Emerald First Love (本編完結) 作:Shige_puni
生きてて良かったです。
さて、この5話は最初の山場(のつもり)です。
特に後半は力を入れて書きました。
楽しんで頂ければ幸いです。
夏休み その1.5
~アメフト招待試合後半~
現在スコア 17-7
さぁ、後半だ。練習試合とはいえ、静岡王者としてはこんな点差では終われない
何より果南が見ている、無様な姿は見せられない!
隼人「よっしゃぁ!みんな行くぞオラァッ!!」
「「おう!!」」
━━━━
<ブラストォォ!
<うおおぉぉぉぉぉぁぁぁ!!
<このまま行けぇぇぇぇぇぇ!!
<おい誰か中央止めろぉ!
<オッケーナイラーン!
<パス来るぞ!
<おぉ!?江井ちゃんナイスサック!
<パスプロ薄いぞ!何やってんの!
<ナイD!!
……
ハーフタイムショーによって気合いが迸った隼人を中心に、ライン勢が奮起。壁がしっかり機能すればバックスも動きやすい。内外のラン、パス、フェイクにオプション。色んなプレーができる
ディフェンスでは、相手QBがパスを投げる前にタックルするサックを江井が決めた
後半で3本のTDを追加。相手も意地を見せ4Q序盤にTDを1本取る熱い展開になった
そして最後は両チーム整列して挨拶だ
主審「浦の星38対F高14で試合終了です。ナイスゲーム!」
「「ありがとうございましたッ!」」
「遠い処ありがとうな」
「今度は関東大会で会いましょう!」
爽やかに挨拶を交わした後、応援席へ向かう
「気を付け、礼!」
「「ありがとうございました!」」
そしてAqoursには個別に挨拶。リーダー同士が言葉を交わす
隼人「今日はホントにありがとう。みんなのライブのお陰で、気合い入ったわ」
千歌「いえ、誘ってくれてありがとうございます。正直、アメフトのことはまだよくわかんないんですけど、みなさんとっても輝いてました!その輝きに負けないように、私たちも頑張りました!」
隼人「あぁ!Aqoursも輝いてたぜ!あんまりライブ見られなくてごめんな。でも声はしっかり届いたよ」
千歌「! それなら良かったです!」
ふと、視線を感じた隼人
果南:グッb
隼人「!」グッb
サムズアップする果南と目が合った
果南「」ニコッ
隼人「ッ!///」
ダイヤ鞠莉江井(ほほう)
千歌「?」
隼人「あぁいや、何でもない。今日はホントお疲れ様。ラブライブ、応援してるぜ!」
千歌「はい!アメフト部のみなさんも頑張ってください!」
「「ありがとうございました!」」
━━━━
~帰り道~
隼人「いや~しかし江井ちゃんのサックはシビれたわ!」
江井「あれは気持ち良かったわ。しかし後半の隼人はあからさまにおかしいだろ!」
隼人「ホント自分でもビックリ。監督にも"できるなら最初からやれ!"って言われたわ」
江井「ブリッツ処理も良かったしな」
隼人「まぁ、春にやられて練習しまくったからな。それに、アイツに比べりゃかわいいもんだ」
ブリッツ。プレー開始と同時にLB(ディフェンスの中衛)が突っ込んで来るプレーだ。当然オフェンス側も警戒はしていたが、春に関東大会で戦った相手LBが高校アメフト界でも有名な選手で、そのブリッツにやられたのが敗因の一つだった
江井「確かにそうだわな。でもまぁ後半のあれは……」
隼人「それは、お察しの通りだと思うぜ~」
江井「そっか。向こうはスクールアイドルだし、色々事情はあるだろうけど俺は応援してるから安心してくれ」
隼人「ありがとう。心強いわ」
江井「おう。ところで夏休みのライン練習は?」
隼人「予定通りOLはゾーン、DLはリーディング」
江井「了解!ラインとしては燃えるな」
ゾーンとリーディング。細かい説明は省くが、ちょっと特殊なプレーだ。前話でも述べた通り、アメフトのプレーはある程度パッケージされているが、この2つにはそれがない
隼人「おうよ。ただ今日やってみた感じだと精度がもうちょいだった」
江井「ふんふむ。それは今から上げて行こう」
隼人「実戦デビューさせた1年生たちももっと鍛えなきゃな。あとは、アレをやる」
江井「……本気か?」
隼人「あぁ。監督にも相談して、まずは様子を見てくれるそうだ。"お前のロングスナップなら出来るかも知れない"とも言ってくれた」
何やら秘策があるようだ
江井「OK。どこまでも着いて行くぜ!でも今日は……」
隼人「あぁ!帰って寝る!」
江井「うっし、じゃあまた明後日の練習でな!」
隼人「おう!」
━━━━
~一方その頃のAqours~
とある喫茶店で打ち上げ中
「「かんぱ~い!!」」
千歌「いや~やっぱりライブ後のみかんジュースは格別だね~♪」
曜「千歌ちゃんといえばみかんだもんね!梨子ちゃんは何飲んでるの?」
梨子「私はアイスコーヒー。果南ちゃんに勧められてからハマっちゃった♪」
果南「それは良かった♪みんなライブ振り返ってどうだったかな?」
善子「鎧を纏ったリトルデーモン達が駆け巡る戦場に舞い降りる堕天使、悪くなかったわ……!」
花丸「最初は迫力に圧倒されそうだったけど、楽しかったずら。ね?ルビィちゃん♪」
ルビィ「うん!ルビィも最初はちょっと怖かったけど、みんなのお陰で頑張れたよ!」
ダイヤ「良かったですわね、ルビィ!」
ルビィ「うん!」
鞠莉「私は久しぶりにフットボールの試合が見られて楽しかったわ。ね?果南♪」
果南「そうだね♪また一緒にコラボできると良いな♪」
ダイヤ「ふふっ、そうですわね。学校全体も盛り上がりましたし、ライブ自体も、オープンキャンパスとしても大成功でしたわ!」
鞠莉「でも果南にとっては、もっと大事なことがあるわよね~♪」
果南「べ、別にそんなことないよ!」
千歌「え?なになに~?」
果南「なんでもないよ!」
花丸(やっぱり果南ちゃんは八神さんが気になるずら?)
善子(Blasterさんに堕天しているの!?)
ルビィ(善子ちゃん……)
━━━━
~松浦家~
果南「ただいま~」
祖父「おうお帰り。どうだった?」
果南「ライブは成功、試合は快勝って感じかな♪」
祖父「ハッハッハ、それは何より。果南も隼人君のカッコ良い処が見られて良かったな!」
果南「……うん♪」
意外にも、祖父の前では素直な果南
祖父「うむ。もうお店の方は大丈夫だから部屋でゆっくりしといで」
果南「うん、ありがとう」
祖父(……青春だのう)フフッ
━━━━
~果南自室~
(ふぅ~。今日は、楽しかったな……♪)
ライブは無事成功し、アメフトの試合も勝利。観客は喜んでいたし、自分たちは練習の成果を出せたと感じる
そして何より
(隼人君、カッコ良かったな……)
普段は優しく穏やかな隼人だが、試合中や筋トレの時には別の表情になる。そのギャップが、果南の心に響いているようだ
(なんだろう、会いたいな……。でも今からじゃ……そうだ)
何かを思い立ったようにスマートフォンを操作する
(声だけでも聞きたいな。出てくれるかな?)
数コール程して、彼の声が聞こえた
『はいはい~。電話とは珍しい。どした?』
「今日は結局お話できなかったからさ。試合お疲れ様、カッコ良かったよ♪」
『お~ありがとう~!ちょっと照れる。でもまぁ、果南に良い処見せなきゃって思ってたから嬉しいわ』
「えへへ。それは良かった♪」
『でもホント、ライブありがとう。何度も言うようだけど、あんま見られなくてごめんな』
「そんなに気にしなくて大丈夫だよ。私たちも楽しかったし、久々にアメフトも見られて良かったな♪」
『そう言ってもらえると助かるわ。やっぱ、果南は優しいな』
「ん~別に普通じゃないかなぁ?」
『いやいや、俺はそんな果南だから……』
「えっ?」
『あ~いや、だから俺は頑張れるのさ』ハハッ
「う~んまぁそれなら良かったよ♪」
『おう。でもそういや、"遠くへ声が届くように"って歌詞はハッキリ聞こえたんだ』
「!」
『しっかり俺には届いたよ!そのお陰で後半は自分でもビックリするくらい動けたんだ。Aqoursの、果南のお陰だな!』
「ふふっ」
『あ、なんか変なこと言ったかな?』
「ううん、そうじゃなくて、その曲を歌う時にね、"隼人君に私たちの声を届けるんだ!"って思ってたんだ」
『!』
「だから、そう言ってもらえて、凄く嬉しいんだ♪」
『そっか……そうだったんだな』フフッ
それから急に黙り込む隼人
「ん?どうかした?」
『いや、実はさ……このハーフタイムショーって、1年の時からの夢だったんだ』
「えっ、そうなの?」
『あぁ。ハーフタイムショーに憧れてたってのもあるけど、初めて前のAqoursのライブを見た時に思ったんだ、一緒にやってみたいって。色々あって半分諦めてたけど、今日それが実現して……ホントに嬉しいんだ』
「うん……♪」
穏やかな口調の中に、嬉しさと感謝と満足感がにじみ出ている
その声を聞いているだけで、果南も嬉しさで胸が温かくなるのを感じていた
『なんか色々伝えたいんだけど、上手く言葉にできねぇや』ハハッ
「ううん、充分伝わってるよ」
『そっか、それなら良かった。っと、長く喋っちゃったな。いい時間だし、そろそろ切るな』
「うん、じゃあね!」
『おう!』
通話が終わり、静寂
「ふふっ♪」
スマートフォンを胸に抱き、今の会話を思い返す
大した内容の会話ではなかったかも知れない。だが自分の声や思いが届いたこと、彼と思いを共有できたこと。それがわかっただけで、今の果南には幸せに感じた
この気持ちは何だろうか。ダイヤや鞠莉、Aqoursのみんなやクラスメイトへ抱く感情とは全く別のもの……
「"好き"って、こんな気持ちなのかな……?」
そう口にした瞬間、胸がトクンと高鳴った
確信がある訳ではない。でも、この表現が一番しっくりくるような気がした
「……ッ!///やっぱり、そうなのかな///」
巡り会ったこの想い。その気持ちが
- 恋 に な っ た 夜 -
つづく
━━━━