連日でどれだけ更新出来るか分かりませんが、第二話が出来ましたのでどうぞ!
わしは再びこの場所に来ていた。
ウール孤児院
かつてトム・リドルと呼ばれる少年が暮らしていたその施設に、再び魔法使いの子供が預けられたという話がやって来たのだ。
4年前の魔法省による
だがわしは知っていた。ペトラはヴォルデモートとは違い純血主義者ではないことを。ヴォルデモートの傘下に下ることはない事を。それを魔法省に伝えるも、大臣のファッジはどうするか決められないまま、魔法省の内部の一部の人間達が独断でラミレス家に乗り込み、ペトラと夫のエレン・ラミレスは冤罪で処刑されてしまった。その後、その一部の人間達は冤罪で処刑してしまった事を受けて退職処分となったが……。
「お久しぶりですダンブルドアさん」
「お久しぶりですじゃマダム。早速じゃが……」
「はい。こちらです」
以前トムの部屋に案内してくれた先生は孤児院の院長になっており、挨拶を済ませると若い先生に案内を任せていた。
「ザック。お客様よ」
若い先生は扉を開けてわしを中に入れるとドアを閉めた。
「やあザック。はじめまして。わしはアルバス・ダンブルドア。ホグワーツという学校の教師をしておる」
ザックはわしの顔をまじまじと見つめると、軽く会釈してベッドに座るように促された。わしはベッドに座ると、今度はわしがザックの顔を見た。中性的で一見すると可愛らしい女の子にも見えるその顔は小さく白い。サラサラとした黒髪、鼻筋は綺麗で、何よりも目を惹かれるのはその大きな赤い瞳だった。キラキラと輝く赤い瞳は、メラメラと何かに燃える様にも感じられた。
「君を見ていると、本当に君の母親のペトラを思い出すのぉ。特にその赤い瞳は母親そっくりじゃ」
ボソッと出てしまったわしの言葉にザックは少し俯く。やはり4年経とうともあの悲劇は忘れては居らぬか。
わしは話題を変えるためにもカバンからホグワーツのパンフレットを取り出してザックに渡した。ザックは不思議そうにそれを受け取ると、ペラペラと中を見ていた。ホグワーツの新聞部が作成したパンフレットは中々見所がある物が多い。ザックも気に入ってくれれば良いのだが……。
わしは気を取り直して本題に入った。
「ザック、わしは君の仲間じゃ」
「仲間?」
「そうじゃ。お主は魔法使いなんじゃよ。そしてホグワーツはお主を正しく魔法使いとして、人間として生きて行く事を教える場所じゃ」
「……」
ザックは変わらず無表情でパンフレットのページを捲る。
「そこにお主は入学するのじゃ。立派な魔法使いになる為にの」
わしが言い終わると、ザックはパンフレットを閉じた。ゆっくり顔を上げると、
「俺がもし通わないと言ったら?」
こちらを試すかのような発言にわしは少し目を閉じる。どちらにせよ何処かの魔法学校には通わなければならないが、ここは……
「その時はワシが君の所に毎日行き、魔法の手解きをしよう」
「……わかった。その魔法学校に行く」
直ぐにザックは答えた。それがよかろう、それがよかろう。わしは頷き立ち上がると、
「1つ聞きたい」
ザックに呼び止められる。わしは不思議に思いながらも子供が興味をもって質問をしてくれた事に嬉しく思い、振り向いた。
「何だねザック。君の質問なら喜んで答えよう」
「俺は動物の言葉が聞こえるんだ。其方にもそう言った人は居るのか?」
「ほほう、それは素晴らしい事じゃ。お主は動物と通じ合える。して、何の動物とかね?」
「蛇だ」
その瞬間わしの中の全てが凍りついた。
デジャヴだ。
この状況は随分昔に経験した。まさしくこの場所で。50年以上前に。
しかし、ザックはトムとは違う。境遇も、トムとは違いペトラ達両親から愛されて育てられてきた。それは決定的に違うと。
それにこの子が蛇語が分かるのはこの子の血筋故だ。それだけの理由でこの子を疑えばペトラ達を殺したあの魔法省にいた人間と変わらないではないか。
わしは頭から振り払おうと頭を左右に振ってザックに微笑みかけた。
「ほう、蛇か……。そうかそうか。しかしなザック。蛇と喋れる人はこちらの世界でも少ない。これからはあまり公表しない方が良かろう……」
ザックは無表情でわしを見つめると、机に向き直った。
わしも、向き直して廊下にでてそのまま玄関の方にまで歩いて行く。
「ダンブルドアさん」
「おお、マダム。ザックとの話は済みました。彼もホグワーツに行くと言ってくれましたぞ」
「ダンブルドアさん。あの子も、トムのようになってしまうのでしょうか」
「……あの子はトムの様にはなりませんじゃ。ザックはトムとは違うからの」
わしはそう言い残すと外に出た。たとえザックがヴォルデモートの様にはなろうとも、わしが必ず救い出す。
わしは心の中でそう誓うと、姿くらましをした。
俺の元に突然やってきたダンブルドア。ホグワーツ魔法魔術学校のパンフレットを置いて去っていったその次の日、俺はブラブラと教科書を買いに外に出ていた。
しかし思い出してみればこれは魔法界の教科書だ。一般の本屋程度に置いてある訳がない。無駄足を踏んでしまった事にイライラしつつも俺は家路(誠に遺憾だが)に着いていた。
「──────!」
「──────!」
土手を歩いていた俺は下の公園がやけに騒がしい事に気がついた。見てみると、どうやら何人かで1人をいじめているようだった。
「アホくさ……さっさと帰r──────」
「お前、パパもママも死んじゃって可哀想だよなぁ?」
「あはは!俺たちがパパとママの真似してやるよ!ほらパパでしゅよぉ〜?」
「ママでしゅよぉ〜?ぎゃはは!」
「ドン!あ、死んじゃった!」
「「「「あはははは!!」」」」
気がつけば俺は動いていた。一番近くにいた奴の顔面を殴り飛ばし、直ぐに近くにいた奴の腹に蹴りを入れた。
「な、なんだなんだ!?誰だよお前!」
「俺たちに逆らうのか!?」
「……せぇよ」
俺は仕切っていたデブの隣の奴を殴り飛ばすと、最後のデブを睨み付けた。
「お、おい!よせって!やめろ……!」
「うるせえって言ってんだよ!」
デブに殴り掛かろうとすると、デブは一目散に逃げて行った。
「クソが……胸くそ悪い……!」
「あ、あの……」
俺が声のする方を見ると、内気そうな丸眼鏡の少年が立っていた。
「あの、ありがとう……」
「……別に、助けようと思ってした訳じゃない」
「あ、待って……!」
俺はそう言い残すと、さっさと立ち去っていった。助けるつもりは毛頭なかった。ただ、いじめてる奴らが気に食わなかった、それだけだった。
その次の日、
「ここが『漏れ鍋』か……」
ホグワーツから再び手紙が届き、手紙に記された漏れ鍋と言う店に向かっていた。漏れ鍋に着くと、中にはダンブルドアが待っていた。
「やぁザック。無事に着いたようじゃの?」
「……どうも」
俺はダンブルドアに連れられて小部屋に入ると、ダンブルドアは杖を小部屋の溝に何度か小突く。すると、壁だった場所が開き大きな商店街が現れた。
「さぁおいでザック。ここがダイアゴン横丁だ」
沢山の人達でごった返すそれを見て俺はつい呟いてしまった。
「人がゴミのようだ……」
「何かいったかね?」
「いや、それより買い物だ……いや、買い物ですね。でもお金を持ってないですよ?」
俺は持ち金がない事を伝えると、ダンブルドアは微笑み俺を連れていく。
「『グリンゴッツ魔法銀行』?」
「そうじゃよ。おいで」
ダンブルドアに続きながら中に入ると沢山のゴブリン達が仕事をしていた。受け付けらしい場所に止まると、ダンブルドアはゴブリンに話しかけた。
「久しぶりじゃのうグリップフック。アイザック・ラミレス君の金庫に案内してくれるかの?」
グリップフックと呼ばれたゴブリンはダンブルドアを一瞥した後、俺を覗き込んだ。
そしてベルを鳴らして金庫案内担当のゴブリンに案内される。トロッコのような乗り物に乗ると、グルグルと線路の上を走っていく。程なくして到着すると、ダンブルドアはゴブリンに鍵を渡して金庫を開けてもらう。
俺は中に入ると、中には大量の金貨が積まれていた。
「これは……!」
「ほっほっ。お主の両親が残したお金じゃよ」
「父さん……母さん……」
俺は目を瞑り昔の事を思い出す。あの時の幸せだった時間を。
俺は目を開けると、財布の中に金貨を大量に入れた。
グリンゴッツを出ると、一軒の店に止まった。
「ではザック。ここで杖を選んで貰うのじゃ。ここの杖は天下一品のものばかりじゃから安心して選ぶが良いぞ。わしはちょいとおやつでも買ってくるからの」
ダンブルドアはそう言うと、俺を置いて違う店に入っていった。
まったく飄々としていたりと底の見えないじいさんだと思いながら俺は言われた通り中に入っていった。
「いらっしゃいませ。杖をお買い求めで?」
中に入ると、ボサボサの白髪の男性が出てきた。店主か?
「ああ。ここの杖は天下一品の物だと言われてな」
「いかにもいかにも。多くの杖がこの店から持ち主の手に委ねられ、そしてその生涯を共にしました。さて、まずは採寸といきましょう。杖腕はどちらかな?」
「杖腕……利き腕のことか?左だ」
俺が左腕を出すと銀色の目をした店主はポケットから巻尺を取り出し、肩から指先、肘から肩、膝から脇の下、頭の周り、とあらゆる角度から長さを測り、ふむふむと一人で頷く。
「オリバンダーの杖は一本一本強力な力を持った物を芯に使っております。一つとして同じものはない……ドラゴンの心臓の琴線、ユニコーンのたてがみ、不死鳥の尾の羽根……重要なのは、どれが自分に合っているかです。例えば他の魔法使いの杖を使っても決して自分の杖ほどの力は出せないわけですな。先ずは赤松に不死鳥の羽根、23センチ。耐久性に優れる」
店主は杖に関してのうんちくを垂れながら一本の杖を取り出し、俺の前に出す。
俺はそれを取るとまじまじと杖を見ていた。
「ほれ、振ってみなされ」
「こうか?」
俺は少し杖を振ると、コップが割れた。
「いかんいかん!これではなかったか……」
店主はすぐにその杖を俺の手から取り上げ、次の杖を渡した。
「サンザシにユニコーンのたてがみ、32センチ。靱やか」
俺は受け取ると、また小さく振ってみた。すると、窓ガラスが全部割れた。
「これもダメか」
俺は杖を机に置くと、店主はそれを取り上げる。そして俺の顔を見て、閃いたように店の奥に行くとすぐに戻ってきた。
「ヤマナラシにドラゴンの琴線、30センチ……」
渡されたのは1本の赤黒い杖。それを握った時、ぶわっと風が巻き起こった。俺は充足感に満たされる。
「……そうか。そうなったか……」
それっきり店主は何も言わず、杖の代金を払うと店の奥に行ってしまった。
「来たようじゃのザック。ほれ、これをやろう」
ダンブルドアは俺の手にレモンキャンデーをひょいと乗せる。
「最近のわしのブームでの。ついつい買ってしまうのじゃ。それでは他のお店にも行こうかの」
俺はフローリシュ・アンド・ブロッツ書店に行き、教科書を一通り購入する。その後授業で使う鍋などの道具も購入し、ペットショップに訪れた。
「ホグワーツにはフクロウ、ネコ、ネズミ、ヒキガエルのどれかを連れていけるがどの動物にするのかの?わしの見立てでは……最近はフクロウが多いかもしれんの。手紙の配達もしてくれるし……」
俺はダンブルドアの話を後目に動物を見ていく。フクロウは確かに手紙を送るには便利かもしれないが、俺に手紙を送ってくる奴などいない。それに送る必要のある相手もいない。
一通り動物を見て回るも良さそうな物はいないな。俺はペットショップを後にすると買い物が済んだので漏れ鍋に戻って来た。
「こ、これはこれ、は、ダンブルドア校長。こ、こんな、所でお、お会い、するなんて」
「おおクィレル先生。ザック、クィレル先生じゃ『闇の魔術に対する防衛術』を担当しておる」
「……どうも」
ダンブルドアに紹介され、軽く会釈するとクィレルは何処と無くソワソワしながら俺の顔を見た。
「な、なる、ほど。き、君がアイザック・ラミレス。ご両親、には、め、冥福を、い、祈る、よ」
「……」
「それじゃあ、わしはザックを家まで送るからの」
クィレルと別れると、ダンブルドアに孤児院まで送ってもらった。
荷物を部屋まで運ぶと、荷物で部屋の3分の1が埋まってしまっていた。溜め息を吐きつつも今日購入した本を取り出してみる。
「基本呪文集か……」
今後の俺の目的の為にも呪文学は欠かせない。必ず成し遂げてみせる為にな。
俺は買ったばかりの杖を取り出すと、ペラペラとページをめくる。
「まずはこれだな」
俺は扉の前まで行くと鍵をかけた。そして杖をドアノブに向けると
「
すると、鍵が勝手に回転し開いた。どうやら成功のようだ。次に部屋のカーテンを閉める。
「
杖先から青白い光が灯った。懐中電灯の代わり程度にはなる光だな程度の感想しか抱かなかったが、これも成功と言っていいだろう。その他の呪文も試して見るも大したこと無く簡単に成功した。
それからホグワーツまでの1週間の間、可能な限りの呪文の挑戦と魔法論などの座学の本を読み漁った。
次回をお楽しみに