ハリー・ポッターと呪われし末裔   作:九空揺愛

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誰これ?って思うかも知れませんが、ドラコです。


シーカーを賭けて

「見てくれよラミレス!グリーングラス!この箒!最新のニンバス2001だ!ポッターのニンバス2000なんか目じゃないぞ!」

 

得意気に自身の箒を自慢しているマルフォイ。今年新発売された最新の競技用箒、『ニンバス2001』を掲げて俺たちに見せびらかしている。恐らくは去年、特例でポッターにニンバス2000が与えられたのが余程悔しかったのだろう。そのニンバス2000を上回る箒を手にした事で随分ご機嫌な様子だ。

 

「これであのポッターに敗北の二文字を叩き付けられる!僕とあいつの飛行技術が仮に(・・)同じだとしても旧式と新型では性能の差があるからね!あのポッターの悔しそうな顔が今から楽しみだよ!」

 

あははっと笑うマルフォイ。確かにマルフォイの箒の飛行技術はマルフォイ邸で見ていた。いつもの自信も努力の賜物だろう。

素人目の俺やグリーングラスが見ても分かるマルフォイの潜在能力(ポテンシャル)はポッター同等と言える。

だが、何度も言うがポッターは天才だ。天才は潜在能力(ポテンシャル)と奇跡的な技術(スキル)の組み合わせで常人を超えている物を指す。

例え箒の性能でポッターを上回っても、勝てるかどうかで言えばなんとも言えない。

 

「そうだラミレスは箒を持ってないんだろう?父上に頼んで君の分も用意してくれる様に頼んであげるよ!グリーングラスもどうだい?」

「私はいいよ。お母様から譲ってくれた箒があるから」

 

俺も断ろうかと思ったが、いつまでもホグワーツの備品に頼るのもなんだった為、この際最新式とやらを体験すべく頼むことにした。

 

 

 

 

 

「クィディッチのシーカーにしろって?」

 

そう漏らしたのはスリザリンのクィディッチチームリーダーのマーカス・フリントだ。

俺たちは何故かマルフォイに連れられクィディッチのスリザリンチームの部室に来ていた。

まさかこんな道場破りのような登場するとは思わなかったが、マルフォイは自信たっぷりの表情で仁王立ちしている。

 

「おいおい、いくら聖28一族のマルフォイ家の人間でもただの(・・・)ボンボンを入れる訳には行かないぞ?去年はあのグリフィンドールに初戦負けたんだ、今年もあの屈辱を味わう訳には行かないからな!」

「それは聞き捨てならないね、僕がただの(・・・)ボンボンなんて言われるなんてね……」

 

マルフォイはやれやれと両手を広げてみせる。

 

「じゃあさ、僕と勝負しないかい?このチームのシーカーとこの僕とで!」

「勝負だと?」

「そう勝負さ!僕とこのチームのシーカーで!」

「ほう?なら、こっちが勝ったらどうする?」

「アンタたちの欲しい箒を無料提供。これでどうだ?」

「そりゃあいい!いいだろう!その提案に乗った。早速プレイと行こうか!」

 

マルフォイの大胆な賭けにフリント達スリザリンチームのメンバーは湧き上がる。それと同時に何人かは怪しく笑った。

 

 

 

 

 

 

 

クィディッチ競技場

 

「勝負は1回、うちのシーカーかマルフォイのどちらかがスニッチを獲るまで続ける、と言いたいところだが……」

 

フリントはニヤニヤ笑いながら焦らす。

 

「今回は制限時間を設ける。時間はこの休み時間が終わるまでだ。そしてそれまでにマルフォイが獲れなければそっちの負けだ」

「な、そんなの卑怯じゃない!ルールがあまりにそっちに有利すぎるよ!」

「元よりこっちは別にやらなくてもいい勝負をしているんだ。これで勝負が長引けば授業だって遅れるし、練習の時間も無くなる。それともここでしっぽを巻いて逃げるか?」

 

理不尽なルール決めにグリーングラスはフリントに食ってかかるも、痛い所を付かれ引き下がざるをえなかった。

 

「ふん、いいとも。これがスリザリンチームのやり方ならそれでいいさ!時間までにスニッチを見つけて捕まえさえすればいいんだ」

「ちょっとドラコ!」

「じゃあ決まりだ!早速始めよう!」

 

フリントのコールと共に、スリザリンチームのメンバーがスニッチを放った。マルフォイとシーカーの人は並んで箒に跨り、カウントダウンが過ぎるのを待つ。

 

「開始!」

 

勢いよく飛び出したマルフォイとシーカーはグングンと上昇する。フィールドの中央に止まる。

 

「始まったね」

「ああ、やはりスピードはマルフォイの方が早いか」

 

フィールドの中央に止まったマルフォイはスニッチを探すのに目と耳を研ぎ澄ます。

曇っている天気の中、スニッチを見つけるのは通常より困難だ。それに時間制限があるため、ゆっくりもしていられない。

 

「よく音を聞き分ける……」

 

視界の悪い今、目は頼れない。マルフォイは目をつぶる。人の情報収集能力の8割は目からだ。それを敢えて断つことで他の感覚を研ぎ澄ます作戦のようだ。

 

「……そろそろ行け」

 

そんな言葉が隣で聞こえたかと思うと、2人のスリザリン選手が飛び立った。

 

「何のつもりだ?」

 

俺はフリントにドスを効かせて尋ねるが、フリントは飄々とした態度で答える。

 

「おいおい、クィディッチは1対1でやる競技じゃないんだぜ?当然、ビーターの妨害だってある。これぐらいの状況だって間違えなくあるからな!」

「そんな!いくらなんでもズルいよ!こんなの無効だよ!」

「ズルいって?あははっ!俺たちはスリザリンだぜ?例え同じ僚の奴であろうと、敵対した奴はどんな手を使ってでも勝つのが俺たち流さ!それに勝負はすでに始まってる。もう止めることは出来やしないんだよ!」

 

フリントは笑いながら勝負を続ける。

一方マルフォイも突然来たブラッジャーに驚くも、やるしかないと腹を括った。

 

「スニッチは……あそこだ!」

 

マルフォイは一気に急加速し、スニッチに向かって飛び出した。相手のシーカーもマルフォイの動きからスニッチの場所を見つけると、マルフォイに体当たりしながらスニッチに向かって飛ぶ。

マルフォイも負けじと体当たり仕返し、スニッチの急な降下に対応する。

 

「やれ!落とせ!」

 

ビーターの妨害で上手いこと降下出来ないマルフォイはシーカーの隣にピッチリマークした。

 

「ははっ!分かってるぞ!そうやってうちのシーカーの隣をマークしておいて俺たちの打ったブラッジャーをギリギリで躱してぶつけようという浅はかな算段だろ!」

 

マルフォイとシーカーはそのまま雲の中に入り込んだ。

 

「馬鹿め!目くらましのつもりか!それじゃあ飛んできたブラッジャーの位置も分からないだろうが!」

 

ビーターの1人がブラッジャーを雲の中に撃ち込んだ。そして出てきたブラッジャーを反対で待ち構えたもう一人のビーターが雲の中に撃ち込む。まさしく袋叩き作戦だ。

 

「これでボロボロの奴が出て……な!?」

 

雲の中から墜落する影が見えた。それはマルフォイではなくもう一人のシーカーだった。

 

「馬鹿な!?」

「残念だったね!僕はココさ!」

 

マルフォイはビーターの後ろからひょっこり現れた。

 

「な、どうやって……!」

「さぁ、どうやってだろうね!」

 

マルフォイは得意げに言い放つと、スニッチに向かって再び飛び立った。

 

「あいつを落とせ!このまま馬鹿にされたまま終われるか!」

 

フリントの怒声が響き渡る。ビーターの2人は戻ってきたブラッジャーをふっ飛ばし真っ直ぐマルフォイの元に飛んでいく。マルフォイは再び雲の中に隠れると、

 

パーティス・テンポラス(道よ、開け)!」

「な、卑怯だぞ!」

「卑怯だろうがなんだろうが勝てばいいのさ!」

 

ビーターの1人が杖で呪文を放つと、雲が晴れる。そこに隠れていたマルフォイは当然その姿が顕になった。思わずマルフォイは抗議を叫ぶも、スリザリンチームの誰もが聞き入れなかった。

 

「これでお前がどんなに隠れようが無駄になった!覚悟は出来てるだろうな?」

「くそっ!」

 

マルフォイが悪態を吐くと、反対側からビーターがブラッジャーを撃ち込んだ。マルフォイは気付いていない。

 

「はは!お前の負けだ!」

「それはどうかな?」

 

マルフォイに飛んでいたブラッジャーが、撃ち込んだビーターの顔に衝突していた。ビーターはそのまま何が起きたか分からず墜落していく。

 

「な、お前は!」

「ラ、ラミレス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は片手にビーター用のバットを持ちマルフォイの方を見た。

 

「ラミレス、なんで……」

「お、おい!ルール違反だぞ!これはこいつとの勝負なんだ!外野が出てくるな!」

 

俺は視線をマルフォイからビーターに向ける。

 

「正当な勝負をする為だ。元より3対1の時点でスポーツマンシップもクソもない。それに……」

 

俺は不敵に笑ってみせると、ビーターはゴクリと唾を飲んだ。

 

「クィディッチは1対1でやるスポーツじゃないんだろ?」

「くっ!この!」

「行けマルフォイ。こんな卑怯な手を使ってきた奴らに負けるな」

「あ、ああ!任せろ」

 

マルフォイは全速力でスニッチに向かって行く。

 

「やらせるかよ!!」

 

ビーターはブラッジャーをマルフォイに向かって力いっぱい撃ち込む。マルフォイはスニッチに全集中力を向けている。

 

「させねーよ」

 

俺がぶつかる前に打ち返す。ビーターは飛んで来るブラッジャーを躱しながら悔しそうに顔を歪ませた。

マルフォイとスニッチの距離は残り数メートルまで縮めた。

そのまま手を伸ばす。後50cm、30cm、20cm……。

 

「届け!」

 

マルフォイは箒のスピードを最大まで出し、遂に

 

「獲っ……た!!」

 

スニッチを捕らえた。それと同時に休み時間終了のチャイムが鳴る。俺はマルフォイの所まで飛んで行き拳を合わせた。俺たちはそのまま降下して行くと、グリーングラスが俺たちに飛び付いてきた。

 

「やったね!ドラコ達の勝ちだよ!」

「心配かけたなグリーングラス。それに……」

 

マルフォイは俺の方を向くと

 

「ありがとう。ラミレス」

「どうって事ないさ。俺は奴らのやり方が気に食わなかっただけだ」

「とかまたなんとか言って〜、ザックは本当にツンデレさんだよね!」

「まったくだな……」

 

そうして俺たちは勝利の余韻と共に笑い合った。

 

「そんな……まさか負けるなんて……」

 

隣でフリントは崩れ落ちて膝を付く。チームのメンバーは全員彼の元に集まってくると、彼に手を差し伸べた。

 

「キャプテン、すまなかった。こっちの方がハンデも多かったのに……」

「……お前たちが気に病むことじゃない。負けたのは事実だ。それを受け止めるしかない」

「キャプテン……」

 

フリントは立ち上がると、俺たちの元にチームを引き連れてやって来た。

今度は何されるんだ?と身構える俺たちにフリントはフッと笑うと、マルフォイに手を差し伸べてきた。

 

「今回は俺たちの負けだ。それにこっちは色々な手も使った。だがお前は勝った。約束通りシーカーはお前だ」

「ああ。ま、当然かな」

 

そう言い残すと、フリントはチームの元に戻って行った。が、

 

「待て」

「ん?」

 

マルフォイはスリザリンチームのメンバーを引き止める。

 

「この勝負は僕が勝った。そしてスリザリンのチームに入れてくれた礼だ。アンタ達にこの『ニンバス2001』を全員にプレゼントするよ」

「な……!馬鹿にしてんのか!俺たちは負けたとしても施しは受けないぞ!」

 

マルフォイの一言に食ってかかるメンバー。だが、マルフォイは静かに続けた。

 

「施しじゃない、勝つためだ。去年の寮対抗のクィディッチ大会、スリザリンはあのグリフィンドールに負けた。それに敗因はあのポッターにスニッチを先に取られた事だ。1年だった僕はグリフィンドールに、ポッターに負けたのがとにかく悔しかった!ずっと寮杯もクィディッチも最強のスリザリンが去年は初戦負けにグリフィンドールと引き分け、スリザリンは狡賢くかつ最強の異名だったハズなのに!去年のせいで狡賢いだけに成り下がった!だが今年、ようやくポッターを倒すことが出来る機会に巡り会った!ただ勝つだけじゃダメだ、徹底的に勝つ!そのためだ!」

 

マルフォイの圧にスリザリンチームの殆どは怯んだ。そんな中、フリントはゆっくりとマルフォイの元に歩いていく。そのままマルフォイの目の前に立つと、

 

「マルフォイ、俺たちにニンバス2001を提供してくれ」

「キャプテン!?」

「マルフォイの言う通りだった。俺たちはスリザリンチーム。ただ狡賢いチームじゃない。四寮最強のチームだ。もうすぐ始まるクィディッチの寮対抗戦も初戦はあの憎きグリフィンドール!スリザリンらしくどんな手を使ってでも勝つ!違うかお前ら!」

「「「「「おう!!」」」」」

「という訳だ。マルフォイ、頼む」

「僕のことはドラコでいい。これからはクィディッチのチームメイトなんだからね」

「分かった。よろしくなドラコ」

 

こうしてクィディッチの勝負はマルフォイの勝利で終わった。




ポッタリアンの皆様「スリザリンはこんな熱いチームじゃない。」
作者「ですよねー」

次回もお楽しみに!
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