ヒィのマビ日記   作:ひいちゃ

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7月第2章~ご主人様、『マスは地獄です!』『あれ、そうだったっけ?』(その2)

 さて。マスダンジョンの中をさらに進んでいくヒィ一行。

 

 通路を進む中、ある扉の前で、ふとヒィが立ち止まった。

 

「……あ」

「どうしました、ご主人様?」

 

 そう怪訝そうに聞いてくるメイナに、ヒィはばつの悪そうな表情を浮かべて答えた。

 

「ははは……ごめん。ここの扉を開ける鍵、取り忘れていたみたい……」

「え?」

 

 きょとんとしたメイナの表情。だが、すぐにその顔は半眼に変わる。

 

「そんなわけでごめん。一度道、引き返してもいいかな?」

「はぁ、わかりました……」

 

 そう呆れた顔で溜息をつくと、メイナはほうきにヒィを乗せ、今まで来た道を逆に戻っていった……。

 

* * * * *

 

 ガラガラガラ……

 

 ゆっくりと開いていく扉を見つめる、苦笑いを浮かべたヒィと、疲れた顔のメイナ。

 

「さ、さて、それじゃ先に進もうかっ」

「はい……。ご主人様、次からはちゃんと鍵を拾ったか確認してくださいね?」

「う、うん……」

 

 そうメイナに説教されながら、先に進むヒィ。

 

 そして次の部屋にはコボルトが出現した。メイナを部屋の外に待機させ、弓で狙いを定めて撃つが……。

 

「あ、あれ?」

 

 照準の調整が甘いのか、矢をかすかにコボルドをかすめて飛んで行った。

 

「ちょっと狙いが甘かったかな? 今度は……」

 

 やっぱり矢は当たらなかった。

 

「こ、今度は……あれ~?」

「えーん、当たってよー……」

 

 扉の向こうから聞こえてくる、焦ったような半泣きなようなヒィの声。

 

「ご主人様、大丈夫かしら……」

 

 その声を聴きながら、メイナは一抹の不安を覚えたのであった。

 

* * * * *

 

「ご主人様、今度は大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫……だと思う」

 

 いつもより長い時間をかけて、コボルドを撃退したヒィは、再びメイナと通路を歩いていた。

 

 結局、あれからもマグナムショットを外しまくったヒィは、諦めて、普通の射撃で目標の注意を引き付けて倒していったのだ。

 最初からその方法で戦えばよかった、と、内心げっそりしているヒィであった。

 

 だが、そんな彼女の前に、無情に次の部屋は現れたのであった。

 

「では、頑張ってくださいね、ご主人様」

[う、うん……」

 

 そうにっこり微笑んで見送ったメイナを部屋の外に残し、ヒィはちょっと疲れ気味ながらも、宝箱を開けた。

 

 扉が一斉に閉まり、コボルドアーチャーが現れた。

 

 弓矢を使ってくる強敵である。二体以上に気付かれたら、あちこちから弓矢を放たれ、反撃する間もなく矢ぶすまにされる運命が待ち受けている。

 

 今回は、さっきのような失敗は許されない。

 

「だ、大丈夫かな……よいしょっと……」

 

 クロスボウに矢をセットする。そして……。

 

 大丈夫だった。

 

 クロスボウから放たれたマグナムショットは見事にコボルドアーチャーを撃ち抜き、次々と倒していった。

 

 問題なく勝てたことが嬉しくて、にっこりと笑顔になるヒィ。

 

 だがヒィは知らない。

 

 この先には、さらなる地獄が待ち受けていることを……!

 




今話も読んでくださり、ありがとうございました!
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