ウィルソンは鳥籠を引き寄せた。鳥は暴れたが、籠からは出られないので、ウィルソンの腕の中で飛び回っているようだった。やがて鳥は止まり木に落ち着いた。棲み処を揺らされたので、ちょっと驚いただけなのだ。太陽が10回沈むあいだ、ウィルソンと小鳥は「友だち」してきた。毎日、両の掌分の種が対価だ。たき火の積み石につけた刻み目を信じるなら、これで12回目の日没を共に迎えるはずだった。
小鳥はよい友達だった。もちろんぴちぴちと鳴くのではなくて、言葉で「友だち」と呼んでくれる連中はいる。ブヒブヒと鳴きながら。なぜ肉が好物なのか、科学者としては興味のそそられるところだが、連中の食欲はより切実な事件だ。誇りにかけて、自分の分のミートボールは確保すべきなのだ。それに、時々………そう、ときどき危険すぎる。月と与えるものには気を付けなくては。
そう、取捨選択は偉大である。解がないようで、実のところ選択は一つなのだ。ひとつきりなら解である。それで、捨てたほうも解である。取らなかったから存在しないだけで、取っていたら存在していたのだ。朝一番に薪を取りに行けばそこに種は落ちていて、ウサギの罠を見に行けば種は食われている。そういうことだ。ただし、何を天秤にかけたのか知る由はない。選ぶことはできる。是非することはできない。つまりはこういうことだ。
鳥籠を胸に抱いて、ウィルソンは考えた。時間はあんまりない。鳥はのんきに鳴いている。多分、今は空へ逃げられないことを忘れているのだろう。ウィルソンは地べたを走り回るだけだが、対策は立ててある。これさえしっかりしていれば、生き残れる可能性は高い。この周辺は拠点にしているから、利用できるものが思いつくし、対策が立てられる。そうだ、探索は偉大だ。それと知識も。
だけど、小鳥のことは重大事だった。持っては逃げられない。また会えるだろうか? それとも、別の鳥でも構わなかったりするのだろうか? それは悲しいことのような気がしたが、彼方から聞こえる音と同じく、自分の気持ちも是非できないのであった。この世界は至極単純だ。降ったりわいたり生えたり闊歩してるものはみんな、ウィルソンに1つか2つの選択肢しか寄越さない。だからウィルソンも、1つか2つの中から選んできた。新しい、間に挟まっている別の選択肢を見つけ出すのは、大変な労力の要ることだった。辺り一帯に沢山いるが、手は届かず、ちょっとの努力では捕らえられない鳥を友だちとしてみなすのは――肉でもなく羽でもなく――とてもすごいことなのだ。人間と豚の差なのだ。
それでも、この世界は単純だった。黒い獣たちが目に付く動くものすべてに噛みついているのは明快な事実だ。だからウィルソンは生き延びられるが、鳥はそうではないかもしれない。なんといっても、籠の鳥だからだ。
吠え声がいよいよ近付いてきた。籠の扉が開け放たれて、鳥は一抹の躊躇なく空へ戻っていった。そしてウィルソンは、長い夜に備え作った数本のたいまつをひっつかみ、近くにある大型動物の群れに逃げ込むため地べたを走り出したのだった。
Bird Cageはだっこできる大きさではないし、脆くもありません。残念です。SAN値回復するのは実際には豚さんです。でも襲撃のときビーファローの群れに飛び込むのはいい手だと思うよ。
このSSは正直つまらないですが、原作は糞ゲー・神ゲー・鬼畜ゲーの三拍子揃ったGOODゲーですのでどうぞよろしく。