき立ち、困惑が広がる。千冬は手を思いっきり叩き意識を戻させる。

 

「ぼぉーとするな! 教師達の指示にしっかりと従うんだ!」

 

そう言われ誘導する教師達に従い、一般生徒達はぞろぞろと旅館へと向かって歩き始める。残ったのは千冬と専用機持ち達と本音。そしてMr.Kと一輝、それと束であった。

 

「お前達専用機持ちは私と一緒に来るように。束、済まんが手を貸してくれ」

 

「良いよぉ」

 

「Mr.K、申し訳ありませんが、旅館にて「いえ、それには及びません」は、はい?」

 

 

「我々も手をお貸ししましょう」

 

「はぁ? そ、それは流石に「例の襲撃事件の事もあります。もしこれが同じ犯人による物だったら戦力は多いに越した事がありません」……分かりました。ですが、この事件の事はご内密にお願いします」

 

「勿論です」

 

Mr.K達が手を貸してくれると聞き、千冬は少し安堵した気持ちを抱く。そして千冬達は旅館へと向かって歩き出す。




次回予告
突如舞い込んだ緊急案件。それはアメリカの軍事ISが暴走したものだった。一夏達専用機持ちとMr.K達はそれを止めるべく接触予想地点へと向かう。

原作とは大きくかけ離れた凶暴なISになっているとは知らずに。

次回
狂風を纏う福音

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