60お気に入り謝謝茄子!
NieRの「双極ノ悪夢」を聴きながら書きました。
一誠たちは走る。
闇の中、教会へと悪魔の力を使い地を駆ける。
その速度はタイガーの走る速度に近い。
そして教会を取り巻く森に身を潜める。
何故、真夜中の森の中で一誠、木場、子猫が教会へと突入準備をしているのかと問われるならば少し時間は遡る。
■◆■◆
オカルト研究部の部屋の中でパシンと乾いた音が響く。
頰を叩かれた一誠は、頰を抑えながらリアスを見た。
「何度言えば分かるの?ダメなものはダメよ。彼女のことは忘れなさい。貴方はグレモリー家の眷属なのよ」
リアスは子供に説教をする親のように一誠を説得する。
しかし一誠はそれならば自分をその眷属から外せば問題ないだろうと文句を言う。
リアスはできるわけがないでしょうと言うが、一誠は自分は捨て駒なんだし一つくらい消えたってと言い返す。
「お黙りなさい!」
その言葉を聞いたリアスは顔を顰めて一誠に怒声を浴びせる。
一誠はリアスの聞いたことのないような怒りの声に吃驚して、俯きがちだった顔を上げる。
「一誠は、
一誠は目線を逸らしながらも首を縦にふった。
それもそうだろう。一誠はチェスで言えば前に進むことしかできない存在なのだ。
ただただ前に進むだけしか能のない駒…。それが
そう一誠は思っていた。
リアスは身体を壁に預けて、一誠に説明をする。
「
「実際の…、
そうだ。一誠は飽くまで思っていただけで理解していなかった。
チェスなどのボードゲームにはあまり興味がなかったし駒はこんな感じで動く程度しかよく理解していなかった。
しかし
敵陣地に攻め込んで敵の大将の首を取るために死力を尽くす兵士は強いものだ。
「『
一誠はそれ聞いてリアスに他のみんなの力を持てるって事ですかと聞くと頷いて、主人である私がそこを敵陣地だと認めればだけれどと話す。
リアスは例え話としてと頭につけて一誠にこう言った。
「例えば、『教会』のように」
そう言って一誠の持っている力を倍加する
神妙な顔つきで自分を裏切った堕天使のことを考えていた一誠の頰をリアスは優しく撫でる。
そしてリアスは一誠の顔を視線が行き交うように持ち上げる。
「思いなさい。
「思いの、力…」
一誠は自分の左手をグーパーして、見る。
この腕に宿った力がアーシアを助けたいと言う意思に呼応するのかと、そう考える。
そう一誠とリアスが会話を行なっていると部屋に入ってきた姫島がリアスの耳元で、何か有事があったのか囁く。
その言葉を聞くとともに彼女は頷いて、急用ができたと言ってリアスと姫島は部室を立ち去る。
一誠はリアスを引き止めようと話は終わっていないと声をかけるが、リアスは姫島とともに魔法陣の上に立つ。
「いいこと?
そう一誠に注意をするように言いつけた。
一誠はそのくらいわかってますよと呟いて、部室から出ようとする。
木場は一誠に行くのかいと聞いた。
一誠は頷き、止めたって無駄だからなと宣言する。
「殺されるよ?」
「たとえ死んでも、アーシアだけは逃す…!」
木場は一誠の覚悟をいい覚悟だと認めるがやはり無謀だと呟く。
一誠はネチネチと言ってくる木場に腹が立ち、うるせぇイケメン!と叫ぶがその声は金属が擦れる音にかき消された。
そこにいたのは長剣を腰に携えた木場の姿だった。
「僕も行く」
そう一誠にはっきりと言った。
一誠は止められるかと思っていたが予想外の回答に戸惑いの声をあげた。
「部長は君に、たとえプロモーションを使ってもって仰ってたろ?」
一誠はリアスの言葉を思い出しながらあぁと頷いた。
木場は一誠に部長は教会を敵陣地だと決めたんだよと話した。
その言葉を聞いて一誠はハッとして立ち上がった木場と子猫を見る。
「じゃあ…」
「勿論、僕らで兵藤くんをフォローしろって指示でもあるからね」
木場は横目に子猫を見る。
一誠は子猫を見て子猫ちゃんも一緒に来てくれるのかと聞いた。
子猫は頷いて無表情に2人では不安だと吐露した。
そうやって彼らは教会の前までやってきたのだ。
ビリビリと教会から感じる殺気が一誠の身体を震わす。
一誠たちは木の陰に隠れたり草むらに忍んだりしている。
「神父も相当集まっているようだね」
マジか…と一誠は呟くがその後に来てくれて助かったぜと木場と子猫2人に伝える。
木場は笑顔で仲間だから当然だろうと言う。
しかし木場はその後に、キッと目を鋭くして個人的に堕天使と神父は好きじゃないと憎悪を交えた声色で呟いた。
いきなり雰囲気が変わった木場を一誠は声をかけるがその返答は子猫が教会へと足を進めたことにより返ってくることはなかった。
一誠は子猫が向かった教会の正門へと続く。
子猫は向こうも私たちに気づいているでしょうからと言い、脚をあげてその巨大な扉を小さな体が込めた力で蹴破る。
扉はその勢いで開かれる。
真っ暗闇の奇妙な雰囲気が蔓延する教会。
パラパラと天井に大きく開いた穴から風化した木材の粉が落ちていく。
十字架は砕かれ、辺りは荒らされている。
一誠は辺りを見渡しその荒廃具合を見てひでぇもんだと呟く。
次の瞬間、その大きな穴から拍手の音が聞こえる。
一誠たちが天井を見ると同時にその少年は降りてくる。
一誠たちはその白い髪と赤い目には見覚えがあった。
しかしその姿は明らかに前の神父服とは違っていた。
動きやすそうな服装に防弾ベストのようなものを着込んでおり、その両手にはサブマシンガンが握られていた。
黒に塗られ、長い弾倉が月明かりに照らされて不気味に光る。
一誠はその銃にゲームではあるが見覚えのあった。
イングラムMAC11と呼ばれる短機関銃だ。
そして背中にはライフルのようなものも背負っており顔は笑ってはいるが明らかに殺意の眼差しで一誠たちを見ていた。
「再会だねぇ、感動的ですねぇ」
「フリード!アーシアをどこにやった!!!!」
一誠はその武装した白髪の少年…、フリードセルゼンの名前を叫ぶ。
「うるせえよボケ、悪魔の紛い物どもを地下に通すわけにはいかないでござる。にんにん」
そうふざけながらもフリードはジャコッと両手のイングラムのコッキングレバーを引いて一誠たちに向ける。
銃口を一切たちに向けて引き金を躊躇いなく手にかけた。
「そういえばそこのクソ悪魔は殴ってくれた諸々の借りを返していなかったよなァ…???じゃあこれプレゼントとしてあの世で悪魔のみなさんにばらまいといてくれや!!!!聖なる力でコーティングされたこの弾丸64発をよォォオオオ!!!!!!!!」
「一誠くん!」
フリードの叫びと共に短機関銃二丁から放たれる62発の弾丸がこの教会内で飛び回る。
ステンドガラスを割り、壁に穴を開ける。
子猫は素早く近くの長椅子を持ち上げて自分たちの目の前へ置く。
ガガガガガガと軽機関銃の銃声がフリードの狂った笑い声とともに演奏を奏で始める。
しかしイングラムの発射速度は非常に高いことを一誠は知っている。
その隙を着けばと木場たちに伝える。
わかったと木場と子猫は言ってすぐに横から飛び出すことができる配置に着く。
コンクリートの床に金属がジャラジャラと落ちる音が聞こえ、そのあとはすぐに聞こえなくなった。
一誠の考えは的中し、2秒経たずに32連装弾倉を撃ち尽くしたイングラムから撃ち出されるのは熱を持った煙だけだった。
好機と見た3人は穴だらけになった長椅子から飛び出して攻撃を仕掛けようとする。
一誠は
木場も手に持った長剣でフリードの腹から肩にかけて斬り裂こうと
子猫は2人を援護するように長椅子を二個、その
一気に窮地に陥ったはずのフリードは口を大きく歪めて肩に背負ったライフルをくるりと回して両手で掴み、狙いをつける。
狙いは飛んできた長椅子二つ、その二つが重なっている時に引き金を引く。
大きな銃声とともにその7.62mmのライフル弾が二つの長椅子を穿ち、破壊する。
吹き飛んだ長椅子は木材の破片となって一誠たちに降りかかる。
その隙をフリードは見逃すことはなかった。
素早くイングラムを一丁リロードして、一誠たちに連射する。
薬莢が地面に転がり、一誠たちの体を穿たんばかりに放たれた。
しかし木場が機転を利かし、
その巨大な魔剣がフリードの放った大量の弾丸を防ぎきる。
木場はその魔剣の創造で結構な力を持っていかれたようで肩で息をしながらも、フリードに二本の爆発する魔剣を投げ込む。
フリードはくるりと体を回転させ、物陰に隠れて爆発をやり過ごす。
「チビもイケメン悪魔もクソ悪魔も邪魔くせえんだよォォ!!!!早く死ねやボケ!!!!」
「あっちもなかなかやるもんだ…」
フリードは悪態をつきながらも冷静に銃のリロードを行う。
フリードの残りの武器は両手の弾切れのイングラムMAC11が二丁にその弾倉が一個、ライフルの弾倉6個、腰のホルスターに入れてあるグロック19が一つに隠し持ってる閃光手榴弾が二つ。
そして聖なる光を付与したマチェットナイフが一つである。
対する木場は呼吸を落ち着けて、巨大な魔剣の影に隠れる。彼もまだ幾らかの魔力を残しており、数十本の魔剣は恐らく作れるだろう。
それにこのような男に負けていては『聖剣』には勝てないのだから。
憎しみの表情でフリードを睨む。
教会の上層部では激闘が繰り広げられていた。
そんな中、裏門ではリアスと姫島がレイナーレの部下の3人の堕天使と対峙していた。
しかしリアスの滅びの魔力で彼らはすでに消滅させられていた。
巫女服を着た姫島が辺りに散乱したカラスの羽を掃除しようとした時、森の暗がりから姫島を食い破らんと奇妙に歪んだ頭を持つ黒い蛇のような怪物が飛び出してくる。
姫島は魔力でその噛みつきを受け流す。
そこに現れたのは、巨大なクサリヘビのようでありながら芋虫のようでもある奇妙に歪んだ頭とグロテスクな巨大なかぎ爪のついた付属器官がついていた。
黒いゴム状の恐ろしく大きなコウモリのような翼を羽ばたかせた12mを優に超える怪物が姿を現わす。
その怪物の体は絶え間なく変化するように見えた。
その怪物は口をワニのように大きく開けてグロテスクな口内を見せながら大きな耳障りな声で吠えた。
「なんなの…!この怪物は…ッ!?」
リアスたちは目の前の見たことがないグロテスクな怪物に対峙した。
怪物はガパリと大きな口を開き、リアスを喰い殺そうとする。
しかし姫島の雷が怪物の注意を逸らす。
雷のダメージは感じていないようで怪物はうねうねと蠢き、ターゲットをリアスから姫島に変更する。
そして即座にその巨大な尾を叩きつける。
その強烈なパワーにより姫島は大きく吹き飛ばされ、教会の壁に叩きつけられる。
醜悪なクサリヘビは更なる攻撃を加えようとその芋虫のような体を歪め、恐ろしいほどのスピードで突撃しようとする。
「朱乃!!!!!!!!」
リアスが怪物に滅びの魔力を収縮させ、その魔力を雨のように落とす。
爆発音とともに怪物の体に裂傷や火傷などの傷をつける。
リアスの全力を持ってしてもこの忌まわしき怪物にはこの程度の傷しかつけられないのかと絶望しそうになるが、その瞬間、醜悪なクサリヘビの近くの教会の壁が爆発して、土煙をあげながらマチェットナイフと魔剣を鍔迫り合いさせるフリードと木場が飛び出してくる。
ナイフと剣が2人の攻撃に合わせて二、三度火花を散らせる。
リアスは飛び出してきた木場を見て声をあげた。
「祐斗!?」
「部長!下がってください…!」
木場が大きく魔剣を振り上げ、フリードの持っていたマチェットナイフを上へ弾き飛ばす。
フリードは腰のホルスターからグロックを取り出し、木場に近距離で連射する。
木場は身体を仰け反らせてグロックから発射された弾丸を回避し、脚を振り上げてフリードの銃を持つ右手を蹴り上げる。
そして魔剣創造の力で地面から無数の魔剣を飛び出させる。
フリードの身体にその無数の魔剣のうち数本が刺さり、彼の腹部から鮮血が溢れ出す。
「ガァァァァァ…ッ!!!!クッソ悪魔…がァ!!!!こんなゴミの作った剣でェ…ッ!」
腹部から貫かれたフリードは血反吐を吐きながら貫かれた剣を抜き、腰に垂らしていた閃光手榴弾を木場の目の前で爆発させる。
木場はその場から
瞬間、光が辺りを包む。木場たちは何とか目を潰されずに済んだがその隙を見てフリードは逃走する。
「次は絶対殺してやる…ッ!!!!覚えてろよ…クソ悪魔どもォ!!!!」
フリードはその場で憎悪の声でそう叫ぶ。そして足早にこの場から去っていった。
木場はフリードから受けたダメージと疲労が大きく、その場で膝をつきそうになる。
しかし、更なる脅威が目の前に現れた。
何故か先ほどよりも焼け焦げたその巨大なクサリヘビは教会の壁に体を打ち付けた姫島より優先して木場を標的にしたようだ。
リアスは何故そんな非効率な動きをと思ったが、木場とフリードの攻防の最後の閃光手榴弾が原因だと考えた。
つまり、この怪物は『光』に弱い!
リアスは叫び声とともに木場に伝える。
「祐斗!この怪物は光に弱いわ!無理難題なことはわかってる…ッ!でもここでなんとかしなきゃいけないの!お願い、祐斗!」
木場はその言葉を聞いてこちらに向かってくる怪物を見た。
自分の身長の9倍はある相手だ。
それがどうしたと言うのだと木場は怪物を睨む。
主人が倒せといったんだと自分の体に鞭を打ち、立ち上がる。
魔剣を創造し右手に構え、フリードが落としていった光が付与されたマチェットナイフを左手に構える。
「部長、任せてください。僕はあなたの」
「
そう自分の主人であるリアスグレモリーに叫び、突進してくるクサリヘビを躱し、二本の剣で斬りつける。
魔剣はやはり効果が薄いようだがマチェットナイフの方は装甲を切り裂き、そのドス黒い黒といっても過言ではない内臓を木場は垣間見る。
リアスは木場の援護に回って、滅びの魔力のレーザーを展開して歪んだ頭をさらに歪めたクサリヘビへと放射する。
爆発とともに土煙が舞った時、その土煙からいきなり巨大な尾が木場を巻き取る。
「祐斗!」
獲物が油断した時に狡猾に動くその姿はまるで狩人を思わせる。
忌々しき狩人はその尻尾の力を徐々に入れて、木場を締め上げる。
木場の体内からボキボキと骨が折れ、内臓が潰れる音が響く。
木場は血の泡を吐きながらその場から逃れようとする。
しかしその尾からいきなり力がなくなった。
それは教会の方面から飛んできた雷の一閃がその尻尾を灼き切っていたのだ。
爆発とともに土煙が舞う。
そこから煙をかき分けながら現れたのは、リアスの
「よくもやってくださいましたね…、その上私たちの
「その体を雷に灼かれて死になさい」
そう姫島がボロボロの巫女服のまま印を組む。
その瞬間、彼女の体に雷が迸る。
木場が切り落とされた蛇の尾から飛び出して蛇の頭にマチェットナイフを突き立てる。
装甲を切り裂いた木場は内側の肉が見え、骨を剥き出しにさせる。
「今です!姫島さん!」
「ありがとう、祐斗くん。では…」
姫島が両手をバチバチと雷を纏わせてそのエネルギーを収縮させる。
その収縮させた雷のレーザーを忌まわしき狩人の頭蓋目掛けて一点放射し、頭蓋を灼き切り、脳を焼き焦がす。
内側から雷の熱に灼かれ、忌まわしき狩人は悶え苦しむ。
まだまだ姫島は追撃を仕掛けるように頭を一点集中で雷を叩き込む。
忌まわしき狩人は想像を絶する痛みと雷の光のエネルギーによって体をどんどんと萎びさせていく。
「これで、最後です!」
極太の雷が忌まわしき狩人を焼き、狩人は耳障りな声をあげながらその場で末端から灰になっていく。
ボロボロとその体をゴミにして、最後に残ったのは灰の山だけだった。
この場でボロボロになりながらもリアスたちは怪物を打ち滅ぼすことができたのだ。
リアスは木場と姫島の方に振り返り、2人を抱きしめる。
「ありがとう…祐斗、朱乃…」
そう抱きしめられたリアスの眷属たちは、当然のことをしたまでと返す。
リアスはこの場にいないあと2人の眷属のことを木場に尋ねた。
木場は一誠と子猫は教会の地下に向かってアーシアを助けにいったと伝える。
そう答えられたリアスはすぐさま地下へと向かおうとする。
その瞬間、教会を中心に地面が大きく揺れた。
一体地下で何があったのだとリアスたちは教会の地下へと足早に向かった。