一応伏線らしきものも用意するよ?
~追記~
加筆しました
彼女が俺たちの寮に押しかけてからもう1週間がたった。
最初は感情の起伏が読めなかったので苦労したが何とかコミュニケーションも取れるように
なっている。("なっている″なので完全ではないが…)
一番困ったのはお風呂の時間だ。
彼女は年頃の少女が持つ恥じらいが無いので1時期は(と言うか1日だけ)お風呂から裸で
上がってきて目のやり場に困ったほどだ。
アイツが落としてくれなければ多分HSSが発動し彼女を口説いていたことだろう。
そんな悩みも今日は関係ないとばかりに寮を出た遠山キンジは今猛烈な危機感?を抱いている。
なぜ解放感全開の説明から一転危機感と言う物騒なものに変わったのか?と疑問に思うものも
いるだろう…
答えはいたってシンプルだ…偏屈な天才刑事だって言うだろう?
「あの…申し訳ありませんが話を聞かせていただけますか?」
真実とは存外身近なところにあるものですよ?と…
「…で何を聞きたいのですか?もしかしてアイツの事か?」
「アイツとは誰の事かわかりませんが、私が聞きたいのは井吹勇作さんの事です」
いつもの感情をあらわさない顔でそうたずねてきた。
「やっぱりか…んでアイツの事と言ってもいっぱいあるぜ?」
「ではあの人の出生などを教えていただけませんか?」
あれ?それって確か…
「お前自分で調べていなかったか?しかもやたら詳しく」
そう彼女は部屋に押しかけて来た直後に始まろうとした自己紹介を止め、逆に俺たち(主に井吹の
事ではあるが…)のプロフィールをしゃべり始めたのだ。
アレは焦った…まぁ峰が調べていると聞いた時点で納得したが
因みに峰と言うのは俺たちの同級生でロリ巨乳のおバカさんキャラを作っている女の子だ。
まぁどんな理由でそのキャラを作っているのかは分からないが、まぁいい話ではないのは確かだ。
「いいえ、彼の親友であるあなたに聞きたいのです、遠山キンジ」
ふーん、これってもしかして…
「いいや俺もあまり知らないよ」
「と言うと?」
「いや言葉の通りだ、アイツ自分の事をあまり話さないんだよ…まぁ聞けば教えてくれると
思うぞ?」
成程…と言いながら無表情のまま顔を立てに振るレキさん…はっきり言ってコワイ
「では、あなた方が親友になったきっかけは何でしょうか?」
「ただの殴り合いだよ、少年マンガみたいなクサい殴り合い」
?マークを浮かべるレキにキンジは説明する。
「まぁ殴り合いと言ってもそれは最終的なことなんだけどね?」
「最終的に殴り合いとはどういう交遊をしていたんですか?」
レキの真面目で率直な意見に微笑しながら答える。
「『めだかボックス』ってマンガの球磨川禊って知ってるか?」
「いいえ、知りません」
それを聞いたキンジは少し悩むが開き直ったかのような顔で
「それなら原作を見といてくれ…つっても俺もあんまり見てないから人の事言えないんだけどな」
と言い言葉をつづけた。
「まぁ周りが言うには俺はそいつを2倍濃くしたかのような結構ひどい有様だったらしいぜ」
俺と井吹の出会いは正直言って最悪の一言に尽きる。
アイツは相手の懐にずかずかと踏み込んでくるくせに自分の懐を見せるどころか触れさせること
さえさせない。
正直言って何を考えているかもわからなった。
そんなアイツが不気味で恐ろしかった…自分の内面を暴かれるのではないかと怖かった。
「でも、アイツの人柄にすくわれて今がある…だが正直今もアイツは信用ならない」
「では…ではなぜ?」
「ん?そら簡単だよ、アイツが俺たちを裏切ったら俺が斬るためだ」
「斬る…!?」
レキはキンジの予想外の解答に固まってしまう。
キンジはそんなレキの様子に気づかず続けた。
「そう斬るため…まぁその割には肩入れしすぎてる部分があるけどな」
キンジの中にはもう危機感と言う感情はとっくに消え去っていた。
今はレキの中の感情を知るために一つ一つの言葉を吟味する方が楽しいとばかりに質問に
答えていた。
「そうだ、俺からも質問していいか?」
「…!はい、答えられる範囲であればお答えします」
レキの驚いた様子を見て少しオブラートに包んだ方が良かったかな?と心の中で反省しながらも
自分の興味を満たすための核心を突く質問をした。
「レキは何でアイツ…じゃなくて井吹の事を知りたいと思ったんだ?」
レキにしては珍しく少し曖昧な答えを出した。
「なぜか…なぜか彼の事を知りたいと思ったんです」
「そうなんだ…でもそれなら井吹に聞けばよかったんじゃ?」
「そうなんですが…何故か彼に聞こうとすると心臓の鼓動が早くなって彼の前から逃げたくなる
んです…何故でしょうか?」
キンジは目を細めさっきの言葉を心の中で反復する。
(やはりか…)
キンジはレキの心の中の感情に気付くがそれを教えることはせずどこかぼかしたように答えた。
「う~ん…まぁそれは自分で気づいた方がいいよ」
「ですが私はこんな迷いを抱えたまま彼に会いたくないのです」
「それじゃあヒントを一つ…男性や女性が異性に抱く当たり前の感情だよ」
「そうなのですか?」
俺は律儀に礼をするレキを見ながら物思いにふけっていた。
今さっきの俺はとても意地の悪いことをしてしまったと思う。
これまで感情らしい感情を持たなかったレキにとって今の問いはとても難しいもののはずだ。
だからと言って答えを教える気なんて毛頭ない。
理由は簡単、それをやってしまうと面白くないから
こういう時本家は両手を広げてこういうだろう。
『僕は悪くない』と…
「男性や女性が異性に抱く当たり前の感情ですか…」
レキは自分が抱く感情に翻弄されていた…
彼女は今まで感情と言うものとは無縁であったのでそれこそ今の状態を普通よりも深刻に
そして今まで感じたことのない嬉しさを感じていた。
「彼について気になり始めたのはちょうどあの頃…」
席に着きながら自分が感情を抱くきっかけとなった大事な時間を思い出す。
~回想中~
『頼むから服を着て歩いてくれ…そうしないと俺がコイツを何回も落とさないといけなくなる』
『何故でしょうか?私はその必要性を感じません』
『今俺たちが感じてんだよ…ったく自分の事をちゃんと認識していた方がいい』
『私は自分の事はちゃんと認識しています』
『嘘付け、なら何で俺らの前で裸になってるんだよ…』
『私は感情を持たない人形です、人形が羞恥心を感じる必要性があるでしょうか?』
『あのなぁ…自分を人形なんて言うんじゃねぇよ…お前を一人の人間と認識している奴らに
失礼だぞ?』
『彼らは私を偶像崇拝の偶像としてしか認識していませんが?』
『目の前にいるじゃねぇか…ったくこれじゃ何のためのパートナーだよ…』
『ですが、私たちは擬似的なパートナーです』
『擬似でもなんでもパートナーはパートナーなんだ、信じてやんなくてどうするよ』
『ですが…』
『ですがもへったくりもあるか!テメェはこれ以上自分の事をけなすんじゃねぇ…少なくとも俺は
悲しいんだぜ?』
~回想終了~
レキはがたりという音で現実に引き戻された
「これから転校生を紹介しますね」
いつもながら凄い先生だ…とレキは思う。
自分はいつも必要以上に周りの警戒を怠らない。
Aランクの武偵であれば周囲の10メートルまでくれば感づくことが可能だ。
なのにあの先生方は気づけば自分たちの目の前の教卓に立っている。
彼女たちは怒らせてはいけない…と心の中に深く刻み込み目の前に集中する
「入ってきてください」
そう言って出てきたのはとても可愛らしい女性だった。
「初めまして」
武偵に向かないような天使のような笑顔で彼女は自分の名前を言う。
「私の名前は『南雲薫』(なぐも かおる)と言います、以後よろしく!」
なのに何故かレキは彼女を信用する気にはどうしてもなれなかった。