かの探偵に憧れた凡人   作:もちもちのトーテムポール

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見切り発車で至らぬ点も多いですが、よろしくお願いします。


始まり

人は平等であるか否か

 

かの福沢諭吉が「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と説いたのはよく知られている。だが、その続きは意外と知られていないのだ。

 

まあ噛み砕いて要約すると、「人間は実は平等じゃないからお前ら勉強しろよ」と宣っている。一見もっともらしく見えるが、よく考えれば変な話だ。それではまるで努力さえすれば人との差など埋められるようではないか。

 

考えても見てほしい。金持ちの家に生まれる、整った容姿を持っている、などなど、スタートラインが圧倒的に有利な人々は確かに存在しているではないか。努力では埋められない差など、数えだしたらきりが無い。

 

以上のことから、凡人では天才に勝てはしない、というのが僕の結論だ。そして自分が凡人であることも、はっきりと自覚していた。

 

 

 

 

 

 

 

「早過ぎたかも...」

 

そう独り言をこぼす僕、片桐(かたぎり) (とおる)は、人気のないバスに揺られていた。

 

4月、桜の季節。高校1年生の僕は、今日から通う学校へ向かう為にバスに乗ったは良かったものの、余裕を持ちすぎた時間設定のせいでバスは貸し切り状態となっていた。

 

「まあラッシュの時間に乗ったらサラリーマンの方々に迷惑がられるし」

 

そう自分に言い聞かせ、僕は読みかけの小説を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石に大きいな...」

 

20分ほどしてバスを降り、目の前に現れた巨大な施設、『高度育成高等学校』を見た僕は思わず呟いた。

 

この学校を進学先に選んだ理由は大きく分けて2つ。

1つは政府が運営に深く介入する学校、という肩書きに興味をそそられたこと。

 

もう1つは、この学校の情報があまりにも少なかったことだ。いくら調べても、希望する進路を選べることや、簡単なシステムの説明くらいしかわからない点を不審に思った。何せこの情報社会でここまで内実を秘匿できるというのは不自然極まりないだろう。

 

 

ところで、僕の話をしよう。

 

僕という人間の根幹には、ある人物への憧れがあるのだ。それすなわちシャーロック・ホームズ。コナン・ドイルが生み出したロンドンの名探偵である。

 

きっかけは些細なことだったと思うが、もう覚えていないくらい昔から僕はミステリーが大好きで、とりわけホームズへ向ける熱意は特別だった。彼に憧れ、彼のようになりたいと思っていた。

 

しかし、精神的な成長につれ、僕はあることを否応なく理解してしまった。それは、この世には天才と凡人がいること。そして、僕は凡人であること。

 

ホームズに憧れて多方面の知識を学び、武術を習ううちに、一定の力をつけることはできても、周りの才能がある人達には置いていかれてしまうことを理解したのだ。

 

ただ、その事実を理解しただけで諦めがつくには、ホームズの存在は鮮烈過ぎた。彼の後ろ姿を追うことはやめられなかった。

 

そんな僕の気質は、この不思議な学校へと僕を連れ出すには十分過ぎたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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