さて。マスダンジョンの中をさらに進んでいくヒィ一行。
通路を進む中、ある扉の前で、ふとヒィが立ち止まった。
「……あ」
「どうしました、ご主人様?」
そう怪訝そうに聞いてくるメイナに、ヒィはばつの悪そうな表情を浮かべて答えた。
「ははは……ごめん。ここの扉を開ける鍵、取り忘れていたみたい……」
「え?」
きょとんとしたメイナの表情。だが、すぐにその顔は半眼に変わる。
「そんなわけでごめん。一度道、引き返してもいいかな?」
「はぁ、わかりました……」
そう呆れた顔で溜息をつくと、メイナはほうきにヒィを乗せ、今まで来た道を逆に戻っていった……。
* * * * *
ガラガラガラ……
ゆっくりと開いていく扉を見つめる、苦笑いを浮かべたヒィと、疲れた顔のメイナ。
「さ、さて、それじゃ先に進もうかっ」
「はい……。ご主人様、次からはちゃんと鍵を拾ったか確認してくださいね?」
「う、うん……」
そうメイナに説教されながら、先に進むヒィ。
そして次の部屋にはコボルトが出現した。メイナを部屋の外に待機させ、弓で狙いを定めて撃つが……。
「あ、あれ?」
照準の調整が甘いのか、矢をかすかにコボルドをかすめて飛んで行った。
「ちょっと狙いが甘かったかな? 今度は……」
やっぱり矢は当たらなかった。
「こ、今度は……あれ~?」
「えーん、当たってよー……」
扉の向こうから聞こえてくる、焦ったような半泣きなようなヒィの声。
「ご主人様、大丈夫かしら……」
その声を聴きながら、メイナは一抹の不安を覚えたのであった。
* * * * *
「ご主人様、今度は大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫……だと思う」
いつもより長い時間をかけて、コボルドを撃退したヒィは、再びメイナと通路を歩いていた。
結局、あれからもマグナムショットを外しまくったヒィは、諦めて、普通の射撃で目標の注意を引き付けて倒していったのだ。
最初からその方法で戦えばよかった、と、内心げっそりしているヒィであった。
だが、そんな彼女の前に、無情に次の部屋は現れたのであった。
「では、頑張ってくださいね、ご主人様」
[う、うん……」
そうにっこり微笑んで見送ったメイナを部屋の外に残し、ヒィはちょっと疲れ気味ながらも、宝箱を開けた。
扉が一斉に閉まり、コボルドアーチャーが現れた。
弓矢を使ってくる強敵である。二体以上に気付かれたら、あちこちから弓矢を放たれ、反撃する間もなく矢ぶすまにされる運命が待ち受けている。
今回は、さっきのような失敗は許されない。
「だ、大丈夫かな……よいしょっと……」
クロスボウに矢をセットする。そして……。
大丈夫だった。
クロスボウから放たれたマグナムショットは見事にコボルドアーチャーを撃ち抜き、次々と倒していった。
問題なく勝てたことが嬉しくて、にっこりと笑顔になるヒィ。
だがヒィは知らない。
この先には、さらなる地獄が待ち受けていることを……!
今話も読んでくださり、ありがとうございました!