ポケットモンスター -Hello My Dream- 作:PrimeBlue
今回の話は、無印編第17話『きょだいポケモンのしま!?』をイメージした内容となっております。見たことがない人向けに説明すると、ポケモン達の言葉が字幕翻訳されている回です。
なので、途中からポケモン達が何を言っているのか分かる形で台詞を書いております。人間の言葉を喋っているわけではないのであしからず。
ダンに別れを告げ、次のジムがある島へ向けて再び海を渡るナオト達。
その途中、無人島を見つけたので休憩がてらその島に上陸することにした。
「あれ? う~ん、おかしいなぁ……」
島に上陸した後、例によってタケシがランチにとサンドイッチを作っていたのだが、どうも様子がおかしい。困り顔で船室の中を漁っている。
見かねたナオトが狭い入り口から船室を覗いて声をかけた。
「どうしたんだ? タケシ」
「いや、用意しておいた材料が見当たらないんだ。確かここに何個か置いといたはずなんだが……」
そこへ、話し声を聞きつけたフルーラもやってくる。ナオトの肩に自分の肩を当てて押し退け、同じように船室を覗いた。
「なあに、探し物?」
「ああ。前に寄った島で買っておいたモモンの実がどこにもないんだ」
「モモンの実? それなら私が全部食べちゃったけど」
「ええぇっ!?」
特に悪びれもせず白状するフルーラ。船を操縦している間、小腹が空いた時に片手間で食べられるので丁度良かったのだという。
ショックを受けたタケシはガクリと膝を落とす。
「ジャムにしてサンドイッチに塗ったり、ポケモンフーズの材料にもするつもりだったのに……これじゃあランチが作れない」
「ジャムがなくても私は別にいいわよ? ねえナオト」
「いやお前……」
「駄目だ! サンドイッチにはモモンの実のジャムが一番合うんだ! それにポケモンフーズも調合途中で、後モモンの実を加えるだけで完成するところなんだよ!」
勢い良く立ち上がって捲し立てるタケシ。
「でも、モモンの実はもうないし……」
「そうよ。ないものはしょうがないわ」
「フルーラ。お前ちょっとくらいは反省しろよ」
「してるってば。でもどうしようもないでしょ?」
「──ミャア!」
さてどうしようかと話しているところに、船の外から遊びに出ていたアイが戻ってきた。
いつもの青い髪の少女に化けているアイは白いワンピースをたくし上げて袋代わりにし、そこに幾つかの青色の木の実を入れている。どうやら、森の入り口付近で生っていたらしい。
「アイ、木の実を拾ってきたのか?」
「ミャ!」
「これはオレンの実だな。硬いけど、ポケモンの傷を癒やす効果がある木の実なんだ。まあ、モモンの実と違って人間が食べるには少し味が変わってるんだが……っ、そうだ!」
「ど、どうしたの? タケシ君」
急に大声を上げたタケシにフルーラがビクリと肩を震わせる。本当にテンションの落差が激しい男だ。
「木の実が生っている場所の周辺には、別の種類の実が生っていることが多いんだよ! 探せば、モモンの実も見つかるかもしれない!」
「ええっ、今から探すのぉ?」
「もちろん! さあ行くぞ!」
善は急げと船室を出ていくタケシ。先ほどとは一転してうきうきとした足取りで森の中へ入っていく。その行動の早さに呆気に取られるナオト達。
「お腹ぺこぺこなのにぃ……」
「フルーラ。お前のせいなんだから、ちゃんと手伝えよ」
「ミャウ」
「分かってるわよ、もう」
フラフラとした足取りのフルーラを連れて、ナオトとアイはタケシの後を追いかけるのであった。
◓ ◓ ◓ ◓ ◓ ◓
モモンの実を探して森の中を手分けして散策する一行。
意気揚々と出てきたものの、先程のオレンの実の他にも辛いことで有名なクラボの実などは見かけたが、肝心のモモンの実はパッと探しても見当たらなかった。
「さすがにそう都合良くあるわけないか……」
「タケシく~ん。もう諦めましょう。モモンの実がなくたってタケシ君の料理は美味しいわよ」
「いや! 絶対にあるはずだ! もっとよく探してみてくれ!」
もはやナオトとフルーラが諦めかけている中、こだわりの強いタケシはあちこち動き回ってしぶとく辺りを見回し続ける。
「ミャウ!」
その時、アイが鳴き声を上げて草むらの奥へと走り出した。
背の高い草むらの奥、周りの木に隠れる形になっていたモモンの実が生っている木を見つけたのだ。
「あったのか!?」
パッと顔を明るくさせたタケシがアイを追いかける。腰辺りほどにまで伸びた草むらを掻き分けてアイの鳴き声を頼りに進んでいく。
──フニュッ
「ん?」
しかし、途中で何か柔らかい物を踏みつけたことに気づいて足を止めた。
足元を見ると、そこには丸く膨らんだ捕虫袋のような黄色い何かが。
「ウゥ……」
「ウ、ウツドン!?」
その何かの正体は、ハエとりポケモンのウツドンであった。どうやら草むらの中で昼寝していたらしい。
「ご、ごめんな! 気づかなかったんだ!」
「ウツゥゥゥ……」
慌てて足をどけて謝るタケシだが、足跡を顔に付けられたウツドンはご立腹の様子。その大きい口を窄め、黄色い身体を膨らませる。これは、ウツドンの攻撃の予兆だ。
「タケシ?」
「どうしたの? 見つかったんでしょ?」
「二人共、逃げ──」
まずいと思っている中、後から続いてきたナオトとフルーラも近寄ってくる。タケシは彼らに逃げるよう言おうとしたが、時すでに遅し。
「ウツドオォォーーンッ!!」
「「「わああぁぁーーっっ!!?」」」
三人はウツドンの口から勢いよく吐き出しされた黄色い粉──しびれごなを全身に浴びてしまった。
「ッ! ミャウミャア?」
ナオト達の悲鳴を聞いて、何事かと来た道を戻ってくるアイ。草むらを掻き分けた先で、ナオトとフルーラとタケシが倒れていた。
「ミャア!」
慌てて三人に駆け寄るアイ。森の奥へ逃げていくウツドンを視界の端に収めながら、アイはナオトの傍に座り込んでミャウミャと鳴きながら彼を揺する。
「う……あ…ア、イ……ウツ、ドンの、しび、れ、ごな、が……」
口を開けず、上手く喋れない様子のまひ状態のナオト。しかし、何があったかのかはかろうじてアイに伝わった。
とにかく、三人を休ませないといけない。しかし、自分の力では三人を運ぶのは難しいだろう。
アイはナオトのベルトに取り付けられたモンスターボールを見ると、クリスタルのイワークが入ったボールを手に取って草むらの外に投げた。
「グオゥ」
「ミャア。ミャミャウ!」
「グオオオッ」
ボールから出てきたイワークに三人を運んでもらう。ゴゴゴッと地面を揺らしながら、森の外へと向けて移動。
そうして元の場所へ戻ってきたアイとイワークは船の船室の中にあるソファに彼らを寝かせた。とは言っても、小さなソファなのでギュウギュウ詰めだ。ナオトとフルーラはこれでもかとくっついた状態で、一番体の大きいタケシはほとんどソファからはみ出している。
「ミャウ……」
しかし、寝かせたはいいもののどうすればいいか分からないアイ。三人はまともにしびれごなを吸ってしまった影響で高熱を出している。まひなおしなんて都合良く持ち合わせてはいない。
とりあえず濡らしたタオルをそれぞれの額に乗せていると、タケシが弱々しく口を開いた。
「ア、アイちゃ……ア、アシレ……み、みず、くさを、さが……」
イマイチ聞き取り辛いが根気良く聞いてみると、どうやらアシレ水草という草を煎じて飲むと症状を治めることができるらしい。水場に群生しているはずだから、探せば見つかるかもしれないと。
「ミャ!」
アイは頷くと、ナオトのバッグを借りてアシレ水草を探すための準備を始める。
いざ出発といったところで、ナオトが苦しそうに呻き、額に乗せた濡れタオルが床に滑り落ちた。それを拾い、調理用のボウルに入れた水に浸けて再びナオトの額に乗せてあげる。
そんなアイにフルーラが弱々しく声をかけた。
「ご、めん、ね……わ、たしが、た、べちゃ……た、か、ら……」
普段の彼女から想像もつかないような声で謝る彼女。自分がモモンの実を食べたせいでこんなことになったと責任を感じているのだろう。
そんなことないよと、アイは首を横に振って彼女の濡れタオルも取り替えてあげた。
ナオトのバッグを肩にかけて船の外に出るアイ。
その両手に抱えた幾つものモンスターボールを、砂浜の上で一気に放り投げた。
「ゲン!」「ブゥス!」「ココッ!」「シャワァ」「グオオッ」「ラッシャイ!」「──!」「コーン!」
ナオトのゲンガー、ブースター、コイキング。フルーラのシャワーズ。そして、タケシのイワーク、イシツブテ、ズバット、ロコンだ。そこに既に出していたナオトのクリスタルのイワークが加わる。
なかなかの大所帯である。この中からアシレ水草を探すためのメンバーの選出をするのだ。
『う~ん……』
三人の看病は家事が得意なゲンガーに任せるとして。クリスタルのイワークもその器用さで氷が作れるので、看病のために残ってもらわないといけないだろう。シャワーズもオーロラビームが使えるが、クリスタルのイワークのように上手く氷を作るようなことはできない。
『ど、どうも……自分、イワークと申します』
『? なんじゃお主、くねくねしおって』
タケシのイワークはクリスタルのイワークにホの字のようなのか、岩の顔を赤らめて辿々しく言葉をかけている。が、悲しいかなクリスタルのイワークは彼を全く相手にしていない。言い忘れていたが、クリスタルのイワークはメスだ。
『ヘイラッシャイ! 何を握りやしょう!?』
『──! ──!』
イシツブテはなぜか寿司屋の真似事をしている。ズバットは言葉を話さずに超音波で会話しようとしてくるのでうるさい。
『……窮鳥入懐。救世済民。我、主人救わん』
コイキングはビチビチ跳ねながらも小難しい言葉を話している。全く何も考えていないような顔をしているが、その実彼はこの中で一番頭がいいのだ。
『おい、離れな。俺に触るとヤケドするぜ』
『は? 何あんた、そんなぬるさで調子乗ってるわけ?』
『あ? んだとコラ?』
ブースターが隣で鱗繕いをしているシャワーズに自惚れた口調で話すが、シャワーズは主人であるフルーラに似た強気な態度でブースターをおちょくっている。いや、多分フルーラより口が悪い。
結局アシレ水草を探しに行くメンバーは、アイ、ブースター、シャワーズ、コイキング、イシツブテに決まった。大きいポケモンは移動がしにくい。だから、タケシのイワークは留守番だ。火を扱える者が一匹はいた方がいいのでロコンも待機してもらおう。ズバットはうるさい。
『い、一緒に留守番ですね……よ、よろしくお願いします』
『アイ。こやつ気持ち悪いから、ボールに戻しておくれ』
『う、うん。ごめんね』
『え? ちょ! まっ──』
タケシのイワークはクリスタルのイワークと一緒に留守番できて嬉しそうにしていたが、もじもじ身体を揺らしてうっとおしいらしいのでボールへ戻しておいた。ついでにズバットも戻しておく。
『気ぃつけてな。ナオ坊達はワシらに任せとき』
『いってらっしゃい。頑張ってね』
『うん。よろしくね。いってきます』
ゲンガーとロコンに見送られて、アイは森を見据える。
さあ、準備も整った。いざ出発だ!
『ナオ君。必ずアシレ水草を見つけてくるからね!』
船の方を一度振り返って意気込んだアイは、ブースター達を連れ立って森の中へと入っていくのであった。
森は奥へと進んで行けば行くほど木々が鬱蒼と茂っていく。
それまではチラホラと生っていた木の実もあまり見かけなくなってきた。アシレ水草が群生していそうな水場を探そうにも、川や湖がどこにあるか分からない。
『……くそっ、何も聞こえやしねぇ』
『あんた、ちっとも役に立たないわね。その長い耳は飾りなの?』
ブースターがその長い耳をピクピク動かして水の音を探るが、見つからない様子だ。
そんな彼をシャワーズは鼻で笑い、皮肉る。
『んだと? てめぇこそヒレみたいな耳しやがって。それでちゃんと音が聞こえてんのか?』『ラッシャイ!』
『もう、ケンカはダメだよ!』『ラッシャイ!』
『当然よ。見てなさい』
睨みを効かせて文句を返すブースター。アイが仲裁するが、気にせずシャワーズは瞼を閉じて集中し始める。
自然とラッシャイラッシャイとうるさかったイシツブテは口を閉じ、ビチビチ跳ねていたコイキングもピタリと動きを止めた。
辺りからは、風によって木々が囁かせる葉音しか聞こえなくなる。
──ポチャンッ
シャワーズの聴覚に雫の滴る音が響いた。それと同時に、彼女のヒレ耳がピクリと動く。
『あったわ。こっちよ』
どうやら、水場を見つけたらしい。先導するシャワーズをアイ達が慌てて追いかける。
『……いつか絶対泣かしてやる』
ブースターは苦虫を噛み潰したような顔でそれに続いた。
しばらくシャワーズの後に続いて陽の光も差さない森の中を歩くアイ達。
途中から道を外れて草むらを掻き分けながら進むことになり、ブースターが呟く愚痴を聞き流しながら一行は水場を求めて歩み続けていた。
『おいおい、ホントにこっちで合ってるのかぁ? 草ばっかで水場なんてどこにもねえじゃねえかよぉ』
『…………』
当のシャワーズは気にした様子もなく黙って先へと進んでいる。
『あっ、少し空けた場所に出たね』
一体いつまで続くのあろうかと思うほど掻き分けた草がようやく途切れた。鬱蒼と茂った木々もなくなり、太陽の日差しがアイ達を照らす。若干の息苦しさから解放された彼女達は、少しばかりの休憩とばかりに大きく深呼吸をする。
──ガサガサッ
その時、向かい側の草むらが揺れ始めた。野生のポケモンかと身構えるアイ達。
「──ピィッ!」
転び出てきたのはピンク色の身体をした小さなポケモン。ほしがたポケモンのピィだ。
「ピィ? ピピィ!」
ピィはアイ達を認めると、笑顔を浮かべてピョコピョコ近寄ってきた。覚えのあるこの懐っこい性格。どうやら、この子は今まで二度矛を交えてきたドミノが連れているピィのようだ。いや、ドミノについていっている、が正しいだろうか。
『こんにちは~』
『こ、こんにちは……』
挨拶するピィに戸惑いながらも挨拶を返すアイ。
『ねえねえ、いっしょにあそぼ? あそぼ?』
敵対していたことを忘れているのか、ニコニコと笑いながらそう誘うピィ。
もしかすると、今までのバトルも彼女自身は遊びのつもりだったのかもしれない。
『ごめんね。わたし達は今とっても大事な探し物をしているから、一緒に遊べないの。ねえ、あなたはどうしてこんなところにいるの?』
『ええ? えっとね、う~んとね、う~んと……』
自分でも忘れてしまったのか、ピィは口元に指を当てて頭を捻っている。
『え~~っと……あ、そうだ! ドミノちゃんがゴビョーキになっちゃったから、オクスリをさがしにきたんだった!』
アイ達が困った顔を見合わせていると、ようやく思い出したのかピィは嬉しそうに声を上げた。
『ビョーキ?』
『うん! あのね、おなかぺこぺこでたべものをさがしてたらね、きいろいポケモンをふんずけちゃったんだ。それでね、おこながたくさんバーッ! てでてね。ドミノちゃんうごかなくなっちゃったの』
たどたどしい舌っ足らずな説明だが、つまり食糧難に陥ったドミノが食べ物を探そうとして足元にいたポケモンを踏み、しびれごなを浴びてしまったらしい。ナオト達とほぼ同じである。
『わたし達もナオ君達の痺れを治すためにアシレ水草を探してるんだよ』
『ア、シ、レ? それがあればドミノちゃんもなおるの?』
『うん。治るよ』
『じゃあ、ピィもいっしょにさがすー!』
『いいよ。一緒に探そう!』
わーい、と笑顔で飛び込んでくるピィ。アイはその小さな体を優しく抱きとめる。
しかし、シャワーズとブースターが待ったをかけた。
『ちょっと、なんで私達がドミノを助ける真似なんかしなきゃならないのよ?』
『助ける義理なんかねえしな。ほっといて行こうぜ』
『あら、珍しく意見が合うじゃない?』
『……フンッ』
シャワーズ達の言い分は正しい。だが、さすがに放っておいてドミノを野垂れ死にさせてしまうのも気が咎める。
それに──
『それに、生きてればいつかあの人とも仲良くなれる日が来るかもしれないから……』
哀愁の漂う目で答えるアイに、シャワーズ達は戸惑うように顔を見合わせる。
『抑強扶弱。我ら、彼女、保護すべき』
『ラッシャイ! 鯉の王様はその子をポケモンセンターに連れ帰るべきだって言いたいみたいですぜ!』
そこへ、コイキングがビチッと一跳ねして助け舟をくれ、イシツブテが要約してくれた。
そうだ。ピィは元々ボンタン島のポケモンセンターにいたポケモンなのだ。このまま自分達が保護して連れ帰るのが道理であろう。
『……まあ、保護するって形なら別に構わないけど』
納得した様子のシャワーズであったが、その澄ました顔をずいっとアイが抱いているピィに近づけた。
『そもそもあんた、なんであのドミノと一緒にいるの? アイツは悪い人間で、あんたは利用されてんのよ?』
『……?』
シャワーズの言葉をよく理解できていないのか、ピィは頭をコテッと傾けている。
──ガサッ!
刹那、ピィやアイ達が出てきた草むらとは別の場所か何者かが草を掻き分けて近づいてくる音が聞こえてきた。
「カイィ……」
草むらから出てきたのは茶色い甲殻に二対の長い角を持った生物、くわがたポケモンのカイロスであった。
ハサミを思わせる内側に曲がった角、その表面に生えている鋭いトゲが鈍く光っている。
『ッ!!』
カイロス達の睨みつけるような目つきを見て焦るアイ達であったが、カイロスはそんな彼女達の横をドスドスと素通りしていく。陽のよく当たる場所に生えている木によじ登り、樹皮から滴る液を舐め始めたのである。
『び、びっくりしたぁ。樹液を吸いに来ただけだったんだ』
確かに目の前の木はゴツゴツとした肉厚な樹皮をしており、嗅いでみれば濃厚な蜜の香りが鼻をくすぐった。
そうこうしている内にまた辺りから複数の足音が聞こえ、茂みから何匹ものカイロスが木に集まってきていた。恐らく、この木はこの島に住むカイロス達の食事場の一つなのだろう。
『……とりあえず、襲ってくることはなさそうね』
『ああ。さっさと水場に向かおうぜ。ホントにあれば、だけどな』
『うるさいわね。そんなに水が拝みたいなら、今ここであんたにみずでっぽうぶっかけてもいいのよ?』
『上等じゃねえか。やってみろよ』
『もう! ケンカは止めて早く行こう!』
アイは火花を散らすシャワーズとブースターの間に割って入り、そのまま水場を目指して再び出発しようとした。
『おいしそ~! ピィもなめた~い!』
『あっ! ダメだよ、ピィ!』
しかし、カイロス達が美味しそうに蜜を舐めているのを見て、涎を垂らしたピィが飛び出して木に駆け寄っていってしまった。慌ててアイが連れ戻そうとするが、その手をすり抜けてあっという間に木をよじ登っていく。
『ねえねえ、ピィにもちょうだい!』
カイロス達の傍まで登り、自分にもとねだるピィ。彼らはそんなピィをギロリと睨みつける。
『……ジャマだ、どけっ!』
『わっ!?』
しかし、カイロス達は自分らの食事場を荒らしに来たと思ったのか、角を振り回して木からピィを弾き飛ばしてしまった。
『ピィッ!』
ぽーんと宙を舞うピィをアイが両手でキャッチする。
ほっとするのもつかの間、蜜を舐めるのを止めたカイロス達が続々とに地面へと降り立ってきた。アイ達を食事場を荒らす敵だと判断したのか、その表情は険しい。
『オレ達の食事場から出ていけぇ!』
先頭に立っていたカイロスが駆け出し、頭を突き出してアイをその手に抱えているピィごと挟み込もうとする。
『てやんでい!』
が、間一髪イシツブテが間に入ってその岩の拳でカイロスの角を弾いた。
『やろうってんなら相手になるぜ!』
ブースターがその身に熱気を漂わせる。そんな彼の頭を隣にいたシャワーズが尻尾でピシャリと叩いた。
『いてっ、何すんだ!?』
『おバカ。こんな森の中でほのおタイプの技なんて使ったら大惨事になるでしょ』
『と、とにかく逃げよう!』
『三十六計!』
一行はいきり立つカイロス達に背を向け、相変わらず何を言っているの分からないコイキングが先導する形で走り出した。この中で一番速く動けるのはコイキングなのだ。最も弱いポケモンとはよく言ったものである。
しばらく森の中を我武者羅に草むらを掻き分けて逃げ続けるアイ達であったが、この森はカイロス達のテリトリー。当然、地理を細かく知っている分相手の方に分がある。
そして次に視界が開けた時、目の前には反り立った崖が行く手を阻んでいた。
『あっ!?』
『しまった、上手いこと行き止まりに誘導されちまったのか!』
慌てて引き返そうとするが、追いついたカイロス達によってそれも叶わず。既に彼らによって包囲されている状況であった。
『くらえっ!』
『『わあっ!!』』『ッ!』
カイロス達の吐いた糸によって、アイ達は身動きを封じられてしまう。
間一髪、コイキングだけはその場から飛び跳ねて難を逃れた。
『コイキング! 時間を稼いで!』
『承知!』
コイキングが周りに生えている木を利用して跳ね回りカイロス達を翻弄。その間になんとか糸を剥がそうとアイ達は懸命に試行錯誤する、が──
『~っ! ダメ。全然取れない!』
『おい、俺の炎で──』
『ちょっと! あんた私達ごと燃やす気!?』
『てやんでい!』
カイロスの吐いた糸は非常に粘着質でとてもではないが簡単に剥がせるものではなかった。それどころか、もがけばもがくほど身体に絡みついてしまう。
『あはは! なんかネチャネチャしてたのしいね!』
そんな最中、ピィは場違いにも笑顔。無意識でやっているのか、楽しそうにその小さな指を振っている。
『そこだ!』
『ッ!』
コイキングも奮闘していたが、相手の数が数なので徐々に追い詰められてしまう。
そして、ついに隙を突かれて角の一撃を受けたコイキングはアイ達の元へ吹き飛ばされる。それによって身体に糸が貼り付き、頼みの綱のコイキングも身動きが取れなくなってしまった。
トドメを刺すべく、カイロス達が猛然と迫る。
『……ナオ君!』
万事休すかと思われたその時、ピィの指を振る動きが止まった。
それと同時にその指から眩い光が放たれ、辺りを包み込む。あまりの眩しさにその場にいる全員が目を閉じた。
眩さを感じなくなったアイは、恐る恐る瞼を開ける。
彼女の視界を埋め尽くしていたのは大勢のカイロス達ではなく、吸い込まれそうなほど青く澄み切った雲一つない空であった。
妙な浮遊感を感じて首を横に向けてみると、見えたのは太陽の光を受けて煌めく海。地平線まで広がるそれに目を奪われていると、急に視界がスクロールし始める。
『……え? え?』
否、自分達が落下しているのだ。
『お、おい! 何で俺達いつの間にか宙を飛んでんだ!?』
『この唐変木! 飛んでるじゃなくて落ちてんのよ!』
『てやんでい!」
強烈な風圧を受けて、いつの間にか宙に飛ばされていたことに気づいたアイ達。
そうこうする内に迫る地上。目下にあるのは湖であったが、さすがにこの高さから落ちたらただでは済まない。
『──ッ!!』
アイは慌ててじんつうりきを使った。
アイのじんつうりきによって落下速度が徐々に緩められる。身体が水面に叩きつけられそうになるその時、間一髪といったところで落下を止めることに成功した。
『はぁ。よかっ……あっ!』
『『わああッ!!』』
ほっと一息つくのも束の間、気が緩んでしまったせいかアイのじんつうりきが切れてしまう。
一行はドボーンッと大きな水柱を立てて着水するのであった。
『くっそ……ひどい目に合ったぜ』
『水に浸かったくらいで、だらしないわね』
『うるせぇ、テメェはみずタイプだからそんなこと言えんだよ』
湖から這い上がり、ようやく緊張の糸が切れて各々身体を休め始める。
『でも、どうしてだか分からないけど助かって良かったね。目的の水場にも着けたし』
『つめたくてきもちーね!』
『旭日昇天』
人間の姿のままのアイは水を吸った白いワンピースを絞り、ピィは湖の浅瀬で水遊び。
みずタイプのシャワーズとコイキングはむしろ水に落ちる前より快調な様子だ。
『ぶえっくしゅ!』
『ラ……ラッ……シャ、イ……』
反面、水が弱点なブースターとイシツブテ。ブースターはまだマシだが、イシツブテはもはやほぼ死にかけである。
『見て! これって、アシレ水草なんじゃないかな?』
『そうね。間違いないわ』
都合の良いことに、目的のアシレ水草はこの湖の底に生えていた。となると、後は二匹の回復を待って水草を持ち帰るだけだ。
水草を回収し終えたアイ達はブースターが絞り出した火種で火を焚き、身体の乾きを待つ。
『はい。この草でドミノさんのビョーキも治るよ』
『わあい! ありがとう!』
集めたアシレ水草をピィに分けてあげると、彼女は喜んでそれを受け取った。
『煎じて飲ませないといけないんだけど……分かる?』
『???』
案の定頭を傾げたので、持ってきた水筒に煎じた物を淹れて『これを飲ませてあげてね』と言って渡してあげることにする。水筒を受け取って嬉しそうにしているピィ。
そういえば、彼女はカイロス達に追い詰められた際、同じような笑顔で指を振っていた。ポケモンの技には、"ゆびをふる"という何が起こるか分からない技がある。もしかしたら、それによって偶然テレポートが発動し、ここへ移動したのかもしれない。
自分達はピィのおかげで助かったのだ。アイは水筒を抱えてはしゃいでいる彼女の隣に座った。
『ねえ、ピィ』
『ん~?』
『ピィはドミノさんのこと、好きなの?』
『うん! すきー!』
ピィは屈託のない笑顔で答える。
『でも、ドミノさんはロケット団っていうポケモンをさらう悪い人達の仲間なんだよ?』
『?? ロケット、だん?』
やっぱりよく分かってない様子で呆けた顔を返す。しかし、それでもアイの話を聞いて何やら『ん~っ』と考え込み始めた。
しばらくして、その小粒ほどの大きさの口を開く。
『ピィね。まえまでトレーナーさんといろんなところであそんでまわってたのに、いつのまにかひとりぼっちになってたんだ』
そう。確かピィはポケモンセンターに預けられたまま、元のトレーナーに置いていかれる形で捨てられてしまったのである。
『でもね、ドミノちゃんがいっしょにあそんでくれて、とってもたのしかったんだ! だから、ドミノちゃんについてくことにしたの!』
多分、ポケモンセンターでのバトルのことを言っているのだろう。別に遊んでいたわけではないのだが、ピィにとっては違ったようだ。
『酷いこととか、されたりしないの?』
『なんどもおいかえされたりしたよ。でもね、ピィね。ドミノちゃんのそばにいてあげたいの』
ナオト達のせいで任務に失敗し続け、エリートの席から外されたドミノ。そんな彼女は、ピィが言うには時々寂しそうな顔を見せるのだという。
ピィは彼女の事情を知りはしない。悪い人達というのもよく分からない。ただ、一人ぼっちの寂しさを知ってるピィはそんな彼女を一人にさせたくないのだ。
『……そっか』
たどたどしくも一生懸命話すピィに、アイは静かに笑みを浮かべるのであった。
そこへ、水浴びを終えたシャワーズが水を滴らせながらやってくる。
『ふぅ……そうだ。せっかくの機会だからアイに聞きたいことがあるんだけど』
『うん、何? シャワーズ』
『あんたの主人のことよ』
アイの主人──つまり、ナオトのことだ。
彼はポケモンとの相性が人より良いのか、一緒にいて不思議と居心地が良い。だがその反面、どうにも人付き合いが苦手らしい。まあ、それはネーブルジムでの経験によってか以前よりはマシにはなってきてはいる。
だがシャワーズが一番気になっているのは、彼がポケモンバトルを避けている節があることだ。バトルを嫌っているというより、相手のポケモンを傷つけたくないという気持ちがありありと感じ取れた。現に、やむをえずバトルする際には極力攻撃は指示せず、相手のスタミナ切れを狙っている。
『なんかイライラするのよね。はっきりしないっていうか。カロス地方を旅してた頃からあんな感じ──』
『そんなことないよ!』
アイが遮るようにしてシャワーズの言葉に返す。思わず声が大きくなってしまったことにハッとなって、俯いた。
『……ちょっと、事情があるの』
そう言って黙ったままでいるアイ。
シャワーズはその事情とやらを知っているであろうブースターにも目線を送るが、彼はそっぽを向いてアイと同じく答えないという意思表示を示した。ならばと、今度は自分と同じく知らない側であるコイキングを見やる。
『あんたも気になるでしょう? 他でもない自分の主人のことよ?』
『……ッ』
此度のトラブルは自分の修行不足とばかりに音を置き去りにする速度で跳ねまくっていたコイキング。シャワーズの問いかけにピタリとその動きを止めた。
『……刮目相待。我、主人、待つ』
それだけ言って、コイキングは再び跳ね始めた。ナオトが自分から話してくれるのを待つ、ということらしい。
シャワーズはやれやれと首を振って嘆息する。
『はぁ……分かったわ。それじゃあ、そこの水にかかると無能になる子達も幾らか回復したことだし、そろそろ帰りましょうか』
『あ? 誰が無能だ?』『てやんでい!』
彼女のその言葉に、皆頷いて立ち上がる。
ブースターはシャワーズに食って掛かるが、それを右前足で押し退けるシャワーズ。
『でも問題は……どうやって帰るかよね』
そう。アイの予想が正しければ、この湖へはピィのゆびをふるで発動したテレポートでやってきた。つまり、帰り道が分からないのである。
こういう時に空を飛べるポケモンがいれば助かるのだが、生憎そういったポケモンは連れていない。コイキングが全力で飛び跳ねてはるか上空まで昇ってみるが、ダメ。コイキングは視力が悪い。こんなことなら、タケシのズバットを連れてくれば良かった。
どうしようと悩んでいると、辺りからガサガサと草むらを掻き分ける音が聞こえてくる。
『……』
『ッ! カ、カイロス!』
目を向けてみると、現れたのは先ほどアイ達を襲ったカイロス達。それも、湖を背に囲まれる形で。
なぜここにいることが分かったのか? 気にはなるが、詮索している余裕はないと身構えるアイ達。
『…………』
しかし、どうにも様子がおかしい。カイロス達はアイ達を襲おうとせず、ただじっと湖の方を見つめているだけであった。
首を傾げていると、草むらから新たにカイロスが二匹現れた。その内の一匹は体調が悪いのかグッタリとしており、もう一匹のカイロスに肩を貸してもらっている。見るに、このカイロスもナオト達と同様何かしらのポケモンからしびれごなを浴びせられてしまったようだ。恐らくここで暮らしているカイロス達はアシレ水草のことを知っていて、それでこの湖へ来たのだろう。
『大変! ピィ、ちょっとこれ分けてくれる?』
『うん、いいよ!』
アイはピィに渡した水筒からアシレ水草を煎じた物をコップに入れ、差し出した。弱った仲間を抱えているカイロスは戸惑ったようにアイとコップを見比べている。
『さ、飲んで。元気になるよ』
そんなカイロスにアイが微笑みかけると、彼は頷いてコップを受け取り、仲間に飲ませてあげた。
効果はすぐに出て、弱っていたカイロスは自分で立てるほどに回復した。さすがにまだ動きは鈍いが、それでもカイロス達は仲間が助かったことに喜び勇む。あの特徴的な鋭い眼をにこやかに細め、アイ達に感謝している。
険悪な空気はどこへやら、先ほどまで追われていたのが嘘のような朗らかな雰囲気が辺りを包む。
それを優しく見守るように、湖は太陽の光を浴びて一層キラキラと輝くのであった。
『案内ありがとう! カイロス!』
『バイバ~イ!』
それから、アイ達はカイロス達の助けを得てナオト達の元へ無事帰ることができた。
手を振って別れを告げ、カイロス達は笑顔で手を振り返してまた森の中へと去っていく。
ところで、ドミノがいる場所はアイ達の帰る方向とは別方向だったので、ピィとは途中で別れてしまった。
『おい、ドミノのトコに帰して良かったのかよ?』
『そうよ。保護するんじゃなかったの?』
ブースターやシャワーズは難色を示していたが、アイはそれに首を横に振って答えた。
『きっと、大丈夫だよ』
そして、アシレ水草の煎じ物を飲んだナオト達は瞬く間に元気になり、苦労したかいあってすっかり元通りだ。
「ありがとう、アイ。それにみんな」
「シャワーズもありがとう。ホントにごめんね」
「イシツブテ、ロコン。面倒かけたな。あれ、イワークとズバットは……え? ボールから出てないの?」
各々自分のポケモンを労うナオト達。
みんな疲れた顔をしているが、それでも主人に褒められて嬉しそうにしている。もっとも、シャワーズは相変わらずの態度で、そんな彼女にからかわれたくないのかブースターも仏頂面のままだが。
「さあ、遅くなったけど改めてランチにしようか! ……って、そうか。モモンの実は結局──」
「ミャウ!」
困り顔のタケシに、アイは笑顔でナオトのバッグからある物を出して見せる。
それは、帰り際にちゃんと取ってきたモモンの実。
モモンの実の甘い風味の加わったサンドイッチとポケモンフーズを堪能した一行は、次のジムへ向けて再び船を進め始めた。
この先もまだまだ波乱の予感がするが、果たしてどうなることやら。
続くったら、続く!
◓ ◓ ◓ ◓ ◓ ◓
「……ぎっ、あ……ぐ……」
同じ頃、木陰から未だに苦しげに喘ぐ声が一つ。
「く……くそっ、た……れ……この……わた、しが……なん、で……こ、んな……」
言うまでもない。ロケット団の元Aクラスナンバーズ009、ドミノ。
誰が呼んでたのかも定かではない黒いチューリップである。今は萎びて枯れかけのチューリップだが。
少し前まで巨大組織のエリートとしての身分を利用して休暇を楽しんでいたとは思えないほどの無様なその姿。あの頃は太陽が自分を輝かせているようであったが、今は上からあざ笑っているように見える。それが憎くて、悔しくて、必死に動かない身体で這いずり、心許ない木々の下にかろうじて隠れていた。
僅かに動く青く染まった唇から、恨みがましい呪詛が呟かれる。
狙いのレアポケモンを持っているジャリボウヤ達は今どうしてるだろうか? 美味いサンドイッチなんかでも食べて南国の旅を満喫しているのであろうか? こっちはその日食べる物にも困って、今日などは朝から何も食べていないのに。
だが、それも直に空腹と身体の痺れと熱によって言葉少なになっていく。
紡がれるのは、まさに風前の灯火とも言えるような掠れた声だけ。
「…………だ……れ、か……」
その声は、誰にも届くことはない。
「ピィ!」
──いや、届かずとも、手は差し伸べられた。とても、とても小さな手だ。
「あ、ん……た……ピ……ィ?」
いつの間にか死に体の自分を置いてどこかへ消えたと思ったら、ようやく戻ってきたのか。この蹴飛ばされても楽しげな顔をしてついてくる変わり者。てっきりそのまま別のトレーナーでも探しているものかと思っていた。
ピィは抱えていた水筒のコップを危なかっしい手つきで取り外し、その中へ水筒の中身を注ぐ。そして、生ぬるくて青臭いそれをドミノの口に押しつけた。
「ピピピィ!」
「ちょ、んぐ……おえっ」
流れ込んでくる何かも分からない液体。思わず吐き出そうとするも、身体が麻痺しているので叶わず。
喉を通っていくこれは何だ? この頭からっぽなピィのことだから、きっとそこらの水溜りを掬ってきたものとかに違いない。そう思うと急激に吐き気を催してきたドミノは、文句を言うべくガバリと立ち上がった。
「ちょっとあんた! 一体何を飲ませ──あら?」
そう。立ち上がることができたのだ。あれだけ動かなかった身体や焼けるような高熱もどこへやら。すっかり元通りである。
「は? どうして、治って……まさか、あんた」
「ピィ!」
ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいるピィ。その手から持っていた水筒が零れ落ち、地面を転がってドミノの足に当たった。それを拾い上げ、しげしげと眺める。ピィにこんな物を持たせた覚えはもちろんない。
「これは……もしかしてジャリボウヤの?」
はっきりと記憶してはいないが、ポンカン島で彼らを尾行していた際、ナオトがこれと同じ水筒を持っていた覚えがドミノにはあった。
もしこの水筒がそうであるならば、敵であるはずの自分を助けたということである。
(バカな奴ら、お情けのつもりかしら? ……随分とお人好しだこと)
しばらくぼんやりと考え込んだ後、次いでピィを見やる。彼女は褒めて褒めてというような期待に満ちた顔でドミノのことを見上げていた。
「……はん。私はあんたのご主人様なわけだからね。そのあんたが主人のために働くのは当然のことでしょうが」
冷たい口調でそう言って、ピィに背を向けるドミノ。
「…………でも、一応、礼は言っとくわ」
「ピ?」
小さく呟かれた言葉が聞こえなかったのか、首を傾げるピィ。それに構わず、ドミノは誤魔化すように乱暴な足取りで森の方へと歩き出した。
「さあ! こちとら朝から飲まず食わず。いや、飲みはしたわね。とにかく、さっさと食料確保してあのジャリボウヤ達を追いかけるわよ!」
「ピィ!」
アニポケ新シリーズ……期待と同じくらい不安もありますね。
何にせよ、楽しみです。
次回は元々用意してたのを色々あって一から書き直し中なので遅れるかもしれません。
■無印編第17話『きょだいポケモンのしま!?』
この回でのサトシのヒトカゲの台詞
「だいじょうぶです」
「どこでしょう?」
「みちをおしえてください」
「いませんねぇ」
「たたかいますか!?」
こんな丁寧な話し方するヒトカゲが、まさかあんな問題児に進化するなんて一体誰が予想できるだろうか。
フシギダネの「おれたち、すてられたんだ」という台詞も好き。
■オレンの実
見た目は青色のオレンジだが、色々な味が混ざっていて人間が食べるには適さない。
しかし、サトシは美味しそうに食べた。
■タケシのイワーク
タケシと違って奥手。しかし、報われなさは似たもの同士。
■ナオトのクリスタルのイワーク
実はメス。長生きしているため古めかしい話し方をする。
※※※
この作品とは関係ないですが、以前チラシの裏で執筆していた『名探偵コナン✕ペルソナ5』は『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』の発売と同時にお気に入り登録者以外閲覧できないようにしようと考えております。
未完ですが、既プレイで気になる方は今のうちにどうぞ。未プレイの方はご遠慮ください。