いつもと変わらない、平和な日々。
それはとある少年と出会ったことで、その日々は変わっていく事となる。
刺激的で、とても楽しい日々へと、変わっていく。
そして、私の毎日は、彩られていく。新たなる出会いによって。
私はいつも通り学校に向かっていた。
普段通っている道で事故が起こっていたため、いつもは通らない道から学校に向かう事となった。
その道は、少し大きな公園があり学校に向かうにはこの公園を通らなければいけない。私は花びらの散った桜の木が並び立つ道を歩いていた。
すると、公園の芝生で寝転がっている同じ学校の制服を着た男子生徒がいた。
このまま寝転がっていると遅刻してしまうだろう。
私は彼を起こす事にした。
「ねえ君、早く行かないと遅刻するよ?」
それでも彼は起き上がらずに空を見上げている。
不思議な男の子だ、そう思った。
すると彼がブツブツ呟いていることに気がついた。
「30……31…32……」
何かを数えているのだろうか?
彼はブツブツと呟いている。
「ねえ、何を数えてるの?」
「41……42……」
気づいて居ないのだろうか?
私は彼の顔を覗き込んで、少し邪魔をする。
ようやく彼は私に気づいて、私の目を見てきた。
思わず吸い込まれそうになる紅い瞳に少しドキッとしてしまう。
彼の容姿は整っている、というか整い過ぎている。
作り物のように完璧な顔をしていて、どこかこの世のものではない美しさを感じる。
「君、学校は行かないのか?遅刻するぞ?」
「それじゃあ君はどうするの?」
彼の質問に同じ質問で返す。
まずそれは最初に私が彼に出した質問だ。
「ああ、僕は今日学校には行かないさ」
「え!?どうして?」
彼は学校には行かない、と言い出した。
どういうことだろうか?
「今日はここで雲を数えたい気分なんだ」
ようやく私の二つ目の疑問が解けた。
彼は雲の数を数えていたのだ。
だから空を見上げて数を数えていた、という訳である。
私は少し彼に興味が湧いてきた。
「雲、好きなの?」
「ああ、小さい頃の思い出なんだ」
「そうなんだ。でも、学校はいかなきゃダメでしょ?」
私は彼の腕を引っ張って体を起こした。
思わず軽いと思ってしまった。
彼の体は女子と比べても身長は同じくらいで、線も細い。
ちゃんと食事を取っているのか?
そう思った。
「それもそうだね。じゃあ学校に行こうかな」
「じゃあ一緒に行く?」
「そうだね、そうしようか」
こうして、私達は一緒に学校に行く事になった。
先ほどまでのこともあり、なんだか彼に興味が沸いてきた。
「君、何年生?」
「2年生、だけど、君は?」
「私も2年生だよ」
「そうなんだ。どこのクラス?」
「C組だよ、君はどこのクラスなの?」
「僕はB組なんだ。隣のクラスだね」
私は彼のことを少しずつ知っていった。
まず、彼は隣のクラスだということ。
そして、あまり学校には来ていなかったこと。
理由は、今朝のように雲を数えていたり、朝早くに運動をしていたらそのまま一日中運動をしていたり、だとか。
彼は少し変な人だと思う。
でも、さらに興味が沸いてきた。
だが、その私の興味も虚しく、学校に着いてしまった。
彼とまだ話したいのに。
そう思ったが、それはまたの機会にしよう。
私にとって、彼と出会ったこの日は、一生忘れられない日となることを、私はまだ知らない。