夜の街、様々な怪異が跋扈し夜な夜な人々に恐怖を与える時間帯。
悪魔や堕天使は当然のこと知られざる神話の勢力をも動き出している。
暗闇の駒王町の廃墟でとある黒人と怪物が交流をしていた。
暗くてよく見えないがその黒人は神父服を着ており白い手袋をつけた男性のようだ。
「バイサー、そろそろ奴らが来るぞ」
黒人はバイサーと呼んだ女性にそう呟く。
バイサーは柱の陰から姿を現わす。その姿は醜悪だった。
上半身は人間の女性であるのに下半身は獣のように毛深く巨大な人間の手を持っていた。
その人間の手も人を殺すためにより残虐な進化を遂げ、爪が異様に成長していた。
「はい、我が神よ…。しかし何故このような事を?」
バイサーは黒人に疑問をぶつける。
黒人は笑い、指を一本立てる。
「アーシアは私の計画に必要だ。その為にあの宝石を渡した」
バイサーはその言葉を聞くと目を見開く。
黒人がアーシアに渡した漆黒の宝石「輝くトラペゾヘドロン」とは邪神の化身の一つ「闇をさまようもの」と強い関係のある宝石だ。
この宝石の起源は信じられないほど古い。
地球にもたらされた輝くトラペゾヘドロンは
その後ショゴスの反乱とともにこの宝石は消え去った。
次に見つかったのはヴァルーシアの蛇人間によってである。
その後何年に渡ってレムリア、ヴァルーシア、アトランティスといった古代の様々な大陸を巡った。
その後アトランティスが沈んだあとミノアの漁師が網で宝石を引っ掛けるまでは姿を見せることはなかった。
ミノアの漁師は宝石を売り、ケムの商人に売られ、忘れられた暗黒のファラオ「ネフレン=カ」の手に渡った。
その後、ネフレン=カとともにこの宝石は眠り女王ニトクリスに発掘された。
しかしニトクリスはこの宝石により堕落させられ、その後この宝石の行方は知られなかった。
1844年にアメリカのプロヴィデンスにて「星の知恵教団」がこの宝石を使用していた痕跡が残っており、その後1935年にとある作家の死体とともに発見された。
その後地元の医者がナラガンセット湾の冷たい海中へと投げ捨てた。
この宝石が齎すものは知恵と破滅ということをこれまでの歴史を知れば黙然だった。
「アーシアは彼らとともに成長してもらわなければならない。これは私個人だけではない。他の私もこの計画に賛同しているのだ」
理解しているね?と黒人は問いかける。
バイサーは頷き彼の命令を聞く。
「さて、君はリアス・グレモリー率いる勢力と戦闘し戦闘力や知力などを図れ」
「了解」
バイサーが頷いた。
ナイ神父は彼女の様子を見て笑った。
「その体も使い勝手が良いのかね?元血塗られた舌教団のバイサーよ」
バイサーは嗤う。
その笑みは嗜虐的であり、数々の人間を屠り自分が信ずる神へと献上した冷酷な暗殺者の顔だった。
「えぇ、少々不便なことは多いですがね」
そう話していた時、近くから魔力の反応に黒人は気づく。
バイサーに目配せをして、彼は闇は溶けるように消え去った。
バイサーも同じように闇にその巨大な図体を隠し、グレモリーの勢力と相見えるためにその巨大な爪を研いだ。
まずバイサーの目に入ったのは白髪の背丈の小さい女の子である。
そして黒髪のポニーテールの女性、赤髪の女性に剣を持った金髪の少年と茶髪の少年。
バイサーは身を潜ませながら悪魔の団体を待ち構えていた。
しかしバイサーの巨体が動く際にザリッと身体を擦る音が室内にこだまする。
「そこ…!」
白髪の少女…、塔城仔猫が瓦礫を持ち上げ柱の奥へと投げつける。
膨大な力で投げつけられた大きめな瓦礫は柱を粉砕した。
「(あっ…ぶないわね…)」
バイサーは間一髪瓦礫の直撃は免れたが石の破片で少々体に傷がついた。
姿を現したバイザーを見た悪魔たちは構えを取る。
「はぐれ悪魔バイサー、主人の元を逃げ、その欲求を満たすために暴れまわる不逞の輩…。その罪、万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、貴方を吹き飛ばしてあげる!」
赤髪の女性…、リアスグレモリーは傲慢そうにそう言い切った。
バイサーはそのリアスの傲慢さに笑い声をあげる。
「小賢しい小娘だこと…。来なさいな、潰してあげましょう」
バイサーは挑発するように手招きする。
巨大な手を大きく振り上げ、リアスのいた場所へと振り下ろす。
リアスはその一撃を軽く避ける。
リアスがいた場所には大きな手形とともに破壊の後が残される。
一撃一撃が重いことをリアスは理解する。
「これがはぐれ悪魔…」
その巨大すぎる手を見た茶髪の少年、兵藤一誠は巨大な胸と巨大な手を交互に見合わせた。
「さっき言ったろ?心も肉体も醜悪になるって」
剣を構えた金髪の少年、木場祐斗はそう一誠に言った。
「あんないいおっぱいなのに…、勿体無…い!?」
一誠が馬鹿を言っている瞬間、木場に頭を抑えられ、地面にぶつける。
巨大な手が高速で自分たちの頭があった場所を薙いだ。
その巨大な手が掬った風が暴風となって髪を揺さぶる。
一誠は暴風が吹き荒れ、その元凶の巨大な手をチラリと見て「おっかねぇ…」と呟いた。
瞬間、もう一つの巨大な手が下にある瓦礫を軽く掬い上げ小さく砕く。
そして音速に近い速度で砕いた瓦礫を飛ばす。その瓦礫は散弾銃のようにこの戦場に飛び交う。
木場は剣で岩を切り裂き受け流し、子猫はその小さい体躯を生かして瓦礫に隠れる。
その石の散弾銃が飛び交う戦場に黒髪のポニーテールの女性…、姫島朱乃が雷のレーザーによりバイサーの巨大な腕を根本から焼き切った。
バイサーは痛みに悶えながらも残った腕で地面を叩き土煙をあげる。
しかし土煙が蔓延する前に瞬間移動のごとき速度で木場の振るった剣により土煙は切り裂かれ、バイサーの残った腕が千切れ飛ぶ。
一誠は木場が消えたと思っていたがリアスが木場の特性の説明を行う。
両腕を無くし、バランスを崩したところを子猫が追撃のように瓦礫を投げつけ、その小さな体躯から繰り出される拳の乱打によりバイサーが吹き飛ばされる。
吹き飛ばされたバイサーは壁に打ち付けられる。
バイサーは体制を整えようと体を動かしながら思考する。
「(戦闘能力は普通の悪魔よりは上、しかし詰めが甘いのね…。バランス型で、チームワークを完璧…)」
冷静に分析しながら二つの腕を遠隔で動かし一つは木場、もう一つはリアスに対して握り潰そうと動かす。
しかし木場のその音速を超える速さで振るわれた剣により両断され、油断していたリアスへ向けられた腕も一誠に殴り飛ばされる。
どうやら一誠は危機察知能力が高いようだ。
バイサーはそれを理解し腹に潜ませた第2の口をパクリと開き、近くにいる子猫を噛み潰す。
しかし子猫の人離れした筋力により歯がおられ客に内部に振りかぶった拳の一撃を入れられる。
ドンッと重いボディストレートが入り、バイサーが仰け反る。
「朱乃、やってしまいなさい」
リアスが姫島に声をかける。姫島は両手を魔力の雷を放電させる。
「部長に手をかけるおいたなんてするなんて…、お仕置きが必要ですわね?」
その放電をバイサーへとぶつける。魔力のこもった一撃は傷ついた体にさらにダメージを与える。
バイサーが痛みにより悲鳴をあげ、その悲鳴により姫島はその声を聞くためにさらに雷を落とす。
リアスは姫島の行っている雷による攻撃を制止し、バイサーの前へとやってくる。
「(クソ…!思っていたより強い…!)」
雷のダメージは思ったよりも深刻でバイサーは自分が消されることを理解した。
バイサーはガリガリとボロボロの爪で地面に書いた。
ここでバイサーは自分の役割を終えたのだ。
「最後に残すことはあるかしら?」
リアスが倒れたバイサーの目の前でそう聞く。
バイサーは笑いながらリアスに言った。
「そうね…、星辰正しき刻はすぐそこだということを伝えておくわ」
バイサーはその時を見ることができないのは残念だが自分の信ずる神に与えられた使命をこなせたことのみが誇りとなった。
リアスは彼女の言ったことを理解できなかった。
「星辰正しき刻…?」
バイサーはその返答答えず、リアスは自分の消滅の魔力を集め、バイサーに向けて放つ。
「何も話さないならいいわ。チェックメイトよ」
バイサーはその魔力によりそのまま消滅した。
一欠片もなくこの世界から消滅した。
取り敢えず、自分たちの仕事を終えたリアスたちは一息つき、この場から離れようとした時、リアスが何かに気づいた。
それは血の匂いと生きている人間の気配だ。
バイサーが食べていた人間の生き残りだろうか?
「朱野、何か別の場所から気配がしない…?」
「はい、どこからか…、あちらの扉でしょうか?」
朱野は頷き、音が聞こえてくる場所に指を指す。
リアスは一誠たちを率いてその扉へ向かう。
扉は壊れ、ドアノブを捻らずとも開くようでリアスがぎぃと軋んだ扉を開ける。
そこには人間の死体の数々が散らばっており謎の魔法陣が描かれていた。
辺りはカビのようなものが飛び散っており血が所々飛び散っていた。
そしてなにより異常だったのは人間の死体は全て脳が抜き取られていた事だ。
「バイサーは随分と偏食家だったのね?」
しかし木場はその死体に近づき、そのぱっくり割れた頭蓋を見る。
そして驚きの表情でリアスたちを見る。
「部長…、これ、バイサーの仕業じゃありません…。精密に…手術を行ったみたいに開けられてます」
木場は冷や汗を垂らしながら言った。
冥界でもこんなにも綺麗に人間の頭を切り開くことはできない。
リアスたちはここでバイサー以外の勢力がいたことを理解する。
そしてこの魔法陣は一体なんだろうと考えた。
そう考えていた時、後ろから人間の足音が聞こえた。
そこには石炭のように黒い肌をした神父が居た。その神父は黒いキャソックをまとい真っ白な手袋をしていた。
リアスたちはいきなりの神父の登場に驚きながらも戦闘態勢に入るが神父は両手を挙げて降参の旨を伝える。
「別に君たちと闘いに来たわけではない」
黒い神父はヒラヒラと手を揺らしながらそう言った。
リアスたちは不審げに神父を見る。
「ならば何故結界も張っているのにここまで来れているの?教えてちょうだい」
「昔からそういう体質でね。結界が効かないんだ。ここにいる理由は悪魔がいると聞いて神父として処理するためにここに来たというわけだよ」
リアスの疑問に彼はそう答えた。
「私ははぐれ悪魔を狩るために派遣されたに過ぎない。ここがグレモリーの領地だということはわかっていたが、これ以上人間に被害が蔓延しないように動いていたというわけだ。
しかし貴方方がこのようにはぐれ悪魔を処理をしてくれたおかげで私の仕事がなくなったというわけです」
そこで子猫はスンスンと鼻を動かし、やはりと言った顔をしながら黒い神父に疑問を投げかける。
「貴方、なんでバイサーさんの匂いがするんですか?」
瞬間、全員が戦闘態勢に入る。
「…、なんのことですか?」
黒い神父がニコニコしながら子猫に問いかける。
子猫はその黒い神父の圧倒的なプレッシャーを受けながらも言った。
「嘘をつかないでください。貴方が…、バイサーさんと共謀してこのことを行なったのですか?」
この場所からも貴方の匂いがする。とスンスンと鼻を子猫は動かす。
その言葉を聞くと黒い神父は嘲笑するように嗤い始めた。
そしてリアスたちの方を向いてにやけた顔で話し始める。
「素晴らしい。ここまで鼻が聞くとはね…。そうとも、ここでこの死体の脳を持って行かせたのは私の主導だ」
リアスたちはこの場所で脳を持って帰ったという話を聞き目を見開いた。
リアスが黒い神父に一体なぜと疑問を言うと彼はこう言った。
「ああ、その頭脳を取引材料にしているだけだよ。彼らは私と協力しているだけだ」
「彼らって…何?この魔法陣も何なの!貴方はここで何をしようとしているの!?」
リアスが疑問という疑問を黒い神父に投げつけた。
黒い神父は手を後ろでに組み、嗤いながらその疑問に答えた。
「彼らとは『ミ=ゴ』だ。外宇宙からの侵略者だよ。この魔法陣は『門』という。詳しくは面倒だから話さないがな。そして私がここで何をしようとしているのかは…、秘密だ」
彼は指を口に立てる。
リアスは苛立ち交じりに叫んだ。
「ここは私の領土よ!何をしようとしているのかは知らないけどここで貴方を消してもいいの。何をしようとしているのか話しなさい!」
「実に傲慢だ。悪魔のお嬢さん、貴方は自分がどの立ち位置にいるか理解したほうがいい」
黒い神父の口から文字という文字の発音ではない言葉が出てくる。
そして瞬間、目の前にあった『門』が書かれた壁が大きなヒビとともに崩れていく。
いきなり壁が劣化し天井を支えきれなくなったような、そんな感覚を覚え、リアスはこの状況から一誠たちに逃げるように伝える。
リアスたちが目を離した隙に黒い神父は消えており、逃げられたとリアスは屈辱を覚えた。
その後、廃墟が崩れ落ちそこにあった人間の死体や魔法陣のかけらは見つけることができなかった。
「屈辱だわ…」
リアスは崩れ落ちた廃墟を見ながらうでをふるわせながら唇を噛み締める。
『血塗られた舌教団』
ニャルラトホテプの化身『血塗られた舌』を崇拝する組織。
アフリカなどで見かけられるようでその教団の人間たちの殆どは暗殺者である。
『ネフレン=カ』
忘れられた暗黒のファラオ。
ニャルラトホテプと接触して未来視の能力を得たが本当のファラオに地下に幽閉された。
その後死ぬまで未来の出来事などを書いたようだ。
『ミ=ゴ』
異世界からの侵略者。
有能な人間脳缶にするマン。
科学力がヤベー奴でシュブニグラスを中心に外なる神を崇拝している。
簡単にマーシャルアーツで屠れると思っているような人がいるが皆電気銃とかの攻撃を受けたもののみその話をしてほしい。
アメリカではグレイとして契約を結んだり結構狡猾。
『門』の魔術をよく使う。
『門』
簡単に言えば、どこでもドア。