Emerald First Love (本編完結) 作:Shige_puni
いよいよ最終話&エピローグです
ちょっと駆け足感はありますが、どうぞ!
冬休み その1
クリスマスライブはルビィたちが中心となり、北海道のスクールアイドル"Saint Snow"と共に"Saint Aqours Snow"としてスペシャルライブを行い、美しく尊い姉妹愛が函館の夜に響き渡った
━━━━
~淡島·船着き場~
沼津と淡島を結ぶ連絡船が到着した
「……あ!」
「おっす!」
「待ってたよ♪」
「おう!」
「じゃあ、行こうか」
「うん」
言葉は少ないが幸せそうな2人
早速手を繋いで歩き出す
……
~松浦家・果南自室~
今日は地味に2人の初デートである。諸事情を考慮し、家デートとなった
「お、お邪魔します……」
「そんなに緊張しなくても良いのに」
「だってさ、部屋に上がるのは初めてだし、しかも彼女の部屋となるともう……」
「そう言われると私も緊張しちゃうじゃん……」
「わ、悪い……」
「まぁとりあえず座って。クッションとお茶持ってくるね」
「あぁ、ありがとう」
……
その後ベッドに並んで座り、手を繋ぐ形となった。そして果南は隼人の肩に頭を乗せ、その上に隼人の頭が乗っている
「試合、お疲れ様。残念だったね」
「あぁ。負けちった」
先日のクリスマスボウル、死力を尽くしたが惜しくも一歩届かず、準優勝となった
「うん……。でも、個人の賞はもらったんでしょ?」
「おう、ベストセンター賞とベストラインマン賞。俺なんかが恐れ多いわ」
「何言ってるの。今まで頑張った成果なんだから、ちゃんと胸張って!」
「……ありがとう。果南にそう言われるのが、一番嬉しいわ」
そう言って少し目が赤くなっている隼人
「すまん、あれから涙腺が緩んだままでな」ハハッ
「良いんだよ?」
「え?」
「頑張ってる姿も、カッコ良い処も可愛い処も、つらそうな時も。色んな隼人君を見てきた。だからその……もっと私に甘えて良いんだよ?」
隼人を包み込むようにハグしながら、果南が言う
「……ありがとう。じゃあしばらく、こうしててもらって良いかな?」
「うん。もちろん♪」
……
「ありがとう。大分落ち着いた。やっぱり果南のハグは世界一だな!」
「ちょっと恥ずかしいけど……どういたしまして♪」
「なぁ果南。一つ……聞いても良いかな?」
「うん。どうしたの?」
「その……実は今まで怖くて聞けなかったんだけど、1年のあのライブで何があったのか、教えてくれないか?」
「!」
今までも聞こうとしたことはあった。だが折角仲直りして9人のAqoursが結成されたばかりでは聞きづらく(1話終盤)、その後も聞けずにいた
「もちろん無理にとは言わないけど……」
「うん、もう大丈夫だから。実は……」
当時鞠莉が足をケガしており、ライブで果南がわざと歌わなかったこと。相手を思うあまり真意を隠してすれ違ってしまっていたこと。それらを簡潔に話した
「そうだったのか……」
「今思えばちょっとバカらしいけどね」アハハ
「でも、相手を思ってのことだからなぁ。果南らしいといえばらしい……かも?」
「む~!意地悪……」
「おっとゴメンゴメン……言ってくれて、ありがとな」
「うん……♪」
……
続いて、話題は進路のことに
「隼人君は卒業したら大学に行くんだよね?」
「そのつもりだな~」
「スポーツ推薦は考えてないの?」
「う~ん、声をかけてもらってる処もあるけど、面接とか堅苦しいのダルいから普通に勉強する方が楽かな~と思って一般受験で」
「なんか逆の考えの人が多そうだね」
「フフッ、よく言われる。果南はどうするの?」
「私は、ダイビングをもっと勉強したい。だから、留学するかも知れないな」
「おぉう、それは寂しいな。勿論応援はするけど」
「ありがと。出来るだけ短期で行けるように調べてはいるんだ」
「そっか……」
「もう、そんな顔しないで?ハグしてあげるから♪」
「そうされたらもう何も言えねぇな」フフッ
……
そしてもう一つ、隼人には言っておきたいことがある
言わなくても良いことなのかも知れないが、バカが付く程に正直な彼は一応伝えておこうと思ったようだ
「それと果南、曜ちゃんのことなんだけど……」
「……うん、本人に聞いたよ。私の分まで幸せになってって」
「! そうだったのか……。強いな、曜ちゃんは」
「うん、ホントにね……」
どうやら曜は、果南にあの件を話したようだ。恋敵と言えど、いやだからこそ真意を伝え、その上で相手の幸せを願う。その真っすぐで強かな姿勢に、2人は感じ入るものがあった
「その、曜ちゃんに対して罪悪感というか……そういう気持ちがない訳じゃないけど、俺が好きなのは果南だけだから、安心してくれ」
そう言って果南をハグする隼人
「うん、わかった♪……それに、こうやって思い切りハグされると、貴方で良かったって心が歌うんだ……♪」
「それは、俺も同じだ……」
「ねぇ……もっと、ギュッてして?」
「あぁ……」
その後隼人は、果南の頭をゆっくりと撫で始めた
「果南の髪、サラサラで綺麗だな……」
「えへへ、ありがと♪」
「……」ナデナデ
「……♪」
それからしばらく、そっと、ぎゅっと、寄り添っていた2人。心から溢れ出す愛おしさが止まらない
そして見つめ合い、瞳を閉じる果南。それを見た隼人は一瞬ハッとしたものの、彼女の頬に手を添える。そして徐々に顔を寄せ……
「///」
「///」
……
「その、今日は来てくれてありがとう♪」
「あ、あぁこちらこそありがとう。今度会うのは、もう来年かな」
「うん、そうだね。良いお年を!」
「おう、良いお年を!」
━━━━
~年明け・3学期~
教室にて
5人で初詣という案もあったが、それぞれ多忙なため見送られた
「「「あけましておめでとうございます!」」」
ダイヤ「いよいよ高校生活も大詰めですわ。以前に増して、気を引き締めて参りましょう!」
隼人「だな。まずは大学受験」
鞠莉「そのあとはいよいよ!」
果南「ラブライブの決勝……だね!」
江井「盛り上がってきたな!」
隼人「ちょうど国立大学の二次試験終わってからだから見に行けそうだな!」
ダイヤ「ふふっ、応援よろしくお願いいたします♪」
鞠莉「最高にシャイニーなパフォーマンスをするからね!」
果南「隼人君たちアメフト部の分まで、頑張るね!」
隼人「あぁ。俺たちの代わりに、頂点取ってくれ!」
江井「すまんが任せた!」
「「「おまかせあれ!」」」
皆気合い充分、と言った処か
しかしこの5人で一緒にいられるのもあと僅か。敢えて誰も口にはしなかった
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~大学受験が無事終わり、ラブライブ決勝~
「みんな、勝ちたい?」
「もちろん!」
「楽しみたい!」
「9人で!」
「全力で!!」
……
イマはイマで昨日と違うよ
明日への途中じゃなくイマはイマだね
この瞬間のことが 重なっては消えてく
ココロに刻むんだ WATER BLUE
MY NEW WORLD
新しい場所 探す時がきたよ
次の輝きへと 海を渡ろう
夢が見たい想いは いつでも僕たちを
繋いでくれるから 笑っていこう
イマを重ね そして ミライへ向かおう!
━━━━
~卒業式~
Aqoursはラブライブ決勝で勝利し、全国の頂点を取った
そして今日、これ以上ないほど充実した高校生活が、ついに卒業の日を迎えた
校長先生からクラスの代表が卒業証書を受け取り、校長、卒業生代表のダイヤ、在校生代表の千歌がそれぞれ挨拶を行い、無事に式は終了した
一旦教室に戻り、担任教諭から生徒一人ひとりに卒業証書が渡される
その後解散となり、卒業アルバムに寄せ書きの時間が始まる。仲の良い友人同士が、今までの思い出や照れくさくて言えなかったことなどを書いていく。またお世話になった先生に一言頂くために校内を巡る者も少なくない
……
その後は部活動ごとに集まったり、グラウンド、部室、屋上、プールなど、思い入れの強い場所に行ったりと、生徒それぞれが高校生活を反芻し、想いを巡らせる
勿論隼人もその1人。アメフト部の挨拶を終え、学校各地を戦友たちと回った。そしてトレーニングルーム前で1人佇んでいると
曜「先輩!良かったここにいたんですね。ご卒業おめでとうございます!」
隼人「おぉありがとう!そのためにわざわざ?」
曜「はい。ここなら先輩に会えるかなって思って。それに、私にとって先輩との思い出は、ここが中心だったから……」
隼人「そっか、そうだよな……」
しかし今思えば、隼人にとっても凄いメンバーでトレーニングしていた訳だ。自分の想い人、自分を慕ってくれていた後輩、無二の相棒。この4人でのトレーニングもまた、高校生活の大事な1ピースだ。それをしみじみと思い出す
曜「どうしたんですか?」
隼人「あぁいや、色々思い出しててな。走馬灯のように~ってやつ?」
曜「なんかちょっと不吉な感じもしますね……」
隼人「ハハッ、悪い悪い。……筋トレ、楽しかったわ。ありがとな」
曜「いえ、こちらこそ。あの……」
隼人「ん?」
曜「その……第二ボタン、もらえませんか?」
隼人「おう、お安い御用だ」
言いながら、自分の制服の第二ボタンを取り、それを曜は両手でそっと受け取った
曜「ありがとうございます……えいっ!」
隼人「ちょっ!?」
不意打ちのように隼人に抱き着く曜。隼人がビックリしている間に、もう離れている
隼人「全く……困った後輩だ」フフッ
曜「えへへ、ごめんなさい♪」
隼人「……Aqoursも水泳も、続けるんだよな。頑張って!」
曜「ありがとうございます!先輩も大学で頑張ってください!」
隼人「おう!」
……
そして最後に、例の5人で集まった
果南「本当に、色々なことがあったね」
隼人「あぁ。まぁ一時はどうなるかと思ったわ」
鞠莉「その節はお騒がせしちゃったわね」
ダイヤ「ですが、良いことも悪いことも、全てがかけがえのない時間でしたわ」
江井「勉強も部活も、プライベートも、な!」
そう言って、隼人の方を見る江井。そう言われ、照れ笑いをする隼人
隼人「フッ……本当に、全部全部ひっくるめて、みんなに感謝だ」
果南「うん……みんな、大好きだよ♪ そうだ!5人でハグしない?」
ダイヤ「ふふっ、それは名案ですわね♪」
鞠莉「最っ高にシャイニーね!!」
江井「おう!でもなんか円陣になりそう」
隼人「ま、細かいことは良いだろ!」
誰からともなく密着し合う5人。Aqoursとも、アメフト部ともまた別の、この5人の絆がある
「ホントに、ホントにありがとう!」
「こちらこそ。みんなに出会えて、幸せだよ」
「目が赤くなってますわ」
「人のこと言えないわよ~?」
「それはみんな、同じみたいだな」
卒業は終わりじゃない、これからも仲間だ
大好きって言うなら、大大好きって返そう
Thank you, FRIENDS!!
━━━━
~数日後~
3年生たちは卒業旅行へ
Aqoursはイタリア、アメフト部は沖縄だ
沖縄では、食べ歩きしたり、琉球ガラス工房で体験をしたり、食べ歩きしたり、ダイビングをした後に海へ沈む夕日を眺めたり……楽しめた様子であった
隼人(いつか、果南とも来たいな……)
江井(なんて考えてそうだな)フフッ
……
一方のAqours。ドタバタ劇がありつつも、下級生たちも加えてイタリア各地を巡りながら、互いの絆を再確認
帰国後、AqoursとSaint Snowによる"ラブライブ決勝・延長戦"も行った
Believe again!
何処へ行っても、忘れないよBrightest Melody
……
そして、ファイナルライブ
片翼の6人でステージにいるが、気持ちはいつも、両翼の3人も一緒だ
新しい輝きへと、手を伸ばそう……
……
「もう、大丈夫そうね」
「えぇ、あの子たちならしっかりやっていけますわ」
「安心して、私たちも前に進もう」
━━━━
~駅のホーム~
「これで、一旦お別れだね」
「まだ実感ねぇな~」
「ふふっ、でもきっとまた会えますわ」
「是非イタリアにも来てね♪」
「そしたら、バイトしてお金貯めなきゃな」
国内組は大学が東京近辺なため、会おうと思えば会えるが、頻繁にとはいかないだろう
イタリアに行く鞠莉はさらに難しい
「でも、この空は繋がってる、どんなに遠くてもずっと」
「おう、そしていつかまた、ここで集まろう!」
1人が拳を突き出し、全員で合わせる。5人の目には、力強く計り知れない可能性が宿っていた
その時、一羽の白い鴉が羽ばたいた。彼らの未来を導くように……
さぁ行こう。それぞれの未来に向かって!
- 此処から始まる、彼らの新しい物語 -
おしまい
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~エピローグ~
隼人と江井は同じ大学の違う学科に通っている。敷地は同じな上、アメフト部に所属しているため顔を合わせる機会は多い。因みに本校は東京だが、理系キャンパスは ちょっと山の中にある
ダイヤは東京の某名門大学へ
果南も東京が本校の大学だが、ダイビングの勉強のためいずれ半年間短期留学する予定だ
それぞれ忙しい日々を送っているが、たまに集まって近況報告や、イタリアにいる鞠莉にテレビ電話をしている
もちろん果南と隼人の2人で会うこともある。春は花見、夏は海水浴、秋は紅葉狩り、冬はスノボ etc.
……
~そして果南の留学の日~
空港にて。見送りは"都合が合わず"隼人だけとなった
「気を付けてな」
「うん。同期とも一緒に行くから、そんなに心配しなくて大丈夫だよ」
「そっか。でもやっぱ、寂しいな」
ギュッ
「!」
「いつだかしてくれた、行ってらっしゃいのハグだ」
「ふふっ、ありがと♪」
「……」
「……」
「このまま、何処かへ連れて逃げたいな」
「もう、寂しがり屋なんだから……」
「果南は寂しくないの?」
「そりゃあもちろん寂しいよ……?でも毎日連絡はできるし、戻ったらいつでもハグしてあげる♪」
「……わかった。じゃあ改めて、体に気を付けて、頑張ってな!」
「うん!隼人もオールスター戦、頑張って!ケガしないでね」
「おう!」
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~数年後~
大学を卒業後、晴れて果南はダイビングのインストラクターになり、隼人は実業団のアメフトチームでプレーしている
新生活にも慣れ、なんとか休暇を合わせた2人は、久々に内浦に遊びに来ていた
「う~ん、やっぱりここの海は最高だね!」
「あぁ、そうだな……」
「ん、どうしたの?」
気持ち良さそうに背伸びをする果南に対し、やや表情が硬い隼人
「いや、その……うっし!」
「!?」
急に気合いを入れ、何やら懐から小さい箱を取り出した
それを開けながら、果南をじっと見つめ
「果南……俺と、結婚して欲しい」
「!」
箱の中には、綺麗に輝くエメラルドのエンゲージリング
驚きと喜びで声が出ない果南
「どう、かな?」
「はい……喜んで!」
大粒の涙を流しながら、満面の笑みで答えた
隼人が果南の左手を取り、指輪をゆっくりと薬指にはめていく
幸せそうに自分の指を眺め、海に向けたり、太陽にかざしたり、今にも踊り出しそうだ
そんな彼女を、同じ表情で見つめる隼人
そして2人はハグをして見つめ合い、唇を寄せた……
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~結婚式~
ホテルオハラにて執り行われる
「「「久し振り!」」」
「しかし内浦で全員再会するのが、2人の結婚式とはねぇ」
「これ以上ない良いタイミングね♪」
「お二人が幸せそうで何よりですわ♪」
「マリーさんも遠い処お疲れ様」
「いえいえ♪2人の門出を祝うためなら何処へでも駆け付けるわ!それに、久しぶぅりの実家も悪くないし」
「鞠莉さんの実家で結婚式……よく考えると凄いことですわね」
「確かにな……」
「あ、もうすぐ時間よ。チャペルに移動しましょ」
……
両親、Aqours、かつての戦友たちや仕事仲間などに見守られながら、新郎に続き、御大と腕を組んだ新婦が入場
式は順次進行し、横に控えている三重奏が"パッヘルベルのカノン"を奏で始めた
「それでは、誓いのキスを」
(果南、愛してる)
(私もだよ、隼人)
この2人に、限りない祝福を……
- そして
~Emerald First Love~
~完~