かの探偵に憧れた凡人   作:もちもちのトーテムポール

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早起きは三文の徳

校舎に入った僕は、教員と思われる女性に名前を言い、所属するクラスが書かれた紙などを受け取った。どうやら僕はDクラスらしい。早速向かうとしよう。

 

「.....ん?」

 

案の定、教室には誰もいなかったのだが、足を踏み入れた瞬間に何ともいえない違和感を覚えた。一見何の変哲もない綺麗な教室なのだが、僕はこういう時の勘は大事にしている。注意深く周りを見渡すと...

 

「何だアレ?」

 

天井に不自然な歪みを見つけた。近づいて見てみると、それはカメラであることがわかった。職員室はまだしも、クラスとして使われる教室にあるのは不自然だ。設計上この教室が特別なだけなのか。それとも他の教室にもあるのか。

 

「確かめたいし他のクラスに行ってみようかなぁ...」

 

あわよくば他クラスの友達ができるかもしれない。知らぬ間に友達が出来る小学校ならいざ知らず、中学高校での友達作り、それも他クラスとなれば、始めが肝心であることを僕は学んでいる。それも中学で友達作りに失敗して孤立を体験するという形で、だ。あのような悲劇は繰り返されるべきではない。

 

などと、益体も無いことを考えつつ廊下に出る。隣のCクラスはまだ電気がついていなかったので1つ飛ばしてBクラスへ。幸い、まだ男子生徒1人しかいないようだ。同性の方が話しやすいので助かった。ささやかな幸運に感謝しつつ、ドアを開ける。

 

「や、おはよう」

「おはよう。Bクラスの生徒...ではなさそうだが?」

 

おそらく鞄を持っていなかったからだろう。男子生徒が落ち着いた声でそう言った。

 

「うん。僕は片桐 徹。Dクラスなんだけど、誰も来ないから退屈だったんだ」

「まだ早い時間だからな。俺は神崎だ。神崎隆二」

「よろしくね、神崎君」

「こちらこそ。それよりさっきのは何か聞いてもいいか?」

「というと?」

「いや、教室に入ってすぐに天井を確認したように見えたからな。勘違いならすまない」

 

僕は内心、かなり驚いた。確かに天井のカメラを確認したが、一瞬目線を向けた程度だ。神崎君はなかなか鋭い観察眼を持っているのだろうか。

 

「ああ、カメラを確認したくてね」

「カメラ?」

 

僕は天井のカメラを指差しつつ言う。

 

「Dクラスにも同じ位置にあったんだ。高校とはいっても教室ごとにカメラがあるのは不自然だったからね」

「なるほど、全く気づかなかった。確かに不自然だな。しかもこの様子だと全クラスにあると見ていいだろう。目的は...人材の選別、か?」

 

僕は今度こそ舌を巻いた。神崎君が今言ったことと同じことを推測していたからだ。政府が介入する学校。希望の進路を選べるという制度。それらを考慮すると、優秀な人材を見つける為のカメラではないかと。しかも彼は即座に考えついたことを踏まえると、頭の回転も凄まじいようだ。

 

「すごいね。僕は頭をひねってやっと考えついたのに、ノータイムで辿り着くなんて」

「俺はそもそもカメラに気づいていなかったんだ。大したことじゃ無い」

 

そう謙遜しつつもこちらをフォローしてくれるイケメンっぷりに感動していると、

 

「そうだ。片桐、端末は持っているか?」

 

と聞いてきたので、先程クラスが書かれた紙と一緒に受け取った端末をポケットから取り出す。目で意図を尋ねると、

 

「せっかくだから連絡先を交換しないか?他クラスの様子も知りたいし、個人的に仲良くしたいしな」

 

やだ、何このナチュラルイケメン...! と思わず惚れかけたが、生憎と僕にそっちの気はない。ありがたく連絡先を交換し、一旦お別れをしてAクラスに向かう。

 

Aクラスを覗くと、こちらも1人しかいないようだ。しかし幸運は続かず、中にいるのは華奢な女の子だった。思わず踵を返しそうになるが、女子との会話もいずれ克服しなくてはいけないのだ..!

 

そう決意してドアを開ける。

そしてこちらへと振り返った女子生徒は---

 

 

 

 

 

 

 

---とんでもないほどに、美少女だった。

 




おそらく次話まで原作には入りません。オリジナル部分をしっかりと書く代わりに、原作と同じところはダイジェストや軽い回想で済ませようと思っています。ご意見、ご要望などありましたらお気軽にお願いします。
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