ヒィのマビ日記   作:ひいちゃ

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7月第3章~ご主人様、『マスは地獄です!』『あれ、そうだったっけ?』(その3)

 さらにさらに、先に進んでいくヒィとメイナの二人。

 

 マスダンジョンも終盤に差し掛かったころ。ある部屋で、ヒィが宝箱を上げる。

 すると……。

 

 ガラガラ……! ガシャン!!

 

 ぼわんっっ。

 

 そして出てきたのは……。

 

「こ、これはきつそう……」

 

 普通のコボルドと、コボルドの弓兵(アーチャー)の混合集団だった。

 

「これはやばいな……。メイナ、今回はキミも来てもらえる?」

「は、はい、わかりましたっ……」

 

 そしてメイナを呼んだヒィは、彼女と一緒に、コボルドの群れにとびかかっていった。

 

 そして、コボルドの一匹をメイスの一撃で吹き飛ばしたところに……。

 

 ぷすぷすぷすっ。どかっ。

 

「きゃあ~!!」

「あぁっ、メイナー」

 

 メイナが、複数の弓兵に目標にされ、矢ぶすまにされていた。

 

(ごめんね、メイナ。ボクがこいつらを片付けるまで待っててね)

 

 そう、心の中で謝りながらも、次の目標である弓兵に突撃しようとするも……。

 

 ぷすっ。

 

「いてっ。こ、このーっ」

 

 ぷすっ。

 

「いててっ」

 

「ききぃーっ」

 

 どかっ。

 

「うわぁ~」

 

 弓兵の射撃で動きを止められ、そこに追い討ちの一撃を受けて、ヒィは吹き飛ばされたのだった。

 でも、ダメージは大したことはなく、ヒィはなんとか起き上がり、コボルドの弓兵に突撃していった。

 そして、盾で弓兵の態勢を崩し……。

 

「さっきのお返しだ。とりゃ~!」

「ぴぎゃーーーー!!」

 

 スマッシュで追い討ちをしかけ、これを倒すことができた。しかし。

 

 ぷすぷすぷすっ。

 

「いててててっ」

 

 どかっ。

 

「うわぁ~」

 

 その後も、ヒィの苦闘は続いたのであった……。

 

* * * * *

 

「大丈夫かい? メイナ」

「は、はい……。なんとか……」

 

 メイナに対して傷の手当をするヒィ。

 結局あれから、矢ぶすまになっては、コボルドを吹き飛ばして、を繰り返し、なんとか敵を全滅したヒィであったが、その間に、メイナは矢ぶすまにされて倒れてしまった。

 ……まぁ、そのおかげで、ヒィはなんとかコボルドどもを全滅させられた、ともいえるのだが。

 

「手当できた、っと。それでは先に進もうか」

「そうですね。もう、あんな体験はこりごりですが」

「ははは……」

 

 メイナが受けた痛みやらなにやらを思い、申し訳ない気持ちで苦笑いを浮かべたヒィは、彼女と一緒にさらにダンジョンを進む。そして、次の部屋で出現したのは……。

 

「チュウ!」

「チュウ!」

 

 数匹のちょっと大きめなネズミ。だがこのネズミは侮ってはいけない強敵だということを、ヒィは(前世での)経験でよく知っていた。

 

「ご主人様、このネズミは?」

「うん。ポケットマウス、というんだけど、ただのネズミじゃないんだ」

「と言いますと?」

「うん、それは……」

 

 と、そうヒィが言ったところで……

 

「チュチュチュ!(ライトニングチャージ!)」

「チュチュチュ!(ライトニングチャージ!)」

 

 ポケットマウスの頭上に電球が浮かび上がった。それを見て、メイナは目を丸くして、ヒィは「あちゃー」という顔をした。

 

 そして。

 

「チュー!(ライトニング!)」

「チュー!(ライトニング!)」

 

 びしゃん!

 

「うわぁっ!!」

 

 びしゃん!

 

「きゃあっ!!」

 

 ポケットマウスの放った電撃が、二人を直撃して、二人は大きくのけぞった。

 

「……とこうなるんだ。よくわかった?」

「よくわかりました……」

 

 痛みをこらえながらそう言葉を交わすと、二人は武器をかまえ、ポケットマウスどもに突撃していった。

 

 ライトニングにさえ気を付ければ、さほどの強敵ではない。

 

 メイナは、ポケットマウスがライトニングを撃つ前に奴に接近し、剣でポケットマウスに斬撃を放ち、ヒィは突撃で距離を詰めるとともに、ポケットマウスの態勢を崩し……。

 

「それ~っ!」

 

 そこにメイスでの追い討ちをヒットさせ、ネズミを吹き飛ばした。

 

「チュチュウ(ライトニング)!」

「きゃんっ!!」

 

 ……そこに、別のネズミからライトニングを受けてしまうのはパターンではあるが。

 

* * * * *

 

「や、やっとここまで来たね……」

「はい。長い道のりでした。これまでのダンジョンの数倍疲れた気がします……」

 

 疲労困憊と言った様子で、ボスルームの扉の前に立つ二人。

 

 そう、あれからは大変だった。

 

 ある部屋では、コボルドの弓兵の矢で動きを止められたところに、別のコボルドの攻撃を受けて吹き飛ばされたり。

 またある部屋では、コボルドの弓兵たちから矢ぶすまにされたり。

 

 艱難辛苦を乗り越えながら、やっと二人はここまで来たのである。

 

「それじゃ、打ち合わせ通りに行くよ。メイナ、準備はいい?」

「はい。いつでもどうぞ」

「よし、いくよー!」

 

 そしてヒィは扉を開けた。そこにいたのは、三匹の漆黒の体を持つ野犬。

 

 マスダンジョンのボス、ヘルハウンドである。攻撃力や動きの速さもさることながら、炎の矢(ファイアボルト)の魔法も使いこなす強敵である。

 

 その魔犬に対し、ヒィはクロスボウの狙いを定め……そして放つ!

 

「きゃん!」

 

 その矢は見事にヘルハウンドの一匹に刺さり、ダメージを与えた。これでヘルハウンドの注意がヒィに向いた。ヘルハウンドは自分に矢を放った不埒者をその牙にかけようと飛び掛かってきた。そこに!

 

「メイナ!」

「はいっ!」

 

 メイナがヘルハウンドに飛び掛かり、剣の斬撃を放つ!

 ヒィに喰らいつこうと意識を集中していたヘルハウンドは、それに気づかず、攻撃をまともに受けてしまう。そして、今度はヘルハウンドの注意がメイナに向く。そしてそこに!

 

「それっ!」

「きゃいんっ!!」

 

 ヒィのスマッシュがさく裂し、ヘルハウンドを吹きとばした!

 

 しかし倒すにはいたらず、ヘルハウンドは起き上がり、首を振るとファイアボルトの詠唱を始めた。しかし!

 

「メイナ!」

「はい!」

 

 メイナが斬撃を放ち、詠唱を中断させた。そこに再びヒィがメイスでのスマッシュを放ち、ついにヘルハウンドを倒した!

 

「やりましたね、ご主人様!」

「うん。でも、まだ二匹いるよ。気を抜かずに行こう」

「はい!」

 

* * * * *

 

「ふぅ、今日は一杯頑張ったね!」

「そうですね。大変でしたけど、楽しかったです」

 

 ヘルハウンドを倒し、マスダンジョンをクリアした二人は、ダンバートンへと帰るほうきにまたがっていた。

 

「次はどこへ向かいましょうか?」

「うーん、影ミッションに挑戦するのもいいし、のんびりと農作業にいそしむのもいいよね。あっ、シールドマスターの取得に向けて頑張るのもいいなぁ」

「ふふっ、夢はどんどん膨らみますね」

「うん、そうだね。でも今は……」

「今は?」

 

 そう微笑みながら聞いてくるメイナに、ヒィも同じくにっこりと笑って答えた。

 

「ダンバートンに戻って、ゆっくりとメイナのお料理食べたいな」

「ふふふ、わかりました。それじゃ今日は、ご主人様の大好きなポテト卵サラダにしましょうね」

「わーい!」

「くすくす、ご主人様、まるで子供みたいです」

「えー?」

 

 そんな会話を交わしながら、二人を乗せたほうきはダンバートンへ飛んでいくのであった……。

 




マスダンジョン編はこれでおしまいです!

今話も読んでくださり、ありがとうございました!
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