一回目の攻撃は失敗に終わり、Mr.Kやオルコットたちは旅館へと戻って来た。ヘリに乗っていたMr.Kや本音は直ぐに一夏を担ぎ、旅館の中へと連れて行く。
旅館の入り口では報告を受けて待っていたのか、束が立っていた。
「こっちに連れて来て!」
そう言われ一夏を背負っていたMr.Kは束の後に続き、本音もその後に続く。
束に案内された部屋へと来るとMr.Kはそっと一夏を敷かれていた布団へと寝かせる。束は何かの装置を取り出しそれを一夏の寝ている布団の四隅に置く。
そして空間ディスプレイを投影しボタンを押すと、装置からスキャンしているかのように光が発せられる。暫しした後スキャンを終えたのか光が消え、束はデュスプレイに投影された結果を見る。
その結果にホッと息を吐く。
「良かった、大きな怪我無いみたい。軽度の打撲がある程度だからメサに見て貰っておこう」
「そうですか。それは良かった」
束の報告にMr.Kは安堵した表情を浮かべる中、本音はまだ不安な表情を浮かべていた。
「……イッチー」
「のほほんちゃん」
「は、はい」
「心配なのは分かるんだけど、ちーちゃんに報告して来てくれる? その間にメサに治療させておくからさ。その後はちーちゃんからの指示があるまでこの部屋にいていいからさ」
「…分かりました」
後ろ髪を引かれる思いの中、本音はMr.Kと共にその部屋を後にし指揮所へと向かう。
指揮所の中へと入ると、其処には
「……」
不機嫌な表情を浮かべた千冬と何とも言えない表情を浮かべた専用機持ち達と教師陣。そして
「……」ピクッピクピク
頬を腫らし、頭にはたんこぶをたくさん作った箒が鎖で雁字搦めで拘束されていた。
その光景に本音は唖然とした表情を浮かべ、Mr.Kは頬を引きつらせつつ口を開く。
「織斑先生、彼女は一体何をしたんです?」
「…指揮所での会話を盗み聞きして備品置き場に置いていあるISに乗り込んで作戦地域に向かおうとしたんです。幸い近くに居た教師部隊がそれを阻止、そして私がこいつをISから叩き下ろしたんです。その後自己中心的な事しか言わなかったので、可及的速やかに黙らせる必要があったので鉄拳制裁しました」
「な、なるほど。では彼女の事は放っておいて報告を行います」
そう言うと先程までの空気が張詰める。
Mr.Kはあの場で起きた事を千冬へと報告していき、専用機持ち達はその場で行った行動を報告する。全ての報告を聞き終えた千冬は顔を手で覆い重い息を吐く。
「そうですか。しかし何故突然ゴスペルの力が上がったんだ?」
「……あのK社長」
「ん? なんです布仏さん?」
千冬の疑問の言葉を口にしている中、本音はMr.Kにあの事を聞くべく声を掛けた。
「ヘリで言ってた《ガイアメモリ》って、なんですか?」
「……そうですね。お話しした方がいいでしょう」
そう言いMr.Kは全員の方に顔を向ける。
「Mr.K、ガイアメモリとは一体?」
「ガイアメモリとは我が社が開発しているDNスーツと対抗するためにライバル組織が開発したモノなのです。このガイアメモリはDNスーツの様に物なのですが、装着者の安全性は考慮されておらず更に使用するたびに精神が汚染され力を欲するようになり、最終的には暴走すると言った危険な物なんです」
「そ、そんな危険な物、聞いた事がありませんよ?」
「えぇ、勿論知るはずがありません。世間にこの情報が広まる前に我が社や我が社と協力関係のある組織と協力し、このガイアメモリが世に出回る前にすべて破壊したのですから。ですが…」
「まだ残っていたのがあった。と言う訳ですが…」
「そうです。そしてガイアメモリはロボットやパワードスーツと言った物にも組み込むことができるんです。恐らくゴスペルにもあのガイアメモリが付けられていた為に、通常スペック以上の能力を無理矢理引き出されているんだと思われます」
Mr.Kの説明に全員何とも言えないと言った表情を浮かべており、束に至っては「私の大事な子供に何てものをぉ」とイラついた口調で零す。
「…Mr.K、ゴスペルを止めるにはやはりSEを無くすか、ISコアを破壊するしか方法は無いんでしょうか?」
「恐らくは。ただもう一つあるとすれば、ガイアメモリ事態を破壊することで停止すると思います。元凶となっているのはガイアメモリです。あれさえ破壊すればもしかすれば停止させることが出来ると思います」
「そうですか」
暫しの沈黙の後、千冬は皆を見渡し口を開く。
「作戦を再度練り直す為、全員補給を済ませて待機しておいてくれ。作戦が決まり次第再度ゴスペルに攻撃を仕掛ける。Mr.K、申し訳ないが此処で我々と共に作戦を練るのを手伝っていただけないか」
「構いませんよ」
そう言われMr.Kは指揮所へと残り、専用機持ち達は部屋を出て行く。部屋を出た後本音は一夏の居る部屋へと向かい、残った専用機持ち達は補給へと向かった。
暫くして補給を終えた鈴達は待機部屋にいた。簪は飲み物を買いに自販機へと行っている為居らず、残っているのは何時ものメンバーだった。
「……ねぇ」
「なんですの鈴さん?」
「アンタたちはこのままでいいと思う?」
「このままって、待機してること?」
「そうよ。このまま此処に待機してたってもしかしたら向こうの方が早く修復を終えて襲ってくるかもしれないじゃない。それだったら早い目に先手を打つべくじゃない?」
「それは良い手だと思いますが、あの機体が今何処辺りに居るかなんて分かりませんわよ?」
「そうだよ。衛星を使わない限り、詳しい位置なんて分からないよ」
そう言われ鈴はあぁ、そうっか。と悔しそうな顔を浮かべる。そんな中ボーデヴィッヒがそっと手を挙げる。
「場所なら分かるぞ」
「「「えっ?」」」
突然の発言に3人は豆鉄砲を喰らったかのように目を点とさせる中、ボーデヴィッヒが説明する。
「私はドイツ軍の軍人だ。しかも一部隊を任せてもらえるほどの階級を有している。だから衛星から情報も引き出せる」
「それって、つまりゴスペルの現在地も分かるってこと?」
「無論だ。暫し待てよ」
そう言いボーデヴィッヒは何処かに電話を掛ける。電話を終えて暫くして、スマホの画面を見せるボーデヴィッヒ。
其処には緯度と経度、そして地図が表示されており3人はおぉ。と声を漏らす。
「それじゃあ場所が分かったなら」
「えぇ、打って出ましょう」
「一夏君の敵討ちだ」
「あぁ、借りを返してやるぞ」
そう言い4人は部屋を出て行く。
次回予告
意識を取り戻した一夏。現状を傍に居た本音に聞き、一夏も動こうとする。
だがその行動を本音が制する。
すると突如ある人物が一夏の元にやってくる。
次回
意志と覚悟