街巡り~武器工房【アカスチ】~
11:00
「おお!さすがに帝都が近いだけあってみたことない剣も多いな。」
レインが街の散策を始めて約1時間が立っていた。彼は今、リーヴスにある武器工房【アカスチ】にてテンションが上がっていた。
彼は自分がアルゼイドを修める身でありながら、他の流派の剣や武器に大変興味があった。簡単に言うと武器マニアなのである。ただ、彼はほとんどレグラムを出たことがなかったので、他地方の見たことない剣にとても興奮しているのである。
「店主!これってどういう剣なんですか?とても斬れるようには見えないんですが。」
「お?そいつは【ソードブレイカー】っていう種類の剣だ。その特徴的な形は相手の細剣をからめとるためだ。いわゆる剣殺しって言われる剣だが、最近は剣より銃が一般的になってきてるからほとんど使い手は見なくなったな。それにしても兄ちゃん、今時に剣に興味があるってなかなかもの好きだなー。」
「へぇ、じゃあこれはどうしてこんな形を?」
「おお、それはな...」
レインはカウンター越しの椅子に座っている中年の店主に話しかけると、店主はレインに興味を持ったようにレインに近づいてきた。帝都近くだけあって様々な種類の剣があり、それを一つ一つ説明してくれる店主にレインはすごい好感を感じるとともに、そこまで様々な武器に精通していることに素直に尊敬の念を抱いていた。
ただ、レインには一つ気になることがあった。それは多種多様な武器があるが、なぜか店頭には1本づつしか陳列されていない。剣の反対に陳列されている銃器は剣ほどの種類がないが、その分、1種類ごとに何本か置いてある。
それについてレインが店主に聞いてみると、予想外の答えが返ってきた。
「ああ、そいつはこの店の技術を表すために置いてるんだ。というより、そこに陳列してる剣は全部売り物じゃない。うちは剣は完全オーダーメイドで作っていてね。最近は戦い方の多様化が進んでるから、武器もその人にあったものをっていうのが俺の考えでね。」
店主は自信満々にそう答えた。もっとも店主の自信は当然であり、アルゼイド流の総本山であるレグラムも剣の工房はいくつかあったが、今レインが背負っている剣を含め、ほとんどが同一の形の市販品だった。
「というか、お前さん新しくできた学院の生徒さんか?その背中に背負っているのは剣と見た、良ければ見せてもらってもいいか?」
店主が何かに気づいたようにレインの背負っている剣を指さして言った。
「ええ、今日が入学式なんです。少し時間があったのでせっかくならと街を見て回っていたら武器屋を見つけてお邪魔させてもらいました。おっしゃる通りこれは剣ですよ。良ければぜひ見てください。」
店主の突然の問いに少々驚いたが、店主の目に自分と同じ武器好きの雰囲気を感じ取っていたので、レインは好意的にそう答えた。
そしてレインは横にあるテーブルに背負っていた剣を置き、その包みを開けた。包みの中からはほんのり赤身のある綺麗な大剣が姿を現した。
「こいつは...、やっぱりアルゼイドの剣か。ここらじゃ珍しいな。」
武器屋の店主は興味深そうにレインの剣を観察していた。やはりレグラムから相当距離がある以上、使い手はほとんどいないのだろう。もちろん店にもアルゼイドの剣は置いていなかった。
「はい。レイン・S・アルゼイド、それが俺の名です。まだまだ修行中の身なのでその剣に見合う実力があるとはとても言えませんが。」
「おお本当か!まさかアルゼイドのご子息とはおもってなかったわ。たしかによく見ると力強そうな体つきをしたるな。」
店主は少し面食らったような反応をしたが、さっきまで話していてレインの人柄を感じていたのか、そこまで大きく口調を変えたりすることはなかった。正直レインとしても貴族であることで傲慢な態度をとる性格ではなかったのでこの対応はありがたかった。というより、アルゼイドの名を持つ父や姉も含めて、領民などと身分関係なく接していたのでそれが当然のようにも感じていた。
そして、レインの剣をじっくり見たいと店主が言ったので、レインは他の陳列された剣をもう一度見直すことにした。
「うむ、ありがとう。いいものを見せてもらったよ。ぜひ研ぎなおしとかの時はうちに来てくれ。誠心誠意研がせてもらおう。」
「ええ。2年間は学院で生活するので、その時はぜひお願いします。」
しばらくして店主が剣を返してくれると時間はいつの間にか12時を回りそうになっていた。さすがにお昼を食べずに入学式に出たくはないので、そろそろ武器屋を出ないと間に合わない。
そこで、レインは店主にお礼をいって店を後にしようとしたが、そういえば店主の名前を聞いていなかった。
「おお、そういえば名乗ってなかったな。俺はシンラ・アカスチだ。今後もよろしくな。レインくん」
「ええ、よろしくお願いしますシンラさん。」
そうしてレインは武器屋【アカスチ】を後にした。
読んでいただきありがとうございます。
書くにあたって原作の街の店の数とかだけだと足りなくなりそうなので、もう少し大きい街のイメージで書いていきます。オリキャラとかも出ていくのでご了承ください。