Emerald First Love (本編完結) 作:Shige_puni
ぶっちゃけこの話のためにSS書き始めました
早速どうぞ
2学期 その2
先日無事に静岡大会を勝ち抜いた浦の星高校アメフト部
いよいよ関東大会が始まり、高校アメフト界は盛り上がりを増している。昨日の1回戦を何とか勝ち、春大会の成績は越えた
次の試合は春に負けた高校。リベンジに燃える隼人達ではあるが……
隼人「流石に遠征翌日はダルい……」
江井「全身の筋肉痛が……」
ダイヤ「もう、お2人ともだらしないですわよ。シャキッとしてくださいな」
鞠莉「そうやって机に寝てると、なんだかゆるキャラみたいね」
果南「……」
隼人「あれ、果南もなんか元気ない?」
果南「えっ、あぁ別に大丈夫だよ」
隼人「ん~なら良いんだけど」
江井「しかしスクールアイドルってさ、俺らと違って監督やコーチがいない訳じゃん?その辺り大変だよな~」
隼人「確かにな。そうすると3人が選手兼監督、みたいな?そりゃ疲れるわ」
ダイヤ「確かにアドバイスをすることはありますが、みんなで意見を出し合うことも多いですわ」
鞠莉「それに何より楽しんでやってるし、大変ってことはないから問題ナッシングよ♪」
果南「でも今は、千歌が猛特訓中なんだけどね」
隼人「あらまぁ。それが気になってたの?」
果南「う、うん。まぁね。でも、そもそもどう見ても2人の方がヘロヘロなんだから、しっかりケアしてね?」
鞠莉(果南がハグすれば一発だと思うけど♪)
ダイヤ「でも授業中に寝るのはぶっぶーですわよ!」
江井「それは勿論。まぁ昼には多少回復するハズだ」
……
~授業中~
教師「じゃあ、この問題を……松浦、解いてみて」
果南「……」
教師「おーい松浦、聞いとるか?」
ダイヤ(果南さん、当てられてますわよ!)
果南「あっ、はい!」
教師「ちゃんと集中しろ。じゃあこれは代わりに……」
果南「すみません……」
隼人(……)
……
~休み時間~
隼人「果南さっきはどした?珍しい」
果南「アハハ、恥ずかしい……でも大丈夫だよ」
隼人「う~んやっぱり体調悪いんじゃね?なら保健室に……」
果南「だから大丈夫だってば!」
隼人「!」
果南「あ、その……」
隼人「ゴメン、お節介だったな。俺もうちょっと寝てるわ……」
果南「あ、うん……」
隼人(なんか悪いことしたのかな……)
ダイヤ鞠莉江井(……?)
……
~昼休み~
鞠莉「果南どうしたの?流石に様子がおかしいわ」
果南「それは……」
ダイヤ「千歌さんの特訓ですか? それとも、隼人さん関連ですか?」
果南「!?」
ダイヤ「やはり。何かありましたの?」
果南「そういう訳じゃないんだけど……」
鞠莉「話してみて果南。私たちはイチレンタクショーなんだから!」
果南「あ、うん。実は……」
……
ダイヤ「そういうことでしたのね」
鞠莉「とってもシャイニーじゃない♪」
果南「止めないんだね」
ダイヤ「勿論です。一蓮托生ですからね」フフッ
鞠莉「まずはハヤトのネガティブモードを解除しなくちゃね」
ダイヤ「後でフォロー致しましょうか」
鞠莉「だから、果南は大船に乗った気分でいてね♪」
果南「……うん。ありがとう!」
……
鞠莉「ハヤト!STAND UP!!」
隼人「Oh!?」
ダイヤ「いつまでもウジウジしない!」
隼人「Oh……」
江井「あぁ良かったお二人さん。こいつのネガティブモードをどうにかしてくれ。俺の手には負えぬ……」
隼人「果南に何か悪いことして嫌われたかと思うと……」
鞠莉「これは重症デース……」
ダイヤ「果南さんが貴方を嫌うハズありませんわ。色々考え事があるようです」
鞠莉「何かハヤトに用事があるみたいだから、後で聞きに行ってね♪」
隼人「え、俺から行くの?」
ダイヤ「当然です!果南さんもさっきのことを気にしていますから、行ってあげてください」
江井「それくらいは根性を見せなきゃな」
隼人「う~ん……わかった」
江井(ちょっと荒療治だったけど助かったわ。ありがとう)
鞠莉(いえいえ♪)
ダイヤ(手のかかる弟みたいですわね)
……
隼人「果南、さっきは、すまんな。なんか用事があるって聞いたんだけど」
果南「こっちこそごめんね。用事って程じゃないんだけど……今日は部活ある?」
隼人「今日は軽くミーティングだけだな」
果南「そしたら、終わったら海岸通りまで来てくれない?」
隼人「それは構わんけど。あ、でもトレーニングとかならキツいかも」
果南「ちょっと2人でお話したいだけだから。良いかな?」
隼人「OK。終わったらすぐ行くな!」
果南「ありがとう。よろしくね!」
鞠莉(何とか大丈夫そうね♪)
ダイヤ(しかしこれからが本番ですわよ!)
江井(えっ?どういうこと?)
鞠莉(ヒソヒソ……)
江井(!)
━━━━
~海岸通り~
ある決意を胸に秘め、果南は隼人を呼び出した
長く青みがかった黒髪を海風に揺らしながら待っていると、やがて待ち人が現れた
「おっす、お待たせ!ってこれ何回目かな?」
「大丈夫だよ。結構早かったね」
「あぁ。アサインの確認と微調整だけだったから」
アサインメント。アメフトの作戦表のようなものである
基本的に、どの選手がどう動くかパッケージされているが、自分や相手のフォーメーションによって微妙に異なるため、仮想敵に応じたアサインメントが必要になってくる
尤も、事前にある程度用意しているため、今日はすぐ終わったようだ
「ってか寒かったろ?何処かお店入る?」
「これくらいなら平気だよ。ちょっと行きたい処があるから一緒に行こ?」
「OK~。因みに何処へ?」
「すぐ近くに、お気に入りの砂浜があるんだ♪」
「はいよ~」
……
「ここだよ。昔よく鞠莉とダイヤと遊んだんだ。まぁ、ちょっとしたプライベートビーチって感じかな♪」
そこは岩場に囲まれた小さな砂浜
子供が遊ぶには充分な広さだが、大人が泳ぐには狭すぎるため、地元の人もあまり行かない
幼い頃の3人が、鞠莉の母の目から逃れて遊ぶには丁度良かったのだろう
「こんな処があったのか。初めて来たわ」
「まぁ私も久しぶりに来たんだけどね。そこに座ろ」
果南が指したのは、台のように平らな形をした岩。ベンチのようにもなっており、2人なら充分座れる大きさだ
「んで、話って?」
「あぁその……このところ忙しかったからさ、2人でゆっくり話したいなって思って。ホントは隼人君も忙しいだろうし、疲れてるのにゴメンね?」
「それは大丈夫。良い息抜きだよ」
(むしろ果南と2人でいられるなら大歓迎だしな)
それからしばらく2人は話し込む
千歌の特訓、アメフトの関東大会、互いの練習中の出来事や、果南のお店での話など
そうしているうちに、日が傾き始めた
「水面がキラキラ光って……キレイだね」
「ホントだな~。いつ見てもここの海はキレイだけど、今日は一段とキレイだな。こうして一緒に見てるからかな……」
「えっ?///」
「あ、声に出てた!?恥ずかしい……」
照れ隠しに立ち上がって背伸びをする隼人。彼の頬は、夕日に照らされてか赤くなっている
そんな彼を見て、果南は微笑む
あぁ、やっぱり私は、隼人君が好き
……うん。今なら言える
果南も立ち上がり、隼人と向き合う
そして、すぅっと息を吸い込み……
「ねぇ……大事な話があるんだけど、聞いて、くれる?」
「ん? おう」
しかし気持ちを固めたつもりでも、いざ言うとなると躊躇ってしまう
改めて深呼吸し……
「果南?」
「あの、私ね……隼人君が好き、なんだ。私じゃダメ、かな?」
「!」
燃えるように顔が熱い。心臓の鼓動が激しく、彼に聞こえるのではないかと思うほどだ
胸の前で手を組み、恥ずかしさで顔を俯かせながらも、上目遣いで懸命に想いを伝えた
其処へ一陣の風が吹き、果南は思わず目を閉じる
その刹那……
ガバッ!
「!?」
目を開いて状況を把握する
……隼人が、果南を抱き締めていた
「ダメな訳ないだろ。果南、俺も果南が好きだ。ダメなんかじゃない、果南が良いんだ。果南じゃなきゃ、ダメなんだ……!」
抱き締める力を強めながら、彼も秘めた想いを打ち明ける
「ありがとう……!嬉しい……」
嬉しさに目を潤ませながら、隼人の広い背中に手を回す果南
そんな2人を、夕焼けの光が優しく包み込んでいる
……
どれくらいそうしていただろうか。どちらからともなく抱擁を解く
目と目が合い、照れくさそうに微笑む
「えへへ」
「ははっ……夢じゃ、ないんだよな」
「私も信じられないけど……えいっ」
ギュッ
「こうすれば、わかる……でしょ?」
「! そうだな……」
再びハグしあう2人。上着越しに互いのぬくもりを感じ、夢ではないと確かめる
今度はすぐに離れ、手を繋ぐ。夏の時とは違って指を絡ませる恋人繋ぎだ
そして夕暮れの海岸を歩きだす。その後ろには長い影が2つ、幸せそうに揺れている
……
~船着き場~
秋の日は釣瓶落とし。夜の帳が下り始めた
淡島への連絡船の最終便が、もうすぐ出発となる
果南「今日はここでお別れだね」
隼人「あぁ。まぁその、これから改めてよろしくな!」
果南「こちらこそ! まぁあまりオープンにはできないけど……ゴメンね?」
隼人「それは気にしなくて良いよ。あ~でもあの3人には一応報告しとくか」
果南「そうしようか。……そうだ!」
隼人「ん?」
果南「ちょっと、目を閉じててくれる?」
隼人「え?おう」
隼人(……俺の左側に回って、どうしたんだろう?)
つま先立ちになり彼の肩に手を掛け、顔を寄せて耳元で囁く
そして……
「好きだよ……♡」
チュッ
隼人「!?!?」
果南「えへへ、じゃあまた明日ね!」
隼人「え?ちょっ、果南!?」
顔を真っ赤にして船へと走る果南
状況がすぐに飲み込めず混乱する隼人
今、頬に触れた感触は……
隼人「今のって、今のって……。明日、どんな顔して会おう……」
果南(やっちゃった、やっちゃった! 思い返すと凄い恥ずかしい……。明日、平常心でいられるかな?)
ようやく、ようやく想いを伝えあった2人
その未来は、きっと明るいものだろう
幸多からんことを……
つづく
━━━━
(Wow!2人とも大胆ね♪)
(ちょっと鞠莉さん、バレてしまいますわ!)
(末永く、爆発しろ……!)