Emerald First Love (本編完結) 作:Shige_puni
内容は「もし、Aqoursがアメフト部のマネージャーだったら」です
一応9人出ますが、出番に偏りがあります。悪しからず。9人のキャラを立てるのは難しいですね。本業の方々を改めて尊敬です
原作同様マネージャー(Aqoursキャラ)同士は敬語なしです
どうぞ!
アメフト部の日常
~夏休み~
連日の猛暑が続く中、グラウンド脇の水道で練習の準備をするマネージャーたちの姿がある。アスリートのような健康的でしなやかな肢体、青みがかった長い髪を後ろで束ねている。その隣には、小柄で頑張り屋な後輩マネージャーがいる。文学少女な彼女だが、思い切って友人と一緒にアメフト部のマネージャーを始めたようだ。そんな2人は、ポリタンクに水を溜めながらスポーツドリンク用のボトルを洗っている。良く晴れた空の下、その姿が良く映える
其処に、自称ぷにマッチョなキャプテンが通りかかる。防具は着けているが留め具は外し、ヘルメットとスパイクを器用に右手で持っている
「果南に花丸ちゃん、おはよ~!」
「あ、隼人おはよ♪」
「おはようございます!」
「今日もアメフト日和だな!ハッハッハ!」
「そ、そうですね……」
「ふふっ、相変わらずだね♪ でも熱中症で倒れないでよ」
「おう、もちろん!」
隼人の言うアメフト日和とは即ち「クソ暑い!」ということである。だからこそテンションが上がるという生粋のアメフト馬鹿である。炎天下で防具を着て暴れ回るなど尋常でない。そのため、体調管理は万全に行う必要がある。一昔前の根性論では大変なことになってしまう
「んじゃあ、そいつは俺が運ぶぜ」
「そう?ありがと♪よろしくね!」
ポリタンクには10リットルの水が入っており、それが2つある。流石に女子に運ばせる訳にはいかない。尤も、ダイビングショップで鍛えた果南なら運べなくはないかも知れないが、ここは男として良い処を見せたいのもある。ヘルメットとスパイクを地面に置き、タンクを両手に1つずつ持ち上げた
「えっ、2つ一気に行くんですか!?」
「おうよ!」
「ふふっ。もう、張り切っちゃって」
「ハハッ、バレたか。まぁでも、両手に持つ方がバランス取れて持ちやすいんだよな」
「え~、すごいずら!」
「よいこらせっと。メットとスパイクはまた取りに来るわ」
「それくらい持っていくよ?」
「お~じゃあお言葉に甘えて。じゃあまた後ほど」
「はい!」
「うん♪ じゃあ花丸ちゃん、残りをちゃちゃっと終わらせようか」
「うん!」
……
「「おはようございます!」」
後輩達の元気な挨拶が心地よい
「おう、おはよう!ライン引き手伝うぜ!」
「マジすか!?ありがとうございます!」
(ふんふむ。良きかな!)
アメフトの練習では、5ヤードずつの線が欠かせない。細かい説明は省くが、最初は真っすぐ引くのは難しい。だが既に引かれている線はほぼ真っすぐだ。一年生が慣れてきた証拠である。因みに雑用は一年生メインではあるが、手が空いた上級生も率先して行う。大学のアメフトやラグビーの強豪校がそうしていると聞き、浦の星でも参考にしたのだ。加えて「全く雑用もせずに威張っているだけの先輩なんて尊敬できない」と、隼人が考えていたこともある。それに、みんなで行う方が効率が良く、早く練習に取り掛かれる
一方で……
「これで魔法陣を……!」
「えぇ!?ダメだよ善子ちゃん!」
「ヨハネ!」
「ヨハネよ、魔力を高めたいのはわかるが、まずは己が役目を務めよ」
「えっ!?あっ、兄様!承知いたしました!」
「先輩、おはようございます!」
「うん。おはようルビィちゃん。マネージャーの仕事には慣れた?」
「ちょ、ちょっとずつ、頑張ってます!」
「それは良かった♪ 今日も暑いから、2人とも気を付けてな」
「「はい!」」
……
「スポーツドリンク、テーピング……去年より減りが早いですわね」
「そうね。早めに買い出しに行かないといけないわね」
物品管理は主にダイヤと梨子が行っているのだが、そう言う割には嬉しそうだ。消費が多いのは、部員が多く入ってきたということでもあるためだ
「でもダイヤさん、部費はどう?」
「まだ十二分にありますわ。OBの皆様からの寄付が増えていますから。ありがたいことですわ」
「本当に……。もっと頑張らなくちゃね!」
「えぇ!今日も張り切っていきましょう!」
……
練習が始まる前は、練習メニューを確認する者、肩慣らしにキャッチボールをする者など様々だ。そして、ケガ防止のテーピングも重要だ
「隼人さん、今日もテーピングの練習させてもらって良いですか?」
「おう。よろしく!」
最近恒例となっている花丸のテーピング練習。些か不器用ながら努力家な彼女のために、果南が発案した。左足首を果南、それを見ながら右足首を花丸がテーピングしていく。果南にアドバイスを受けながら、真剣なまなざしでテーピングする花丸。その姿がとても健気で思わず頭を撫でたくなるが、それは我慢だ
(しかしまぁ、何度やってもらっても落ち着かねぇな……)
いずれ劣らぬ美少女が2人、自分の足元にしゃがんでお世話をしているなど、まるで王様にでもなった気分だ。しかもTシャツの胸元が浮いていて……
(いかんいかん!煩悩退散、煩悩退散……)
などと考えている間に、テーピングが終わったようだ
「終わったよ。どう、花丸ちゃん?」
「マルも、できました……」
自信がない様子だが、パッと見た感じではブーツのように隙間なく巻けている。スパイクに履き替えて軽く地面を踏みつけ、テーピングの感触を確かめる
「ふんふむ……」
「どうですか……?」
「うむ、大丈夫だな。これなら今日の練習は安心だ!」
「ホントですか!?」
「おうよ!」
「ふふっ♪ 良かったね!」
「はい!」
「いや~ホント上手くなったな~。果南の厳しい指導の賜物かな?」
「もう何言ってるの。花丸ちゃんがちゃんと頑張ったからだよ!」
「あ、あの……」
「ハハハ、悪い悪い。ありがとな!」
「はい!こちらこそ、ありがとうございます!」
……
時間になり、準備運動が始まる。まずは動的ストレッチを行い、その後にアジリティと呼ばれる運動だ
アジリティ。空気椅子状態で速く小刻みに足踏みをし、そこからステップを踏むなどする運動だ。これが準備運動とかマジで常軌を逸している
マネージャーがステップの方向をランダムに指示するのだが、今日は曜が担当するようだ
「っしゃあ、よろしくぅ!!」
「ヨーソロー!」
気合を入れるために声を出すと、曜が返してくれる。練習中の楽しみの一つである。曜が方向を示しながら笛を吹き、選手はその方向に踏み込んだり回転したりと数種類の運動がある
アジリティを終えると大半の者は大腿四頭筋が悲鳴を上げ、燃えるように熱くなるのだが、これが皆を強くするのだ。その後すぐに、作戦を確認しながら短距離ダッシュをするコールダッシュを数往復。特にライン(前衛)は、スタートダッシュ時に上体が浮かないことが大事だ。それを終えると一旦休憩。日陰に入って水分を補給する
「今日も Very hot だから、ちゃんと休むのよ!」
「1年生のみんなもしっかり飲んでね!」
「「ありがとうございます!」」
「うふふ。チカッチもすっかりお姉さんね♪」
「えへへ~♪ ちょっと憧れてたんだよね~」
家では末っ子で優しく厳しい姉がいる千歌だが、1年生からしたらちゃんとお姉さんだろう
「ここにデカい扇風機欲しいな……」
「あ~それな。あの体育館にあるやつ……」
「じゃあ私が扇いであげる!」
「あ~生き返る……流石果南」
「ありがとう。ホント果南さんは良い嫁さんになるぜ……!」
「アハハ。どういたしまして」
ピピピッ、ピピピッ……
「皆さん水分はしっかり補給されましたわね? さぁ休憩は終わりましたわ。次も頑張りますわよ!!」
「「はい!」」
……
続いて、ライン(前衛)とバックス(後衛)に分かれてポジション別練習だ
ラインは1on1や2on2、パスの際の壁と壁攻めであるパスプロ・パスラッシュなどが行われる。ぶつかり合うことが本業だ
バックスは、ランに於けるボールの受け渡しであるハンドオフやパスの連携であるパススケルトンなどの練習だ
マネージャーの仕事は、時間管理やミーティングのためのビデオ撮影、ドリンクや氷袋の補充など多岐にわたる
休憩を挟みながら進行し、今度は全体練習に入る。試合形式のスクリメージをオフェンスメインとディフェンスメインで実施。その後は、各種キックシチュエーションの練習だ
そして最後に、夏練恒例のフィジカルトレーニングの時間だ。日によって、ジャンピングスクワット、タイヤ押しetc.のバリエーションがあるが、今日はみんな大好き体幹トレーニング・プランクである。土の上だと肘がマジで痛いので、膝パッド等を使う者が殆どである
「じゃあ今日は3分3セットね!」
((マジっすか……))
「ワ~オ!果南ったらスパルタね♪」
「え~?これでも少ないよ!ほ~ら、みんな準備してね」
普段は女神のようだが、こういう時の果南は鬼軍曹だ。しかし文句を言えば大変なことになるので、皆従うしかない……!
「よ~し、じゃあスタート!」
そんなこんなで地獄の3分間が開始される
「マネージャーのみんなは、フォームが崩れてないかチェックしてね♪」
((マジっすか……))
「ほら、お尻が落ちていますわよ。しっかりお腹に力を入れましょう!」
「はい……っ!」
「あ、あの……が、頑張ルビィ!」
「ありがとう……」
そんなやりとりの一方、果南と隼人は
「お、流石隼人だね!綺麗なフォームしてる♪」
「うむ……!」
「じゃあ……よいしょっと♪」
「ちょ、えっ!?待って果南!それはアカン!」
なんと、プランク中の隼人の背に果南が座る!
「え~?何、私が重いってこと?」
「そうじゃ、ない……けどおぉぉ!!」
文字通り、尻に敷かれている。しかし潰れる訳にはいかず、必死で耐える……
……
そんなこんなで練習が終了。防具を外すこの瞬間の解放感がたまらない
そしてお待ちかねの……
「うふふ♪ みんな~!小原家特製・シャイニードリンクよ!!」
「「「やったぜ!!」」」
シャイニードリンク。本家シャイ煮のように、豪華な食材を大量に……という訳ではなく、小原家と関係があるトレーナーや栄養士が監修したドリンクであるため安心だ。グルタミンなどのアミノ酸や、ビタミンCなどが主成分だ。因みに、千歌の熱い要望でみかん味である
「あぁ……。腹筋に染み渡るぜ……」
「隼人お疲れ……」
「美味い!もう一杯!」
「もう隼人ったら、なんかCMみたいだね。はいどうぞ♪」
「ありがとう。いや~練習後のこれはたまらんね!」
「私も飲みたい!!」
「千歌ちゃん……」
「マネージャーだってめっちゃ動いてくれてんだから飲むべきだろ!」
「良いんですか!?やったー!」
マネージャーを大事にしてこそ良いチームの証。彼女らのサポートがあってこそ、選手は練習も試合も高いパフォーマンスを発揮できるのである
……
練習後、シャワーを浴びて一息つく。昼食を摂った今、このまま寝てしまいそうだが、そういう訳にはいかない
「隼人~。帰ろうぜ~!」
「Oh。すまん、今日はな……」
「あ~……。リア充爆発しろ」
「ハッハッハ!」
「あ、隼人帰ろ♪」
「おぅお待たせ。じゃあみんなお疲れ!また明日!」
「お疲れ~」
「お疲れ様でした!」
チームキャプテンとマネージャーキャプテンが、仲睦まじく帰っていく。見せつけている訳ではないのだが、2人のオーラは目立ってしまう
「……ふふっ。あの2人、いつもシャイニーね♪」
「えぇ。ホントにお似合いですわ」
「大好きな、お姉ちゃんとお兄ちゃんずら♪」
……
果南自室
プチ家デートだ。果南がベッドに腰かけ、横になった隼人が、彼女の脚に頭を乗せる。要は膝枕である
「あぁ~。癒される……♪」
「ふふっ、甘えん坊だね~。頼れるキャプテンのこんな姿、みんなには見せられないね~」
(まぁ、其処もかわいい処なんだけどね♪)
そう言いながら、愛おしそうに目を細め、優しく頭を撫でている
「ハハッ、全くだな。こんなの果南にしか見せられないわ」
「もう……///」
本人たちはこう言うが、2人のバカップルオーラは校内で有名だ
「ふわぁ……。流石に眠いな……」
「今日も練習頑張ったもんね。まだ早いし、少し寝ていけば?」
「じゃあ、お言葉に甘えて……。あぁでも、果南の脚が痺れそうだな……」
「ん~じゃあ、私も一緒に寝ちゃおうかな?」
「……Oh!?」
「じゃあ……」
何故かノリノリの果南のされるがまま、果南がベッドの奥、隼人が手前に横になり、恋人繋ぎをする
「えへへ……♪」
「……ふふっ♪」
(まぁ、果南が嬉しそうだしかわいいから良いか……♪)
シングルベッドに2人は流石に狭い。隼人の体格が良いため尚更だ。必然的に、ほぼ密着になるのだが……
「あ~なんか、ドキドキするんだけど安心する……。ありがとう」
「もう……♡」
「ハハッ……じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみなさい……♪」
「……zzz」
(ふふっ。寝顔もかわいい……♡ ハグしたいけど……起こしたらかわいそうだし、ここは我慢我慢……)
そんな果南もそっと目を閉じ、微睡みに身を委ねた……
……
「今日はありがとうな」
「ううん。こちらこそ♪」
「じゃあ、また明日だな」
「うん!でもその前に……」
「うむ!」
「ハグ、しよ……♡」
「喜んで……!」
「……♪」
「……♡」
隼人の胸に顔を埋め、ギュッと抱きしめる果南
「……果南、それじゃあ俺帰れないよ」
「うん……」
「ふふっ。今度は果南が甘えん坊だな♪」
「うぅ……」
「まぁ俺も同じ気持ちだけどさ……。明日の練習で会えるだろ?」
「うん……。また明日ね?」
「おう!」
名残惜しいが、船に乗り遅れる訳にはいかない。抱擁を解いて、船着き場に向かおうとしたその時
「隼人!」
「ん?」
振り返った隼人に対し、背伸びをして両手を頬に添え……
「えへへ///」
「っ///」
(やっぱり、果南には敵わないな///)
(恥ずかしいけど、幸せだなぁ///)
2人の日常は、これからも続く
おしまい
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