狂った聖杯戦争。   作:通りすがりの魔術師

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お久しぶりです。heaven'sfeelの2章のDVDを見たため続きを書きました。
ゲーム未プレイなのでガバガバ設定とかあるかもしれませんが大目に見てくだちぃ


自分がマスターで自分がサーヴァント(悲劇の姉妹編)

 

 

 

 

「これは……」

 

 

魔術の行使により人間の寿命を遥かに超え、500年以上生き長らえている間桐臓硯は今回の聖杯戦争に際して、前回よりも不出来で魔術回路のない長男ではサーヴァントの召喚が出来ないことを悟ると娘である桜に儀式を執り行わせた。

だが、初回の聖杯戦争より参加しており、これまで多くの呼び出された英霊達を見てきた臓硯にも今回の召喚は異常であった。

 

 

「えっと……これは……」

 

 

まさか呼び出した本人が英霊になるなどと誰が思うだろうか。本人も目の前で見ていた臓硯もその事に大きく目を見開く。しかし、臓硯は前々回にある陣営が召喚したサーヴァントの影響で聖杯が変質していることを知っている臓硯は「こういうこともあるのか」と顎を摩った。

 

 

「桜よ、その身に宿したサーヴァントの真名はわかるか?」

 

 

自分がサーヴァントになったと言えども、自分がマスターであるのならその英霊の真名やステータスを知ることが出来るはずである。少々イレギュラーではあるが、桜がサーヴァントになったことは臓硯にとっては好都合である。恐怖と体内に蔓延らせた刻印蟲で彼女を精神的にも肉体的にも支配している臓硯にすれば、令呪があっても裏切る可能性が少なからずあるサーヴァントよりもよっぽど動かしやすい。

 

 

「その前に…」

 

 

「ン?」

 

 

そう思っていたのは桜がその身にサーヴァントの力を宿す前の桜。だが今の桜はその身体と精神に人理に名を刻む英霊の力が入っている。

 

 

「ふんっ!」

 

 

彼女は霊体にしていた槍を取り出すと矢先から放った雷を自分の身体に当てる。その際、少しばかり苦痛で顔をゆがめた桜であったが、直ぐに「ふぅ」と息を吐くと晴れ晴れとした面持ちとなる。

 

 

「これで体内にいた蟲はみんな死にましたよ♪」

 

 

「……は?」

 

 

普段なら「カカカ…そんなことが出来るわけなかろう。10年分だぞ?」と嘲笑的な微笑みを浮かべるのだが、桜の言葉が冗談ではないと理解した臓硯はその額にいつぶりか分からない汗を流した。自分の作った蟲だから分かるのだ。桜、いや桜の中にいるサーヴァントは本当に身体中の刻印蟲を殺したのだろう。それを証拠に。

 

 

「があっっっっ!!!?バッ、ばかなぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

桜の心臓に自分の本体となる刻印蟲を植え付けていた臓硯の身体は見るに堪えないことになっていた。それを桜─────彼女の中にいるサーヴァントは冷たい目で臓硯を見下ろす。

 

 

「申し遅れましたが私はパールヴァティー。此度は清らかな少女の体を借りて顕現させていただきました。そのお礼として、邪魔なものは取り除いたのですが……」

 

 

もう聞こえてないみたいですね。

 

そう言う前に臓硯はこの世から姿を消した。何百年にも渡る生を続けた悪魔は、今まで陵辱し続けてきた娘の手によって滅ばされたのだ。

不慣れな状況ではあったがどうにか依り代の少女の身体の異常を緩和出来たことに安心したパールヴァティーは安堵の息を吐く。

 

 

「………さてと」

 

 

意識を依り代の彼女へと返し、意識を潜ませたパールヴァティーに代わり、間桐桜は歩き出す。陰気臭い蟲箱から抜け出し、これからは自分を縛る者はいない。だから足取りは軽い。

 

 

「おい、桜、どこ行くんだよ?」

 

 

「……兄さん」

 

 

この自由をくれた女性に感謝の念を抱きながらその扉を開き、自分が真に愛しいと思える場所へと向かおうとした時、彼女を縛るもう1人の存在に阻まれた。

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

 

肌も身震いするような乾燥した寒い空気の中、日本家屋の庭にて剣と槍を交えているのをこの季節の服装としてはそぐわない格好をした少女は巨大な弓のようで飛行船でもある『天舟マアンナ』より見下ろす。

 

 

「どういうことよこれ…?」

 

 

少女が困惑するのには理由がある。まず1つ目は自分と先程まで殺しあっていた獣のようなサーヴァント……おそらくランサーであろう者が自分の顔見知りと矛を交えていることだろう。

次に少女が驚いているのはその顔見知りが常人では到底敵うはずのないサーヴァントという存在と鍔迫り合いを続けていることだ。

学校にてランサーと戦っている時に彼がいた事に動揺してる隙にランサーが目撃者となった彼を殺しにいった。幸運にも持ち合わせの宝石で絶命前に助けることは出来たが……。

 

 

「それがどうしてサーヴァントになってんのよ…」

 

 

彼女が最も驚愕しているのはそこだった。なんとその助けた少年が何故か自分と同じくサーヴァントになっていることであった。

着ていた制服は消え去り、白いマントのような布を羽織り、手に携える日本刀、左腕を紅い布で覆っていつもの彼とは違う印象を受ける。

 

 

「せっかく助けたのに死なれたら困るから来たけど…」

 

 

あれでは死ぬことはないのではないか。そう思った矢先に男は猛々しいサーヴァントの脚から放たれた一撃で壁へと打ち付けられる。

それを見て少女─────遠坂凛は傍観する姿勢を崩しマアンナを急降下させた。

 




やめて!パールヴァティーの特殊能力で、ワカメも焼き払われたら、間桐の一族は燃え尽きちゃう!

お願い、死なないで慎二!あんたが今ここで倒れたら、士郎や一成との約束はどうなっちゃうの? 約束なんてないけど、桜に何もしなければ存命できるんだから!

次回、「ワカメ死す」。フェイトスタンバイ!
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