女性恐怖症の一夏君 IFルート   作:のんびり日和

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投稿が遅れて本当に申し訳ございません!



7話

GWが明け生徒達がぞろぞろと学園へと戻って来た。生徒達の顔には笑顔が溢れており、クラス代表戦の事件なんて無かった。と思えるような表情であった。

そんな中学園にあるアリーナにて一夏と本音が訓練を行っていた。

 

「それぇ!」

 

一夏は装備していたライフルを本音に向けながら引き金を引く。

本音は現在、カリスに変身しており飛来してくる弾丸に本音は素早くカードホルダーからハートの8が書かれたラウズカードを取り出し、カリスアローに付けたラウザーに通す。

 

『リフレクトモス』

 

ラウザーからそう音声が聞こえると、本音の周りにシールドの様な物が展開された。そして弾丸が本音へと命中するも、弾丸はまるで跳ね返された様に一夏の方に帰って行った。

 

「うえぇ!? はねかえされたぁ!?」

 

〈驚いている暇なんか無いわよ! さっさと回避しなさい!〉

 

アイラの叱責に一夏はすぐさま回避行動に移りつつ攻撃するも、すべて跳ね返された。

 

「ヌフフフ、イッチー覚悟ぉ!【ビー、タイムオーバー】ありゃ?」

 

攻撃を跳ね返している今がチャンスと思っていた本音は一夏に攻撃しようとしたが、終了時間を知らせる放送が流され、呆けた顔を浮かべる。

 

「も、もう終了時間だったんだ。なんか早く時間が経つように感じたね」

 

「そうだねぇ。それじゃあ着替えたらアリーナ前で集合で良い?」

 

「うん。そ、それじゃあまた後で」

 

「また後でねぇ」

 

そう言い本音は女子更衣室へと向かい、一夏も男性用に用意された更衣室へと向かって行った。

一夏と本音が訓練を一緒にするようになったのはつい最近の事であった。

その訳は、お互いが同じように自分の身を守れるようになるのと同時に、大切な友人を守れるくらい強くなりたい為にだ。

その為元からISを持っていた一夏と、PEC社からベルトを貰った本音が共に訓練をするようになったのだ。

 

そんなある日の事。1組では、ある話で盛り上がっていた。

 

「ねぇ、それ本当なの?」

 

「本当だって。さっき偶々廊下を歩いてたら見たことも無い生徒が2人もいたんだって! しかも山田先生が引率してたんだよ。間違いないって!」

 

一部の生徒達が興奮した様子で談笑していると、一夏と本音が教室内へと入って来た。

 

「お、おはようございます。あの、何かあったんですか?」

 

「なんか、教室の外まで興奮した声が聞こえたよ」

 

そう言いながら席へと着く二人に相川と鷹月、そして谷本が二人の元に近付く。

 

「なんか転入生が居たらしくって、もしかたらウチのクラスに来るかもしれないんだって」

 

「山田先生が引率してたからそう言ってるらしいけど、本当かどうかはねぇ?」

 

「へぇ~」

 

「そ、そうなんですか」(こ、怖い人じゃなかったら良いなぁ)

 

2人の説明にそう言いながら教科書などを机の中に仕舞って行く二人。するとチャイムが鳴り響き、生徒達は急ぎ席へと着いて行く。

チャイムが鳴り終わると同時に教室の前にある扉が開き、千冬を先頭に真耶に転入生であろう2人が入って来た。

入って来た転入生に生徒達は驚きの表情を浮かべる。何故なら、金髪の生徒の服装が男性用の物であったからだ。

 

「皆さん、おはようございます。えぇ、本日から此方に居る二人が転入生として入って来られました。それではまずデュノア君、ご挨拶をお願いします」

 

「はい」

 

真耶に促されデュノアと呼ばれた生徒は一歩前へと出る。

 

「シャルル・デュノアと言います。此方に通われている男性操縦者に続いて発見されたため、本日から此方のクラスに所属することになりました。どうかよろしくお願いします」

 

そう言い一礼するデュノア。それに対し生徒達は拍手で迎える。中には小さくガッツポーズをとる生徒もいた。

本来大声を挙げて喜ぶ彼女達だが、今は声を抑えている。何故なら大声を挙げれば一夏を怖がらせてしまうからだ。

そんな中、一夏は若干怯えた表情を浮かべていた。

 

(あ、あの子って、もしかしてあの時の子じゃあぁ。 うぅ、本で顔を隠しとこぉ)

 

そう思いながら机の中から教科書を取り出し、顔を隠すように体を縮め本で顔を隠す。隣の本音は一夏の行動に首を傾げ、不安な表情を浮かべていた。

 

「はい、ありがとうございます。それじゃあ次はボーデヴィッヒさん、お願いします」

 

そう真耶が言うが、ボーデヴィッヒと呼ばれた銀髪で眼帯をした生徒は何も言わず、ただ黙って立ち続けた。

 

「あ、あのぉ?」

 

真耶が再度問いかけるも何の反応を示さないボーデヴィッヒ。遂に真耶は困惑した表情を千冬の方へと向け助けを求めた。その顔に千冬は、はぁ。とため息を吐き教卓へと立つ。

 

「えぇ~もう一人の転入生だが、挨拶などする気が無いようなので2人は空いている席に着け。SHRを行う」

 

そう言い出し、真耶や生徒達はえっ?と困惑の表情を浮かべる。すると

 

「あの、教官「えぇ、まず本日一限目は2組と合同でアリーナにて実際にISに乗って訓練をして貰う。その為ISスーツを忘れない様に。次に」あの、教官!」

 

「なんだ、ボーデヴィッヒ?」

 

SHRを始める千冬にボーデヴィッヒは大きめの声で千冬に向かって教官と呼ぶ。千冬は鋭い視線をボーデヴィッヒへと向けながら、用件を聞く。

 

「あの、まだ私の名を名乗ってないのですが…」

 

「名乗る気が有るのに何故しない?」

 

「教官から発言の許可を「さっきから教官、教官と五月蠅いぞ。それと発言の許可と言うが、さっき山田先生が挨拶をするよう言われたはずだ」あれは教官からの指示ではなかった為、発言をしなかったのです」

 

そう言うとボーデヴィッヒの頭部に向かって出席簿が振り下ろされた。ガンッと鈍い音が教室内に鳴り響き、ボーデヴィッヒは痛みから頭に手を置きながら蹲る。

この時、千冬がボーデヴィッヒの頭を叩いたのは出席簿であるが、普段セシリア達をしばいている面の部分でなく背表紙の部分で叩いたのだ。普段とは違う箇所で叩いた事に生徒達は驚きの表情を浮かべていた。

 

「馬鹿者が。さっきも言ったが教官、教官と五月蠅い。それと、此処では教師の言われた事には素直に従え。それが出来ないなら、さっさと此処から立ち去って自分の国に帰れ」

 

今まで見たことも無い冷たい言葉と眼差しをする千冬に生徒達や真耶は思わず恐怖から身震いを起こす。

 

「も、申し訳、ありません」

 

「次は無い。さっさと自己紹介をやれ」

 

千冬に冷たい言葉で促されボーデヴィッヒは体を生徒達の方へと向ける。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

名前だけを名乗り、一歩後ろに下がるボーデヴィッヒ。

 

「えっとぉそれだけ、ですか?」

 

「それだけだ」

 

そう言い放つボーデヴィッヒに真耶はガックシと肩を落とす。

 

「……終わったんだったらさっさと席に行け」

 

そう言い放つ千冬。千冬のボーデヴィッヒに対する辛辣な態度に生徒達は首を傾げている中、2人はそれぞれ空いている席へと向かう。するとボーデヴィッヒは本で顔を隠している一夏に気付き、顔を険しくさせ席へと座らず一夏の元へと向かう。

生徒達はボーデヴィッヒの突然の行動に困惑し、本音はボーデヴィッヒが何かする気なのかと思い警戒する。

そうこうしている内にボーデヴィッヒが一夏の近くに来ると、一夏が顔を隠すために開いていた教科書を無理矢理取り上げた。

 

「ヒッ!?」

 

突然取り上げられたことに一夏は小さく悲鳴を上る。周りの生徒達は、ボーデヴィッヒが一夏に何か良からぬことをすると思い止めに入ろうとする。

 

「やっぱりいたのか、このよわぐはっ!??!!」

 

何かを言おうとしたボーデヴィッヒの顔に突然プラカードがめり込み、そのまま飛んで行き窓際の壁に激突し凭れる様に倒れ込んだ。

プラカードには【必殺、プラホーク!! (`=´)ノ・‥…—口】と書かれていた。

ボーデヴィッヒに投げられたプラカードを見て全員、まさかと思いながら投げられた方向に顔を向けると投げたポーズをしたメサが扉の開いた先の廊下に立っていた。

メサはポーズを止め、教室内へと入ってくると床に落ちた一夏の教科書を拾い上げ、シワが出来ていないか確認し埃を飛ばすため口から空気を出した後一夏へと手渡した。

 

「あ、ありがとう、ございます。あの、どうしてメサさんが此処に?」

 

【実は、千冬様からご依頼がありましたので、こうして馳せ参じたまででございます。(゚▽゚)】

 

「お、織斑先生から?」

 

一夏はメサの言葉に首を傾げながら千冬の方に顔を向けると、千冬は訳を話し始めた。

 

「メサが此処に居る理由だが、此処最近織斑に対して執拗に付き纏う者が多くてな。その上先程のボーデヴィッヒの様に手を挙げようとする生徒もいたりする為、メサを一夏の護衛として傍に置く事にした。普段は織斑の傍に居させるため、もし何か手伝って欲しい事があれば言っても構わん。但し、コイツの任務はあくまでも織斑の護衛の為、織斑から長時間離すような頼み事はするな。良いな?」

 

『はい!』

 

生徒達からの声に千冬はうむ。と頷く。すると壁に凭れていたボーデヴィッヒがヨロヨロと立ち上がり、メサを睨みつけていた。

 

「貴様ぁ、よくもぉ!」

 

【うるせぇぞ、ちっこいの。まだSHR中だ。騒ぐんだったら公園にでもちっさい子供達と混じって来い( ▼Д▼)y─┛~~】

 

とプラカードを見せるメサ。その内容にボーデヴィッヒがキレて、ISを展開しようとするが

 

「こんなところで展開しようとするな、馬鹿者が‼」

 

と何時の間にか隣にいた千冬の出席簿(背表紙の部分)で思いっきり叩かれた。

 

「し、しかし!」

 

「喧しい。元をたどれば貴様がいらんことをしたからだろうが」

 

そう言われぐぅの音も出ないボーデヴィッヒ。

 

「さっさと席に着け」

 

そう言われ悔しそうな顔付を浮かべながら席へと着いた。

それを見届けた千冬は教壇へと戻る。

 

「えぇ、それでは1限目はさっきも言った通り2組との合同でISに実際に乗って訓練してもらう。その為各自ISスーツを着て第1アリーナへと集合するように。遅れるなよ? では以上でSHRを終える。メサ、織斑の事、任せるぞ」

 

【お任せください( ̄Λ ̄)ゞ】

クルッ【ささ、坊ちゃま。更衣室へと参りましょう】

 

千冬にプラカードを見せた後一夏に更衣室へと行きましょうと促すプラカードを見せ共に教室から出て行った。

その後姿を確認した千冬と真耶は廊下へと出て1限目の為に着替えに行こうとした所

 

「あ、あの織斑先生!」

 

「ん、なんだデュノア?」

 

廊下に出た千冬を呼び止めたのはデュノアであった。デュノアは困った表情を浮かべながらも千冬にある事を聞く。

 

「あの、僕はどうしたら?」

 

「は? お前は何を言っているんだ。早く更衣室へと行かんと、授業に間に合わんぞ」

 

「えっと、それは分かっているんですが……。あの、場所が…」

 

「あぁ、そう言う事か。…はぁ、仕方がない。山田先生、案内してやってください」

 

「分かりました。それじゃあデュノア君、付いて来てください」

 

そう言われデュノアは真耶に連れられ更衣室へと向かって行った。

 

 

そのデュノアの後姿を千冬は鋭い視線で見送っていた。




次回予告
メサの護衛の下、一夏は更衣室へと到着し服を着替えアリーナで待って居た。そして2組との合同授業が開始される。
授業後、一夏は何時もと変わらないメンバーとご飯を食べているとデュノアがやって来た。

次回
合同授業とお昼ご飯~よぉし、お前達。的はこのでっかいボール2個だ~

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