姫に恋した一人の侍   作:賢者

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んじゃまがんばりまっせ


こちらも宣戦布告

彼はどのような手段で私を殺しにくるのだろうか?

 

案外激情に身を任せたまま剣を振るい続け私に殺されてしまうかもしれない。

 

それでもいい、彼はその程度の器しかなかったと言うことを証明されるだけだ。

 

私は学園島が浮かんでいる東京湾より少し離れた場所にある空き倉庫で彼ー井吹勇作ーを

待っている。

 

どんな顔をして彼は私の前に現れるのか?そんな疑問を抱いたがそんなものはどうでもいい。

 

自分はただあの憎き新撰組の血を根絶やしにできればそれでいいのだ。

 

そのためにあのいけ好かない男からも協力者を借りてきた。

 

アレはこの手で確実に葬らなければならない……その決意を宿した目は此処ではないどこか

遠い過去を見ているかのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイ、そんな大層な刀を持ってお前はどこに行くつもりだ?」

 

斬りこみに行こうとしていた俺をキンジが止める。

 

今俺の手には何年も放置されていたとは到底思えないような真っ赤に光る鞘に納められた日本刀

「菊一文字」が長年の相棒とでも言うかのようにおさめられていた。

 

「切込みだよ……許しちゃなんねぇ奴がいるからそいつを逮捕しに行くんだ」

 

「殺気をここらへんに振り向いてる奴が『逮捕』かよ……んな嘘、サルでもわかるぞ」

 

一瞬で嘘だと見破られキンジの追及を受ける。

 

そう言えば俺は何故こんなにも殺気を出しながら彼女の事を助けに行こうとしているのだろう?

 

俺はアイツとはただのパートナーのはずだ。

 

そう、契約が無効となれば離れるそんな間柄である。

 

なのに何故俺はこんなにも必死になって彼女を助けに行こうとする?何故何故何故何故……

 

「キンジこれからいう事は誰にも話すなよ」

 

思考の泥沼にはまりかけた俺だが目の前にキンジがいることを思い出し思考を現実に呼び戻した。

 

と同時にあんなに熱くなっていた頭もすっかり冷えいつも通り冷静に、そしていつもより早く

頭が回転していく。

 

「南雲薫がレキを連れ去った、場所はこのメールに示されている通りならこの空き倉庫だ」

 

「成程な、だからあれほど熱くなってのか……んで俺は何をすればいい?」

 

彼の頭はこの事態を収束させるためのシナリオを描いていく。

 

「これまで見て来たからわかると思うがアイツは俺たちに全然隙を見せなかった」

 

「現にSランクの武偵であるレキも捕まったし、生活にも何らおかしなところは無かったな」

 

「あぁ、完璧すぎると言う違和感だけがアイツを見張っていた唯一の動機だ。

そんな奴がここまでに派手に動いたってことは何か裏がある可能性もある」

 

「だとすれば俺がやるべきことはお前のバックアップか?」

 

「いや、バックアップは別の人間に頼もう……そうだな不知火あたりがベストだな」

 

「ペンタゴンのセキュリティを片手5分で解ける奴が後ろに着かせるあたりお前は本当に

大物だよな」

 

この小説のキャラ崩壊度は……敢えて何も言うまい。

 

「お前は俺と一緒にここに来てほしい」

 

「そらまた何でだ?」

 

「ここには一人で来いとは書いてないし、それにアイツが助っ人を一人読んでいる可能性も否定

できない」

 

「武偵憲章第7条『悲観論で備え、楽観論で行動せよ』だな」

 

「そうゆうこと……お前の準備の間に俺は不知火に電話をかけておく、頼むぞ」

 

オーケー‼と言い残し走り去る遠山……その時の背中が異様に頼もしく見えたのは俺の錯覚では

ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(遅い……もうすぐ約束の時間を過ぎるぞ……)

 

南雲薫は女装の為に長く伸ばした髪をかき上げ苛立ちを収めようとする。

 

(もしかしてあの男にやられたか?だとすれば納得がいく)

 

薫は助っ人として借りたあの男を思い浮かべる。

 

完全に無骨もの、武人として形成されたあの男は自分の事を酷く嫌い接してこようとはせず

それどころか近づいたら殺気さえ放つ始末だ。

 

(だが腕は立つ……やはりそれが妥当か)

 

考えを纏めその瞳をレキへと向ける。

 

昔自分の事を拒絶した妹に似ている女に少し苛立ちを覚えながら腰に携えた「大通連」を

引き抜いた。

 

シャラン……と涼しげな音を響かせたそれは雪のような冷たさを刀身に込めたかのような光を放つ。

 

刀を逆手に持ち替えあの男の顔を思い浮かべながら彼女の胸に狙いを定めた。

 

その時倉庫の扉からキンという音ともに自身が待っていたあの男の影が映る。

 

「待たせたな……南雲薫」

 

『白い』髪をなびかせ、『赤い』虹彩を爛々と光らせながら彼ー井吹勇作ーはかつての新撰組

1番隊組長の愛刀「菊一文字」を体の横へ添えながら敵である南雲薫を見据える。

 

「やぁ、井吹君……彼『天霧九寿』君はどうしたのかな?もしかして倒しちゃった?」

 

「いや、キンジが相手をしてくれてるよ……イイダチを持ったもんだよ」

 

彼は遠くを見つめるかのような目で薫を見つめる。

 

その眼はまるであの時の『沖田総司』とか言う男がしたような自分を見つめていないような目に

そっくりだった。

 

「そんな目を……そんな目をするなァァァァァァァァァァ‼」

 

刀を前へ構えたまま肉薄する薫、刀を体の横に添えながら動かず相手の目を見つめていた。

 

決戦の火ぶたが切って落とされた瞬間だった。




ホントは今日2話連続投稿を目指す予定だったんだけど無理っぽいわ
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