Emerald First Love (本編完結) 作:Shige_puni
お久しぶりです。ちょっと燃え尽きてました
番外編は今まで学年を考えていませんでしたが、今回は大学3年生の設定です
アメフトの話は出ますが描写は殆どありません
短いですがどうぞ
秋、アメフトの公式戦シーズンだ。文化祭もそこそこに、練習や試合に全力を注ぐ学生フットボーラーたち。もちろん隼人や江井も例外ではない
一昨年は"期待の新人"として入部し、去年からは試合に出場する機会が増えた。そして今年はレギュラーとして定着している
朝晩の冷え込みが増してきたこの日も試合がある
……
~試合前・会場~
恋人の雄姿を見るために、今日も含め殆どの試合で果南が見に来ている。たまにダイヤも一緒だ
最初はチームメイトや相手校、周りの観客にも驚かれ、"M大の試合には元スクールアイドルが現れる!"と一時話題になったが、今では半ばおなじみともなっている。だがAqoursは根強い人気があるため、握手やサインを求められることも多い。むしろこちらを目当てにする人もちらほら
観客席から果南が見つめる先には、準備運動を終えた隼人がいた。来ることは事前に伝えてあるが、試合前とあって果南に気付く様子はなさそうだ
それを見たマネージャーが隼人に駆け寄り何やら耳打ちすると、彼がこちらを向いて軽く手を振った
(今日も頑張って!)
(おう!)
実際に声が聞こえたかはわからないが、確かに気持ちは通じたようだ
━━━━
~試合開始~
「ハードタックル、レディーッゴー!!」
「センター行こうぜ!」
「DTよろしくぅ!」
もはや腐れ縁とも言える高校時代からの宿敵。今日もグラウンドで相見える
(てかまたこいつデカくなったな……。重いったらありゃしねぇ)
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この日の試合も無事終了し、隼人たちが勝利。試合後のミーティング等が終わり帰宅
「ただいま~っと」
と言っても一人暮らしだから返事をする人はいないハズだが……
「おかえり~」
「Oh、流石にもう来てたか」
「うん♪」
果南が来ていた。実は合鍵を持っており、しばしば隼人の家に来ることがある。その場合は予め隼人に連絡している。いつかサプライズしようと果南が密かに考えているのは内緒だ
「ちょっと遅かったね、って手首どうしたの!?」
「あ~あのNの野郎が滅茶苦茶重くてな、ちょっとやられた」
左手首に包帯が巻かれ固定されている。行きつけとなっている接骨院で診てもらったようだ
「もう、ホント無茶するんだから……。今日は私がご飯作るから大人しくしてて!」
「……お言葉に甘えて、お願いします」
ややご立腹な果南。もちろん隼人のことを心配しているからこそだが
ケガ人としては下手に遠慮するより素直に従うことにした。実際、片手が使えないのでとても助かるというのも多分にある
「よろしい。冷蔵庫開けるよ……う~ん、今日の分は大丈夫そうだね。お肉は全部使っちゃう?」
「あぁ、使っちまって大丈夫~」
「了解♪」
……
「ごちそうさまでした!」
「お粗末様でした♪じゃあ片付けちゃうね」
「いやいや流石にそこまでは!」
「良いから。さっきも言ったけど今日は大人しくしてて。だから、早く治してね」
「……わかった。ありがとう!」
(ホントに、良い彼女だなぁ……)
「そういえば、お風呂はどうするの?」
「あ~、試合後にシャワー浴びたからもう今日はいいかなって」
今の状態では左手は濡らせない。ビニール袋を被せてシャワーという方法もあるが、不便な上に気を遣うのでできれば楽をしたい。最低限の汗や汚れは流しているため、今日の処は問題ないだろう
「そっか~。せっかく背中流そうと思ってたのに~」
「!?」
「冗談だよ♪さて、終わったからそろそろ帰るね」
「Oh、ありがとう。じゃあ送っていくよ」
「ん~だから隼人はゆっくりしててって」
「俺が行きたいんだ。せめて駅までは」
「……うん、じゃあよろしく」
……
しばらく歩いて駅に到着
「今日はホントにありがとな。マジで助かったわ」
「どういたしまして。治るまで毎日来ようか?」
「いや、流石に毎日来なくても大丈夫だぞ?」
「……迷惑かな?」
「とんでもない!というか果南が大変だろ?」
「私は大丈夫だよ。それに、さ……」
「……そうだな。じゃあお願いするけど、無理はするなよ?」
「うん!」
果南が言わんとしていることを何となく察し、同意した隼人。そして人通りが少なくなったタイミングで……
「!」
「"今日はありがとうのハグ"だ!」
「ふふっ♪じゃあ私は、"試合お疲れ様と早く治してのハグ"だね」
「……おう。じゃあ、また明日?」
「うん。明日、講義が終わったら来るね!」
「了解!よろしく!」
━━━━
~数日後~
本当に毎日のように隼人宅に通う果南。今日は食材の買い物だ
いつもは隼人の左手と果南の右手を繋いでいるが、今日はそっと腕を組んでおり、そして互いの空いた手で荷物を持っている
「えへへ、なんかこういうのも楽しいね♪」
「ははっ、そうだな~」
「ん~……」
「どうしたの?」
「あぁその、こうして夕焼けの中を歩いてたら、果南が告白してくれた時を思い出してな……」
「! うぅ、恥ずかしい……」
「すまんすまん……」
「ううん。でもやっぱり、あの時勇気を出して良かったなって思う♪」
「うん……ありがとうな」
自然と笑顔が綻ぶ2人を、あの日のような夕暮れの光が包み込む。そしてその後ろには長い影が2つ、幸せそうに揺れている
……
「「ただいま~」」
「なんか全く違和感ないな」
「ふふっ♪じゃあ早速作ろっか」
「おう!」
大分回復してきた隼人も手伝い、とてもスムーズに夕食の準備が整った。果南がこのキッチンに慣れているのもあるが、2人の息が合っている証拠でもある
「「いただきます!」」
「どうかな?」
「今日もすばらッ!!」
「ふふっ、良かった♪」
それはもう美味いに決まっている。料理の腕もあるが、愛情たっぷりなのである
幸せを噛み締める隼人に対し、この数日を振り返った果南はこんなことを口にした
「なんかこうしてるとさ、新婚さんみたいだね……///」
「!?!?」
絶大なインパクトに思わず咳き込みそうになってしまった
「ごめん!大丈夫!?」
「あぁ~いやすまん。大丈夫だ……」
もちろん隼人も結婚を考えていない訳ではないが、少なくとも大学を卒業してからと考えている。恐らく果南も同様だろう
「そのまぁ何だ……もうちょっと大人になってから、だな」
(告白は果南からしてくれたから、プロポーズは絶対に俺からする!)
「……うん。待ってるね♪」
「……おう!」
大学生になっても、ピュアなままの2人である
おしまい
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「でも、もうすぐ……」
「あぁ。しばらく寂しくなるな……」
そう。果南の留学の日が近付いている