生まれ変わる先は女尊男卑   作:灰TS

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【ゼウスについて①】
ゼウスは組織内で戦闘に運用されるISを400機所有している。これは各国の技術進歩によってISコアの自国製造が可能になりゆくゆくはゼウスに頼らずに国家防衛が出来るようになる事を見越して、ISコアの絶対数を少なくしている。
しかし、これは実戦闘に運用される数がそれだけであり、研究開発用にこの2倍に相当するISが極秘製造され日夜新しい装備を造る為に実験が行われている。


第三話 この羊は狡猾に非ず/その名はΣ〈シグマ〉 後編

『な!?……俺の細胞で……だと⁈じゃあ今のも?』

『いいえ。これは遺伝子操作の段階でウェスカー様に施された特殊能力です。後天的にエルキドゥを投与されて強化人間になった貴方とは違い、私はより戦闘能力を強化されています。』

『マジかよ……。で、アルトリアは何の用でここに来たのかな?』

『中々の適応力、流石ですね。もっと疑って掛かると思いましたが擬態を観て信用する気にはなったようですね。』

 

 

 

……貴方に専用ISを届けに参りました。《メイク・アライブ計画》筆頭重要事項である《ツインコア・ドライヴシステム》を搭載した、《ガンダムタイプIS》を。』

 

『ゑゑゑゑゑェェェェェ!?』

『ガン‥‥ダム?』

 

千冬はガンダムという名に聞き覚えのある様で思い出そうとしている。エイジはそのISが何であるかを知っている様で驚愕している

 

『信じられないんですけど…Gフレームを使うISは大隊長のみの特権ですよね?』

『語弊がありますが…概ね、その通りです。』

『世界最強の通り名にして、たった一機で大国一つを滅ぼせるとされるあれを?』

『はい。あれです。』

『マジで?』

『マジです。』

『なんでなん?』

『〈天国の世紀〉に於ける貴方の功績は、当時の新兵の中でも飛び抜けて優秀で御座いました。戦果は大隊長と比肩できる程の力を持つエイジ様は直ぐに議会の話題に挙がり満場一致で専用機の開発が決定致しました。フリット様とアセム様は不満があるようでしたが、キラ様とアムロ様とシャ…キャスバル様は認めていましたし。』

『フリットさんとアセムさんはうちと比べてちょいと過保護というか、なまじガチガチの軍人なもんだから息子さんのキオが入隊するのを拒んでたからな。伝え方が不器用だから反発して来ちゃった事を思い出して反対したんだろうよ。』

『(まさか…奴の話は…眉唾物ではなく…)』

 

 

『……あの〜すいません。』

 

復活した山田が立ち上がりながら、挙手をして呼び掛ける。

考え事をしていた千冬も一旦思考を止め、苛められていた後輩に声をかける。

 

『山田先生。大丈夫ですか?』

『織斑先生。不躾ながら申し上げますが…その…時間が』

『あ。』

 

千冬は電子黒板が設置されている電子時計を確認した。

 

『ドアァァァァァァァ!』

 

本来なら平和に終わる筈だったHRは、腐れ縁に変装していた来訪者によって滅茶苦茶になり玄田◯章並みにに吼えながら、崩されたスケジュールを脳内で再構築するのであった。

 

 

 

ーーーーーーーーIS学園廊下ーーーーーーーー

 

 

エイジとアルトリアは一悶着の後、自己紹介を終えたらそそくさと教室から出て行き、ISを受け取りに廊下を歩いているところである。

カナードと劾は千冬から教員室の場所だけを聞いて今頃は自己紹介をしているだろう。

ゼウスの事を余り知らない1年生徒は、ISが使えない男性を警備員として置くなどありえない事であるとの意見も多数寄せられたが、アルトリアがIS学園の理事長と契約書を作成して問題は無いとの事。

治外法権であるIS学園だからこそできるが、こんな事は男子高に女子高校生を転入させようとする位奇妙な荒業である。

だが、治外法権であるが故に本国の警察組織や司法が介入出来ないのも足枷になっている。

三に…四人が来たのも素戔嗚が理事長と交友関係にあり、IS学園の設立に関わった素戔嗚の理由としては優秀な人材に傷が入るのは嫌だし、彼にとって無辜の民に等しい少女が傷つくのは良心が痛むというのが本音だ。。

二つ目としてはこれからISに深く関わっていく若人に自分達の力を見せつけて、陣営に加えるのも良いとも考えたのだ。

 

『ねー、アルトリア。』

『何でしょうか?』

『当のISは何処で整備中?』

『ここの整備用ハンガーを借りて調整です。』

『完成度は?』

『90%に達しております。』

『いいねー、造り始めたのはいつ?』

『1年前からだそうです。』

『アルトリアは開発に携わってないの?』

『任命されたのは運搬担当の方で…議会も直接参加したわけじゃないんですよ。』

『素体は?』

『リボーンズガンダムです。』

『ダブルオーライザーは?』

『あの機体はソラン様が乗機としていたエクシアの後継機にあたります。故に、近接戦闘を主体とした武装に重きを置いているのでバランス型のエイジ様のスタイルに合わないのですよ。リボーンズなら機動戦形態のガンダムモードと、砲撃戦形態のキャノンモードできっちりカバーが出来ます。ツインコアシステムのお陰でファングの出力も向上し、両肘で露出気味だった太陽炉を覆い隠すように1基ずつ増設いたしました。』

『もしかしてそれでバリアなんか張れちゃったりして…』

『はい。アレルヤ様のハルートに搭載されているシザービットを参考にして、鋏の攻撃的構造をバリアの防御機能に発展させました。他のファングも同じ様に改修した様なので、試運転の折には是非確認する事を勧めます。』

『名付けるなら、《フィンファング・バリア》かな?』

『ご自由にどうぞ。』

 

長話をしながら階段を下りたり廊下を曲がったりして5分後に、整備用ハンガー前に着いた。扉に内蔵されているセンサーが二人を感知して自動的に開かれる。

 

『これが【ターンΣ(シグマ)】。エイジ様の専用機でございます。』

 

『おお…中々グレートな仕上がりじゃあないか。』

 

二人の目の前に直立不動の体勢で鎮座していたのは全長5~6M程度の二足人型で頭頂部に鋭いV字型のアンテナを着けた鋼鉄の塊だった。

両腕部・両足部・胸部等には、未だ調整中であるかを表すかの如く装甲に内蔵している精密機械にケーブル状の物体が接続されており、元を辿れば大型コンソールが設置されていた。

 

『さて、こいつのステータスを確認してみま…てありぃ!?』

 

ハンガーに足を踏み入れたエイジは、自分の身体がみるみるうちに逆さまになっていくのに気づいた。

 

『アルトリアさん。もしかしてこれは…』

 

『シグマの出力調整は終了していますが、反応速度の調整作業に入っているので低出力ではありますがドライヴを起動させて装甲とフレームの摩擦係数を下げています。』

 

『ドライヴを回してるってことは…』

 

対照的にアルトリアはしっかりと地面に足をつけており、何ら慌てている様子は無く平然としている。

 

『反重力が発生し無重力状態になっています。AMBACを使う訓練は大学校で受講された筈ですよね?』

『おっとと…低出力でこれか。範囲は?』

『このハンガー内のみに留まっております。』

『パーセント的には幾つ?』

『4〜5%であります。』

『10%もいってないのか…こりゃ全開でぶん回したら凄い事になりそうだな。』

 

》》》》型式番号:TCD-01ターンΣ

素体:リボーンズガンダム

 

》》》》機体全長:4.6m

》》》》機体重量:5.6t(フィン・ファングⅡ非装備時)

6.8t(フィン・ファングⅡ装備時)

 

》》》》動力源:第5世代型太陽炉【カルナ】×2

ミノフスキードライブエンジン×1

》》》》搭載システム:ツインコアドライヴシステム

トランザムシステム

量子化

》》》》防御装備:GNフィールド

GNビームシールド

IF発生装置(超小型)

》》》》機体武装:大型GNバスターライフル×2

大型GNビームサーベル×4

フィン・ファングⅡ×6

小型GNファング×20

エグナーウィップⅡ×2

etc………

 

 

『機体の基本コンセプトは崩さずに、正当な発展系として製造されたようですね。あ、珈琲を淹れますがどうします?』

 

 

アルトリアが左手の薬指に通している白百合の様に美しいダイヤモンドをコンソール近くに向けてかざすと、指輪が強い光を放ち粒子が放出された。

水色の粒子は最初は散らばっていたが、少しずつ収束されていき元々の物質に還元され其処には丸型のスモールサイズのダイニングテーブルと砂糖・ミルクの瓶と珈琲ミルと湯沸しポットがそれぞれ一つずつと簡素な珈琲カップ、ホイール付き椅子・珈琲豆が入った袋が其々二つずつ出現した。

 

 

『何処もかしこも金と資材の気合の入れようが違うぜ。まあ、素体がGフレームならこれも必然か。じゃあ、ミルクと砂糖アリアリでな。比率は6:2:2で頼むぜ。(一から挽くのか、本格的だな)』

 

 

アルトリアは慣れた手つきで珈琲ミルに二人分の豆をセットし一部の淀みも無く5〜6分後には豆は細かい粒子状になった。

目分量ながら均等に挽いた豆をカップに入れ、予め熱湯で準備しているポットを動かし注いでいく。適量に達したと判断したアルトリアはポットを元の場所に置きつつエイジとも会話に興じる。

 

 

『私はエンキドゥによる戦闘能力だけでなく、凡ゆる状況に即応可能な新世代の人造生命であります。そこいらの凡骨とは頭の作りも使い方も比較にならない程に洗練され、より効率的に、より効果的に活動する事を義務付けられています。(しまった。マドラーを出し忘れてしまった。)』

 

アルトリアは今度はテーブルに向けて指輪をかざした。今度は金属製のマドラーらしき物体が出現した。まだ完全に混ざっていない珈琲にアルトリアはマドラーを入れ、丁寧にかき混ぜ3分後には2人前の珈琲が出来上がった。エイジの珈琲には注文通り、ミルクと砂糖を多めに混ぜ入れエイジの手が届く距離に置き自身はブラック珈琲を飲み始めた。

 

 

『相当自身の有る奴じゃなきゃそんな発言は出来ないな。あー…て事はさ?グラビアアイドル顔負けの美女フェイスと豊満な肉体にも理由があるのかね?(ズズズズ……あ〜美味しいじゃあないか。そういや珈琲の上手な淹れ方は学校の家庭科じゃ習わなかったな。暇が出来たら聞いてみるか。)』

 

 

専用機の情報の閲覧が完了し、アルトリアが用意した椅子に移動したエイジは珈琲を飲みながらアルトリアに[自分が造られた理由]について質問を行なった。

 

 

『貴方の行動をえん…』

『そんなもん聞かんでも解るさ。俺が聞いているのはそれ以外のことだよ。』

『”それ以外“?そうですか…簡単に言えばあらゆる手段を行使して貴方を繋ぎ止める事です。』

『はぁ!?何じゃそりゃ!?俺が裏切るとでも上層部は考えてんのか!?冗談でも笑えねぇぜ!』

『これは上層部の意志ではありません。』

『じゃあ誰の…』

『ウェスカー様であります。』

『やっぱりあいつか…』

 

 

珈琲を飲み終えたエイジは怒りを露わにした。自分の父親がトップを務め母親も参謀の席に就いている組織に、自分の意思で入隊を強く打診したのだ。両親の期待に応える意味としても、トップとナンバー2から信頼を寄せられている若きエースとしても、エイジは裏切れないし裏切りたくないのである。

当然のように其処には打算など存在しない。ウェスカーの此方に対する不信を表したアルトリアの発言にエイジは怒りと困惑が入り混じった表情を浮かべた。

 

 

『エイジ様はエンキドゥの貴重な被験体であります。確実に貴重なデータを得る為に私が性的な奉仕を行って繫ぎ止める役割も担っております。』

『あのさぁ…そんなあからさまな発言聞いてさ、これから奉仕をする時に勃つと本気で思ってんの?』

『あ……私にカマをかけましたね。』

『掛けてないよ。オブラートに包む伝え方ってモンがあったろうが。そういうことだ。』

『どんなに言い繕ろうと致す時が来れば解ります。手っ取り早くその分の時間を省いたまでです。』

『ハァ…(俺のパートナーがこんな変態なんだかストレートなんだか分からん奴だなんて…先が思いやられるぜ)』

 

 

アルトリアと口論しつつエイジは特製珈琲を啜る。

 

 

『話は戻りますが、シグマは既に実戦に投入できるレベルにあります。確かIS学園ではこのシーズン、クラス代表決定戦がございます。』

『(切り替え早いな…全く気にしてないって感じだ…)そうか、適当に他のクラスの代表戦にエキストラとして入れて貰って試験運用をするプランで行くか。』

『畏まりました。それともう一件…』

『ん?もう一つ?』

『ええ、これから行なう戦闘の相手に織斑一夏がいる一年のクラスを選んで重点的に戦うのはどうでしょう?』

『何でさ?これから”選別”をして素質を調べる前段階なら、三年を重点的に予定をセッティングして戦うのが定石じゃないか?』

『[天財族(てんざいぞく)]』

『う…』

 

 

天財族---その言葉を聞いた瞬間、エイジの表情は苦虫を噛み潰したような顔になった

 

 

『彼らからの援助によって我々は充分過ぎるほどに、組織運営は賄われています。他の多国籍企業からの援助資金や資材では【月基地】や【ガーンディーヴァ】を建造するのに本来なら最速で二百年はかかる所を十年ほどで建造し、安定した拠点運営も行われています。それが出来ているのは貴方の父君が彼らの要望に応えているからこそなのは、お解りですね?』

『釘を刺すように言伝を頼んだのは誰だ?』

『いいえ。誰からも頼まれてはおりません。』

『なに?』

『これは貴方の出自と置かれている状況を判断しての忠告でございます。』

『俺は実力で学校を抜けた。』

『実力は関係ありません。貴方が天財族に名を連ねる血族である以上、要望に応える義務があるのではないかと思いまして…』

『やれやれ…俺を怒らせるな。』

 

《天財族》---この地球上において、戦争・経済・医療・福祉・政治など、世界の成長と維持を司るあらゆる要素を裏から支配する伝説の部族である。

彼らの特徴といえば分かり易いものが5つ

 

1つ---とても長生きし、

 

2つ---滅多に病気に罹らないような丈夫な身体を持ち、

 

3つ---身体を扱う戦いと頭を扱う知能戦に滅法強く、

 

4つ---その部族の血や体液を啜ったものは〈分家〉と呼ばれる存在に昇華し、天財族の〈本家〉には劣るものの恵まれた体格と頭脳を手に入れることができる。

 

最後の5つ---それ故に霊長類の中で最も繁殖力がズバ抜けて高い。

 

 

正に絵に描いたような人間が思う理想を内包するこの部族は名前はそのまま、種族と言っても遜色無いほどに個体数が多い。

エイジは9割〈本家〉の1割〈分家〉の割合で血を引いており、母親---八神玉藻---本姓、『殺神玉藻〈あやかみたまも〉』---に、結婚を申し出たスサノオがいる八神家が一番最初に〈分家〉になった家系であり、本家である〈殺神家〉でもエイジの能力を信頼しているものは多いとか。

 

 

『俺は自分の意志で赴く。誰に言われるまでもなく、自分が行きたいから行く。俺のやる事にお前も含めて文句は言わせない。』

 

調整器具の入力装置にケーブルを排出するコマンドを入力した。

数秒後にターンΣは粒子に変換され待機状態に移行。腕輪に再変換されエイジの手元にゆっくり収まった。

 

『行くぞ、アルトリア。初戦は【ブルー・ティアーズ】と【白式】だ。完勝になるだろうが、油断はしないつもりだ。』

 

『(やれやれ…父君を見習って欲しいものです)畏まりました。』

 

機材を片付けたアルトリアは先に教室に向かったエイジに追いつくために、足早に整備用ハンガーを去っていった。

 

 

遂に登場した専用機!一体どれほどの性能を発揮するのだろうか!

やっと始まる(始まったらいいなあ)戦闘!(とは名ばかりのインターミッション)

自由に戦いたいエイジをどうしようもなく悩ませる天財族の影…

次話、乞うご期待!(してくれたらいいなあ)




【ゼウスの各拠点について】
①月基地
天財族の全面的な資金援助と資材提供により極秘に建造された実験施設。イメージとしては『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する『フォン・ブラウン』が適切である。商業施設や宿泊施設も兼ねており、ゼウス所属の軍人や研究員達が盛んに利用している。
②ガーンディーヴァ
①と同じ経緯で建造中の円柱状の超弩級砲塔兵器。イメージとしては『ガンダム』シリーズに登場する『コロニーレーザー』が適切である。名前の由来はインド古代叙事詩『マハーバーラタ』に登場する大英雄『アルジュナ』が持つ弓の名から取られている。
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