ヒィのマビ日記   作:ひいちゃ

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6月第1章~『出発前の確認はしっかり』を忘れてました

 ヒィのメイスの一撃がゴーレムに直撃する!

 全力の一撃(スマッシュ)を受けたそれは、静かに崩れ落ち、そして活動を停止した。

 

「ふぅ……。ここも、だいぶ楽にクリアできるようになってきたね」

 

 バリダンジョンで痛い目にあってきたヒィは、少しでも力をつけようと、ここ……ティルコネイル郊外のキアダンジョンに挑戦していた。

 

 最初のころは、ゴーレムに苦戦したり、ゴーレムを倒したのはいいけど、気が付いたら背中に矢が刺さっていたりと、ちょっと慣れないところがあったが、最近は慣れてきたのか、かなり楽にクリアすることができていた。

 

「私も少し強くなってきてるのかな? そうだといいな」

 

 そう言いながら、奥の女神像に触れ、入口に戻る。そして、ダンジョンから出たところで……。

 

「あれ? チャソおばさんからの手紙?」

 

 フクロウが、チャソからの手紙を届けてくれた。受け取ったそれを開いてみる。

 

「えーと、なになに? 『クラッシュショット』スキルと、『突進』スキル?」

 

* * *

 

 その次の日、ヒィの姿は、ティルコネイルやダンバートンから大きく離れた別大陸・イリアの海岸の近くにあった。

 イリア大陸は数年前に見つかった大陸で、ここにも多くの冒険者が訪れ、探検を行っている。

 

 チャスおばさんの種族・巨人族(ジャイアント)も、このイリアに住む原住種族である。

 

 それはともあれ、なぜ彼女が、船に乗ってその別大陸まで来ているかというと……。

 

「はぁ……。また鉄鉱のカケラかぁ。なんか複雑……」

 

 鉱石採集用のふるいの中をのぞきこんで、ヒィがそうつぶやく。

 

「確かに鉄鉱のカケラは、鉄鉱石の材料になるから、チャスさんの助けになるとはいえ……はぁ」

 

 そう言いながら、ヒィは再び、砂をふるいの中に入れて細かくゆすり、鉱石のカケラを取り出す。

 

 チャソからの手紙には、ヒィの役に立つだろうスキル『クラッシュショット』と『突進』のこと、そして、それを習得するための手順が書いてあった。その手順の一つがこれ、謎の鉱石のカケラを集めることだった。

 

 それでヒィはその手順をこなすのに、この海岸……ケルラ海岸にきたのだ。

 しかし、ほどよい器用さが災いしたのか、鉱石採集にひんぱんに成功し、手に入るのは目的の青い小さなカケラではなく、黒いカケラ……鉄鋼のカケラばかり。

 成功は普通は嬉しいものだが、こんなときには複雑だ、とヒィは思うのであった。

 

(どこかの露店に謎鉱石のカケラ、買いに行こうかなぁ……)

 

 そう思いながらも、ふるいを動かす手は止めない。

 

 その翌日。

 

(私は素敵な重戦士になりたいのに、なぜこうしてふるいをふるってるんだろうか?)

 

 乾いた笑いを浮かべながら、鉱石採集にいそしんでいるヒィの姿がケルラ海岸にあった。

 

 あの後、ヒィは露店で売っていないかな、と、ダンバートンに戻って露店市をのぞいてみた。

 だが日が悪かったのか、どの露店にも、謎鉱石のカケラは売っていなかったのである。

 

 それでヒィは、今日もこの海岸にやってきて、黙々と鉱石採集に励んでいるのであった。

 

 そして一日中、黙々と鉱石採集に励んだ結果……。

 

「ふぅ、やった~。やっと必要な分、集まったよ~。頑張った私……」

 

 そう言って、疲れたような安堵したような息を吐くヒィ。そのままばたりと倒れてひと眠りしたいところだが、そうもいかない。

 

 まずはこれを錬金術師のドレンおばあさん(NPC)に届け、その後に、キア下級ダンジョンへ行き、ラゴデッサを30匹狩らなければいけないのだ。

 

「次のは戦いがあるから、今のよりはマシだよね。ちょっと休憩してから行くとしようか……」

 

 彼女は知らない。この後、再び災難が襲ってくるということに。

 

* * * * *

 

「ぜぇぜぇ……やっと倒した……」

 

 なんとか30匹目のラゴデッサを倒した。でもヒィは、そんな喜びなどどこへやら、肩で息をしている疲労困憊という感じだった。

 

 最初のころは順調だった。ラゴデッサも、他の魔物も、今のヒィの実力で対処できる相手だった。

 しかし、終盤に差し掛かると、そうもいかなくなった。体力(スタミナ)を回復させるポーションが底をついたのだ。

 少し前に飼いだしたペットのシバイヌに持たせていた分も使い果たした。体力がなければ、攻撃はできても、防御したり、かわしたりすることができない。ろくに戦うこともできなくなってしまうのだ。

 

 かくしてヒィはその場の敵を全て倒しては、座り込んで休憩して先を進み、また倒しては……を繰り返し、やっと今、目標の30匹を倒しつくしたのだ。

 

「この後は、ゴーレムが待ち構えてるんだよね……」

 

 そうつぶやきながら、通路の先を見る。そこにかすかに見える、大きな錠のついた扉。それを開けるための鍵を、先ほどヒィは手にしている。

 

「さて、行くとするか……」

 

 そういうと、ヒィは立ち上がり、歩を進めた。

 

「次に来るときは、ポーション類が十分あるか、確認することにしよう……」

 

 そうつぶやきながら、ボスのもとへと向かう。

 

 

 

 ボスのゴーレムを倒し終わったあと、その奥の宝箱部屋で、宝箱を開ける前に、疲れ果てた彼女が大の字になって爆睡したのは言うまでもない。

 




今話も読んでくださり、ありがとうございました!
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