姫に恋した一人の侍   作:賢者

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この章なんて名前にしようかなって今更ながら思った。

後、薄桜鬼を知ってる人ならわかると思うんだけど井吹君は只今『羅刹』状態です。


南雲薫vs井吹勇作

キンと言う金属の勝ち合った涼しい音が倉庫の中に木霊する。

 

しかしそんな涼しい音とは無縁の熱い命のやり取りが南雲薫と井吹勇作の間で行われていた。

 

「オォォォォォォ‼」

 

「フ……ッ‼」

 

雄叫びと共に気迫のこもった殺意ある剣を振るう南雲薫、それとは正反対の命を取らず

それどころか相手の命すら救おうとする剣を振るう井吹勇作……どちらに優劣がつくのは明白……

なはずだった。

 

井吹の髪の色、虹彩の色はいつもとは違う輝きを纏っていた。

 

今の井吹の髪の色は雪のように白く、また虹彩の色は血のように赤く染まっていた。

 

ここで突然だが昔、新撰組の隊士の活躍により日の目を見た霊薬をご存じだろうか?

 

変落水(おちみず)と言われるそれは飲んだものに無限の回復力、人間を越えた腕力を与える

ものだ。

 

だがしかしこれには副作用と言えるものがあり陽の光に弱くなり、定期的に人の血を

摂取したくなる衝動に襲われ、精神的が弱いと理性も失って人格崩壊を起こしてしまうものだ。

 

飲んでしまったらまともな人間とは呼べず新撰組隊士はこれを飲んだものを『死んだ』と

評している。

 

今まさに井吹はそのような状態なのだ。

 

「ハッ!君も血の走狗となり下がってまで僕を殺したいのか‼」

 

「そんなわけないだろう……俺がここにいるのはお前を逮捕し、武偵校のみんなと普通の暮らしに

戻るためだ」

 

「言ってろ……もうすぐ君は吸血衝動に襲われまともな人間には戻れなくなる」

 

「それがどうした」

 

言葉を交わしながら彼らは剣を交わす。

 

剣の持っている意思が正反対のソレは冷たい金属音を絶えず響かせていた。

 

そんな中井吹はなぜか口に出た一言に困惑する。

 

何が「それがどうした」だ……一番それを望んでいない自分が何故そんなことを軽く

言ってしまうのだろう?

 

思考とは反対の言葉が彼の口から次々の吐き出されていく。

 

「君は……君は自分のうちから湧き出る吸血衝動を抑えて見せるとでも?

無理だね、僕は血肉の走狗と成り果て死んでいったものを幾人も見ている。

その中には君より腕の立つ男だっていたんだぞ?」

 

「俺には支えてくれる奴がいる、殴ってくれる奴がいるんだ……吸血衝動を抑えられ理由は

これじゃ不満か?」

 

「中にはそう言って抑え込んでいるものいたけど結局耐えられなかった……

はっきり言わせてもらおう、君は吸血衝動を抑えることなど出来ない‼」

 

「俺が衝動に負けたときにはレキにでも頼むさ……いやレキでないとだめだな」

 

「君は何故そんなにも普通に過ごしていられるんだ!自分の中にある『人間』と言う本質が

けなされているんだぞ‼」

 

「憤ってはいるさ……だがそれ以上にレキが無事であったことに感謝してるんだよ」

 

何を言っている?俺は何故こんなことを言っているのだ?

 

「俺はな、レキじゃなきゃダメなんだよ……いやそうでなきゃならない様になっちまったんだ」

 

もしかして今俺が言葉として紡いでいるのは……

 

「いつかどうかはわからない、俺はレキ専用の……レキにしか使えない刀になったんだ」

 

俺の本心なのか?

 

「ハッ……随分と鈍になったもんだね、君の刃は一人の女の前でしか触れないのか」

 

「当たり前だ、俺の魂がそう言っている」

 

俺の困惑している頭とは全く無関係に動く口……しかし今だけはソレを心地よいとさえ思える。

 

「アイツがどう思っているのかはわからない……だがな今だけでも俺はアイツだけの刀として

この刃を振るう」

 

「人ひとりが背負いきれない重責を他人に押し付けるか……面白い」

 

「いいえ」

 

くつくつと笑う南雲の後ろから鈴のなるようなきれいな声が聞こえる。

 

「他人に押し付けるのではありません……押し付けてもらうんですよ

そうでなきゃ割合が合いません」

 

意識を取り戻したレキは百人が百人振り向くようなきれいな笑顔でこう締めくくった。

 

「ですのでそれを邪魔しようとする無粋な輩はさっさと立ち去ってください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風間様……申し訳ございません」

 

「いや……面白いものが見れた、今回はそれで良しとしよう」

 

天霧の隣に眉目秀麗な男が一人威厳を漂わせながら立っていた。

 

「お前はアイツらを育てろ」

 

「何故でございましょうか?」

 

男ー風間千景ーは笑いながらこう言った。

 

「あの男であれば俺を殺せるかもしれん」




最後のは何だ?フラグだ

一応1章は殆ど完結

後は少し文を足すだけ
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