エリン、ティルコネイルのファーガスの店。
そこで、店主のファーガスから受け取った円形の盾(ラウンドシールド)を大切に抱える一人の少女がいた。
ヒィ、このエリンに転生してきたばかりである。
「えへへ、念願の初盾ゲット~! あー、でもできればカイトシールドが欲しかったなぁ……」
ヒィは前世、重い鎧や大きい盾に身を包み、敵の攻撃をカンコンと弾き返しながら戦う戦士にあこがれていたのだ。
エリンにやってきて、いよいよ重戦士になれる!と喜んでいたが、現実はそううまくはいかないようだ。
「まぁいいや。弓や魔法を使ってくる敵に対抗するのに、弓矢も買ったし、とりあえず戦いに行ってみようかな!」
そう元気に言うと、ヒィは村はずれにあるアルビダンジョンに歩いて行った。
***
最初の部屋に入り宝箱を開けると、白いクモがわらわらと出現した。
「さーて、よーし行くぞーっ」
そう言うと、ヒィは(本人にとっては)高い金を出して買ったメイスと盾をしまい、弓矢をかまえた。
そして……放つ!
「あれ、やっぱりレベル低いとダメージも小さいのかな? ととと……」
ヒィのつぶやきを無視して、彼女の矢を受けたクモは、怒ったように彼女に突進していく。それに気づいた彼女は慌てて盾とメイスに持ち替え構え、クモの攻撃に備えた。
ガイン!
クモの攻撃が盾を直撃! その衝撃でヒィは思わず転びそうになる。
だが、それをこらえ、クモをメイスで一撃!
そしてさらに。
「ふっとべ! えーいっ!!」
全力でメイスを振り下ろし、クモを吹き飛ばした!
でも、それでも倒すには至らず、怒ったクモは彼女に突進していく。
ヒィはそれを防ごうとするが……。
「え、ちょ、ちょっと待って~!」
全力攻撃を仕掛けたことと、盾が重い事もあり、彼女が盾を構える前にクモが接近してしまう。
そして……。
「きゃあ~!!」
ヒィは、クモの一撃で吹き飛ばされた。
「やったな~!」
でもすかさず起き上がり、次の一撃に備える。
ガインッ!!
今度は間に合い、クモの一撃を防ぐことができた。
そして、クモがひるんだ隙をつき、再びメイスで一撃!
それで、完全にクモは動かなくなった。
「ふぅ、危なかった……。でも、このディフェンスの隙をなくす方法を考えないとなぁ……」
そうひとりごちながら、ダンジョンの通路を歩いていくヒィ。そのとき、彼女の頭に一つのスキルの名前が浮かんだ。
「そうだ! ウィンドミルなんかどうかな? あれなら……」
ウィンドミル、それは回転しながら周囲の敵にダメージを与えるスキルである。普通は多数の敵にダメージを与えるために使うものであるが、それをディフェンスの代わりにできないかと考えたのだ。
「よーし、次の部屋で試してみよっと!」
そして部屋に入っていく。次の部屋に現れたのは吸血こうもりの大群だった。
「ふっふっふっ、いっくよー!」
そう言って、こうもりの一匹に矢を放つ。怒ったこうもりはヒィに襲い掛かった。
その牙を彼女に突き立てようとするこうもり。それを彼女は盾で防ぐと、メイスを振り下ろしてこうもりに一撃を加えた。
吹き飛ばされたあと、再び襲い掛かろうとするこうもり。しかし、その時には既に、ヒィはウィンドミルの準備をして待ち構えていた。
「そーれ、吹き飛んじゃえー!」
全力で回転するヒィ。彼女の回し蹴りの一撃を受けて、こうもりは吹き飛び、倒された。
「うんうん、うまくいきそうだね。これでいってみよー!」
だが、そう甘くいくほど世の中甘くなかった。
次の部屋。
今回もヒィは、弓でクモを攻撃し、注意を引く。
怒って突撃してきたクモの攻撃を盾をで防ぎ、攻撃。
攻撃を受けたクモは、今度こそはと再び接近してくる。
それをヒィはウィンドミルで迎えようとするが……。
「あ、あれ、タイミングが……う、うわぁ~!」
そう、うまくタイミングがつかめず、結局ウィンドミルで迎撃することができず、攻撃を受けてしまったのだ。
結局その後、なんとかクモを全滅することができたヒィ。彼女は疲れた様子を見せながら、こう言った。
「『カウンターは使わないよ』と言ったけど、あれは嘘。撤回……」
やはり、カウンターも必要と気づいた彼女は、カウンターも使うことを決意したのだった。
カウンターを成長させないのは、せめてもの意地か。
ともあれ、彼女はその後、なんとか巨大クモを倒し、アルビダンジョンをクリアしたのだった。
To Be Continued
読んでくださり、ありがとうございました!