Emerald First Love (本編完結) 作:Shige_puni
本編よりコミカルな雰囲気になりました
今後は大学生になった2人の日常がメインです
春の遊園地デート
~遊園地デート~
春、絶好の行楽日和
「あれっ、隼人!?」
「お~う、果南おはよ~」
「おはよう。ってかなり早くない!?」
「あ~その、早く会いたくてさ……」
「それは……私もだよ♪」
「おう。それに、今日も……かわいいな。よく似合ってるよ」
今日の果南は全体的にシンプルな装いで、春らしい明るい色がメインだ
「ふふっ、ありがと♪隼人もなかなか良い感じだよ!じゃあ、行こっか!」
「あぁ!」
久々のデート。2人はとある遊園地に来ていた
スタッフにチケットを見せた後、しっかりと手を繋ぎながら入園ゲートをくぐった
「あ~、最近部活ばっかりだったから久し振りに遊べるわ~!」
(実は楽しみ過ぎてあんまり寝られなかったんだけど、まぁ大丈夫だろ)
「ふふっ、その分いっぱい楽しもうね! 何に乗ろっか?」
「ん~とりあえず
「あ、ゴーカートならすぐ乗れそうだね。行こ♪」
「おう!」
時間は1秒たりとも無駄にしない。そんな気持ちで向かっていく
……
2人乗りのゴーカート。運転席に彼氏、助手席に彼女が乗ってわいわいがやがや……ではない。"バトルしようぜ!"と言わんばかりのノリで、それぞれの機体に乗り込む
(ふふっ、飛ばして行くよ!周りの迷惑にならない程度に、ね♪)
(さぁお見せしよう。俺の、迸る安全運転を!)
正直言ってバトる気はない隼人。慎重にアクセルを踏み込む
(ヨーソロー!ってね。お~結構速いな~ 「お先に~♪」 って速っ!!)
あの声とポニーテールは間違えようがない
(……適度に急ぐか。あんまり待たせるのも何だし)
……
予想通りと言うべきか、果南の圧勝である。みかん畑のモノレールをぶっ壊す勢い……とは言わないが、見事なハンドル捌きで颯爽とコースを駆け抜けて行った
「ふぅ~楽しかったね~♪」
「おう!ってか果南速すぎ。勝てる気がしないわ」ハハッ
「ふふっ、流石でしょ♪ 次は……あれが良いかな?」
「あれも面白そうだな~」
2人が向かおうとしているのは、コースターが10数メートルの高さから一気に水に落ちてスプラッシュするアトラクションだ
「でも結構濡れそうだな……。カッパの貸し出ししてるみたいだし、一応借りる?」
「う~ん、そうだね。念のため」
……
客を乗せたコースターが、徐々にレールを昇っていく
「お~思ったより高いな~」
「そ、そうだね……」
(うぅ、下から見た時は行けるかなって思ったけど、結構高い……)
ギュッ
「?」
果南が、隼人の手を握ってきた
「は、隼人が怖いなら……手、握ってて、あげるね!」
「!……それは心強いな」
微笑みながら、果南の手を握り返す……と
「うおおぉぉぉぉ!」
「キャーーー!!」
勢いよくコースターが水に落ちる!
そして……
バシャーン!!
特大の水しぶきが上がり、乗客を濡らしていく。カッパを借りていて正解だった
よほど怖かったのか、隼人の手を握り締めたままの果南。意外にも高い処が苦手なようだ
「いや~面白かった~!果南は大丈、夫……!?」
果南を心配して声をかけたが、何故かすぐに目を逸らしてしまった
「う、うん……。何とか……」
果南自身は大丈夫だったようだが、全くもって無事ではない処があった
それは……
「果南、その……透けてる……///」
ハッとして下を見る果南。慌てて胸を隠し、口を尖らせる
「もう!隼人のエッチ!!///」
「すまん!っていや、俺悪くないよな……」
カッパはちゃんと着ていたが、ファスナーではなくボタンの物であった。何かの拍子に外れてしまったのだろう。胸の辺りが濡れてしまい、うっすらと淡いグリーンの下着が透けてしまっていた
(うぅ~。こんなことなら、もっとかわいいのを着けて来れば良かったな……って何考えてるんだろ私……///)
「ほら、とりあえずこれ着とけ」
言いながら、彼は自分のジャケットを脱いでいる
「えっ、でも……」
「良いから。かなり大きいだろうけど、それは我慢してくれ」
「……うん♪」
彼の気持ちを感じながら、ブカブカのジャケットを羽織る
(えへへ、あったかいなぁ……♡)
……
その後2人は売店へ行き、着替えとなるTシャツを買った。色が濃い目なので透ける心配はない。この遊園地のロゴが入っており、ついでにお揃いだ
「お揃いって、ちょっと照れるけど嬉しいね♪」
「だな。今日の記念にもなるし」
「そうだね♪流石に普段着るのは控えるけど」
「確かに。まぁまたこれ着て来れば良いしな!さて、そろそろ昼にするか」
━━━━
~昼食~
「さ~て、何処にすっかな~」
「あの、実はね……お弁当作ってきたんだ」
「マジか!えっ、ちょー嬉しい!」
「う、うん。じゃあそこのベンチで食べよ」
「おう!」
……
「いただきます!」
「どうぞ召し上がれ♪」
早速一口食べる隼人。それを見て少し不安そうな果南
「どう、かな?」
「美味い……!」
「ホント!?良かった~……」
味付けももちろんだが、彼女の手作り弁当ということそのものが男としては最高だ
幸せそうに食べる隼人を見て安心した果南は……
「あ、ちょっと貸してみてくれる?」
「ん?おう」
弁当箱と箸を受け取っておかずを一品つまみ……
「はい、あーん♪」
「!? あーん……」
パクッ
「えへへ、どう?」
「嗚呼、生きてて良かった……」ジーン
「もう、大袈裟だよ」フフッ
「よし、じゃあ今度は俺が果南に!」
「え!?いやいいよ私は!」
「俺もやってみたいんだ。ダメかな?」
「……わかった」
「OK!んじゃあ、あーん」
「あーん」
「どう?」
「我ながら美味しい。けど、凄い恥ずかしい……///」
「うん、思ったより凄いよなこれ……でもありがとな♪」
「こちらこそ♪」
これ以上は恥ずかしさが勝ってしまうので、普通に食べることにした
美味しさと幸せを噛み締めながら
……
「ふぅ~ご馳走様でした!」
「お粗末様でした♪」
弁当箱を片付けて、次のアトラクションを探す
「食直後だし激しいのはあんまりな~っと」
彼の目に入ったのは"お化け屋敷"の看板
(偶にはこういうのもアリかもな)
「果南、あれはどう?」
「え? お化け屋敷か~……」
(暗いのも苦手だけど……どうしようかな?)
「行って、みようか」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫……」
……
「け、結構、本格的だね……」
「だな~。ん?"この入れ歯を持ち主に返してあげてください"か。面白い設定だなおい。出口辺りにいらっしゃるんかな」
(うぅ……)
おどろおどろしい雰囲気のBGM、壁を叩く音や助けを求めるような声。果南はどんどんと恐怖感が増していった
「果南大丈夫?」
「こ、これくらい平気だよ……!」
(どう見てもアカンけどどうしたものか……)
いっそ途中の出口からリタイヤしようかと隼人が考えた矢先……
「ハグぅッ!」
ムニュ
「!」
恐怖感に堪えられなくなったのか、果南は隼人の左腕に抱き着く
そしてこの感触はまさしく……
(すばら!!……じゃなかった。正直、お化け屋敷どころじゃねぇな……)
ひとまず果南を安心させるため、空いている右手で彼女を抱き寄せる
「果南、俺がいるから大丈夫だ。もう少しだけ、頑張れるか?」
「うん。頑張る……」
子供のような彼女の表情に愛おしさを覚えながら、ギュッと抱きしめる
そして正面に向き直り
(神さえ、悪魔さえ、俺は超える。果南のために!……って試合中とかならカッコ良いんだけどねぇ)
左腕の感触を紛らわせるために無駄な思考を巡らせながら、ゆっくり奥へと進んで行った
……
そしてゴール目前。入口にあった"入れ歯"の持ち主がいた。ポケットから取り出し、人形の口に嵌める
(これで良しっと。じゃあな旦那。もう入れ歯落とすんじゃねぇぞ!ってね)
これでなんとか脱出した2人。ずっと暗い処にいたため、日の光が少し眩しい
「果南、終わったよ。もう明るいから大丈夫だ」
「……うん」
お化け屋敷から出てもずっとしがみついている果南
(まさかこんなに怖がりだったとは。悪いことしたな……)
「ごめんな、こういうの苦手って知らなくて……怖かったろ?」
「ううん、私も言ってなかったし。でも……」
「ん?」
「もっかい、ハグして……?」
「ッ!/// お安い御用だ」
ギュッ
「ん……」
「……」ナデナデ
甘えるような果南の声にドキッとしながら、ハグをして頭を撫でる
(今日の果南は甘えん坊だな)フフッ
「でもごめんね、迷惑かけてばっかり……」
「何言ってんだ。そんなの気にすんなって。むしろかわいい果南が見られて良かったくらいだ」
「うぅ、恥ずかしいよ~……」
「ハハッ、悪い悪い。少しは落ち着いた?」
「うん。ありがとう」
「じゃあちょっと一息ついて、ゆっくり回ろうか」
「うん」
(お化け屋敷は怖かったけど、やっぱり隼人のハグは安心するな……♪)
━━━━
その後はゲームコーナーなどでまったり園内を巡り、楽しい時間を過ごした2人
最後に、景色の良い処にあるベンチに腰掛けて今日一日を振り返る
「果南、今日はどうだったかな?」
「う~ん色々予想外なことが多かったけど、なんだかんだで楽しかったよ!ありがとう♪」
「そうか、なら良かった……。嫌な思いをさせまくったかと思って心配だったんだ……」
「ゴメンね。でもそんなに気にしなくて大丈夫だよ」
「そっか。でもホント、俺も楽しかった。こちらこそありがとう!」
果南が暗い処や高い処が苦手とは知らず、彼女を振り回してしまったと思っていた隼人だったが、どうやら考え過ぎだったのかも知れない。色々とハプニングもあったが、ちゃんと楽しめたようだ
その後はゆっくりと穏やかな時間を過ごし、そうしている内に隼人は……
「……」zzz
安心したのか、寝不足のせいか、いつぞやのように寝てしまっていた
本来デート中に寝るなどご法度だが、果南は彼のほっぺたを軽くつつきながら優しく見守る
(相変わらずかわいい寝顔しちゃって……)フフッ
(部活とかでお疲れなのかな?そんな中、色々計画してくれてありがと♪)
怒るどころか感謝する。こういう処にも果南の優しさや包容力が垣間見える
(そしたら……ちょっと恥ずかしいけど、頑張ってくれた隼人にご褒美あげなきゃね……♪)
周りに人がいないことを確認して顔を寄せ……
その無防備で愛しい横顔に、そっとキスをした
おしまい
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