智慧を与えましょう   作:ねこです89

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アーシア憑依(?)編


輝くトラペゾヘドロン

教会上層部での激戦を見ながら、満月の下で黒い男はワインを飲んでいた。

高級ホテルの屋上で彼は様子を見ていた。

教会での激戦にちょっかいを入れたのは彼である。

一誠と木場、子猫にはフリードをぶつけ、リアスと姫島には配下の『忌まわしき狩人』を差し向けた。

その結果、木場はフリードを打ち破り、リアスと姫島は教会からフリードと共に飛び出してきた木場と協力してフリードの落としていった特殊なマチェットナイフで頭を切り開き、頭蓋に雷の一撃を叩き込んだ。

 

「面白い…、面白い…」

 

人間とは本当に面白い。

小賢しい知恵を用いて大を打ち破る。

ワインが進むではないかとゴクゴクと一瓶をあっという間に飲み干してしまう。

だが、教会での激闘も見ものだったがそれ以上に地下の方に彼は期待していた。

かの堕ちた聖女こと『アーシア・アルジェント』。

彼は彼女に神父として接触し、無知な彼女に様々な物を与えた。

飯を与えた。水を与えた。娯楽を与えた。

そして、叡智を与えた。

彼女には、そこらの石ころのような人間よりも素晴らしい精神力を持っていた。

かの悪名高き『ネクロノミコン』を読ませても狂わず、故意に宇宙的恐怖に接触させても狂わなかった。

珍しい人間だ。

さて、どのようなことをしても真の意味で堕ちない彼女にどのような存在でも堕とす力を持つアーティファクト『輝くトラペゾヘドロン』が彼女に接触すればどういう反応が起きるのか。

気になる。とても気になる。

好奇心旺盛に黒い男は考えていた頃には教会での激闘には終止符が打たれていたようだ。

それを確認すると同時に血まみれのフリードが帰ってくる。

 

「おや、フリード…、どうでしたか?」

 

「いやぁ!無理無理!あの剣士くん強かったんですよォ…、あいてて…」

 

土手っ腹に穴が空きそこから内臓が飛び出しているのにフリードは痛みを感じていないように振る舞う。

いや、実際に感じていないのだろう。

血液がほとんど抜けきっているのに正常に動き、正常に話す。

それは異常だった。

 

「私が墓地の王(バロン・サムディ)の力を使っていなければ貴方はあそこで気絶していたでしょうね。いやはや、お疲れ様です。眠ってていいですよ」

 

「了解でェ、我が神」

 

そうフリードは礼をしてホテルへと戻っていく。

彼がこの身体になったのには理由がある。

フリードは前回、アーシアに話していた『月に吠えるもの』で話していないことがあった。

それは『自分があの時潰されて死ぬ間際だった』ということだ。

彼はあの時潰されて、外宇宙へと持ち去られた。

その時フリードは月の裏側に蔓延る存在。宇宙の奥にある『沸騰する混沌の中心』などを見て、この世界における人間がどれほどまでに矮小な人間かを理解した。

そして彼は死に体で『月に吠えるもの』に叫んだ。

 

「まだ死にたくない」

 

宇宙空間でその声が届くことはあり得ないはずだが神はその声を聞いたのかその化身は笑い始めた。

そして彼は人型の『暗黒の男』の姿を取り、彼の身体を癒し、死なない身体を与えたのだ。

そこから彼は外なる神の下僕となったのだ。

そんな彼を今回の計画のためにニャルラトホテプは連れてきたのだ。

フリードに永遠を与えた本人であるニャルラトホテプは教会を見つめ、口を大きく歪める。

 

「アーシア、君はどんな風にその力を使うのかな?」

 

 

■◆■◆

 

 

教会の地下ではレイナーレがアーシアを磔にしていた。

彼女は振り返り、一誠たちを確認すると余裕そうに笑った。

 

「いらっしゃい、悪魔のお二人さん…、遅かったわね」

 

アーシアのその様子を確認した一誠はアーシアの名前を叫ぶ。

その声が届いたのか、アーシアは目を開き、一誠の顔を見て、小さく彼の名前を呟いた。

一誠はアーシアを助けようとがむしゃらに突っ込もうとする。

瞬間、子猫に首根っこを掴まれて後ろに引っ張られる。

一誠が進もうとした場所にレイナーレの光の槍が深々と突き刺さり、光の爆発を起こす。

2人は爆発の余波を受けて、壁に思い切り叩きつけられる。

 

「感動の対面だけど残念ねぇ…、もう儀式は終わるところなの」

 

レイナーレがそう一誠たちに吐き捨てた瞬間、アーシアが喉が張り裂けんばかりの絶叫を上げる。

身体を痙攣させて、激痛を逃がすために反らし、捻る。

しかし両腕両足を鎖で締め上げられ、ピクリとも動かすことができない。

一誠はアーシアの絶叫を聞き、レイナーレに何が目的だと叫ぶ。

レイナーレは声高らかに神器(セイクリッド・ギア)を奪うと断言する。

一誠はそんなことしたらアーシアはどうなるとレイナーレに叫ぶ。

アーシアの漆黒のペンダントをかけた胸元が光を発する。

アーシアは目を見開き、今まで以上に身体を大きく反らした。

子猫は少し言い澱みながらも彼女が死ぬと一誠に伝える。

一誠はそのことに驚き、助けに行こうと駆け出した。

しかし、その瞬間、アーシアの体がひときわ大きく痙攣して、彼女のエメラルドの瞳から光が失われていく。

アーシアのこわばっていた体から力が抜け、髪とペンダントが揺れる。

 

聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)…、ついに私の手の元に…」

 

レイナーレはアーシアの体から出現した一対の指輪を手に取り、幸せそうに微笑む。

 

「これこそ、私が求めていた力…!これさえあれば私は愛を頂ける…」

 

そう言って口を歪ませてその聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)を身体に取り込ませる。

瞬き光とともに彼女の体は高笑いをする。

 

「至高の力…、これで私は至高の堕天使になれる!私を馬鹿にしてきた奴らを見返すことができるわ…!」

 

「ざけんじゃねぇ!」

 

そう叫んで一誠はレイナーレを殴り倒すために駆け出す。

目の前には数十人の祓魔師(エクソシスト)が光の剣や拳銃を向けて斬りかかったり撃ち殺そうとしてくる。

どけ!と一誠は罵りながら籠手で振り下ろされた剣を受け流し、アッパーカットで祓魔師を跳ね上げ、悪魔の力で脚を振り回してまた一人蹴り飛ばす。

しかし多勢に無勢と言うように後ろから切り裂かれそうになる。

だが、彼の身体を切り裂こうとする男は大きく上に吹き飛ばされ、頭を天井に突き刺すこととなる。

後ろを見れば子猫が拳を構えて、祓魔師たちをその圧倒的なパワーで吹き飛ばしていた。

 

「一誠先輩、行ってください」

 

そう子猫が一誠に言う。

一誠はありがとうと感謝を伝えて、子猫が切り開いた道を走る。

数人の邪魔な祓魔師を殴り、階段を駆け上がる。

そこにはレイナーレが一誠を侮蔑を交えた目で見ていた。

そしてレイナーレの隣にある十字架にアーシアは磔にされた状態で目を閉じていた。

一誠は呆然と立ち尽くす。

レイナーレはここまでたどり着いたご褒美と称してパチンと指を鳴らし、アーシアを縛っていた鎖を外す。

意識を失ったアーシアは重力に従って地面に倒れそうになるが、一誠が優しく抱きしめ、声をかける。

アーシアは薄く目を開けて、一誠がいることに安堵の表情を浮かべる。

一誠は迎えに来たぞと声を震わせながらアーシアに言う。

 

「その子は貴方にあげるわ」

 

レイナーレは一誠にそう声をかける。

アーシアをモノ扱いするレイナーレを睨み、神器(セイクリッド・ギア)を戻せと叫ぶ。

そう言われたレイナーレは馬鹿言わないでと一誠の方を向いた。

 

「私は上を欺いてまでこの計画を進めたのよ?残念ながら貴方たちはその証拠となってしまうの…」

レイナーレは一誠たちを見下して、「でもいいでしょう?二人仲良く消えるんだから」と光の槍を構えた。

子猫が数人の祓魔師に追い詰められる。

瓦礫を小粒にして戦車の力を最大限に引き出して蹴り飛ばす。

その瓦礫はライフル弾のように飛んでいき、祓魔師2、3人の身体を貫いていく。

しかし手数が足りない。そろそろ数で押し切られそうだ。

 

「(兵藤先輩…ッ!そろそろ不味いです)」

 

チラリと子猫は階段の上を見た。

 

一誠とレイナーレが問答をしている時、アーシアは無力な自分を恥じた。

自分の恩人がこんなに傷ついているのに自分は何もしてあげられないのだ。

その瞳から涙が一粒零れ落ちた。

 

その時、自分の頭に声が聞こえた。

闇から響いてくる悪魔のような声、全てを食いつぶさんとするその圧倒的なプレッシャー。

壮年の男性の声が頭に響いてきた。

 

「貴様、ここで死にたいのか?」

 

男性の声らしきものはアーシアにそう問いかけた。

アーシアはそんなわけがないと心の中で叫ぶ。

その声は、その言葉を聞くと少し笑った。

 

「今ここで、お前が助かると言ったらお前はどうする」

 

助かる…そう言われた。

アーシアは一瞬、それに応じようとする。

しかし、その伸ばそうとした手をもう一つの手で掴み、抑える。

闇から手が飛び出して、肩を掴む。

早く答えろ!と叫ぶ。

その声がどんどんと近づいてくる。

声の主が目の前に現れ、アーシアはその存在を確認した。

三つに分かれた燃え上がる眼を持つ闇…、アーシアの知識にその存在は該当した。

アーシアは恐怖を覚えるが、ぐっと歯を食いしばり恐怖を克服しその闇の手を逆に掴む。

 

「『闇をさまようもの』よ!私は貴方を恐れない!貴方に体を渡せば世界が…、一誠さんが死んでしまうかもしれない!」

 

アーシアはそう叫んで頭でその三つの目の間に頭突きする勢いで叩きつける。

 

「ナイ神父は本当に私のことを利用していただけだったのですね…、あのペンダントの正体は『輝くトラペゾヘドロン』!」

 

影は面白そうに嗤い、アーシアを称賛した。

あのネクロノミコンを読んでなお、貴様は神を信じるとはと素直に驚いているようだ。

アーシアは目の前の怪異に叫ぶ。

 

「私は魔女です!ならば貴方と契約を交わすことができるはず…ッ!」

 

『闇をさまようもの』はその答えを聞いた時にその燃え上がる眼をさらに燃え上がらせた。

 

「貴様のような小娘が私を支配すると!?面白い!面白い!やってみるがよい!だが、覚えておけよ小娘!貴様の正気が消え失せた時、私は貴様を乗っ取り、『星辰正しき刻』に全ての神々を導くものとなることを!」

 

そう『闇をさまようもの』が叫ぶとともにアーシアに飛びつく。

アーシアは激痛と苦痛、そして脳がこの怪異に侵されていくのにその強靭な精神力で耐える。

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」

 

『闇をさまようもの』が脳を侵食せんと蠢き、アーシアは頭を抑えて破裂しそうなほどの痛みに耐える。

 

「私は…、貴方を支配する…!そして…、世界を…、一誠さんを…!助けるんです…ッ!!!!」

 

ビキビキと頭の血管という血管が浮き上がり、精神体であるはずなのに血がでているような感覚に陥る。

その痛みは永遠に感じたが、現実世界では一瞬だったのだろう。

最後に勝ったのは、アーシアだった。

そうして、アーシアは眼を覚ました。

 

「レイナァァァアアアアアレェェエエエ!!!!!!!!」

 

「腐ったガキが、その名前を気安く呼ぶんじゃないわよ!」

 

一誠がそう叫ぶとレイナーレが目を見開き、狂気に見える壮絶な表情でその光の槍を振り下ろす。

一誠はその様子がスローに見えた。

あぁ、ここで死ぬんだなとそう思った。

次の瞬間、無数の棘がレイナーレを貫いていた。

いや、棘などではない。影だ。目玉や口が無数についた影がうねりながらレイナーレを突き刺したのだ。

カツカツという足音とともに現れたのは、真っ黒なドレスに身を包んだアーシアの姿だった。

アーシアの影にはグニャグニャと何かが蠢き、まだらに目や口が蠢いていた。

 

「一誠さん、ありがとうございます。あとは私に、任せてください!」

 

アーシアがそういう声とともに別人の表情となって下を睨み、地下から無数にアーシアの足元から黒い影が伸び、下にいる神父とレイナーレをまるで饗宴のように貪り始める。

子猫はひょいひょいと影をかわし、勘がいう通りに安全地へと逃げる。

しかし子猫以外の祓魔師たちはバラバラ死体となって、その惨状は血の池地獄と呼ぶにふさわしいものだった。

レイナーレはなんとか光の槍などで斬り、穴が空いた箇所に聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)によって治療する。

 

「なんなのあんた…、ど田舎の小娘が私に…、至高の堕天使に傷をつけるとは!」

 

アーシアはまるで昨日とは比べ物にならないほど低い声…、本来であれば可憐な少女から出る声ではない壮年の男性の声でレイナーレに顔を歪めながらこう言った。

 

「至高の堕天使に成り上がったと思っているだろうが、貴様は自惚れすぎだ」

 

その瞬間、影が音速を超えて動き、レイナーレの肩から腹にかけて大きくそのチェーンソーのような歯で切り裂いた。

レイナーレは肩を抑えながら治癒を行うが治癒が間に合わない、

 

「なんで…!?聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)が遅すぎる…!私は至高の堕天使よ…ッ!こんな田舎町の小娘に…」

 

「こんな田舎町の小娘に…?」

 

いつのまにか迫っていたアーシアに気付いた時にはすでに遅く振り上げられた影を巻きつけた脚がレイナーレの腹部に強く刺さり、内臓や骨をかき回す。

口が血で満たされて、ぼたぼたと地面に垂らし、そのまま天井まで吹き飛ばされる。

天井に叩きつけられ、さらに追撃として影のハンマーがレイナーレを叩きつける。

その勢いは天井を破壊し、レイナーレは蛙が潰れる声を上げて教会のステンドグラスを破り、外に投げ出される。

既にボロボロなレイナーレは聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)を使っても微々たる回復しかもたらさない。

 

「(まずい、まずいまずいまずいまずい!まずい!!!!)」

 

レイナーレは何度も何度も聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)をかける。

カツカツと自分の近くで足音がする。

はやく逃げなければと動こうとした時、足を影が貫いた。

レイナーレは叫び声をあげながら、血が溢れる足を抑え、足音がした方向を睨む。

そこには一誠とアーシアが立っていた。

すぐに翼を広げて飛び去ろうとするが一誠が駆け出し、手を掴む。

 

「逃がすわけがないだろ!馬鹿が…!」

 

「私は、私は!私は至高の堕天使よ!?」

 

「知らねえよ…!歯ァ食いしばれよクソ天使…!一発行くぞ!!!!」

「吹っ飛べ!クソ天使ィ!!!!!!!!」

 

一誠の渾身の一撃がレイナーレの体を吹き飛ばす。

宙に浮き、木に叩きつけられた。

レイナーレは意識を失い、倒れる。

ふらふらとなりながらも、一誠は自分が勝ったことを理解した。

 

「やるね、一誠くん」

 

一誠は声がした方を振り返る。

そこにはナイフでの切傷や銃創などが残った痛ましい姿をした木場だった。

 

「木場!あのクソ神父を何とかできたのか!」

 

「まぁね、結構危なかったよ」

 

まさか二連戦とは…と頰をかいた。

教会の方では扉が開き、同じくボロボロな子猫の姿が見える。

 

「子猫ちゃんも!」

 

「影に襲われそうになりましたけどなんとか…」

 

そう言って、子猫はアーシアの方を見る。

アーシアは先程までの苛烈な表情から一変、いつものアーシアの顔に戻っていた。

その後、リアスや姫島などがこの場所に集まり、元凶である堕天使を起こし、話を聞くこととなった。

 

「はじめまして、堕天使レイナーレ。私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ」

 

リアスがレイナーレを見下しながらそう言った。

レイナーレは驚愕しながらその震える瞳孔をリアスに向ける。

 

「グレモリー一族の娘か!?」

 

「どうぞお見知り置きを、短い間でしょうけど、それから___」

 

そう言ってポケットから三枚の黒い羽をレイナーレの目の前に捨てる。

それはレイナーレの部下であるドーナシーク、カラワーナ、ミッテルトの三人の死を意味した。

 

「訪ねてきた貴方のお友達は私が消し飛ばしておいたわ」

 

そう言われて、レイナーレは目を見開いてその黒い羽を見た。

確かにあの三人の羽で、彼らは死んだと理解した。

一誠は消しとばしたと驚いていたがそれを木場が解説する。

 

「貴方たちはここで色々と企んでいたみたいだけど私たちに害がないなら無視しておくつもりだったのだけど…」

 

一誠はリアスに俺のためにと有難そうに笑うがリアスは一誠の籠手を見ると少し目を見開いて、そうと呟いた。

 

「赤い龍、そういうことなのね…」

 

と、リアスは一人で納得したように頷いて、レイナーレを見下ろす。

 

「堕天使レイナーレ、この子兵藤一誠の神器(セイクリッド・ギア)は単なる龍の手(トゥワイス・クリティカル)じゃあないわ」

 

「なに…!?」

 

レイナーレはリアスに対してなにを言っているという目で見て、リアスはそれが13つの神滅具(ロンギヌス)の一つ、赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)だと告げる。

レイナーレはその言葉を聞いて、こんな子供に宿っていたとはと驚く。

そして、リアスは手に魔力を集めてこの堕天使を消し飛ばそうとする。

このままでは死んでしまうと考えたレイナーレは一誠を唆かすために天野夕麻となって言いくるめようとする。

しかし一誠には通用しなかった。

一誠は天野夕麻(レイナーレ)から離れ、リアスに頼みますと声をかける。

リアスはレイナーレに近づき、思い出したかのようにレイナーレに問う。

 

「貴方、頭が歪んだ翼を持つ蛇について心当たりはあるの?」

 

「何よ、それ…。知らないわ」

 

その答えにそうとリアスは頷いてレイナーレを自分の魔力で消し去ろうとした瞬間、アーシアが前に出る。

リアスはそこを退きなさいとアーシアに言う。

一誠はアーシアの手を引こうとした時に、アーシアの顔つきが違うことに気がついた。

さらに、アーシアの目が燃えるように揺らめいていて、額にも小さな炎が燃えて揺らめいていた。

アーシアは一誠に、彼女とケリをつけたいと話し、リアスを説得する。

リアスはそれに了承し、道を退いた。

 

「レイナーレさん、私のことを騙していたのですね…」

 

「違うの!これは堕天使として仕方なく…!」

 

アーシアはそうですか…と呟いて、次の瞬間影がレイナーレの腹部を貫いた。

その時のアーシアの顔は笑っていた。

まるで二重人格のようだ。一誠はそう思った。

貫かれた腹部からうねうねと影が蠢き牙が生え始める。

 

「レイナーレさん、貴方は至高の堕天使にはならなかったですね」

 

「いや、嫌だ…、まだ死にたくない…」

 

レイナーレは腹部を押さえて後退る。

アーシアは顔を歪ませて大きく笑い高らかに声を上げる。

 

「残 念 だ っ た な !」

 

影が大きく口を開けて、レイナーレを噛み潰す。

中から小さく絶叫が聞こえ、骨が折れる音と筋肉が潰れる音などの音が数秒続いたかと思えば、その音は影に沈んだ後全く聞こえなくなってしまった。

リアスたちは目の前の異常な存在に冷や汗を隠せなかった。

 

 




アーシアの影のイメージはハガレンのプライドの影を思ってください。
残念だったな!はニャルラトホテプ繋がりで
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