Emerald First Love (本編完結)   作:Shige_puni

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ついに来ました。このSSで一番書きたかった回です
ぶっちゃけこの話のためにSS書き始めました
早速どうぞ


10話 溢れ出す恋心

2学期 その2

 

 先日無事に静岡大会を勝ち抜いた浦の星高校アメフト部

 いよいよ関東大会が始まり、高校アメフト界は盛り上がりを増している。昨日の1回戦を何とか勝ち、春大会の成績は越えた

 次の試合は春に負けた高校。リベンジに燃える隼人達ではあるが……

 

 

隼人「流石に遠征翌日はダルい……」

 

江井「全身の筋肉痛が……」

 

ダイヤ「もう、お2人ともだらしないですわよ。シャキッとしてくださいな」

 

鞠莉「そうやって机に寝てると、なんだかゆるキャラみたいね」

 

果南「……」

 

隼人「あれ、果南もなんか元気ない?」

 

果南「えっ、あぁ別に大丈夫だよ」

 

隼人「ん~なら良いんだけど」

 

江井「しかしスクールアイドルってさ、俺らと違って監督やコーチがいない訳じゃん?その辺り大変だよな~」

 

隼人「確かにな。そうすると3人が選手兼監督、みたいな?そりゃ疲れるわ」

 

ダイヤ「確かにアドバイスをすることはありますが、みんなで意見を出し合うことも多いですわ」

 

鞠莉「それに何より楽しんでやってるし、大変ってことはないから問題ナッシングよ♪」

 

果南「でも今は、千歌が猛特訓中なんだけどね」

 

隼人「あらまぁ。それが気になってたの?」

 

果南「う、うん。まぁね。でも、そもそもどう見ても2人の方がヘロヘロなんだから、しっかりケアしてね?」

 

鞠莉(果南がハグすれば一発だと思うけど♪)

 

ダイヤ「でも授業中に寝るのはぶっぶーですわよ!」

 

江井「それは勿論。まぁ昼には多少回復するハズだ」

 

 

……

 

 

~授業中~

 

教師「じゃあ、この問題を……松浦、解いてみて」

 

果南「……」

 

教師「おーい松浦、聞いとるか?」

 

ダイヤ(果南さん、当てられてますわよ!)

 

果南「あっ、はい!」

 

教師「ちゃんと集中しろ。じゃあこれは代わりに……」

 

果南「すみません……」

 

隼人(……)

 

 

……

 

 

~休み時間~

 

 

隼人「果南さっきはどした?珍しい」

 

果南「アハハ、恥ずかしい……でも大丈夫だよ」

 

隼人「う~んやっぱり体調悪いんじゃね?なら保健室に……」

 

果南「だから大丈夫だってば!」

 

隼人「!」

 

果南「あ、その……」

 

隼人「ゴメン、お節介だったな。俺もうちょっと寝てるわ……」

 

果南「あ、うん……」

 

隼人(なんか悪いことしたのかな……)

 

ダイヤ鞠莉江井(……?)

 

 

……

 

 

~昼休み~

 

 

鞠莉「果南どうしたの?流石に様子がおかしいわ」

 

果南「それは……」

 

ダイヤ「千歌さんの特訓ですか? それとも、隼人さん関連ですか?」

 

果南「!?」

 

ダイヤ「やはり。何かありましたの?」

 

果南「そういう訳じゃないんだけど……」

 

鞠莉「話してみて果南。私たちはイチレンタクショーなんだから!」

 

果南「あ、うん。実は……」

 

……

 

ダイヤ「そういうことでしたのね」

 

鞠莉「とってもシャイニーじゃない♪」

 

果南「止めないんだね」

 

ダイヤ「勿論です。一蓮托生ですからね」フフッ

 

鞠莉「まずはハヤトのネガティブモードを解除しなくちゃね」

 

ダイヤ「後でフォロー致しましょうか」

 

鞠莉「だから、果南は大船に乗った気分でいてね♪」

 

果南「……うん。ありがとう!」

 

 

……

 

 

鞠莉「ハヤト!STAND UP!!」

 

隼人「Oh!?」

 

ダイヤ「いつまでもウジウジしない!」

 

隼人「Oh……」

 

江井「あぁ良かったお二人さん。こいつのネガティブモードをどうにかしてくれ。俺の手には負えぬ……」

 

隼人「果南に何か悪いことして嫌われたかと思うと……」

 

鞠莉「これは重症デース……」

 

ダイヤ「果南さんが貴方を嫌うハズありませんわ。色々考え事があるようです」

 

鞠莉「何かハヤトに用事があるみたいだから、後で聞きに行ってね♪」

 

隼人「え、俺から行くの?」

 

ダイヤ「当然です!果南さんもさっきのことを気にしていますから、行ってあげてください」

 

江井「それくらいは根性を見せなきゃな」

 

隼人「う~ん……わかった」

 

江井(ちょっと荒療治だったけど助かったわ。ありがとう)

 

鞠莉(いえいえ♪)

 

ダイヤ(手のかかる弟みたいですわね)

 

 

……

 

 

隼人「果南、さっきは、すまんな。なんか用事があるって聞いたんだけど」

 

果南「こっちこそごめんね。用事って程じゃないんだけど……今日は部活ある?」

 

隼人「今日は軽くミーティングだけだな」

 

果南「そしたら、終わったら海岸通りまで来てくれない?」

 

隼人「それは構わんけど。あ、でもトレーニングとかならキツいかも」

 

果南「ちょっと2人でお話したいだけだから。良いかな?」

 

隼人「OK。終わったらすぐ行くな!」

 

果南「ありがとう。よろしくね!」

 

 

 

鞠莉(何とか大丈夫そうね♪)

 

ダイヤ(しかしこれからが本番ですわよ!)

 

江井(えっ?どういうこと?)

 

鞠莉(ヒソヒソ……)

 

江井(!)

 

 

 

━━━━

 

 

 

~海岸通り~

 

 ある決意を胸に秘め、果南は隼人を呼び出した

 長く青みがかった黒髪を海風に揺らしながら待っていると、やがて待ち人が現れた

 

「おっす、お待たせ!ってこれ何回目かな?」

 

「大丈夫だよ。結構早かったね」

 

「あぁ。アサインの確認と微調整だけだったから」

 

 

 アサインメント。アメフトの作戦表のようなものである

 基本的に、どの選手がどう動くかパッケージされているが、自分や相手のフォーメーションによって微妙に異なるため、仮想敵に応じたアサインメントが必要になってくる

 尤も、事前にある程度用意しているため、今日はすぐ終わったようだ

 

 

「ってか寒かったろ?何処かお店入る?」

 

「これくらいなら平気だよ。ちょっと行きたい処があるから一緒に行こ?」

 

「OK~。因みに何処へ?」

 

「すぐ近くに、お気に入りの砂浜があるんだ♪」

 

「はいよ~」

 

 

……

 

 

「ここだよ。昔よく鞠莉とダイヤと遊んだんだ。まぁ、ちょっとしたプライベートビーチって感じかな♪」

 

 

 そこは岩場に囲まれた小さな砂浜

 子供が遊ぶには充分な広さだが、大人が泳ぐには狭すぎるため、地元の人もあまり行かない

 幼い頃の3人が、鞠莉の母の目から逃れて遊ぶには丁度良かったのだろう

 

 

「こんな処があったのか。初めて来たわ」

 

「まぁ私も久しぶりに来たんだけどね。そこに座ろ」

 

 

 果南が指したのは、台のように平らな形をした岩。ベンチのようにもなっており、2人なら充分座れる大きさだ

 

 

「んで、話って?」

 

「あぁその……このところ忙しかったからさ、2人でゆっくり話したいなって思って。ホントは隼人君も忙しいだろうし、疲れてるのにゴメンね?」

 

「それは大丈夫。良い息抜きだよ」

 

(むしろ果南と2人でいられるなら大歓迎だしな)

 

 

 それからしばらく2人は話し込む

 千歌の特訓、アメフトの関東大会、互いの練習中の出来事や、果南のお店での話など

そうしているうちに、日が傾き始めた

 

 

「水面がキラキラ光って……キレイだね」

 

「ホントだな~。いつ見てもここの海はキレイだけど、今日は一段とキレイだな。こうして一緒に見てるからかな……」

 

「えっ?///」

 

「あ、声に出てた!?恥ずかしい……」

 

 

 照れ隠しに立ち上がって背伸びをする隼人。彼の頬は、夕日に照らされてか赤くなっている

 そんな彼を見て、果南は微笑む

 

 

 

 

あぁ、やっぱり私は、隼人君が好き

……うん。今なら言える

 

 

 

 

 果南も立ち上がり、隼人と向き合う

 そして、すぅっと息を吸い込み……

 

 

「ねぇ……大事な話があるんだけど、聞いて、くれる?」

 

「ん? おう」

 

 

 しかし気持ちを固めたつもりでも、いざ言うとなると躊躇ってしまう

 改めて深呼吸し……

 

 

「果南?」

 

 

 

 

 

 

「あの、私ね……隼人君が好き、なんだ。私じゃダメ、かな?」

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 燃えるように顔が熱い。心臓の鼓動が激しく、彼に聞こえるのではないかと思うほどだ

 胸の前で手を組み、恥ずかしさで顔を俯かせながらも、上目遣いで懸命に想いを伝えた

 

 其処へ一陣の風が吹き、果南は思わず目を閉じる

 その刹那……

 

 

ガバッ!

 

 

「!?」

 

 

 目を開いて状況を把握する

 ……隼人が、果南を抱き締めていた

 

 

 

 

「ダメな訳ないだろ。果南、俺も果南が好きだ。ダメなんかじゃない、果南が良いんだ。果南じゃなきゃ、ダメなんだ……!」

 

 

 

 

 抱き締める力を強めながら、彼も秘めた想いを打ち明ける

 

 

「ありがとう……!嬉しい……」

 

 

 嬉しさに目を潤ませながら、隼人の広い背中に手を回す果南

 

 そんな2人を、夕焼けの光が優しく包み込んでいる

 

 

……

 

 

 どれくらいそうしていただろうか。どちらからともなく抱擁を解く

 目と目が合い、照れくさそうに微笑む

 

 

「えへへ」

 

「ははっ……夢じゃ、ないんだよな」

 

「私も信じられないけど……えいっ」

 

 

ギュッ

 

 

「こうすれば、わかる……でしょ?」

 

「! そうだな……」

 

 

 再びハグしあう2人。上着越しに互いのぬくもりを感じ、夢ではないと確かめる

 今度はすぐに離れ、手を繋ぐ。夏の時とは違って指を絡ませる恋人繋ぎだ

 

 そして夕暮れの海岸を歩きだす。その後ろには長い影が2つ、幸せそうに揺れている

 

 

……

 

 

~船着き場~

 

 秋の日は釣瓶落とし。夜の帳が下り始めた

 淡島への連絡船の最終便が、もうすぐ出発となる

 

 

果南「今日はここでお別れだね」

 

隼人「あぁ。まぁその、これから改めてよろしくな!」

 

果南「こちらこそ! まぁあまりオープンにはできないけど……ゴメンね?」

 

隼人「それは気にしなくて良いよ。あ~でもあの3人には一応報告しとくか」

 

果南「そうしようか。……そうだ!」

 

隼人「ん?」

 

果南「ちょっと、目を閉じててくれる?」

 

隼人「え?おう」

 

隼人(……俺の左側に回って、どうしたんだろう?)

 

 

 つま先立ちになり彼の肩に手を掛け、顔を寄せて耳元で囁く

 そして……

 

 

 

 

「好きだよ……♡」

 

 

 

 

チュッ

 

 

 

 

隼人「!?!?」

 

果南「えへへ、じゃあまた明日ね!」

 

隼人「え?ちょっ、果南!?」

 

 

 顔を真っ赤にして船へと走る果南

 状況がすぐに飲み込めず混乱する隼人

 

 今、頬に触れた感触は……

 

 

隼人「今のって、今のって……。明日、どんな顔して会おう……」

 

果南(やっちゃった、やっちゃった! 思い返すと凄い恥ずかしい……。明日、平常心でいられるかな?)

 

 

 ようやく、ようやく想いを伝えあった2人

 その未来は、きっと明るいものだろう

 幸多からんことを……

 

 

 

つづく

━━━━

 

 

(Wow!2人とも大胆ね♪)

 

(ちょっと鞠莉さん、バレてしまいますわ!)

 

(末永く、爆発しろ……!)




参考動画
https://www.youtube.com/watch?v=6qq0W3KGnwQ&t=524s
8:42辺り~

8話あとがきにも夏祭り参考動画を入れました
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