ある日、角王のみが知ると言われている場所に角王全員が集められた。
集めたのはミセリアではなく、ヴァリアブルコードだった。
「おいおいなんだ?俺は今、テツヤのダンスフェスに忙しいんだ。スケジュールがコミコミでよぉ。」
「お久しぶりですアスモダイさん、あなたのワールド、襲われたらしいですね、竜神という男に」
ヴァリアブルコードは、逃げようとするアスモダイを止めた。
「マジックワールドの世界の宝玉が盗まれているのに、どうしてあなたはそんな平気な顔をしているのですか?」
「・・・どうしようもできねぇんだよ、こればっかしはよ!」
アスモダイは持っていたペンを折る。
「やめなさい。起こってしまったことを話しても、何も始まらん。次の被害を抑えなければならない。」
次に入ってきたのはドーン伯爵だった。
「レジェンドワールドは今は問題なく、いつもどおりの生活をしておるが、いつこの平穏が崩れるかわからん。それにわしももう歳だ。吸血鬼といえど、体にそろそろガタがき始めたものじゃ」
「そろそろ、角王の証を次世代に受け継がないとか・・・」
アスモダイは角王の証を取り出す。
「俺もテツヤには悪いが、もう戦うのがキツいんだ。昔みたく、踊るなんてもっとな・・・」
「・・・そうだ、ジウンと天武はどうした?あの二匹の顔を全く見てないのだが」
「ミセリアはダンジョンワールドから離れられないと言っていましたが、その二人は聞いてませんね」
「天武のじいさんも歳が歳だ。ジウンなら山籠りでもしてるだろうな・・・」
一方その頃、カタナワールドでは・・・。
「なんでゴワスか、この竜は・・・」
城壁に叩きつけられたジウンは空を見る。
「世界の宝玉はどこだ?」
空には翼を広げた竜が、右手に持つ大剣の切っ先をジウンに向けていた。
その竜は、歯車の特徴的な竜で、羽が全て歯車になっていた。
「狙いはなんだ・・・?」
「狙い?・・・我々の主の降臨だ。」
「主?」
「全てはハート様のために・・・」
大剣はジウンの首を刈り取るように振られる。
「月影!白夜!」
しかし、二人の忍者によってそれは止められた。
「なんだ!?」
「バディポリスだ!おとなしくしろ!」
バディポリスが、歯車の竜を取り囲む。
竜の前に現れたのは斬夜だった。
「これ以上のカタナワールドへの侵略はさせない!」
「侵略・・・か。」
その声は城からだった。
「そ、それは・・・!」
城から現れたそいつは、世界の宝玉を左手に、世界の宝玉を守っていたと思われる忍者の首を片右に持って現れた。
「我々の計画を邪魔するものは、排除する」
男は忍者の首を、斬夜の前に投げ捨てる。それは斬夜の目の前でカードになった。
「ギア・ロード。こいつらは?」
「バディポリスみたいだ。」
「なら、ボクには必要ないな。」
男は来ていたパーカーのポケットからカードを取り出す。それは剣となり、足にも歯車が特徴的な装備が付く。
その装備からはジェット機のような火を噴射し、男は辺りを飛びながら、周囲を取り囲むバディポリスを攻撃する。
「殺戮、侵略、破壊・・・最高だ!」
「こうなったムゲンは止められないな。」
「ムゲン、ヤツの名前か・・・ヤツを止めろ!」
「無茶です!動きが早すぎま・・・」
斬夜に指示された男は声を発し終わる前に、口から上を切られて地上に落ちていく。
「次はお前だ・・・」
斬夜の背後に現れたムゲンを、斬夜はなんとか刀で攻撃を防ぐが、その威力に斬夜も地上へと落ちる。しかし、地上にいた月影によって地上への激突だけは免れた。
「すまない、月影。」
月影は頷く。
「何を安心してるんだ?」
ムゲンは空中から斬夜目掛けて飛んでくる。しかし、
「グォォォォッ!フン!」
ジウンの決死の突進によって、ムゲンは木に叩きつけられた。
「ここはおいがなんとかするでゴワス!斬夜はこのことをバディポリスに!」
「ジウン・・・ジウンーーーッ!」
月影は斬夜を抱きかかえ、その場から離れた。
その後、カタナワールドは炎に包まれ、世界の宝玉は盗まれた。
斬夜がその場から戻ったときには、ジウンの姿はなく、角王の証だけが残されていた。
・・・
世界の宝玉が盗まれたことで、カタナワールドの力は弱まっていた。
カタナワールドのモンスターは衰弱し、モンスター専門の病院やバディポリスには大量のモンスターが押し寄せていた。
「ミコ・・・ちゃん・・・」
「アマテラス!しっかりして!」
その被害は友牙の周りでも起こっていた。
そして・・・
「神威、竜、虎・・・。阿修羅・・・」
ここにも一人の少女がカードを見て泣いていた。
声が聞こえず、姿の現さないモンスター達と力を失った刀。
「サクラ・・・」
サクラは涙を流すしかできなかった。
「父親だけでなく、カードまで・・・友牙!」
「なんとしてでも、世界の宝玉を取り返さないと・・・!」
・・・
バディポリス本部。
「斬夜君、この状況わかっているな?」
「はい・・・。僕はカタナワールドを守れませんでした。僕は・・・バディポリス失格だ」
タスクは斬夜の肩を掴む。
「君はあの現場でこの事件の犯人を見ている。そしてその事件に使われたモンスターもだ。なら、特定することも可能じゃ」
「あのモンスターとファイター。両方とも情報にありませんでした。『ギア・ロード』という名前のモンスターは一体も確認されていない、新種のモンスター。ムゲンという名のファイターは記録にありません。」
「なん・・・だと・・・。まさか!」
「作られたモンスター・・・という説も十分ありえます。」
タスクはそれを聞くと、モニターの電源を消して部屋を出る。それに続くように斬夜も出た。
「この事態、どこに行くんですか!」
「臥炎 キョウヤ。彼ならあのドラゴンのことを知っているかもしれない。斬夜、君はその角王の証をある人に渡してほしい。」
「ある人・・・」
「エンシェントワールド使いのプロバディファイター、轟鬼 ゲンマの娘、轟鬼サクラだ。彼女の力なら、この事件を解決できるかもしれない」
・・・
その日の夜、友牙とガルガはベランダに座って夜空を見ていた。
「ガルガ、カタナワールドにはもうなれないのか?」
「わからぬ。しかし、今はなれない。何か内側から縛られているみたいだ」
「そうか・・・。で、これからどうする?」
「決まっているだろう、この事件を解決するのだ。」
「解決するといっても、手がかりがなぁ・・・」
「カタナワールドで起きた事件だ、実際にカタナワールドにいってみるのはどうだ?」
「どうだといっても、カタナワールドへ行く術が・・・」
「行く術ならここにある」
ベランダの窓を開け、ベランダに出てきたのはサクラだった。
「サクラ!?」
「お邪魔してるわ、友牙。」
「で、術って?」
「これ」
サクラは小脇に抱えていた箱のなかを見せる。
「バディポリスの人から貰ったの、カタナワールドの角王の証。」
・・・
数時間後。
タスクはとあるビルの最上階に来ていた。
ピアノの戦慄が部屋中に響き渡る。
「バッハ、トッカータとフーガ ニ短調・・・。相変わらずだ」
「やぁ。アポなしで僕のところに来るとは・・・、バディポリス長官権限ということか。」
ピアノの前に座って演奏する男、臥炎 キョウヤはタスクが来てもなお、演奏を続けていた。
タスクはそれに構わず、カタナワールドで起きた事件の一部始終の映像をキョウヤに見せた。
「これがなんだい?」
「この映像に映るドラゴンを知っているか?」
「・・・無限竜」
「知ってるのか!」
「これは臥炎財閥が十年以上昔に秘密裏に製作していたバディモンスターの集団。強すぎるが故に僕たちですら彼らを止めるのは不可能だった。」
臥炎 キョウヤは演奏を止めて立ち上がると、本棚から一冊のファイルを取り出した。
背表紙には『無限竜記録』と書かれていた。
「そのときの使用者であり被験者、ムゲン・アレスター14歳は無限竜を使ったファイトのなかで無限竜のカードと共に、事故によって死んでいる。しかし、その映像には彼の姿がはっきりと映っていた・・・」
「まさか甦ったとでも言うのか・・・?」
死者を甦らせることのできる力。
君たちの追っている者は、僕がなろうとした「神」に等しい存在なのかもしれない。