Emerald First Love (本編完結)   作:Shige_puni

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遅くなりました。今回はちょっとシリアス?です
難産でした。私にはこれが限界……
またアメフト描写あります


9話 恋とアメフトと

2学期 その1

 

 夏休み終盤、アメフト部・Aqours共に夏合宿を行い、その後Aqoursは予備予選があった

 梨子のピアノコンクールと重なって8人での出場となったが、だからこそ想いがひとつになるライブとなった

 そして9月も半ばとなった今日、高校アメフト選手権秋季大会が始まる

 

 

~初戦・試合前~

 相手は春にも対戦して勝利した高校。正直言うとかなり格下だ。しかし静岡1位でないと関東大会に進めない。試合数が少ない分、ここでの負けは断じて許されない

 

 

監督「相手が格下だからと気を緩めるな。まずは初戦、大勝して勢いに乗ろう。圧倒的なパワーと圧倒的なスピードで圧倒的に勝つ!行くぞ!」

 

「「はい!!」」

 

 

「ハードタックル、レディーッゴー!!」

 

 

……

 

 

試合終了

80-0

 

 まさに圧倒的であった。厳しい練習の成果と、相手選手の殆どがオフェンスとディフェンス両面出場というのも要因か

 「こんな点数あり得ない」と思われるかも知れないが、実際に 102-0 という試合も存在する

 

 

 

━━━━

 

 

 

~翌日・教室にて~

 

果南「おはよ!試合どうだった?」

 

隼人「おう!もうボコボコよ」

 

鞠莉「Fantastic!見に行きたかったわ~」

 

ダイヤ「お気持ちはわかりますが、練習をお休みにする訳にも……」

 

江井「ハハハ。でもいつだかウチのグラウンドで試合あるよな?」

 

隼人「確か県大会最終戦だな。まぁ練習の合間にでも見てくれ」

 

鞠莉「ふふっ、そうするわ♪」

 

隼人「おうよ。でもまぁ今回はあんまり手の内を見せずに勝てて良かったわ」

 

 どのスポーツもそうだろうが、試合になると他チームが敵情視察でビデオを撮るなどしてミーティング資料にする。逆に、敢えてトリックプレーを行い、相手のミーティングの手間を増やすこともできる

 因みに練習の偵察はNGだ

 

果南「それは凄いね。次の試合も頑張ってね!」

 

隼人・江井「おう!」

 

 

 

━━━━

 

 

 

~数週間後~

 

 Aqoursは予備予選2回目を無事に終え、アメフト部は続く試合も無事に勝利し、残すは最終戦となった

 そんなある日、練習を終え1人帰宅中の果南

 

 

果南(今日も良い練習だったな。あとは休息あるのみだね)

 

??「あ、ひょっとして松浦果南さんだよね?」

 

果南「え?そうですけど……」

 

 他校の男子生徒に話しかけられた。体格は隼人に似ているが、この生徒の方がやや横に大きい

 

生徒「俺ファンなんです!会えて良かった!」

 

果南「あ、ありがとうございます」

 

生徒「それで、あの、突然なんだけど……」

 

果南「はい?」

 

生徒「すっ好きです!付き合ってください!」

 

果南「……!?」

 

 

……

 

 

 居残り自主練(通称アフター)を終え帰宅する隼人。ロングスナップを極めるべく、今日も練習に打ち込んだ

 

隼人(う~ん悪くはなかったが、職人としちゃあまだまだだな~ってそうだプロテイン買い足そう)

 

 タンパク質は身体作りに重要だ。吸収時間も考慮して、運動後と寝る前では少し成分が異なる

 彼が買い物を済ませると……

 

隼人「お、果南じゃん!ってあれは……」

 

 

……

 

 

果南「あの、気持ちは嬉しいけど、初対面だし私スクールアイドルだし……」

 

生徒「そこを何とか!」

 

果南「ア、アハハ……」

 

 なかなか引かない相手に困惑し、乾いた笑いが出る果南

 そこへ

 

隼人「おっす果南! んで、そっちは久々だな」

 

生徒「お前は……浦の星のセンター!」

 

果南「知り合いなの?」

 

隼人「あ~彼は別の高校のアメフト部でな、試合でよく当たるんだわ」

 

 

 この生徒はディフェンスライン。その中でも中央付近に位置するディフェンスタックル(DT){またはノーズタックル(NT)}

 両者は試合中何度もぶつかり合うポジションだ (以降、彼をNで)

 

 

隼人「しかしグラウンド以外で会うのは初めてかもな。何やってたの?」

 

N「別に、たまたま通っただけだよ」

 

果南「なんか、私のファンらしくて……」

 

隼人「お~それで会いに来たと。行動力は大したもんだが、あんまり果南を困らすなよ?」

 

N「……困らせてねぇよ。大体、お前は果南さんの何なんだ?」

 

隼人「……ボディガードだ」

 

果南(……)

 

N「ボディガード?」

 

隼人「そう。不届き者からAqoursを、果南を守るためのな」

 

N「なんだそりゃ。まぁ良いや。とりあえず今日は帰るわ……今度の試合、よろしくな」

 

隼人「こちらこそ。まぁ、また俺たちが勝つけどな!」

 

N「言ってろ。それと、果南さん。やっぱり、さっきはゴメン。でも俺は諦めないから。じゃあね!」

 

果南「え、うん。さようなら~」

 

 そう言って去っていくN。少し頭が冷えたか、いくらか反省した様子だった

 

隼人「やっぱり……何かあったのか?」

 

果南「うん、まぁ……ちょっとね……」

 

 流石に動揺が隠せない果南

 

隼人「……どうしたんだ?」

 

果南「その前に、一つ聞かせて。隼人君が心配してくれるのは、ボディガードだからなの?」

 

隼人「……あぁ、そうだ」

 

果南「……そう、なんだ」

 

隼人「でも、それだけじゃない。上手くは言えないんだけど……俺は、果南のこと、大事に思ってるから……だから……」

 

果南「うん、わかった。ありがとう♪ じゃあその、さっき実は……」

 

 事務的というか、義務感で心配してくれていたと不安になった様子であったが、そうじゃないと分かり一先ず安心した果南。先ほどの押し掛け告白について話した

 

隼人「そんなことが!他に何か嫌なことはされてない?」

 

果南「ううん、それは大丈夫。まぁ流石にビックリしたけどね……」

 

隼人「そっか。しかしまぁ……ホント、見上げた行動力だ……」

 

 後半は独り言に近かった。伝えてしまいたい気持ちと裏腹に、告白しないと決めた隼人には、羨ましいという気持ちすらある

 しかし何より

 

隼人「守ってあげらんなくて、ごめんな」

 

果南「ううん、あの時来てくれたから助かったんだよ?ありがとう」

 

隼人「でも……」

 

果南「じゃあ今度の試合、絶対勝って優勝して!そこでカッコ良い処みせてほしいな♪」

 

隼人「……わかった、約束する!」

 

果南「うん♪」

 

 

 

━━━━

 

 

 

~数日後~

 

 静岡県大会最終戦。浦の星と、Nがいる高校が対戦する

 両校とも全勝のため、この試合が事実上決勝戦と言っても過言ではない

 

 

監督「いよいよ県大会最終戦だ。いつも通り、お前らの圧倒的なアメフトをやれば大丈夫だ。行くぞ!」

 

「「はいッ!!」」

 

 

「行くぞお前らあぁぁぁぁ!!」

「おうッ!」

「ぶちかますぞォッ!!」

「おうッ!」

「絶対優勝すんぞォォォォォォッ!!!!」

「「「ファイ、オー、ファイ、オー、ファイ、オーーーーッ!、トゥーーッッ!!!!」」」

 

 

……

 

 

~一方のAqours~

 

 屋上にて練習の休憩中

 

鞠莉「試合、始まったわね」

 

果南「……うん」

 

ダイヤ「隼人さーん、やっておしまいなさーい!!」

 

果南「ちょっとダイヤ!?」

 

ダイヤ「ファンの方と言えど、あんな不届き者は成敗ですわ!」

 

 先日の件を2人に話した果南。ダイヤはかなりご立腹のようだ

 

千歌「ダイヤちゃんはどうしちゃったの?」

 

ルビィ「困ったファンが果南ちゃんに押し掛けてきたみたいだよ」

 

千歌「そうだったんだ~。果南ちゃん大丈夫?」

 

果南「うん。ちょっとビックリしたけど大丈夫。隼人君が来てくれたから」

 

曜「おぉ~隼人先輩カッコ良い~!でも私たちも気を付けなきゃだね」

 

 そうこうしているうちに、浦の星オフェンスが始まる

 

 

……

 

 

 QBの指示が出され、各々所定の位置に着く

 隼人とNがほぼ目の前で対峙する

 

 

N「センター行こうぜ!」

 

隼人「DTよろしくぅ!」

 

 

 お互いに挑発し合い、テンションを上げる。試合中のこの2人にはいつものやり取りだ

 因みにこのN、軽い性格はしているが、静岡でも屈指のDLだ。彼にこちらのプレーが止められたのは一度や二度ではない

 

 

隼人(果南のためにも、気合い入れて行くぜ!)

 

 

……

 

 

 第2クォーター終盤、一進一退の攻防を続け 14-14 の展開

 浦の星の攻撃

 

 

QB「右プロIからBlast。コール1、レディ」

 

「「GO!」」

 

 いつもの通りQBから指示が出て、所定の位置につく

 

QB「行きますDown。Set、Hut!」

 

隼人「ブリッツ!」

ゴン!ガゴン!

 

 

 Blast。もはや定番のプレーだ。無論他にも様々なプレーを織り交ぜているが、浦の星のBlastは要注意、と他チームも警戒している。そのため、この時相手チームはブリッツを2人同時に仕掛けてきた

 隼人たちオフェンスラインも反応はしたが、どうしても走路がつぶされる

 

 

ピピーッ!

 

 

 殆ど前進できずプレーが止まる。2枚ブリッツならある程度仕方ないか

 しかし選手が1人うずくまっている。どうやら浦の星の選手のようだ。激しい接触が多いスポーツであるため、ケガ人が出ることが少なくない

 

 

……

 

 

善子「ちょっと誰か倒れてるけど大丈夫なの!?」

 

花丸「人がもみくちゃになってて……あ、見えたずら」

 

梨子「赤いユニフォームで69って、もしかして……」

 

果南「隼人君ッ!?」

 

 

 仲間に支えられながら立ち上がる隼人を見て、動揺が隠せない果南。自分が傷つくより仲間が傷つく方が耐えられない彼女。グラウンドまで駆け付けたい気持ちだろう

 しかし幸い大したことはなく、そのまま試合に出るようだ

 

 

鞠莉「果南、気持ちは分かるけど、私たちが知ってるハヤトならきっと大丈夫」

 

ダイヤ「えぇ。今の私たちにできるのは、信じて応援することですわ」

 

果南「……うん」

 

果南(隼人君……)

 

 

……

 

 

 そのまま敵陣深くまで攻めた浦の星アメフト部。しかしタッチダウンは取れそうになく、キックで3点追加 17-14

 ちょうど時間を使い切り、そのまま前半終了

 

 

監督「さっきはどうした隼人、大丈夫か?」

 

隼人「すいません、軽い"ももかん"です。冷やしときゃ問題ないと思います」

 

監督「わかった。ゆっくり伸ばしながら冷やせよ」

 

隼人「はい」

 

 ももかん。太ももの強い打撲だ。太ももにもパッドは入っているが、全面保護ではないためしばしば起こる

 因みに結構痛い

 

マネージャー「隼人さん氷です!」

 

隼人「ありがと!」

 

 患部に氷袋を当て、軽くテーピングで固定しゆっくりストレッチする隼人

 

隼人(カッコ良い処を見せるって約束したけど、みっともない処見せちゃったな。まぁ、気持ち切り替えて後半だ)

 

 

……

 

 

後半

 江井を始めディフェンス選手が踏ん張るも、一本取り返されてしまう。17-21

 そしてキックオフで攻守交代し、試合を続ける

 

 試合が進むに連れて、隼人の様子が変わっていく。幾度となく対戦しているNは、その変化を感じていた

 

 

N(なんかアイツいつもと違うな。なんつーか……止まらねぇ)

 

 

 そう、止まらなかった。中央のランプレーは、堅実にゲインこそするが、一気に距離を稼ぐことは少ない

 それでも止まらない。ファーストダウン(攻撃権を更新)しまくって、敵陣へと進む

 夏の招待試合の時、いやそれ以上の気迫で、ブリッツなどお構いなく道をこじ開けてフィールドを支配していた

 

 

隼人(……)

 

N「ぐっ……!」

 

 

 もはや誰も止められない……!

 ゴール前ディフェンスで相手が前衛を固めた処で、もう手遅れだった

 

 

ピピーッ!

 

 

 審判がタッチダウンのホイッスル!

 その瞬間

 

 

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 隼人のその咆哮は会場中に轟き渡り、見る者全てを圧倒していた

 

 

……

 

 

ダイヤ「手負いの獣は恐ろしいと言いますが……」

 

鞠莉「えぇ、いつにも増して気迫が凄いわ……」

 

善子「もう、ホントにポセイドンじゃない」

 

果南「ビックリしたけど、ちょっと安心した……♪」

 

 

 

━━━━

 

 

 

試合終了 31-21

 

 ここに浦の星の静岡大会優勝が決定し、春大会に続き関東への切符を手にした

 

 

審判「ナイスゲーム!」

 

「「ありがとうございました!!」」

 

 そしてすれ違い様に言葉を交わす選手たち

 

N「……負けたよ」

 

隼人「……おう。お前らの分まで、関東で暴れてくる」

 

 その先の言葉は、口に出さなくても分かる

 

((またいつか、戦おうぜ!))

 

 

 

━━━━

 

 

 

~挨拶やアメフト雑誌の取材などが終わり帰り道~

 

 

隼人「あ~、めっさ疲れた。でもホント、優勝できて良かった~!」

 

江井「ホントだな。てかまた後半の隼人はマジでどうしたあれ?」

 

隼人「正直、はっきり覚えてないんだよな。でもなんかランが止まる気がしなかったし、思わず叫んじまったな」

 

江井「あれはなかなかの迫力でカッコ良かったけどな」

 

 隼人の相棒たる江井から見ても珍しい光景だった。あの時隼人は、超集中状態"ゾーン"に入っていたのかも知れない……と

 

果南「隼人君!」

ダイヤ「優勝、おめでとうございます!」

鞠莉「とってもシャイニーだったわ!」

 

隼人・江井「ありがとう!」

 

果南「ケガは大丈夫なの?」

 

隼人「あぁ、大丈夫。念のためまだ冷やしてるけど」

 

 そういう隼人の右太ももには、服が濡れるのも構わず氷袋がテーピングしてある

 

果南「……」

 

江井「じゃあ俺は先に帰るから、ゆっくり歩いて帰れよ!」

ダイヤ「お大事になさってください」

鞠莉「ふふっ、あんまり無茶はしないようにね♪」

 

隼人「あ、あぁ」

 

 そうして夏祭りの時のように去っていく3人

 

果南「……ホントに、心配したんだよ?」

 

隼人「ゴメンな心配かけて。でももう痛みもないし、安心してくれ」

 

果南「……うん」

 

 するとそこへ

 

N「よう、お二人さん」

 

果南「!」

 

隼人「爽やかに終わったと思ったのに締まらんヤツだなおい」

 

N「まぁそう言うなって。果南さん」

 

果南「あ、はい」

 

N「潔く諦める。迷惑かけてごめんなさい。んじゃ、頑張れよ"ボディガード"」

 

 そう言って去っていくN

 

隼人「フッ……カッコつけやがって」

 

果南「でも隼人君のあの雄叫び凄かったよ。カッコ良かった♪」

 

隼人「ハハッ、なんか恥ずかしいな。あの時はホントに不思議な感覚でさ、相手の動きが良く見えて、自分が凄い動けて……。タッチダウンした時はなんかもう爆発した感じだった」

 

果南「そうだったんだね。そうだまだ言ってなかった。優勝おめでとう♪関東大会も頑張って!」

 

隼人「おう、ありがとう!」

 

 

 

つづく

━━━━

 

 

果南「私の気持ちも、もう……」

 

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