かの探偵に憧れた凡人   作:もちもちのトーテムポール

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授業と昼食と

入学式翌日、特に何事もなく登校した僕は、クラスメイトに挨拶しながら期待に胸を膨らませていた。何せ今日から授業が始まるのだ。国が投資する学校の授業とはどんなものだろうかと、昨夜はあれこれ思案して寝付けなかった。

 

洋介や綾小路君と話をしていると、朝のホームルームの時間になる。まもなく授業が始まるので、とても楽しみだーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言うと、授業自体はとても良いものだった。先生方は教えるのが上手い人ばかりだった。問題は生徒側だ。先生が注意しないのをいいことに、私語や端末使用を行なっていた。それもかなりの人数が、だ。真面目に受けていた人もいたが、エスカレートする私語に集中力が乱されてしまうことは避けられないだろう。

 

昼休みになり、僕は内心かなり苛立っていたが、仕方がないと割り切って一緒に食べてくれる人を探す。

洋介は大勢の女子に囲まれて食堂に行ってしまったようだ。となると...

 

「綾小路君、お昼一緒に食べない?」

 

ちょうど櫛田さんと話し終わったようだったので、綾小路君に声をかけた。ちなみに櫛田さんというのは、コミュニケーション能力の塊のような女子であり、なんでもその可愛さと優しさから一部の男子からは天使なんて呼ばれているようだ。

 

そして肝心の綾小路君は少し驚いたような顔をしていたが、

 

「もちろんだが...いいのか?」

 

どうやら迷惑ではなかったようで安心する。でもなぜこっちがお礼を言われているのか。

 

「一緒に食べてくれる人がいて欲しかったからね。それに友達なんだからそんなに気を使わなくてもいいのに」

 

今度は少し感動している様子の綾小路をよそに、僕は弁当箱を取り出す。

 

「片桐は弁当なんだな。料理ができるのか?」

「できるってほどじゃないよ。節約したかったってのもあるしね」

 

綾小路君はコンビニのパンを取り出す。別に悪いとは言わないが、栄養は偏りそうだ。そう思った僕は無言で口を開けるよう促し、そこに卵焼きを放り込む。続けて野菜の和え物、生姜焼きを放り込んだ。

 

少し強引だったかな...?と思ったが、心なしか目が輝いている様子を見るに、味は大丈夫そうだ。

 

「これは...美味いな...」

 

と褒めてくれたので、お世辞だと理解しつつも気分が良くなる。しかも、定期的におかずを味見させてくれとお願いされた。気を使ってくれたんだろうか...

授業で憂鬱とした気持ちになったが、一流褒め師綾小路のおかげでだいぶ気分が晴れた。

 

しかし放課後、

 

『徹くん、お昼休みはとても楽しそうでしたね。ところで、私もあなたの手料理を食べてみたいと思うのですが、今夜のご予定はいかがでしょうか?』

 

こんなメールが届き、僕のさらなる受難が始まろうとしていた。

 

 




やっと次回、メインヒロインが再登場です。
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