ハリー・ポッターと呪われし末裔   作:九空揺愛

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週一投稿とはなんだったのか……
遅れてすみません!
1年目終わりです!


エピローグ

そこに現れた一人の少年。僕とは違ってサラサラの黒髪と中性的な顔立ちそして赤い瞳、間違いないザックだ。

 

「ザッ……ク……」

 

僕は声を出そうにも声が出なかった。先程のクィレルに喉を掴まれたからなのか、上手く声が出ない。呼吸をとめられていたからなのか僕の意識が遠くなる。

 

「アンタの頭の後ろに付いているのがヴォルデモートか。なんとも醜い姿になったものだな」

お、おお……!漸く面と向かって会うことが出来たな、ザック。我が同胞よ……!

 

同胞……ザックが────

その瞬間僕の意識が途切れた。

 

 

 

 

 

 

ザック。その石を俺様に渡すのだ。俺様と共に偉大なるゴーント家の、一族の復興を目指し、愚かな穢れた血とマグル共を一掃する!我々純血の者が生きやすい世界を作る為にな!

 

ヴォルデモートは嗤う。クィレルは俺に向けて手を伸ばした。こいつに石を手渡せってことか。

 

俺様の元に来い!石を渡し、俺様とこの世界を統べようではないか!お前は俺様と同じ気高き血が流れている!全てを思うのままにしようじゃないか!

「……」

 

俺は黙ってヴォルデモートの話を聞く。

 

パーティス・テンポラス(道よ開け)

 

呪文を唱えると、炎が分かれ道を作る。炎で塞がれていた道を開き、中に入って行くと、ヴォルデモートとクィレルはニヤリと笑う。

 

良いぞザック。流石は俺様と同じゴーント家の末裔だ。話が分かる優秀な男よ

 

ヴォルデモートが鏡越しに俺に話し掛ける。俺はそのままクィレルの前まで来ると、石を持っていた右手をクィレルの手に────

 

「ヴォルデモート。お前は何か勘違いをしているようだな」

何?

 

ヴォルデモートは怪訝そうに俺を見る。そして次の瞬間ゾクッと悪寒を感じた。

 

(な、なんだ……?ザックの雰囲気と空気が変わった……)

 

俺は顔を勢いよく上げ、クィレルの前に出た。

 

「俺は誰よりも強く、誰よりも偉い存在になる者だ。だからお前の下に付くことは永遠にない!!」

 

俺はそういうと、忍ばせていた左手と杖をクィレルの首に突きつけ呪文を唱える。

 

インカーセラス(縛れ)

「がっ……!?」

 

突然現れたロープがクィレルの首を締め上げた。クィレルは苦しそうに首に巻き付くロープを取ろうともがくも片手では取れないようだ。

 

ザック!貴様、何のつもりだ!?

「俺にとって世界征服なんてのはどうでもいい。俺の中にあるのは復讐だけだ。俺を絶望に突き落とした奴らを皆殺しにする。その邪魔になりそうなお前を生かせておく必要が俺にあると思うか?」

な……!

 

俺は杖を向ける。もはやクィレルは死への恐怖に顔を歪ませ涙を流していた。

 

「終わりだなヴォルデモート。クィレル共々俺がお前達に引導を渡してやる」

 

おのれ……!

「あ、あああ……!旦那様!?」

 

クィレルの後頭部のヴォルデモートは宿主を捨て、煙のように何処かに消えていった。

 

 

 

アイザック・ラミレス。俺様は必ず蘇り、お前を手に入れる!お前はこの俺様と同じ血が流れているのだからな!

 

消え去る瞬間に俺の耳元に聞こえてきた声、紛れもなくそれはヴォルデモートの声だ。目の前のクィレルが呆然とヴォルデモートの去っていった先を見つめて項垂れている所を見る限り、奴は逃げ去ったのだろう。

俺は杖をクィレルに向け直す。もはや縋るものも無くなったクィレルは腰を抜かして立つことのできない体を引き摺って後ずさりするしか無かった。

 

「主にも捨てられ、居場所も失い、更にはこれから命をも消される。お前は本当に愚かな奴だなクィレル」

「た、助けて……助けてください!わ、私は……!貴方の言うことは何でも聞きます!だから────」

「悪いな。俺はそんな甘くないんだ。あの時から、俺の中の慈悲なんて言葉はない。特に敵対した奴にはな」

「そ、そんな……あ、あああ────!」

 

俺が杖を振り上げると、俺の手首を何者かががっしりと掴んだ。

 

「おはようザック。今日もいい日になりそうじゃの?じゃが、お主がここでクィレルを殺めれば今日はいい日では無くなってしまうの」

 

俺は顔だけを動かして後ろを見ると、そこには2メートルはあるであろう銀髪と髭を生やした老人、ダンブルドアが立っていた。

ダンブルドアは俺の手首を固く掴んだまま離さない。俺は舌打ちをすると、左腕の力を抜いた。攻撃の意思が無くなったのを感じ取ったダンブルドアは手首を掴む手を緩め解放した。

 

「ダ、ダンブルドア先生……!助かりました……!ラ、ラミレスが……わ、私を、私を殺そうと……!」

 

クィレルはダンブルドアに縋るように近づいて行き、ダンブルドアの足にしがみついた。

クィレルの言葉を聞いているダンブルドアの顔はいつもの柔らかな笑顔ではなく、冷たい悪を倒す『今世紀最高の魔法使い』の姿だった。

 

「大丈夫じゃよクィリナス。ザックにはお主を殺させぬ」

「は、はは……あ、ありがとうござ────」

「ザック。わしはクィリナスをアズカバンに送る準備をする。お主はハリーをおぶってマダム・ポンフリーのいる医務室に連れて行ってくれるかの?その後、少し校長室で話をしよう」

「……わかりました」

「そ、そんな……!アズカバンは……!あそこだけは勘弁してください!ダンブルドア先生!慈悲を!私は例のあの人に操られて────」

「哀れじゃの……クィリナス。じゃが、お主を救うにはちと遅かったようじゃの。よいか?この世界は常に選択を迫られる。お主はヴォルデモートを選んだのじゃ。その選択した代償を払わねばならん」

「ああああああああぁぁぁ!!」

 

クィレルはダンブルドアからの言葉に気がおかしくなり、発狂する。

 

ペトリフィカス・トラルス(石になれ)

 

俺はクィレルに呪文をかけて黙らせる。ダンブルドアは石になったクィレルを抱え、俺は気絶しているポッターをおぶって外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

「ご苦労じゃったザック。ささ、ここに座りなさい」

「いえ、ここで大丈夫です」

 

長居するつもりは無い俺はいつもの席に座らず、校長室の入口の壁に寄りかかる。

 

「今回の事はミス・グレンジャーとミス・グリーングラスから聞いておる。ハリー達を連れ戻そうとしておったのじゃろう?そして見事ヴォルデモートの復活を阻止し、ハリー達を守ってくれた」

「……」

「そこでじゃ。お主には『ホグワーツ特別功労賞』を贈ろうと思う。ザック、お主は友を導き、友を助け、敵に立ち向かった」

「俺に友はいません。それにその勲章はポッター達に渡すべきです」

 

俺がそういうと、ダンブルドアは悲しそうな顔を浮かべる。

 

「ザック。お主にとって友でなくても、彼らにとってはお主は大切な友だと思っておるはずじゃよ」

「俺には関係ありません。そんな物に構っている程俺は暇ではないので」

 

俺が立ち去ろうとすると

 

「なら、なぜお主はハリー達を助けたのかの?友でもない彼らを助ける義理はお主にはないじゃろ?それともザックには困っている人は見過ごせない性格だったのかの?」

 

茶化すように言うダンブルドア。俺はそんなダンブルドアを睨みつける。

確かに助ける義理も人情も持ち合わせたつもりは無い。ただ、成り行きで助けただけ。自分の習得した呪文の切れ味を図るためにポッターを助けに行くという体での呪文の練習だ。

 

「成り行きですよ。ポッターを助けに行くという口実で勉強した呪文の実地練習をしたまでです」

「ほほ……ザックは『ツンデレ』なんじゃな。日本にある『マホウトコロ』の遠坂校長先生から聞いた特徴にそっくりじゃ」

 

俺はダンブルドアの何処と無く温かい目線にそこはかとなくイライラすると、もう要は無いと俺は階段に足をかけた。

 

「そう言えばのうザック。先程小耳に挟んだんじゃが、それについて1つ良いかの?」

 

俺は振り向かずに立ち止まった。

 

「ザック、これはこの老いぼれからの忠告じゃ。復讐の先に未来はない。わしはそういう輩を沢山見てきた。復讐を口にする者の末路に禄なものはない。その全員が悲惨な終わり方をする。そして例え復讐に成功しても、残るのは虚しさだけじゃ」

「なんだと?」

 

俺は思わず振り向き、ダンブルドアを睨み付ける。ダンブルドアは先程までとは違い真面目な視線を半月型の眼鏡の奥から俺に向けられていた。

ハッと俺は自分の中に意識を移し、心を閉じる。何処まで見られた?

 

「ほう……その年齢で閉心術をマスターしておるとはの。じゃが少しばかし遅かったようじゃ。大まかにお主の根底を知ることが出来たからの」

「……」

 

根底。

ダンブルドアはそう言った。俺の中にある俺という存在の原動力、存在意義。言葉にすれば多くあるが、それを奴は知ったと言うのなら今後の為に危険だ。……殺すか?

俺は直ぐにその選択肢を捨てる。無理だと、今のままでは勝つことが出来ないと俺の中の理性が警鐘を鳴らしていたからだ。

 

「しかしダンブルドア先生。こうは思いませんか?その忠告は、あまりに向けられた人に対して残酷なものだと。対象の人物に対しての配慮が足りてないのではありませんか?」

「その通りじゃよ。じゃがの」

 

ダンブルドアは俺の方に歩いてくる。

 

「例え配慮の足りないものであろうと、相手にとって失礼に当たろうと、わしは大事な教え子に人としての道を踏み外させる訳にはいかんのじゃ。それが教師という、いや……大人という生き物なのじゃ」

「では貴方は失う苦しさを知っていると言うのですね?孤独を、憎しみを……」

「その通りじゃ」

 

ダンブルドアはあっさり肯定する。あっさりしていたが、その言葉からは相応の重みを感じ取った。

 

「さて、話はここまでにしようかの?お主はほとんど寝ずにハリーを助けに行ったじゃろうし、休息は大切じゃしの」

「……」

 

ダンブルドアが会話を打ち切ると、俺は階段を降りて校長室を後にした。今日はもう寝るとするか。休日だが本どころじゃない。身体を休めないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長室を立ち去る教え子を見送ると、わしは椅子に腰掛けた。

 

「やはりまだザックの中から復讐の心は消えてはおらんかったか……」

 

自分自身の無力感に溜息を吐く。怒り、悲しみ、憎しみ。人間の負の感情はどんなに強い幸せな記憶おも塗りつぶし、逆にその記憶を塗りつぶすには並大抵な努力では超えることは出来ない厄介なもの。特に幼い時に刻まれたものはそう簡単には消えないときている。

 

「友人達との生活の中、ザックの心から復讐心を消す事が出来たかと思っておったが……わしの考えはまだまだ甘かったようじゃ」

 

基本的につまらなそうに生活するザックだが、よく一緒にいるドラコやダフネとはいつも仲良さそうに話をしておったからの。彼らならもしかしたら今後ザックの復讐心を消し去ってくれるかもしれん。わしは何があろうともあの子を見捨てしまい。あの子を見捨ててしまえば確実に第二のヴォルデモートになってしまうであろう。

 

「さて、寮への配点はどうしようかの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

賢者の石を巡る戦いから3日が過ぎ、学年末パーティーの日がやってきた。広間の椅子にはすでに大勢の生徒が座っており、ガヤガヤと騒いでいる。広間は寮杯での得点の1番高かったスリザリンへの祝いの席だからなのかスリザリンカラーの緑と銀で飾られ、テーブルの後ろにはスリザリンのシンボルでもある蛇を描いた巨大な横断幕が垂れ下がっている。

スリザリンが7年連続で寮対抗杯に優勝したのだ。発表こそまだだが、結果など、大広間前にある砂時計を見れば一目瞭然だった。

 

「また一年が過ぎた!」

 

ダンブルドアが立ち上がり、生徒全員に聞こえるように声を張り上げる。

 

「一同、ご馳走にかぶりつく前に、老いぼれの戯言をお聞き願おう。一年が過ぎ、君達の頭も以前に比べて少しでも何かが詰まっていればいいのじゃが……。新学年を迎える前に君達の頭がきれいさっぱり空っぽになる夏休みがやってくる。その前にここで寮対抗の表彰を行うとしよう。点数は次の通りじゃ。4位グリフィンドール、307点。3位ハッフルパフ、352点。2位レイブンクロー、426点。そして一位スリザリン、597点」

 

その瞬間、スリザリンの席は全員が嵐のような歓声をあげ、足、そして手に持つゴブレットを鳴らした。新入生は最初の一年でいきなり寮杯を獲得出来た事に喜び、7年生は在校中の7年全て寮杯を取れた事に感涙していた。最高の卒業式だ!もう望む物は何もない!といった顔つきだ。

 

「やったねザック!優勝だよ!」

 

グリーングラスは興奮気味に俺に話しかけてくる。

 

「よし、よし、スリザリン、よくやった。しかしつい最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまいて」

 

勝利に浮かれるスリザリン生に冷水をぶっかけるような言葉に、広間がシン、と静まり返る。

しかし、スリザリン生の殆どは思っていた。

この期に及んで点数を増やしたところで結果は変わりはしないだろうと。

 

「駆け込みの点数をいくつか与える。えーと、そうそう……まず最初はロナルド・ウィーズリー君。この何年間かホグワーツで見る事の出来なかったような最高のチェス・ゲームを見せてくれた事を称え、60点」

 

グリフィンドールの席から歓声が上がった。スリザリンはその歓声を聞きながら面白くなさそうにしていた。だが、まだ表情に余裕がある。一番嫌いな寮が点数を得たから面白くないとはいえ、自分たちの勝利が揺らぐわけではないのだろう。

 

「次にハーマイオニー・グレンジャー嬢。

火に囲まれながら冷静な論理を用いて対処した事を称え、60点」

 

グリフィンドールのテーブルから歓声があがり、生徒達の足音が響く。

最下位だと思っていたのにここにきて一気に大逆転、2位に浮上したのだ。

しかしまだだ。まだ、スリザリンには170点届いていない。そんな彼らの心境を読んだかのようにダンブルドアが笑顔で次の点数を発表した。

 

「3番目はハリー・ポッター君……その完璧な精神力と並外れた勇気を称え、グリフィンドールに150点を与える」

 

耳をつんざく大歓声が場を支配し、室内が地震のように揺れる。

スリザリン生達はついに20点差まで追いついてきたグリフィンドール生達にドギマギしながらほぼ全員が祈るように両手をガッチリ合わせて目を瞑る。

そして、他寮の喧騒を止めるようにダンブルドアが手をあげ、そして静かに語った。

 

 

「勇気にもいろいろある。敵に立ち向かっていくのにも大いなる勇気がいる。しかし味方の友人に向かっていくのも同じくらい勇気が必要じゃ。そこでわしはネビル・ロングボトム君に20点を与えたい」

 

今度こそ、最初とは違い、スリザリン以外の全ての寮が爆発した。

それほどの歓声……否、もはや声なのかどうかすらわからない熱気が大広間を揺らし、全校生徒が立ち上がった。

結局スリザリンをトップから引き摺り下ろす事は出来なかったが、しかし同点だ。今年はスリザリンに寮杯を独占されないで済む!

その事にスリザリン以外の全ての生徒が歓喜し、祝福しているのだ。

その一方でスリザリン生達は悔しさに顔を歪めていた。かく言う俺は寮杯などという茶番に興味がないため、そんな事よりさっさと食事につきたかった。

とはいえ、

 

(グリフィンドールの優勝にさせなかったのは俺への配慮のつもりか?)

 

あれだけの高得点を連続で与えていたのだ。1点でも多めに入れてやればグリフィンドールは優勝出来ていただろうがそうしなかった事を考えると、傲慢かもしれないが俺にはそうとしか思えなかった。

 

「したがって、飾りをちょいと変えねばならんのう」

 

ダンブルドアは柏手を2つ打つと、スリザリンとグリフィンドールの横断幕が垂れ下がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後試験の結果が発表された。呪文学は俺の120点という100点満点とは?と思うほどの得点をたたき出していた。そんなこんなで俺はグレンジャーを抑えて1位になっていた。他にも3位にはグリーングラス、その他成績優秀な生徒の多いレイブンクロー生達が続き、15位にマルフォイがランクインしていた。

そして、

 

「ザック!」

 

俺は振り向くと、笑顔でこちらにやってくるポッター。なんとも言えない表情のグレンジャー。思いっきり睨み付けてくるウィーズリーがやってきた。

 

「やっぱり凄いねザックは!学年1位だし!」

「……ああ」

 

まるで自分の事のように喜ぶポッター。なぜこんなにこいつが喜んでいるのか理解に苦しむが、俺は取り敢えず頷いておく。

 

「僕、ザックにも手紙を書くよ!」

「ハリー!?」

 

ウィーズリーは素っ頓狂な声を上げると、俺とポッターを挟むように出てくると、ポッターのローブを掴みあげた。

 

「だから言ってるだろうロン!彼はあいつらとは違うって!現にザックはこの1年で何度も助けてくれたじゃないか!」

「それはダンブルドアがそうアイツに言ったからだろう?それをして、ダンブルドアに学年一位にしてもらったのかも……」

「「ロン!」」

 

グレンジャーとポッターは眉を釣り上げ、ウィーズリーに迫る。何やら口論が始まったので、俺は面倒を避けるべくその場を後にした。

 

「ザック」

「グリーングラスか」

 

寮に戻る途中の廊下でグリーングラスと会う。そのまま俺たちは寮に戻るべく足を進めた。

 

「ザックはやっぱり1位だったね」

「ああ。そういうお前も3位だろ。テストの点数は全科目100点、俺やグレンジャーがEXP(エクストラポイント)を取ってなかったら実質俺と同じ1位だっただろうけどな」

「もう、意地悪なこと言うんだから……」

 

グリーングラスはプクっと頬を膨らませると、俺を恨めしそうに睨み付けた。スリザリンの談話室に入ると、生徒達は各々帰りの荷物を出していた。そんな中、マルフォイとその後ろでクラップとゴイルがマルフォイの分の荷物も持って寮から出てきた。

 

「もう帰る準備万端って感じだな」

「まあね。そうだ。ラミレス、君を夏休みに僕の家に招待してあげるよ」

 

唐突にそんな事をいい出すマルフォイ。どういう風の吹き回しだろうか。

 

「何、君もマグルばかりの場所では疲れるだろう?僕の屋敷で優雅な夏休みを凄そうじゃないか」

 

言葉では変に上から目線だが、これがこいつの味なのだと知っている。恐らく俺を友人として家に遊びに来て欲しいのだろう。

 

「そうだ、グリーングラス。君もどうかな?僕の屋敷は広いし、色々出来るぞ?書庫もあるし、所有地にはクィディッチ場もある」

 

書庫か。そこなら色々な本があるかもしれない。別に断る必要もないし、行ってみるのも悪くないかもしれない。

 

「分かった行こう」

「うん。ザックが行くなら行こうかな!」

「おーけーそれじゃあ、また夏休みに」

 

俺たちは各々荷物を持って城の外に出ると、汽車に乗り込んだ。そのまま汽車に揺られながらキングス・クロス駅まで待っていた。

こうして俺のホグワーツの1年目は終了した。




次回秘密の部屋編
早めに書きます!
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