いいたいことはあるけど、言葉に出来ないこともあるので。
何が言いたいかというと。
まあ、色々な思惑は重なるってことさ。
お、恐ろしい話を聞いた。
まさか、安全かなと思っていた二人が『象徴』化の派閥なんて。そんなこと現代の日本でやらかされたら、確実に怖い人たちが出てくる。
どうするべきか。いや、どうしたら一番いいかを考える。
逃げるって選択肢は簡単だ。何しろ俺には『ゴジラ』様がいる。全力で使えば国家だろうと軍隊だろうと簡単にねじ伏せることができる。
しかし、だ。ゴジラ単体でも簡単に終わりそうなのに、あのゴジラはただのゴジラじゃない。
全ゴジラの能力を持った上に『王の力』もあるってことは、だ。
「お、恐ろしい」
艦娘達より何より、自分の転生特典が本当に恐ろしいものだと知った。
ク、こうなればやはり逃げるしか。いや、このまま何事もないように過ごした方がいいのでは。
葛藤か。
どうするべきか悩んでいると、窓から視線を感じた。
「あ」
窓からこちらを見ているゴジラ様がいた。
うわぁ~~逃げられないなぁ。
「・・・・・・か、考えてみれば天国のような仕事場じゃないか」
そうだ。職場に男は俺一人、周り中は綺麗な女の子ばかり。仕事といっても執務室にいるだけ、座っているだけで後は周りが勝手にやってくれる。
ビバ、働きやすい職場。
思い込むしかねぇ、弱虫だと笑いたければ笑えばいい。俺は自分の身が大切なんだ、誰だってそうだろうが。それに、周りの評価も気になるんだよ。いい人でありたいとか、欲望なんて持ってないさって真人間に見られたい。
嘘です、本当は『あ、かっこいい』とか艦娘達に言われてチヤホヤされたいのが本音です。
「よ、よし、じゃ気を取り直して」
鎮守府内を見回るか、いや出歩くと拉致されるって言われたような、まあいいか。あのゴジラ様がいる以上は俺は安全だ。
俺の周りの世界が大変なことになるかもしれないが。
気を取り直して、行くぞ。
と、思わず外にいるゴジラ様を見た瞬間に、俺は急いで執務室のイスに座った。
なんだよ、あれ。どういうことだよ。なんで気合を入れただけでゴジラ様が金色の鎧をまとった上に聖剣と乖離剣を握っているわけ。
背後に浮かんでいるのって艤装か? ヤマトっぱくて片方が宇宙戦艦っぽいので、もう片方が霧だったた。その後ろに広がる剣とか、何してんのよ。
いや待て待て、あの足元にずらりと並んだあいつらはなんだ?
全員が、見覚えのある刀を持った人型サイズのゴジラってなんだよ。斬魄刀か、いや仮面ライダーとか特撮系の武器じゃないか。
『王の力』って第四次のライダーの宝具まで入ってるの?!
「行かないので納めてくれませんか?」
声は聞こえなかった。でも、その視線が『え、行かないの、ヘタレ』とか言ってそうだったけど、何とかゴジラ様は武装を収めてくれた。
怖ぇぇぇぇぇぇ! なんだよあれは!? どういう原理だよそれ! 宝具だけじゃなくて艤装って! マジで戦艦王とか軍艦王とかあるの?! 鬼火とか霊魂とか見えたけど。
シャーマンキングまで取り込まれていますか?! お、おい、どういことだよ、誰か説明してくれよ。
少し錯乱していたようだ。色々とヤバいことが執務室の机の紙に書かれているけど、まあいいだろう。
『行けるぜ世界征服』、『さあ、全軍突撃だ』とか書いてあるが、忘れよう。こんなものはゴミ箱に。
おぅ・・・・・危ねぇぇぇぇ!! なんかレーザー俺の机の上に紙だけ焼いていったんだけど!
なにこの反応の速さ! しかも鎮守府の建物に傷一つないってどういうこと!? 空間無視!? 単体でワープとかやったの?!
ちょっと待った! 俺の意思どおりってことは・・・・。
「いや俺は平穏が大好きです!」
動き出しかけたゴジラ様に向けて叫ぶ。いや、確実に世界を滅ぼしに行きかけたでしょう。
動き出しかけたゴジラ様が振り返ると、足元にいた大勢の兵士たちが一斉に消えていきました。
あ、危なかった。あれってスパルタン部隊だよな。あっちに空母って、マクロスじゃんか。なんだよ、スパルタン部隊で歩兵やって、航空戦力がバルキリーって何処の宇宙戦争だよ。
あ、あっちにエイリアンとかプレデターとかいるわ。さらに向こうに獣化兵いやがる。
待ってくれ、俺のライフがゴリゴリと削られるんだけど。
「怪獣王の威光は果てしない」
「いやがったな、妖精。説明しろ」
「王とは配下がいてこそ、忠臣は必ず王に従う者。ならば、呼べばすぐに答えるが必定じゃないか」
あっさりと言いやがって。なんでそう、危ないことを『当然』って顔で言えるかなぁ。
「く、おまえを殺したい」
あ・・・・・・・うん、そうだったね。拳を握って妖精を睨んだら、そこにブラックホールが発生。原始の塵に帰っていったよ。
ピンポイントで対象をブラックホールにぶち込めるって、すげぇなぁ。俺は完全に錯乱しているような思考で、ゴジラ様に祈りをささげるのでした。
「提督さん」
「え、はい。えっと、瑞鶴だったっけ?」
「そう」
にっこり笑顔で入ってきたのは、ツンデレ空母じゃなかったなぁ。すっごい笑顔なんだけど、何があったの?
「ちょっとだけいいかな?」
「いいけど、どうしたの?」
「ん~~ちょっとね」
一歩一歩と近づいてくる彼女に、何か嫌な予感がしてきた。
え、待って、この瑞鶴、『どの派閥』?
「ちなみに、だが。瑞鶴、おまえは俺をどう思っている?」
「提督さんのこと? そんなの決まっているじゃない」
笑顔だ。とても可愛い笑顔で頬を染めているのだが、何故か寒気が止まらない。ダメだ、近づけたら俺の何かが失われる気がする。
「私の大切な提督さんだよ。ねぇ、提督さん、私と一緒に、ね」
可愛い。素直にそう思えるのだが、俺の第六感が警鐘を鳴らしている。
「さあ・・・・・」
「そうはさせません!」
「ちぃ! 加賀さん!」
はいぃぃ?! なんか窓を割って空母が飛び込んできたんだけど!
「貴方達『提督愛玩ペット派閥』の好きにはさせません」
「何よ! 『提督監禁派閥』が偉いって言うの!?」
「違います、私達は『提督ニート化派閥』です」
どっちでも同じだろうが、おい!
なんで真面目な加賀が、ニート推奨の派閥にいるんだよ!
「退かないというなら」
「そっちが先でしょ」
睨みあう二人は弓を取り出し、そして執務室に航空機が舞った、と。
夕日が今日も綺麗だ。
「すみません、提督、以後、気をつけますので」
「あ、うん、誰にだって間違えはあるから」
土下座する瑞鶴と加賀から視線を反らす。
綺麗な夕日じゃないか、水平線に沈む太陽を見つめていると、些細なことなどどうでもいいように感じてしまう。
「ほら、二人とも、心が洗われるようだろう?」
心地よい風だ。そうだ自然とは、人の心を洗ってくれるのだろう。
「提督、では」
大淀の声に、俺は大きく頷いた。
「お任せください、提督。この大淀、提督のために鎮守府の防備を上げてごらんにいれます」
「頼むよ」
「ええ、熱線やレーザーなどに負けない鎮守府を! ご友人も住めるような場所にして見せます!」
拳を握って宣言する大淀に、俺は答えられず『壁のなくなった執務室』で夕陽を眺めていた。
うん、身の危険って感じちゃダメだったね。
ゴジラ様の熱戦は、やっぱり強いなぁ。
本日の被害、鎮守府全損、更地になりました。以上。
転生特典って、色々な人が望むじゃない。自分の欲望に忠実に選ぶ人もいれば、今後のことを考えて選ぶ人もいるわけでしょ。
でもさ、すべて『感情直結』なんだよね。意思ともいうけど、安全装置って掛けられないよね。
というわけで、ゴジラは主人公の危機意識に反応して原因を排除したってわけさ。
周辺被害、許容範囲内でしょ、ゴジラからして見れば。